Y・CFS搬出時のFCR実務―FCL・LCL貨物の受領状態と国内配送開始

FCR Practice for CY and CFS Release—Receipt Condition of FCL and LCL Cargo and Commencement of Inland Delivery

CY・CFS搬出時のFCR実務―FCL・LCL貨物の受領状態と国内配送開始

本記事は、「FCR実務総論―貨物受領・標準取引条件・責任区間・下請け発行・House B/L接続の体系」を中核記事とするFCR記事群のうち、輸入FCL・LCL貨物をCY又はCFSから搬出する場面だけを扱います。

FCR(Forwarder's Cargo Receipt)の基本構造、非流通性、非権利証券性、現行統一書式、標準取引条件18条の全体像、Remarks全項目及び各記載欄の一般的な定義は、中核記事で確認してください。

本記事の中心は、CYから搬出するFCLコンテナと、CFSから搬出するLCL貨物とでは、受領時に確認できる対象が根本的に異なるという点です。FCLでは、通常、コンテナ内部の貨物を直接確認できません。一方、LCLでは、貨物の個数、荷姿及び外装状態を確認できる場面が多くなります。

したがって、同じCY・CFS搬出であっても、FCRへ記録すべき事実、未確認として残す事項、異常時のリマーク及び事故後の責任判断資料は同一ではありません。

重要:FCRは、貨物又はコンテナを受領した事実、受領時に確認できた状態及び引き受けた作業範囲を記録する証拠です。FCRを発行したという事実だけで、国際輸送から国内配送へ法的責任が自動的に移転するわけではありません。責任開始点は、運送契約、House B/Lその他の運送書類、作業依頼、実際の占有・管理、CY・CFSの搬出記録及び適用法令を総合して判断します。

この記事で扱う範囲

項目 この記事で扱う内容 他記事で扱う内容
FCRの基本構造 CY・CFS搬出時に必要となる範囲だけを確認します。 定義、非流通性、非権利証券性、現行書式及び標準取引条件全体は「FCR実務総論―貨物受領・標準取引条件・責任区間・下請け発行・House B/L接続の体系」で扱います。
標準取引条件の契約組込み 搬出事故に関係する適用条項と、運送書類との優先関係だけを確認します。 見積書への組込み、条件全文の提示、受諾、版管理及び条件間の優先関係は「FCRと標準取引条件の組み込み方」で扱います。
FCRの社内運用 搬出時の確認、発行及び証拠保存に必要な事項を扱います。 採番、発行権限、原本・PDF管理、訂正、取消し及び再発行は「FCR国内運用の導入手順―見積り・発行・検証・保存・変更管理」で扱います。
輸出側Door集荷 輸入側のCY・CFSから国内納品先へ向かう区間との違いを示します。 工場・倉庫での輸出貨物受領及びHouse B/L前区間は「国内Door集荷におけるFCR発行―工場・倉庫での受領とHouse B/L前区間」で扱います。
CYからのFCL搬出 Container No.、Seal No.、コンテナ外観、EIR及びgate-out記録を扱います。 海上輸送中のコンテナ管理及び船上作業全般は、該当する海上運送・コンテナ事故記事で扱います。
CFSからのLCL搬出 個数、荷姿、外装、CFSリマーク、数量不足及び搬出時異常を扱います。 輸出CFSへの搬入、バンニング及び輸出側受領は、輸出貨物搬入関係の記事で扱います。
指定倉庫への搬入・保管 CY・CFS搬出後、指定倉庫へ到着するまでの責任切分けに必要な範囲を扱います。 保管開始、追加保管料、再荷役、受取遅滞及び貨物返還は「指定倉庫への搬入・保管とFCR―受領、保管開始、追加費用及び貨物返還」で扱います。
Through B/L区間 House B/L上の引渡場所が国内にある場合に、元請け責任を別途確認すべきことを示します。 元請けNVOCCの一貫責任及び下請けへの内部求償は「Through B/L区間内の国内配送と下請けFCR―元請け責任と内部求償」で扱います。
下請けによるFCR発行 CY・CFS搬出時に必要な記載欄と元請け検証事項を扱います。 下請けの発行権限、記載欄全体及び発行者と指図者の区別は「下請け事業者によるFCR発行―元請け検証と各記載欄の整理」で扱います。
事故・保険・求償 搬出時に保存すべき証拠及び事故の初動報告を扱います。 貨物運送賠償保険、貨物海上保険、代位求償及び事故ファイル管理は「FCRによる証拠・事故・保険管理―Remarks、写真、通知及び求償」で扱います。

CY・CFS搬出におけるFCRの位置付け

輸入貨物が日本へ到着しても、直ちにCY又はCFSから搬出できるとは限りません。実務上は、D/O手続、輸入許可、他法令上の手続、費用精算、搬出予約、車両手配その他の条件を確認したうえで、実際の搬出へ進みます。

この流れにおいて、D/O、EIR、CFSリマーク及びFCRは、それぞれ異なる役割を持ちます。

  • D/Oは、貨物の引渡しを受けるための権限又は搬出手続に関係する書類です。
  • EIRは、コンテナ受渡時におけるコンテナ本体の外観状態を記録する書類です。
  • CFSリマークは、CFS側で確認された個品貨物の個数、荷姿又は外装異常を示す記録です。
  • FCRは、FCR発行者が貨物又はコンテナを受領し、どの作業を開始したかを記録する書類です。

FCRは、D/O、EIR又はCFS搬出記録を置き換えるものではありません。これらを相互に照合し、国内配送の受領事実、確認可能範囲及び作業開始時点を証明できる状態にすることが重要です。

搬出前の確認フロー

  1. House B/LMaster B/L、Arrival Noticeその他の貨物識別情報を確認します。
  2. D/O又は搬出承認が有効であり、搬出対象貨物と一致していることを確認します。
  3. 輸入許可及び必要な他法令手続が完了していることを確認します。
  4. CY又はCFSの搬出予約、受付番号、車両番号及び運転手情報を確認します。
  5. FCLではContainer No.及びSeal No.を搬出指図と照合します。
  6. LCLではB/L番号、荷印、個数、荷姿及び搬出対象ロットを照合します。
  7. EIR、CFSリマーク、搬出票その他の受領資料を取得します。
  8. 外観異常、個数差異又はシール異常があれば、搬出前に関係者へ申告します。
  9. 写真、撮影時刻、場所、車両及び立会者を記録します。
  10. 確認できた事実だけをFCRへ記載し、未確認事項を断定しません。

FCLとLCLの確認可能範囲

確認項目 CYからのFCL搬出 CFSからのLCL搬出 FCRへの記載 主な補助資料
受領単位 原則としてコンテナ単位 House B/L又は個品貨物単位 実際に受領した管理単位を記載します。 搬出票、貨物明細
Container No. 必須確認項目 通常は個品貨物の直接識別項目ではありません。 FCLでは現物と書類を照合します。 EIR、CY搬出記録
Seal No. 現物、書類及び指図との一致を確認します。 通常は個品貨物受領時の確認対象ではありません。 確認した番号と異常の有無を記載します。 写真、EIR、運送指図
貨物内部 通常は未確認 梱包内部は通常未確認 未確認事項を「異常なし」と断定しません。 デバンニング記録、開梱記録
外観 コンテナ外板、扉、屋根及び確認可能な範囲 ケース、カートン、パレット、ドラム等の外装 実際に確認した外観だけを具体的に記載します。 写真、動画、立会記録
個数 通常はコンテナ本数のみ 梱包数を現物確認できる場合が多くなります。 申告数と実確認数を区別します。 CFS搬出票、タリー記録
重量・容積 通常は書類上の申告値 通常はCFS又は貨物関係者の申告値 実測していない場合は申告値として扱います。 貨物明細、計量記録
濡損 コンテナ外観から内部濡損を断定できません。 外装の濡れ、染み又は水滴を確認できる場合があります。 確認場所、範囲及び程度を記載します。 写真、CFSリマーク
数量不足 デバンニング前は通常確認できません。 搬出個数との照合が可能です。 書類数をそのまま実受領数として記載しません。 CFSタリー、搬出伝票
主なリスク 内部未確認、シール不一致、コンテナ損傷 個数不足、潰れ、濡損、荷姿異常 未確認事項と確認済み事項を明確に分けます。 FCR、EIR、CFS記録

FCR記載欄の当てはめ

本記事では、現行FCR表面の欄名に合わせて、最終目的地欄をPlace of Deliveryと表記します。

記載欄 CY・CFS搬出時の考え方 記載例又は注意点 誤った運用
Supplier 物品を納入する者を記載する欄です。 輸入搬出場面で該当者が明確でない場合は、社内の発行ルールと実際の取引関係を確認します。 貨物を物理的に渡したという理由だけで、CY又はCFS運営者をSupplierとします。
Forwarder's Principal FCR発行者へ業務を依頼し、指図する顧客を基礎とします。 下請け発行時は「元請けフォワーダー又はDelivery Agent 気付 実際の荷主名」とします。 CY、CFS又は最終納品先の住所だけを記載します。
Consignee Forwarder's Principalの指図による荷受人を記載します。 「元請けフォワーダー又はDelivery Agent 気付 荷主名」等、実際の指図関係に合わせます。 CY、CFS、倉庫又はターミナル名だけを記載します。
Place of Receipt FCR発行者が貨物又はコンテナを実際に受領した場所を記載します。 Yokohama CY、Tokyo CFS等、実際の受領地点を記載します。 最終納品先を記載します。
Place of Delivery 顧客の指示による最終目的地を記載する欄です。 指定倉庫、工場又は納品先を、必要に応じて参考情報として記載します。 Consignee欄又はPlace of Receipt欄と混同します。
Details of Forwarder 貨物を受領し、FCRを発行する法人自身を記載します。 下請け運送会社が発行する場合は、その下請け運送会社の社名、住所及び連絡先を記載します。 下請け発行であるのに元請けフォワーダー名を記載します。
Container No. FCL搬出時の重要な識別情報です。 現物、EIR及び搬出指図を照合して記載します。 予約情報を転記するだけで現物確認を行いません。
Seal No. Marks and Numbers FCLではSeal No.、LCLでは荷印その他の識別情報を記載します。 シール番号、外観状態及び交換の有無を記録します。 番号不一致を発見しても無記載とします。
No. of Container or Pkgs 実際に受領したコンテナ本数又は梱包数を記載します。 書類上の数量と現物確認数量を区別します。 B/L記載数をそのまま実受領数として記載します。
Kind of Packages; Description of Goods 包装種類及び貨物明細を記載します。 内部未確認の場合は、Shipper's weight, load and count等の適切な留保表示を検討します。 内部を確認していないのに内容及び状態を保証します。
Remarks 受領時に現認した外傷、濡れ、潰れ、シール異常その他の例外を記載します。 場所、範囲、程度、写真番号及び相手方の確認状況を具体的に記載します。 事故後に過去のFCRへ原因又は免責理由を追記します。
Place and Date of Issue FCRを実際に発行した場所及び日付を記載します。 貨物受領日又はサービス開始日との関係が確認できるようにします。 実際の受領前又は将来の日付で発行します。
署名欄 発行法人の権限ある担当者が署名します。 現行書式のAs Forwarder (of subcontractor)という表示だけで、元請け、下請け又は運送人としての地位を決定しません。 無権限の担当者が白紙又は未確認のFCRへ署名します。

CYからFCLコンテナを搬出する場合

CYからFCLコンテナを搬出する場合、運送会社又はFCR発行者が受領するのは、通常、密閉されたコンテナです。コンテナ内部の個品貨物を直接確認できないため、確認対象はContainer No.、Seal No.、コンテナ外観、EIR、gate-out時刻及び搬出場所が中心となります。

Seal No.が書類と一致していても、内部貨物が無損傷であることまでは証明しません。反対に、シール不一致、切断痕、再封印、扉周辺の変形、穴、著しい錆、水跡又は床下損傷がある場合は、内部貨物への影響が判明していなくても、その事実を直ちに記録する必要があります。

FCRへ単に「貨物異常なし」と記載するのではなく、例えば「Container exterior visually inspected; cargo inside not inspected」等、確認した対象と未確認の対象を分けて記載します。

指定倉庫でデバンニングする場合は、開封前にContainer No.、Seal No.及びシール状態を再度撮影し、シール切断時刻、立会者、扉開放直後の状態、床面、天井、扉周辺及び貨物前面を記録します。搬出時と開封時の記録が連続していなければ、CY搬出前の事故か、国内ドレー中の事故かを判断しにくくなります。

CFSからLCL貨物を搬出する場合

CFSからLCL貨物を搬出する場合は、カートン、ケース、パレット、ドラムその他の個品貨物を直接確認できることが多いため、FCLよりも広い確認範囲が問題になります。

少なくとも、荷印、梱包数、荷姿、外装の潰れ、破れ、濡れ、汚れ、補修テープ、バンド切れ、パレット破損及び数量不足の有無を確認します。CFS側の搬出伝票又はリマークに異常記載がある場合は、自社のFCRにも対応する記録を残し、双方の記録が矛盾しないようにします。

CFS側が異常記載への署名を拒否した場合でも、自社の記録を空欄にしてはいけません。拒否した担当者、時刻、場所及び交渉経緯を記録し、写真、動画及び元請けフォワーダーへの即時報告を残します。

数量については、B/L又は搬出指図に記載された数を転記するだけではなく、実際に受領した数と区別します。現物を数えていない場合は、「40 cartons」と断定せず、「said to contain 40 cartons」等、申告情報であることを明確にします。

国内配送責任の開始点をどう判断するか

国内配送責任の開始点は、FCRの発行時刻だけで判断しません。貨物又はコンテナが誰の占有・管理下に入り、誰が運送又は作業を開始し、どの契約及び指図に基づいて行動していたかを総合して判断します。

判断要素 責任開始を示す事情 それだけでは決定できない理由 確認資料
CY gate-out時刻 コンテナがCY管理区域から搬出されています。 契約運送人、実運送人又は下請け関係までは示しません。 CY搬出記録、GPS
CFS受領時刻 個品貨物が車両又は受領者へ引き渡されています。 受領時に既に損傷していた可能性があります。 CFS搬出伝票、タリー記録
FCR発行 発行者が受領又はサービス開始を記録しています。 契約上の地位又は強行法規の適用を単独では決めません。 FCR、発行ログ
EIR交付 コンテナ本体の受渡しが記録されています。 内部貨物の状態までは証明しません。 EIR、写真
運送指図 元請けが下請けへ具体的な搬送を指示しています。 実際の受領及び作業開始時刻が異なる場合があります。 メール、配車表
車両への積載 貨物が国内運送車両へ積み込まれています。 積込み作業者と運送責任者が異なる場合があります。 作業記録、映像
運賃・作業費 国内配送又は荷役の対価が設定されています。 包括価格だけで代理人又は元請けとしての地位は決まりません。 見積書、請求書
House B/L区間 Place of Deliveryまで元請けが一貫運送を引き受けています。 下請けFCRによって元請けの荷主責任が自動的に縮小するわけではありません。 House B/L、運送契約

まず、誰が荷主に対するContracting Carrierであり、誰が実際に国内配送を行うActual Carrierであるかを確認します。次に、FCR発行、D/O手続、貨物受領、CY・CFS搬出、配送及び最終引渡しについて、誰がどこまで委任されていたかを確認します。

フォワーダー関与範囲対比表

CY・CFS搬出では、書類上の名称だけで各当事者の責任を決めることはできません。契約上の地位、実際に委任された業務、貨物の占有・管理及び各書類の発行者を分けて確認します。

当事者・立場 主な関与範囲 FCR・受領記録との関係 通常判断できない事項 責任整理の要点
荷主・輸入者 搬出先、納品先、納期、貨物情報及び作業条件を指示します。 FCR記載内容の基礎情報を提供し、異常時の報告を受けます。 現場で確認していないCY・CFS搬出時の貨物状態 指示内容、貨物情報及び梱包情報の正確性を確認します。
shipping line又はNVOCC B/L関係、貨物引渡手続及びD/O発行に関与します。 FCR発行者とは限らず、FCRの受領記録を当然に保証しません。 下請け運送会社が実際に確認した貨物状態 B/L上の運送区間及び引渡権限を確認します。
Delivery Agent D/O、搬出承認、輸入地での貨物引渡調整に関与します。 Forwarder's Principal又はConsignee欄の記載関係者となる場合があります。 実際の運送契約上の責任範囲 誰の代理人として、どこまで権限を与えられているかを確認します。
CY運営者 FCLコンテナの保管、gate-out及びEIR関係の処理を行います。 コンテナ受渡状態の資料を作成しますが、通常、内部貨物の状態は確認しません。 コンテナ内部貨物の無損傷 EIR、gate-out記録及び既存損傷の記載を確認します。
CFS運営者 LCL貨物の仕分け、保管、個数確認及び搬出を行います。 CFSリマーク、搬出伝票及びタリー記録を作成します。 梱包内部の損傷又は事故原因の全て 搬出時の個数及び外装異常を共同確認します。
元請けフォワーダー 荷主から国内配送、保管又は作業を受託し、下請けへ指示します。 自らFCRを発行する場合と、下請け発行FCRを検証する場合があります。 下請けが確認していない貨物内部の状態 荷主に対する責任と下請けへの内部求償を分けて確認します。
下請け運送会社・Actual Carrier CY・CFSから貨物を受領し、国内配送を実行します。 自社がFCRを発行する場合は、Details of Forwarderへ自社を記載します。 搬出前又は海上輸送中の事故原因 受領時の確認範囲、リマーク、車両管理及び配送記録を残します。
倉庫会社・作業会社 デバンニング、仕分け、保管、開梱又は再梱包を行います。 受領時又は作業開始時のFCR、作業記録及び写真を作成する場合があります。 作業開始前の貨物状態を記録していない場合の発生時点 到着時、開封前及び作業中の状態を連続して記録します。
通関業者 輸入申告及び輸入許可手続を支援します。 通常、FCR発行者又は国内運送責任者ではありません。 輸入許可後の実運送及び貨物状態 通関業務と搬出・配送業務の委任範囲を分けて確認します。

FCRと補助証拠の組合せ

証拠 主に証明できる事項 単独では証明しにくい事項 実務上の保存方法
FCR 発行者、受領日、受領場所、作業範囲及びRemarks 貨物内部の状態及び事故原因の全て 原本、PDF、発行ログ及び訂正履歴を保存します。
EIR コンテナ本体の受渡時の外観状態 内部貨物の破損又は濡損 表裏両面及び電子データを保存します。
CFSリマーク CFS搬出時の個数及び外装異常 梱包内部の損傷原因 搬出伝票及びタリー記録と一体で保存します。
D/O・搬出承認 搬出権限及び対象貨物 受領時の貨物状態 発行元、発行時刻及び変更履歴を保存します。
写真・動画 外観、シール、位置、時刻及び周囲状況 撮影前後の出来事及び因果関係 原本データ及び撮影情報を保存します。
GPS・車両記録 走行経路、停止地点及び時刻 貨物内部で発生した具体的損傷原因 配車案件番号と紐付けて保存します。
デバンニング記録 シール開封、扉開放時及び荷卸し時の状態 CY搬出前の状態を記録していない場合の発生時点 写真、タリー及び立会者記録を一体で保存します。
納品書・受領書 最終納品日、受領者及び納品時の申告 途中区間での事故発生時点 署名済み書面及び電子データを保存します。

よくある誤解

誤解 実際の考え方 実務上の注意点
FCRを発行すれば、国内配送責任が必ずその時点から始まる 契約、占有、作業開始及び実際の指図を総合して判断します。 FCRだけでなく、搬出記録、運送契約及び作業指図を照合します。
CY搬出時に「貨物異常なし」と記載できる 通常確認できるのは、コンテナ外観及びシールまでです。 内部貨物が未確認であることを明示します。
Seal No.が一致すれば、内部貨物も無損傷である シール一致は、内部貨物の状態を保証しません。 デバンニング時まで連続した写真及び記録を残します。
EIRに異常がなければ、コンテナ由来の濡損は否定できる EIRの確認範囲及び記載精度によっては、潜在的欠陥を把握できません。 必要に応じてコンテナ検査又は漏水試験を行います。
CFSリマークがなければ、貨物は完全な状態だった 見落とし、記録漏れ又は確認範囲の限界があり得ます。 自社でも個数、外装及び写真を確認します。
Consignee欄へCY又はCFS名を記載する Consigneeは荷受人であり、貨物を受領した場所ではありません。 CY・CFSはPlace of Receiptへ記載します。
下請け発行でもDetails of Forwarderは元請け名とする Details of Forwarderは、FCRを発行する法人自身です。 下請け発行時は、下請け自身の社名、住所及び連絡先を記載します。
B/L記載個数をFCRへ転記すれば実受領数になる 申告数量と実際に確認した数量は異なります。 現物確認の有無及び実受領数を明示します。
FCRのRemarksへ事故原因を書けば免責になる Remarksは証拠の一つであり、因果関係及び責任は別途判断します。 現認した事実だけを記載し、法的結論を記載しません。
下請けFCRの責任限度が元請けの荷主責任にもそのまま適用される 元請けと荷主の契約責任及び下請けとの内部求償は別問題です。 House B/L、元請け条件及び下請け条件を個別に確認します。

実務で問題になりやすいケース

ケース 主な原因 確認資料 判断のポイント 初動対応
FCL内部濡損 海上輸送中の浸水、コンテナ欠陥、国内配送中の事故 EIR、gate-out写真、シール写真、デバンニング記録 シール一致及び外観異常なしだけでは、損害発生区間を確定できません。 責任を認めず、コンテナを保存して共同検査を行います。
Seal No.不一致 搬出前の交換、誤記、誤搬出又は不正開封 D/O、EIR、現物写真、CY記録 シール交換の権限、時刻及び記録を確認します。 搬出を停止し、CY及び元請けへ確認します。
コンテナ外板損傷 CY搬入前の損傷、CY内事故又は搬出時接触 EIR、写真、動画、ゲート記録 搬出前から存在した損傷かを確認します。 EIR及びFCR双方へ例外記載を残します。
CFS貨物の潰れ CFS作業、積重ね、搬出前の取扱い又は国内配送 CFSリマーク、FCR、写真 搬出時に外装異常が存在したかを確認します。 共同確認し、位置及び程度を具体的に記録します。
CFS数量不足 搬出前不足、誤仕分け、誤搬出又は積込漏れ CFSタリー、搬出伝票、FCR 書類数量と現物受領数量を区別します。 不足を明記し、書類数量で受領署名しません。
FCR無リマーク 確認不足、記載漏れ又は異常の見落とし 搬出時写真、納品写真、受領書 無リマークが正常受領の証拠として利用される可能性があります。 写真原本及び納品までの経路記録を確保します。
誤コンテナ搬出 Container No.照合不足又は予約番号だけの確認 搬出指図、EIR、ゲート記録 現物識別手続に不備があったかを確認します。 走行を中止し、CYへ返却指示を求めます。
配送途中の横転 運転操作、道路状況、偏荷重又は固縛不良 警察記録、GPS、FCR、EIR、積付け記録 国内配送中の事故か、貨物固有の積付け問題かを分けます。 救護、安全確保、保険通知及び貨物保全を行います。
Details of Forwarder誤記 発行者と元請けの混同 FCR、配車指図、委託契約 誰がFCRを発行したかを客観的に確認します。 原本を回収し、正式な訂正又は再発行を行います。
Through B/L対象貨物 元請け契約と下請けFCR条件の不一致 House B/L、FCR、下請け契約 荷主に対する元請け責任と内部求償を分けます。 元請け及び下請け双方の条件を確保します。

具体例

具体例1:横浜港CY搬出後に発見されたFCL貨物の濡損

横浜港のCYから電子機器を積載した40フィートコンテナを搬出し、約6時間後に輸入者指定倉庫でデバンニングしたところ、扉側の貨物に約320万円の濡損が発見されたとします。貨物全体のインボイス価額は約1,200万円でした。

下請け運送会社は、CY搬出時にContainer No.及びSeal No.を確認し、EIRには目立った異常が記載されていませんでした。ただし、gate-out直後の写真には、コンテナ扉下部に錆及び水跡らしき状態が写っていました。

輸入者は国内ドレー中の事故を主張し、下請け運送会社は海上輸送中又はコンテナの密閉不良による損害を主張しました。この場合、Seal No.が一致していたことだけでは原因を確定できません。

FCR、EIR、CYのgate-out記録、搬出時写真、倉庫到着時写真、シール切断記録、コンテナ床面及び扉部の検査結果を時系列で確認します。仮にgate-out直後の写真が存在しなければ、CY搬出時の外観状態を立証しにくくなり、国内運送会社側が不利になる可能性があります。

コンテナを直ちに返却せず、漏水試験又は共同サーベイを実施できる状態で保全することが重要です。

具体例2:神戸港CFS搬出時に確認された木箱の角潰れ

神戸港のCFSから産業機械部品24木箱を搬出した際、1木箱の角に明確な潰れがあり、後日、内部部品について78万円の損害が確認されたとします。

CFS搬出伝票には「1 case corner crushed」と記載されていましたが、下請け運送会社が発行したFCRには何のリマークもなく、24木箱を外観異常なしとして受領したように読める状態でした。

CFSリマークは、搬出前から外装異常が存在した可能性を示します。一方、FCRの無リマークは、下請け運送会社が異常なく受領したとの反論材料として利用されるおそれがあります。

仮にFCRにもCFSリマークと一致する異常記載及び写真番号が残されていれば、少なくとも外装異常が国内配送開始前から存在していたことを説明しやすくなります。

下請け運送会社は、CFS記録、搬出時写真、積込み位置、固定方法、納品時写真及び受領書を確保し、FCRの記載漏れと実際の事故原因を分けて説明する必要があります。

具体例3:東京港CFSで発生した数量不足の誤記

東京港のCFSから輸入雑貨40カートンを搬出する案件で、実際のCFS搬出伝票は39カートンであったにもかかわらず、担当者がHouse B/Lの記載数量を転記し、FCRへ40カートン受領と記載したとします。後日、輸入者から約150万円の不足損害が請求されました。

FCRだけを見ると、下請け運送会社が40カートンを受領し、その後1カートンを紛失したように見えます。しかし、CFSタリー、搬出伝票及び車両積載写真が39カートンで一致していれば、搬出前から不足していた可能性が高くなります。

問題は、書類上の申告数量と実際の受領数量を区別せずにFCRを作成した点です。担当者は、現物確認数が39であることを記載し、書類上の数量40との差異をRemarksへ残すべきでした。

仮に搬出伝票及び積載写真も残っていなければ、FCRの40カートンという記載を覆すことが難しくなり、下請け運送会社又は元請けフォワーダーが不利な責任判断を受ける可能性があります。

判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
D/O及び搬出権限の確認 shipping line、NVOCC又はDelivery Agent D/O又は搬出承認の発行元、有効性及び対象貨物を確認します。 発行元又は対象貨物を確認できない場合は搬出を停止します。
輸入許可の確認 通関業者、輸入者又は元請けフォワーダー 輸入許可及び必要な他法令手続が完了しているかを確認します。 未許可又は確認不能の場合は搬出手続を進めません。
搬出予約の確認 CY・CFS運営者及び元請けフォワーダー 予約番号、受付時間、車両番号及び運転手情報を確認します。 予約内容と実車情報が異なる場合は再確認します。
貨物識別の確認 CY・CFS運営者及び元請けフォワーダー B/L番号、荷印、ロット及び搬出指図が一致するかを確認します。 異なる貨物の可能性がある場合は受領しません。
Container No.の確認 CY運営者及び運転手 現物、EIR及び搬出指図の番号が一致するかを確認します。 番号が一致しない場合はgate-out前に搬出を停止します。
Seal No.の確認 CY運営者、元請けフォワーダー又はDelivery Agent 番号、外観状態、切断痕及び交換履歴を確認します。 不一致又は再封印の疑いがある場合は写真を撮り、搬出を保留します。
EIRの確認 CY運営者又はEIR発行者 既存損傷が正しく記載されているかを確認します。 明らかな損傷が無記載の場合は、訂正又は例外記載を求めます。
FCL外観の確認 CY運営者、運転手及び元請けフォワーダー 扉、屋根、側面、床下の確認可能範囲に穴、変形、水跡等がないかを確認します。 異常がある場合は写真、動画及びFCRリマークを残します。
LCL個数の確認 CFS運営者及び元請けフォワーダー 書類数量と現物確認数量が一致するかを確認します。 不足又は過剰がある場合は、その数量で受領署名せず、差異を記録します。
LCL外装の確認 CFS運営者及び運転手 潰れ、破れ、濡れ、補修跡、バンド切れ等を確認します。 異常がある場合は共同確認し、写真及びCFSリマークを取得します。
FCR記載欄の確認 元請けフォワーダー、FCR発行者及び権限者 Details of Forwarder、Forwarder's Principal、Consignee、Place of Receipt及びPlace of Deliveryを確認します。 発行者又は指図関係が不明確な場合は発行を保留します。
未確認事項の表示 FCR発行者及び元請けフォワーダー 内部貨物、重量、容積又は数量の未確認事項が適切に留保されているかを確認します。 未確認事項を保証する記載がある場合は、署名前に訂正します。
作業範囲の確認 荷主、元請けフォワーダー及び下請け事業者 引取り、保管、デバンニング、仕分け及び配送の担当範囲を確認します。 担当範囲が不明確な場合は、書面による指示を取得してから作業します。
事故発見時の報告 元請けフォワーダー、荷主、保険会社及び関係事業者 事故時刻、場所、状態、損害拡大防止及び証拠保存を確認します。 責任を認めず、貨物及びコンテナを保全して速やかに報告します。
通知期限及び提訴期間の確認 契約担当者、保険会社又は海事弁護士 標準取引条件、House B/Lその他の運送書類上の期限を確認します。 期限が迫っている場合は、暫定通知を行い、法的対応を直ちに検討します。

標準取引条件との接続

FCR裏面の標準取引条件を使用する場合でも、条件が契約へ適切に組み込まれているか、別の運送書類が優先する範囲があるか、強制的に適用される法令があるかを確認する必要があります。

条項 CY・CFS搬出との関係 実務上の確認 注意点
第2条 適用範囲 標準取引条件の適用及び運送書類との優先関係を定めます。 House B/Lその他の運送書類が発行されているかを確認します。 運送書類と抵触する範囲では、運送書類が優先する場合があります。
第4条 当社の地位と役割 代理人又は元請けとしての地位を判断する要素を定めます。 実際の占有、管理、監督及び自社運送書類の有無を確認します。 FCRの署名欄又は価格形態だけで地位を決定しません。
第5条 代理人としての行為 運送会社、倉庫会社その他のサービス提供者への委任に関係します。 誰を選任し、どの業務を委任したかを確認します。 選任、受領、保管又は引渡しの過失が問題となる場合があります。
第9条 見積りと諸費用 貨物受領又はサービス開始と費用発生に関係します。 受領日、サービス開始日及び追加費用を確認します。 費用発生時点と法的責任開始点は同一とは限りません。
第14条 免責事由 梱包不足、固有の欠陥又は顧客指示等による損害に関係します。 実際の事故原因及び損害との因果関係を確認します。 FCRへのリマークだけで当然に免責されるわけではありません。
第15条 責任の制限 貨物損害等に対する責任限度を定めます。 適用条件、総重量、貨物価額及び拡大責任の合意を確認します。 強行法規、故意又は重過失その他の法的争点を別途確認します。
第16条 下請業者と賠償 国内運送、保管、荷役等の再委託に関係します。 下請け範囲、責任条件及び内部求償関係を確認します。 元請けの荷主責任と下請けへの内部求償を分けます。
第17条 クレーム通知及び提訴期間 クレーム通知及び訴訟提起の期限を定めます。 14日以内の通知及び9か月以内の提訴が適用されるかを確認します。 別の運送書類又は強行法規による期限も併せて確認します。

海事弁護士へ相談すべき場面

  • House B/L上のPlace of Deliveryまで元請けフォワーダーが一貫運送を引き受けている一方、下請けFCRの責任条件と大きく異なる場合
  • FCR、EIR、CFSリマーク及び納品記録の内容が相互に矛盾している場合
  • 高額貨物、温度管理貨物、危険品又は特殊貨物の事故で、損害額が責任限度を大きく超える場合
  • シール不一致、誤搬出、無権限搬出又は貨物の誤引渡しが疑われる場合
  • 標準取引条件が契約へ組み込まれていたか、又は運送書類との優先関係が争われている場合
  • クレーム通知期限又は提訴期間が迫っている場合
  • 貨物海上保険者、元請けフォワーダー、Actual Carrier及びCY・CFS運営者の間で求償先が争われている場合

まとめ

CY・CFS搬出時にFCRを使用する目的は、単に貨物を受領したことを示すだけではありません。誰が、いつ、どこで、何を受領し、どこまでの国内運送又は作業を開始し、受領時に何を確認できたかを記録することにあります。

CYからのFCL搬出では、Container No.、Seal No.、コンテナ外観、EIR及びgate-out時刻が中心となり、内部貨物は原則として未確認です。CFSからのLCL搬出では、個数、荷印、荷姿、潰れ、濡れ及び数量不足を直接確認できる場合が多くなります。

CY・CFSはConsigneeではなく、実際の受領場所としてPlace of Receiptへ記載します。最終目的地はPlace of Deliveryへ記載し、Details of ForwarderにはFCRを発行する法人自身を記載します。

FCRだけで責任開始点又は事故原因を確定せず、D/O、EIR、CFSリマーク、写真、GPS、デバンニング記録、House B/L及び作業指図を組み合わせて判断することが、CY・CFS搬出後の事故と責任を適切に切り分ける基本です。

同義語・別表記

  • CY・CFS引取りFCR
  • CY搬出FCR
  • CFS搬出FCR
  • FCL引取りFCR
  • LCL引取りFCR
  • 港頭地区搬出FCR

関連用語

公式情報