輸入品のPSEマーク―輸入事業者の届出・表示義務と販売制限
PSEマークとは
PSEマークとは、電気用品安全法の対象となる電気用品について、事業届出、技術基準への適合確認、自主検査、検査記録の保存、必要な適合性検査その他の義務を履行した届出事業者が表示する法定の安全表示です。
経済産業省の公式説明では、PSEのP及びSはProduct Safety、EはElectrical Appliances & Materialsを示します。電気用品安全法の正式な英語名は、Electrical Appliances and Materials Safety Actです。
PSEマークは、国が個々の商品をすべて検査して交付する認証ロゴではありません。製造事業者または輸入事業者が、対象品目の判定、技術基準への適合確認、自主検査、必要な適合性検査、表示及び記録保存を自らの責任で行う制度です。
輸入品については、海外メーカーがCEマーク、UL認証その他の海外規格への適合を説明していても、日本の電気用品安全法上の義務を満たしたことにはなりません。
また、輸入許可を受けたことと、日本国内で販売できることは別の問題です。通関後であっても、必要なPSEマーク、届出事業者名、登録検査機関に関する表示、定格表示その他の要件が満たされていなければ、販売または販売目的の陳列が制限されます。
この記事で扱う範囲
| 項目 | この記事で扱う内容 | 他記事で扱う内容 |
|---|---|---|
| PSEマークの基本 | 法的位置付け、販売制限及び輸入販売実務上の意味 | 電気用品安全法では、法律全体の構造を扱う |
| PSEマークの区分 | 菱形PSEマークと丸形PSEマークの違い | 個別の技術基準及び試験方法は製品別の記事で扱う |
| 対象電気用品 | 特定電気用品116品目と特定電気用品以外の電気用品341品目の基本構造 | 各電気用品名の詳細な対象・非対象解釈は製品別の記事で扱う |
| 付属品 | ACアダプター、電源コード、充電器、蓄電池等の確認 | リチウムイオン蓄電池の輸送規制は危険品・化学品輸送規制で扱う |
| 輸入事業者の義務 | 事業届出、技術基準適合、自主検査、適合性検査、表示及び記録保存 | 輸入申告書の作成方法は通関書類・申告前確認で扱う |
| 海外直接販売 | 特定輸入事業者、国内管理人及び越境ECの確認事項 | オンラインマーケットプレイスの取組は製品安全誓約で扱う |
| 他制度との関係 | PSCマーク、技適マーク、電気通信事業法上の認定及びSTマークとの違い | 各制度の詳細は、それぞれの制度解説記事で扱う |
| 販売後対応 | 事故情報、販売停止、回収、リコール及び行政措置との関係 | 重大製品事故報告及びリコール手順は別記事で扱う |
| 物流関係者の役割 | フォワーダー、通関業者及び倉庫事業者の確認範囲 | 通関業者の賠償責任は通関賠償・E&O事例で扱う |
PSEマーク制度の目的と背景
電気用品は、使用方法、構造、材料または電源の異常により、感電、発煙、発火、漏電、異常発熱、破裂その他の事故を引き起こす可能性があります。
電気用品安全法は、電気用品の製造、輸入及び販売を規制するとともに、民間事業者による自主的な安全確保を促進し、電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的としています。
電気用品安全法の対象となる電気用品は、政令で指定されています。2026年7月時点では、特定電気用品116品目と、特定電気用品以外の電気用品341品目の合計457品目が指定されています。
このうち、構造または使用方法等から見て、特に危険または障害を発生させるおそれが高い電気用品は、特定電気用品として区分されています。
特定電気用品については、届出事業者による自主検査だけでなく、登録検査機関による適合性検査を受け、適合性証明書を保存する必要があります。
菱形PSEマークと丸形PSEマークの違い
| 区分 | 対象 | 主な手続 | 表示の基本 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 菱形PSEマーク | 特定電気用品116品目 | 事業届出、技術基準適合確認、自主検査、登録検査機関による適合性検査、適合性証明書の保存 | 菱形PSEマーク、届出事業者名、登録検査機関名・略称・承認された記号、定格表示等 | 輸入前に、適合性検査の対象型式、製造工場、証明書の範囲、期間及び費用を確認する |
| 丸形PSEマーク | 特定電気用品以外の電気用品341品目 | 事業届出、技術基準適合確認、自主検査、検査記録の作成及び保存 | 丸形PSEマーク、届出事業者名、定格表示等 | 登録検査機関の適合性検査が不要でも、自主検査や記録保存が不要になるわけではない |
菱形と丸形の違いは、単なるデザインの違いではありません。製品区分を誤り、丸形PSEマークを表示すべき製品に菱形を表示したり、特定電気用品に丸形を表示したりしても、適法な表示にはなりません。
また、正しい形のPSEマークを印刷しただけでは、事業届出、技術基準適合、自主検査、適合性検査その他の義務を履行したことにはなりません。
対象となる主な電気用品
| 区分 | 主な対象例 | 基本となるマーク | 主な確認事項 |
|---|---|---|---|
| 特定電気用品 | 電線、ケーブル、温度ヒューズ、差込みプラグ、コンセント、配線器具 | 菱形PSEマーク | 種類、定格電圧、定格電流、構造及び使用材料を確認する |
| 特定電気用品 | 小形単相変圧器、直流電源装置 | 菱形PSEマーク | ACアダプターが直流電源装置に該当するかを確認する |
| 特定電気用品 | 電熱式おもちゃ、電動式おもちゃ | 菱形PSEマーク | 玩具の構造、電源方式及び他の子供向け規制も確認する |
| 特定電気用品 | 電気マッサージ器、電気温水器、電気ポンプ | 菱形PSEマーク | 用途及び法令上の電気用品名を商品名と分けて確認する |
| 特定電気用品 | 携帯発電機 | 菱形PSEマーク | 定格、出力及び法令上の対象範囲を確認する |
| 特定電気用品以外の電気用品 | 電気冷蔵庫、電気洗濯機、電気掃除機、扇風機 | 丸形PSEマーク | 本体表示、定格表示、自主検査及び記録保存を確認する |
| 特定電気用品以外の電気用品 | 電気ストーブ、電気こたつ、電気アイロン、電気がま | 丸形PSEマーク | 発熱部、温度制御及び使用時の安全要件を確認する |
| 特定電気用品以外の電気用品 | テレビジョン受信機、音響機器、電気スタンド、LEDランプ及びLED電灯器具 | 丸形PSEマーク | 製品本体だけでなく、電源装置及び電源コードを確認する |
| 特定電気用品以外の電気用品 | 電気かみそり、電気歯ブラシその他の家庭用電動機器 | 丸形PSEマーク | 充電器、ACアダプター及び内蔵蓄電池を区分して確認する |
| 特定電気用品以外の電気用品 | 法令上の定義に該当するリチウムイオン蓄電池 | 丸形PSEマーク | 単電池、組電池、用途、構造、エネルギー密度その他の対象条件を確認する |
対象となるかどうかは、ECサイト上の商品カテゴリーや一般的な商品名だけでは確定できません。法令上の電気用品名、定格電圧、定格電流、周波数、構造、用途及び電源方式を確認する必要があります。
電気を使用する製品がすべてPSE対象になるわけではありません。一方、製品本体が対象外であっても、付属するACアダプター、充電器、電源コードまたはリチウムイオン蓄電池が対象となる場合があります。
対象・非対象を判断する主な軸
| 判断軸 | 確認内容 | 主な資料 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 電源方式 | 交流電源へ直接接続するか、直流電源だけで動作するか | 回路図、仕様書、取扱説明書 | 直流機器本体が対象外でも、付属ACアダプターは別に判断する |
| 定格電圧 | 対象範囲となる定格電圧か | 銘板、設計仕様、試験報告書 | 入力側と出力側の定格を混同しない |
| 用途 | 家庭用、業務用、特定設備用その他の用途 | 商品説明、カタログ、設計資料 | 「業務用」と表示するだけで対象外になるとは限らない |
| 構造 | 電熱、電動、照明、電子応用、電源変換等の構造 | 図面、部品表、回路図 | 外観が似ていても内部構造により分類が異なる |
| 付属品 | ACアダプター、電源コード、プラグ、充電器、蓄電池の有無 | 梱包明細、セット構成表、製品写真 | 本体と付属品を一括して対象外と判断しない |
| 販売形態 | 完成品、部品、補修品、セット商品または単体販売か | 販売ページ、インボイス、包装仕様 | 同じ部品でも販売形態や用途により確認事項が変わる |
| 製品変更 | 材料、回路、製造工場、部品または型式の変更があるか | 変更通知書、改訂図面、試験資料 | 旧型式の証明書を変更後の製品へ自動的に流用しない |
付属ACアダプター・電源コード・蓄電池の確認
輸入販売実務では、製品本体よりも、同梱されるACアダプター、充電器、電源コード、プラグまたはリチウムイオン蓄電池がPSE対象となるケースが少なくありません。
海外製の小型家電、通信機器、玩具、LED機器、測定器、雑貨またはガジェットでは、本体が低電圧の直流電源で作動し、電気用品安全法の対象外となる一方、付属ACアダプターが直流電源装置として特定電気用品に該当する場合があります。
| 構成品 | 対象となる可能性 | 主な確認事項 | 典型的な見落とし |
|---|---|---|---|
| 製品本体 | 法令上の電気用品名及び対象範囲に該当する場合 | 電源方式、定格、用途、構造 | 「電気製品」という一般名称だけで対象と判断する |
| ACアダプター | 直流電源装置として特定電気用品に該当する場合 | 入力、出力、型式、適合性証明書、菱形PSE表示 | 本体の試験資料だけを確認し、アダプターを確認しない |
| 電源コード | 電線、コード、差込みプラグ等として対象となる場合 | コード及びプラグの表示、定格、構造 | 海外用コードを日本向けにそのまま同梱する |
| 充電器 | 構造により直流電源装置その他の電気用品に該当する場合 | 入力側、出力側、充電制御、付属コード | USB端子があることだけで対象外と判断する |
| リチウムイオン蓄電池 | 法令上の定義及び対象条件に該当する場合 | 単電池・組電池の構成、用途、容量、エネルギー密度 | すべての蓄電池を一律に対象または対象外と判断する |
| モバイルバッテリー | リチウムイオン蓄電池として対象となる場合 | セル構成、充放電制御、表示、輸入者資料 | 雑貨またはスマートフォン用品としてだけ分類する |
| 交換用部品 | 単体販売時に電気用品として扱われる場合 | 販売方法、用途、単体での機能 | 完成品の部品であることだけを理由に確認を省略する |
輸入販売者は、製品本体、ACアダプター、電源コード、蓄電池及びその他の同梱品を、別々の電気用品として確認する必要があります。
近年の制度変更・施行日・経過措置
| 日付・区分 | 主な変更または確認事項 | 実務上の影響 | 必要な対応 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月25日 | 日本国内の消費者へ対象製品を直接販売する海外事業者が、特定輸入事業者として規制対象となった | 海外事業者にも、国内管理人の選任、届出、技術基準適合、自主検査、表示等が必要になる | 越境EC、海外直送及びオンラインモールでの販売主体を確認する |
| 2026年6月1日 | 電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈が一部改正された | 適用する技術基準、整合規格及び適合確認方法の再確認が必要になる場合がある | 旧試験報告書や旧解釈だけで判断せず、現行解釈との差分を確認する |
| 2026年6月1日 | リスクアセスメントによる自己適合証明に関するマニュアルが公表された | 技術基準への適合を説明する資料の作成・保存方法に関係する | 適用可能性と必要な技術資料を製品ごとに確認する |
| 対象品目の追加・変更時 | 政令改正等により対象品目または対象範囲が変更されることがある | 過去に対象外だった製品が、新たに対象となる可能性がある | 発注時だけでなく、販売開始時にも最新の対象品目を確認する |
| 技術基準・解釈変更時 | 改正内容ごとに施行日、適用時期及び経過措置が設定される場合がある | 旧基準で試験した在庫や既存型式の取扱いが問題になる | 改正附則、通達、経過措置及び証明書の有効範囲を確認する |
経過措置が設けられている場合でも、すべての旧製品を期限まで無条件で販売できるとは限りません。製造日、輸入日、型式、適用基準、証明書及び在庫ロットを特定し、改正ごとの条件を確認する必要があります。
PSEマーク制度が適用される主な場面
| 場面 | 制度との関係 | 主な確認主体 | 確認の重点 |
|---|---|---|---|
| 海外製電気用品を輸入して国内販売する | 輸入事業者としての届出、検査、表示等が問題になる | 輸入販売者 | 対象品目、区分、技術基準、表示及び検査記録 |
| 国内で電気用品を製造して販売する | 製造事業者としての義務が問題になる | 国内製造事業者 | 設計、製造工程、検査、表示及び変更管理 |
| ACアダプター付き製品を輸入する | 本体とACアダプターを別々に判定する必要がある | 輸入販売者 | 直流電源装置該当性、適合性証明書及び菱形PSE表示 |
| ECモールで販売する | 実物表示と提出書類の整合性が求められる | 出品者、販売事業者 | 届出、検査記録、商品画像及び実物表示 |
| クラウドファンディングで製品を提供する | 支援・返礼という名称でも実質的な販売・供給関係を確認する | 企画者、輸入者、販売者 | 輸入主体、提供時期、数量及びPSE対応 |
| 海外事業者が国内消費者へ直接販売する | 特定輸入事業者及び国内管理人の制度が問題になる | 海外販売者、国内管理人 | 届出、国内管理人、技術基準及び事故対応体制 |
| 中古電気用品を販売する | 中古品であっても表示及び販売制限の確認が必要になる | 中古販売事業者 | 製造時期、旧表示、経過措置及び製品状態 |
| 輸入後に国内倉庫でラベルを貼付する | 販売開始前に、適法な手続と表示を完了させる必要がある | 輸入販売者、倉庫事業者 | 表示主体、作業指示、ロット管理及び再検品 |
| 製品仕様または製造工場を変更する | 既存の試験・証明書を継続利用できるかが問題になる | 届出事業者、メーカー、登録検査機関 | 変更範囲、再試験及び再度の適合性検査の要否 |
PSEマークを表示するための適用要件
| 要件 | 確認内容 | 主な資料 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 対象品目の判定 | 法令上の電気用品名及び対象範囲に該当するか | 仕様書、回路図、図面、定格資料 | 商品名やHSコードだけで確定しない |
| 事業届出 | 製造または輸入の事業開始届出が行われているか | 事業届出書、受理情報 | 品目追加、変更または事業承継時も確認する |
| 技術基準適合 | 製品が現行の技術基準に適合しているか | 試験報告書、設計資料、部品表 | 海外規格だけで日本基準への適合を確定しない |
| 適合性検査 | 特定電気用品について登録検査機関の検査を受けたか | 適合性証明書、検査申請書 | 対象型式、製造工場及び証明書の範囲を確認する |
| 自主検査 | 法令に基づく自主検査を実施したか | 検査手順、検査記録、ロット記録 | 型式試験と輸入ロットごとの自主検査を混同しない |
| 検査記録保存 | 必要事項を記載した検査記録を保存しているか | 検査台帳、電子記録、製造・輸入記録 | 事故時に対象ロットを追跡できる状態にする |
| PSE表示 | 正しい形のPSEマーク及び届出事業者名等が表示されているか | 製品写真、ラベル仕様、検品記録 | メーカー名と届出事業者名を混同しない |
| 定格表示 | 定格電圧、電流、消費電力、周波数等が適切か | 銘板、仕様書、試験資料 | 実物と販売ページの定格を一致させる |
| 販売後管理 | 事故情報、苦情、ロット及び販売先を追跡できるか | 販売台帳、顧客記録、事故対応手順 | PSE表示後も安全確保義務は継続する |
対象外・例外・個別確認が必要となる場面
| 場面 | 基本的な考え方 | 必要な確認 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 法令上の電気用品名に該当しない製品 | 457品目の定義及び対象範囲に該当しなければPSE対象外となる | 用途、構造、定格及び電源方式 | 商品名だけで対象外と判断しない |
| 低電圧の直流だけで動作する本体 | 本体が対象外となる場合がある | 入力電源、回路及び付属品 | 付属ACアダプターや充電器は別に判断する |
| 個人が自己使用目的で輸入する製品 | 事業としての輸入販売とは異なるが、反復輸入や転売で評価が変わる可能性がある | 数量、頻度、販売予定及び輸入主体 | 個人輸入品をそのまま転売できるとは限らない |
| 輸出専用品 | 国内販売を行わない製品について別の取扱いが問題になる | 輸出先、国内流通の有無及び必要な手続 | 国内へ一部販売する場合は別途確認する |
| 試験・評価目的の輸入 | 通常の販売目的輸入とは異なる場合がある | 数量、目的、販売の有無、返送または廃棄方法 | サンプル通関の実績は本販売の適法性を保証しない |
| 業務用・産業用と表示された製品 | 一般消費者向けでないことだけで直ちに対象外とはならない | 用途、設置場所、使用者及び法令上の定義 | 販売者による名称だけで規制を回避しない |
| 修理用部品または組込部品 | 単体販売か、完成品への組込みかにより確認事項が異なる | 販売形態、機能、用途及び供給先 | 部品という名称だけで一律に対象外としない |
| 中古電気用品 | 製造時期、旧制度の表示及び経過措置を確認する必要がある | 製造年、PSE表示、旧表示及び製品状態 | 中古品だから無表示で販売できるとは限らない |
PSEマークとPSCマーク・技適マーク等の違い
| マーク・制度 | 根拠法令・性格 | 主な対象 | 主な確認内容 | PSEとの関係 |
|---|---|---|---|---|
| PSEマーク | 電気用品安全法に基づく法定表示 | 指定された電気用品457品目 | 届出、技術基準適合、自主検査、適合性検査及び表示 | 電気用品としての安全規制を扱う |
| PSCマーク | 消費生活用製品安全法に基づく法定表示 | ライター、乗車用ヘルメット、圧力なべ、子供用特定製品等 | 技術基準、検査及び製品区分に応じた表示 | 電気製品でなくても対象となり、PSEとは対象法令が異なる |
| 技適マーク | 電波法に基づく技術基準適合証明等 | Wi-Fi、Bluetooth、LTEその他の無線設備 | 無線設備の技術基準、認証番号及び使用条件 | 無線機能付き電気用品ではPSEと並行して確認する |
| 電気通信事業法上の技術基準適合認定等 | 電気通信事業法に基づく端末設備の認定等 | 電話機、モデム、通信端末、ネットワーク接続機器等 | 端末設備の技術基準及び認定表示 | PSE及び技適とは別の制度として確認する |
| STマーク | 玩具安全基準に基づく任意マーク | 玩具 | 運営主体の安全基準に基づく検査 | 任意制度であり、PSEやPSCの法定義務を代替しない |
| 食品衛生法上の確認 | 食品衛生法に基づく規制 | 乳幼児が口に接触する玩具等 | 材質、溶出及び指定玩具該当性 | 電気玩具ではPSE等と重複して確認する場合がある |
たとえば、無線機能を備えた電気玩具では、PSEマークだけでなく、PSCマーク、技適マーク、電気通信事業法、食品衛生法、対象年齢表示その他の制度が同時に問題となる可能性があります。
輸入販売者の義務フロー
- 製品の用途、構造、定格及び電源方式を確定する
- 製品本体が電気用品安全法の対象となるか確認する
- 法令上の電気用品名を特定する
- 特定電気用品か、特定電気用品以外の電気用品かを確認する
- ACアダプター、充電器、電源コード、プラグ及び蓄電池を個別に確認する
- 国内の輸入事業者または特定輸入事業者となる者を確定する
- 必要な事業届出を行う
- 海外メーカーから設計資料、回路図、部品表及び試験資料を取得する
- 日本の現行技術基準への適合を確認する
- 特定電気用品について、登録検査機関による適合性検査を受ける
- 適合性証明書の対象型式、製造工場及び有効範囲を確認する
- 自主検査を実施し、検査記録を作成・保存する
- 正しいPSEマーク、届出事業者名、登録検査機関に関する表示及び定格表示を行う
- 製品本体、付属品、包装、取扱説明書及び販売ページを照合する
- 販売前検品を行い、型式及びロットを識別できる状態にする
- 販売後の事故情報収集、問い合わせ、回収及び行政報告の体制を整える
海外メーカーからPSEマーク付き製品を購入する場合でも、日本国内の輸入事業者は、海外メーカーが印刷したマークをそのまま信用するのではなく、自らの届出、技術資料、検査及び表示主体との関係を確認する必要があります。
輸入前に取得しておく資料
| 資料 | 確認目的 | 確認する内容 | 不足している場合の対応 |
|---|---|---|---|
| 製品仕様書 | 対象品目及び定格の確認 | 用途、構造、入力、出力、周波数及び消費電力 | 型式ごとの正式仕様をメーカーへ照会する |
| 回路図 | 電気的構造の確認 | 電源回路、保護回路、絶縁及び接地 | 機密保持契約等を用いて必要範囲を取得する |
| 部品表 | 重要部品及び変更管理 | 電源部品、ヒューズ、コード、蓄電池等 | 安全重要部品の仕様を特定する |
| 試験報告書 | 技術基準適合の確認 | 試験規格、試験項目、型式、試験所及び試験日 | 日本基準との差分試験を検討する |
| 適合性証明書 | 特定電気用品の適合性検査確認 | 登録検査機関、型式、工場及び証明範囲 | 登録検査機関へ有効性を確認する |
| 自主検査手順書 | 輸入者としての検査体制確認 | 検査項目、検査単位、判定基準及び担当者 | 輸入ロットに対応する検査工程を構築する |
| 表示案 | 法定表示確認 | PSEマーク、事業者名、検査機関表示及び定格 | 量産前に日本向け表示を確定する |
| セット構成表 | 付属品確認 | 本体、ACアダプター、コード、充電器、蓄電池等 | 同梱品ごとにPSE要否を確認する |
| 製造・輸入ロット資料 | 追跡及び事故対応 | 製造日、輸入日、数量、型式及び製造工場 | ロット番号及び在庫管理方法を整備する |
表示で確認すべき事項
- 菱形PSEマークまたは丸形PSEマークの区分が正しいか
- 届出事業者の氏名または名称が正しく表示されているか
- 特定電気用品について、登録検査機関名、略称または承認された記号が適切に表示されているか
- 定格電圧、定格電流、定格周波数、消費電力その他の必要事項が表示されているか
- 製品本体、ACアダプター、電源コード、充電器及び蓄電池を個別に確認しているか
- 表示が見やすく、容易に消えない方法で付されているか
- 届出事業者名と海外メーカー名またはブランド名を混同していないか
- 製品、包装、取扱説明書及び販売ページの表示が一致しているか
- 日本語の警告、注意事項及び使用条件が適切か
- 異なる型式または異なる表示の在庫が混在していないか
PSEマークが付いていても、届出事業者名、登録検査機関に関する表示または定格表示が不足している場合には、適法な表示として認められない可能性があります。
フォワーダーが確認すべき事項
フォワーダーは、通常、電気用品安全法上の対象品目を最終判定したり、技術基準への適合性を保証したりする立場ではありません。
一方で、貨物の品名、用途、電源方式、付属品及び販売予定から、PSE対象製品の可能性を把握した場合には、輸入者へ確認を促すことが重要です。
- 貨物が日本国内で販売される電気製品か
- ACアダプター、充電器、電源コード、プラグまたは蓄電池が同梱されているか
- 家電、LED機器、電気玩具、通信機器、ガジェット、測定器または電動工具でないか
- 輸入者がPSE対象品目及び区分を確認しているか
- 通関後すぐ販売する予定か
- ラベル貼付、検査、再梱包または取扱説明書の差し替えが予定されているか
- PSE以外に、技適、電気通信事業法、PSC、食品衛生法または薬機法等が問題にならないか
フォワーダーが確認を促したことだけで、輸入販売者の法令上の義務がフォワーダーへ移転するわけではありません。
フォワーダーの関与範囲対比
本記事における五分類は、法令上または業界全体で確立された分類ではなく、本シリーズにおいてフォワーダーの関与範囲を整理するために使用する分析上の枠組みです。
| 分類 | PSE実務への主な関与 | 通常確認する事項 | 原則として含まれない判断 |
|---|---|---|---|
| Simple Intermediary(単純取次) | 輸送予約、連絡及び書類授受の補助 | 品名、輸入者、販売予定及び必要書類の有無 | PSE対象品目の最終判定、技術基準適合の保証 |
| Cargo Transportation Service Provider(貨物利用運送事業者) | 輸送サービスの提供及び関連事業者の手配 | 輸送日程、検査場所、表示作業場所及び取扱条件 | 輸入事業者としての届出、検査または表示義務の引受け |
| NVOCC / House B/L Issuer | 運送契約主体として海上運送または複合運送を引き受ける | 運送書類、貨物情報及び法令確認を行う主体 | House B/L発行だけを理由とする製品安全適合責任 |
| Door-to-Door Single Contractor | 集荷から納品までの物流工程を一体的に調整する | 検査、表示、倉庫作業、納品条件及び遅延影響 | 契約に含まれない法令判定または製品認証の保証 |
| Agent/Coordinator for Specific Operations(特定業務の代理・調整者) | 検査予約、ラベル貼付、倉庫作業等の個別調整 | 委任された作業内容、作業指示及び完了記録 | 委任されていない届出、試験または販売可否判断 |
Contracting Carrier及びActual Carrierは、法的または契約上の地位を示す概念であり、上記五分類を置き換える分類ではありません。
また、検品、ラベル貼付、保管、再梱包、国内配送その他の実作業は、それ自体で第六の分類を構成しません。責任範囲は、契約、見積条件、作業指示、約款及び実際の対応内容により判断します。
通関業者が確認すべき事項
- インボイス品名及び商品資料から、PSE対象電気用品の可能性がないか
- 製品本体だけでなく、ACアダプター、電源コード及び蓄電池が含まれていないか
- HSコードだけでなく、用途、構造、定格及び電源方式の確認が必要でないか
- 輸入者が販売目的で反復継続して輸入する貨物でないか
- 輸入者が電気用品安全法上の届出、検査、表示及び記録保存を確認しているか
- 技適、電気通信事業法、PSC、食品衛生法、薬機法その他の規制が重複しないか
- 輸入後に検査、表示または再梱包を行う予定があるか
- 輸入者が輸入許可と国内販売の適法性を混同していないか
輸入許可は、関税法上の輸入申告手続が完了したことを示すものであり、PSEマーク制度を含む国内販売規制への適合を包括的に保証するものではありません。
輸入販売者が確認すべき事項
- 製品及び付属品が法令上の対象電気用品に該当するか
- 法令上の電気用品名、型式及び区分を確認できているか
- 特定電気用品か、特定電気用品以外の電気用品か
- 事業届出が完了しているか
- 現行の技術基準への適合を説明できる資料があるか
- 特定電気用品について適合性証明書を保存できるか
- 自主検査及び検査記録の作成・保存を行えるか
- PSEマーク、届出事業者名、登録検査機関表示及び定格表示が適切か
- ACアダプター、電源コード、充電器及び蓄電池を個別に確認したか
- 仕様変更、部品変更及び製造工場変更を管理できるか
- 販売後の事故報告、回収及びリコール体制があるか
- EC販売、クラウドファンディング及び海外直送販売でも制度確認を行っているか
輸入販売者にとって特に危険なのは、CEマーク、UL認証、海外メーカーの説明または海外ECサイトの商品ページだけを根拠として、日本国内で販売できると判断することです。
海外事業者による直接販売
2025年12月25日以降、海外事業者が、日本国内の輸入事業者を介さず、オンラインモール、自社ECサイトその他の方法によってPSE対象製品を国内消費者へ直接販売する場合には、特定輸入事業者としての規制が問題になります。
特定輸入事業者は、日本国内に国内管理人を選任し、事業届出、技術基準への適合確認、自主検査、必要な適合性検査、表示、記録保存及び事故対応等を行う必要があります。
| 確認項目 | 海外事業者 | 国内管理人 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 事業届出 | 特定輸入事業者として必要な情報及び資料を準備する | 国内での届出及び行政連絡を補助する | 海外事業者の承諾及び資料なく国内管理人だけで届出を行わない |
| 技術基準 | 設計資料、部品表、試験報告書及び製造情報を提供する | 資料を国内で確認・保存できる体制を整える | 行政からの照会に日本語で対応できる必要がある |
| 自主検査 | 製品及びロットに対応した検査体制を構築する | 検査記録等を国内で提示できる状態にする | 海外工場の品質検査と法定自主検査を混同しない |
| 表示 | 日本向け製品へ正しい表示を反映する | 国内販売品の表示状況を確認する | 海外サイトの商品画像と日本向け実物を一致させる |
| 事故対応 | 事故情報、製造ロット及び販売先情報を提供する | 国内で資料提出、連絡、回収等を行う | 連絡不能や記録不足を防ぐ体制が必要になる |
海外から直接発送すること、日本国内に法人を持たないこと、または売上代金を海外で受領することだけで、日本の電気用品安全法が適用されなくなるわけではありません。
通関できても販売できない主なケース
| ケース | 主な原因 | 確認資料 | 判断のポイント | 初動対応 |
|---|---|---|---|---|
| 本体は対象外だが、付属ACアダプターが菱形PSE対象だった | 本体だけを確認し、セット構成品を確認していなかった | セット構成表、アダプター仕様書、適合性証明書 | 直流電源装置としての要件を満たしているか | 販売を停止し、アダプターを含めて適合状況を確認する |
| 特定電気用品に丸形PSEマークを表示した | 法令上の区分を誤った | 対象品目表、仕様書、製品写真 | 適合性検査及び菱形PSE表示が必要か | 対象在庫を隔離し、表示及び検査体制を見直す |
| 海外メーカー名しか表示されていない | 届出事業者名の表示義務を理解していなかった | 製品銘板、届出書、販売ページ | 日本の届出事業者を正しく表示しているか | 販売を保留し、適法な表示へ修正する |
| 適合性証明書の工場と実際の製造工場が異なる | 製造工場変更を確認していなかった | 証明書、工場情報、製造記録 | 既存証明書の範囲に実際の製品が含まれるか | 登録検査機関へ確認し、必要な再検査を行う |
| モバイルバッテリーの表示・検査資料が不足している | スマートフォン用品としてだけ扱った | 電池仕様、試験資料、表示写真、輸入記録 | 対象となるリチウムイオン蓄電池に該当するか | 出品及び出荷を止め、対象判定と適合確認を行う |
| Wi-Fi機能付き家電にPSEしか確認していない | 電波法及び通信端末規制を見落とした | 無線仕様、認証資料、回路図 | 技適及び電気通信事業法上の確認が必要か | 無線機能を停止するか、必要な認証を確認する |
| サンプル輸入品をそのまま販売した | 試験目的の輸入と一般販売を混同した | 輸入目的、数量、販売記録、試験資料 | 販売開始前に必要な義務を履行しているか | 販売を停止し、通常の輸入販売手続を確認する |
| 海外事業者が国内消費者へ直接発送している | 特定輸入事業者制度を確認していなかった | 販売ページ、配送記録、国内管理人資料 | 国内消費者への直接販売に該当するか | 新規販売を停止し、国内管理人及び届出体制を整える |
行政措置・罰則との関係
電気用品安全法への違反は、単なるラベルの修正だけで終了するとは限りません。違反内容、危険性、販売数量、事故発生の有無及び事業者の対応状況に応じて、行政上または刑事上の措置が問題になります。
| 措置 | 主な対象場面 | 事業者への影響 | 実務上の対応 |
|---|---|---|---|
| 改善命令 | 技術基準適合、自主検査、記録保存等の義務が適切に履行されていない場合 | 製造方法、輸入方法、検査体制その他の業務方法の改善を命じられる可能性がある | 対象型式、ロット、原因及び是正計画を整理する |
| 表示の禁止 | 技術基準、自主検査または適合性検査等に関する違反がある場合 | 最長1年の範囲でPSE表示を禁止される可能性がある | 表示及び販売を停止し、対象製品を特定する |
| 危険等防止命令 | 無表示品、基準不適合品その他の危険な製品の流通防止が必要な場合 | 回収、販売停止、消費者への周知その他の措置を命じられる可能性がある | 販売先追跡、在庫隔離、消費者連絡及び回収体制を整える |
| 報告徴収 | 法令遵守状況または事故原因の確認が必要な場合 | 業務、検査、販売及び事故対応に関する報告を求められる | 記録を改変せず、時系列で整理して提出する |
| 立入検査・製品提出 | 事業所、倉庫、店舗等で製品または記録を確認する必要がある場合 | 帳簿、設備、製品及び検査記録等が確認対象となる | 対象資料の所在と管理担当者を明確にする |
| 違反情報の公表 | 行政処分または消費者への注意喚起が必要な場合 | 信用低下、取引停止、EC出品停止等につながる可能性がある | 対象商品、事実関係及び消費者窓口を統一する |
| 刑事罰 | 販売制限、表示禁止または危険等防止命令への違反等 | 違反類型により、拘禁刑、罰金またはその併科が問題になる | 直ちに販売を停止し、製品安全規制に詳しい専門家へ相談する |
PSE表示のない対象電気用品を販売し、または販売目的で陳列した場合や、表示禁止命令等に違反した場合には、違反類型により、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金またはその併科が問題になります。
届出、自主検査、記録保存、報告、立入検査その他の義務違反についても、それぞれ罰金等が定められています。具体的な適用条文及び罰則は、違反行為ごとに確認する必要があります。
販売後対応との関係
PSEマーク対応は、販売前の表示確認だけで完了するものではありません。
電気用品は、販売後に発煙、発火、感電、漏電、異常発熱、充電事故、蓄電池の膨張または破裂等が判明する場合があります。
輸入販売者は、製品型式、製造ロット、輸入時期、販売先、事故情報、苦情内容及び仕入先との連絡記録を追跡できるようにしておく必要があります。
事故や不具合が判明した場合には、販売停止、原因調査、重大製品事故の報告、消費者への注意喚起、無償修理、交換、回収またはリコール等が必要になる場合があります。
PSEマークを適法に表示していたとしても、販売後の製品安全確保や事故対応の責任がなくなるわけではありません。
具体例1:本体は対象外だがACアダプターが菱形PSE対象だった場合
輸入販売者が、USB電源で作動する海外製の小型測定機器を輸入したとします。製品本体は低電圧の直流電源で作動するため、担当者は本体がPSE対象外であると判断しました。
しかし、販売セットには、日本の家庭用コンセントへ接続するACアダプターが同梱されていました。このACアダプターが直流電源装置の定義に該当する場合、特定電気用品として菱形PSEマークの対象となります。
確認すべき事項は、ACアダプターの入力・出力定格、型式、製造工場、登録検査機関による適合性証明書、輸入事業者の届出、自主検査記録及び表示です。
本体が対象外であっても、ACアダプターの対応が完了していなければ、ACアダプターを同梱した状態で販売できない可能性があります。販売を保留し、ACアダプターを適法な製品へ変更するか、必要な手続を完了させる必要があります。
具体例2:Wi-Fi機能付き電気玩具に複数規制が適用される場合
海外メーカーから、家庭用コンセントまたはACアダプターを使用し、Wi-Fi通信機能を備えた子供向け玩具を輸入するとします。
この製品については、まず製品本体、ACアダプター及び電源コードのPSE対象区分を確認します。次に、Wi-Fi機能について電波法上の技術基準適合証明等を確認します。
玩具の対象年齢、構造及び使用方法によっては、PSCマーク、食品衛生法上の玩具規制、対象年齢表示及び警告表示も問題になる可能性があります。
PSEマークが確認できたことだけで、無線機能や子供向け製品としての規制まで満たしたことにはなりません。制度ごとに対象、責任主体、試験資料及び表示を分けて確認する必要があります。
具体例3:モバイルバッテリーの表示と検査資料が不足していた場合
輸入販売者が、海外ECサイトで調達したモバイルバッテリーを日本国内のオンラインモールで販売しようとしたところ、モール運営者からPSE関係資料の提出を求められたとします。
製品には丸形PSEマークらしい表示があるものの、日本の届出事業者名、検査記録及び技術資料が確認できませんでした。
この場合、マークの有無だけでなく、製品が法令上の対象となるリチウムイオン蓄電池に該当するか、誰が輸入事業者として届出を行ったか、技術基準適合を確認できるか、自主検査記録を保存しているかを確認します。
海外メーカーが付したPSEマークを根拠として、輸入販売者が必要な義務を省略することはできません。出品及び出荷を停止し、製品ロットを隔離したうえで、適合資料を整理する必要があります。
具体例4:海外事業者がPSE対象製品を国内消費者へ直接販売する場合
海外メーカーが日本語のECサイトを運営し、日本の消費者から注文を受け、ACアダプター付きの電気製品を海外倉庫から直接発送するとします。
2025年12月25日以降、このような販売が日本国内の消費者への直接販売に該当する場合、海外事業者は特定輸入事業者としての義務を確認し、国内管理人を選任する必要があります。
国内管理人は、単に名称を貸す者ではありません。行政との連絡、資料保存、報告徴収や立入検査への対応、事故情報の収集及び回収等を国内で実施できる体制が必要です。
海外事業者、国内管理人、物流事業者及びECモール運営者の役割を区別し、誰が届出、技術基準適合、自主検査、表示及び事故対応を行うのかを明確にする必要があります。
よくある誤解
| 誤解 | 実際の考え方 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 輸入通関できた電気製品は、そのまま販売できる | 輸入許可と国内販売規制への適合は別の問題である | 販売開始前に届出、検査、表示及び記録を確認する |
| PSEマークのシールを貼れば販売できる | 必要な義務を履行した届出事業者だけが表示できる | 表示の根拠となる技術資料と検査記録を先に整える |
| CEマークやUL認証があればPSEは不要である | 海外規格への適合と日本の電気用品安全法への適合は別である | 日本の現行技術基準との差分を確認する |
| USB給電製品はすべてPSE対象外である | 本体が対象外でもACアダプター、充電器または蓄電池が対象となる場合がある | セット構成品を個別に確認する |
| 丸形PSEは第三者検査がないため、検査不要である | 登録検査機関の適合性検査が不要でも、自主検査は必要である | 自主検査記録を作成・保存する |
| 海外メーカーがPSEマークを印刷していれば問題ない | 日本の届出事業者の義務履行と表示主体を確認する必要がある | 海外メーカー名と届出事業者名を混同しない |
| サンプルとして輸入できたため、本販売も可能である | 試験目的と一般消費者への販売は別に判断される | 本販売前に通常の義務を履行する |
| 業務用と表示すれば電気用品安全法の対象外になる | 法令上の定義、用途及び構造に基づいて判断される | 販売上の名称だけで対象外としない |
| 中古品はPSE規制の対象外である | 中古品でも販売制限や表示確認が必要となる場合がある | 製造時期、旧表示及び経過措置を確認する |
| PSEマークがあれば技適マークは不要である | PSEと技適は対象法令及び確認する危険が異なる | 無線機能付き製品は電波法を別に確認する |
| 海外直送なら日本の電気用品安全法は適用されない | 国内消費者への直接販売では特定輸入事業者制度が問題になる | 国内管理人、届出及び販売後対応体制を整える |
| フォワーダーが輸送したため、PSE適合責任も負う | 輸入販売者の法令上の義務と物流事業者の業務範囲は別である | 契約、委任内容及び実際の作業範囲を確認する |
判断チェックリスト
| 確認場面 | 確認する相手 | 確認事項 | 問題がある場合の対応 |
|---|---|---|---|
| 商品企画時 | 商品企画担当者、メーカー | 用途、構造、電源方式、定格及び販売方法 | 対象品目判定が完了するまで発注を保留する |
| 発注前 | 海外メーカー、試験機関 | 仕様書、回路図、部品表及び試験報告書 | 不足資料及び追加試験を明確にする |
| セット構成決定時 | メーカー、商品担当者 | 本体、ACアダプター、コード、充電器及び蓄電池 | 構成品ごとにPSE要否を再確認する |
| 輸入者決定時 | 輸入販売者、法令担当者 | 届出主体、検査主体、表示主体及び記録保存主体 | 責任主体が確定するまで輸入を開始しない |
| 適合性検査前 | 登録検査機関、メーカー | 対象型式、製造工場、試験範囲及び必要資料 | 証明範囲を確定してから量産・船積みを行う |
| 船積前 | メーカー、フォワーダー | 製品表示、付属品、型式、ロット及び数量 | 誤表示品または未確認品の船積みを止める |
| 輸入申告前 | 輸入者、通関業者 | 品名、用途、他法令、販売予定及び付属品 | 必要な法令確認資料を追加取得する |
| 通関後 | 輸入者、倉庫事業者 | 自主検査、表示、再検品及び在庫隔離 | 販売可能品と未確認品を分離する |
| 販売ページ作成時 | 販売担当者、法令担当者 | 実物表示、定格、商品画像及び説明 | 実物との不一致を修正するまで公開しない |
| 販売開始前 | 品質管理担当者 | 届出、適合性証明書、検査記録、表示及び在庫 | 最終確認が完了するまで出荷を停止する |
| 仕様変更時 | メーカー、登録検査機関、法令担当者 | 材料、回路、重要部品、製造工場及び型式の変更 | 既存証明書を流用せず、再試験等の要否を確認する |
| 事故・苦情発生時 | 購入者、メーカー、行政窓口 | 事故状況、型式、製造番号、販売日及び負傷内容 | 販売停止、証拠保全、報告及び回収を検討する |
| 行政照会時 | 行政担当者、専門家 | 届出、試験、検査、販売記録及び対応経緯 | 事実関係を時系列で整理し、速やかに回答する |
専門家へ相談すべき場面
- 製品または付属品が法令上の対象電気用品に該当するか判断できない場合
- 法令上の電気用品名または菱形・丸形の区分を確定できない場合
- 海外試験報告書が日本の現行技術基準を満たすか確認できない場合
- 特定電気用品の適合性検査を初めて受ける場合
- 適合性証明書の型式または製造工場が実際の製品と一致しない場合
- 製品変更後も既存証明書を使用できるか判断できない場合
- PSEマークのない製品または誤表示品をすでに販売している場合
- 発煙、発火、感電、蓄電池の破裂その他の重大事故が発生した場合
- 行政から報告、資料提出、立入検査、改善命令等の連絡を受けた場合
- 海外事業者の国内管理人となる契約を締結する場合
- 販売停止、回収、返品、廃棄または消費者補償の方針を決める場合
相談先としては、経済産業省または管轄の経済産業局、登録検査機関、製品安全試験機関、電気用品安全法に詳しい弁護士その他の専門家が考えられます。
まとめ
PSEマークは、電気用品安全法の対象電気用品について、事業届出、技術基準への適合確認、自主検査、必要な適合性検査、検査記録の保存及び表示等の義務を履行した届出事業者が表示する法定の安全表示です。
特定電気用品116品目には菱形PSEマーク、特定電気用品以外の電気用品341品目には丸形PSEマークが使用されます。
特定電気用品では、登録検査機関による適合性検査と適合性証明書の保存が必要です。丸形PSEマークの対象製品についても、技術基準への適合確認、自主検査、検査記録の保存及び表示が必要です。
輸入販売実務では、製品本体だけでなく、ACアダプター、充電器、電源コード、プラグ及びリチウムイオン蓄電池を個別に確認する必要があります。本体がPSE対象外でも、付属品が対象となる場合があります。
また、2025年12月25日以降、海外事業者がPSE対象製品を国内消費者へ直接販売する場合には、特定輸入事業者及び国内管理人の制度が問題になります。
輸入許可、CEマーク、UL認証、海外メーカーの安全説明または製品上のPSEマーク画像だけでは、日本国内で適法に販売できることは確定しません。
フォワーダー及び通関業者は、通常、PSE対象品目や技術基準への適合を最終判断する立場ではありませんが、対象となる可能性を把握した場合には、輸入者へ確認を促し、検査、表示、保管及び販売開始の工程を調整することが重要です。
違反が判明した場合には、販売停止、改善命令、表示の禁止、危険等防止命令、回収、違反情報の公表及び刑事罰につながる可能性があります。
PSE対象製品を輸入・販売する場合は、通関後や販売直前ではなく、商品企画及び発注前の段階から、製品本体とすべての付属品について電気用品安全法上の確認を行うことが基本です。
本記事は、電気用品安全法及び輸入販売実務の一般的な整理を目的とするものであり、個別製品の法令適合性または販売可否を保証するものではありません。実際の製品については、最新の法令、技術基準、公式資料、製品仕様及び管轄行政機関等への確認が必要です。
