House B/LとMaster B/Lの約款差による求償不足リスク|責任制限・通知期限・出訴期限
House B/LとMaster B/Lの約款差による求償不足リスク|責任制限・通知期限・出訴期限
NVOCCが荷主にHouse B/Lを発行し、shipping lineからMaster B/Lを受け取る場合、そこには二つの異なる契約関係が存在します。
荷主に対するNVOCCの責任は、主としてHouse B/LとHouse側の契約関係によって判断されます。一方、NVOCCがshipping lineへ求償できる範囲は、Master B/LとMaster側の契約関係によって別個に判断されます。
この二つの約款内容は、必ずしも一致しません。
Carrierの定義、Package Limitation、責任制限額、損害通知期限、出訴期限、免責条項、準拠法、裁判管轄、Himalaya Clause、Package又はUnitの記載方法などが異なる場合があります。
その結果、NVOCCがHouse B/L上、荷主に対して一定額の損害賠償責任を負っても、Master B/L上、shipping lineから回収できる金額がそれより少なくなる場合があります。
本記事の中心は、House B/LとMaster B/Lの約款が違うという一般論ではありません。約款差によって、NVOCCが荷主へ支払った金額をshipping lineから全額回収できない「求償不足」が発生するかどうかです。
この記事で扱う範囲
| 項目 | この記事で扱う内容 | 他記事で扱う内容 |
|---|---|---|
| House B/L上の責任 | House B/Lに基づくNVOCCの荷主に対する責任 | House B/Lの一般的な構造・特徴 |
| Master B/L上の求償 | Master B/Lに基づきNVOCCがshipping lineへ求償できる範囲 | Master B/Lの一般的な契約構造 |
| 責任制限差 | Package、Unit又は責任制限方式の違いによる求償不足 | 個別の責任制限制度の詳細計算 |
| 損害通知期限 | House側とMaster側の通知期限差による求償権喪失リスク | 一般的な貨物クレーム通知手続 |
| 出訴期限 | House側クレームが継続していてもMaster側求償がTime Barとなる場合 | 各法域の詳細な訴訟・時効分析 |
| Carrierの定義 | HouseとMasterでCarrierの定義が異なることによる責任・求償への影響 | Identity of Carrierの一般論 |
| Package記載 | HouseとMasterでPackage又はUnitの記載が異なることによる影響 | 一般的な貨物記載・B/L発行実務 |
| 準拠法・裁判管轄 | 異なる法制度・裁判地による求償上の不利益 | 外国訴訟の詳細戦略 |
| 保険 | 未回収部分とNVOCC・フォワーダー賠償責任保険との関係 | 責任保険一般 |
| リスク管理 | 求償不足を抑えるための船積前・事故後管理 | 企業全体の契約管理制度 |
House B/L・Master B/L一般記事との役割分担
House B/LとMaster B/Lの一般的な比較記事では、当事者、契約関係、貨物引渡し、責任構造など、二層構造そのものを説明します。
本記事では、より限定した問題を扱います。
NVOCCがHouse B/L上、荷主に対して責任を負った後、その同額をMaster B/L上、shipping lineから本当に回収できるのか。
| 確認したい内容 | 主な論点 | 確認するリスク |
|---|---|---|
| House B/LとMaster B/Lは何が違うか | 契約・実務構造全体 | 二層構造の理解 |
| House B/LとMaster B/Lでは誰が責任を負うか | Contracting Carrier、Actual Carrier、契約上の責任 | 責任主体の特定 |
| NVOCCがなぜshipping lineから全額回収できないことがあるか | House・Master間の約款差 | 求償不足 |
House側責任とMaster側求償の基本構造
| レベル | 主な当事者 | 主な契約 | 中心となる判断 | NVOCCへの財務影響 |
|---|---|---|---|---|
| House B/L側 | 荷主・Shipper・ConsigneeとNVOCC | House B/L | NVOCCはいくら荷主へ支払う必要があるか | NVOCCからの支払 |
| Master B/L側 | NVOCCとshipping line | Master B/L | NVOCCはいくらshipping lineから回収できるか | NVOCCへの回収 |
| 差額 | NVOCC | 二つの契約を比較 | House側責任額がMaster側回収額を上回るか | 求償不足としてNVOCCに残る可能性 |
したがって、House B/L上の責任額とMaster B/L上の回収可能額は、それぞれ独立して計算する必要があります。
House側で支払った金額が、そのままMaster側のshipping lineへ転嫁できると考えるのは危険です。
求償不足が生じやすい約款差
| 約款差 | House B/L側 | Master B/L側 | 生じ得る結果 |
|---|---|---|---|
| Package Limitation | 多数のPackage又はUnitが認められる場合がある | より少ないPackage数又はContainer単位を主張される場合がある | Master側回収額が大幅に低くなる可能性 |
| 責任制限方式 | ある法令・約款による制限方式 | 別の条約・法令・約款による制限方式 | 最大責任額が異なる |
| 損害通知期限 | 荷主からNVOCCへの通知が有効 | NVOCCからshipping lineへの通知が遅れる | Master側求償が争われる |
| 出訴期限 | 荷主からNVOCCへの請求が存続している | NVOCCからshipping lineへの求償がTime Barとなる | NVOCCが全額負担する可能性 |
| Carrierの定義 | NVOCCがContracting Carrierとなる | Master B/Lでは別会社がCarrierと定義される場合がある | 誤った相手へ求償するリスク |
| 免責条項 | House側では免責できない損害 | Master側では広い免責がある場合 | House側責任を上流へ転嫁できない |
| 準拠法 | ある国の法律が適用 | 別の国の法律が適用 | 責任・制限結果が異なる |
| 裁判管轄 | 国内で処理可能 | 外国裁判・仲裁が必要 | 求償費用・時間・手続リスクが増える |
| Package記載 | Carton、Pallet、個品数が詳細に記載 | Container等の包括的記載が中心 | Package Limitationで大きな差が生じる可能性 |
| Himalaya Clause等 | House側での保護範囲が限定的 | Master側でActual Carrier・下請先が広く保護される | 直接求償ルートが狭くなる |
求償不足の判断フロー
| 段階 | 確認事項 | 確認資料 | 判断 |
|---|---|---|---|
| 1. House側責任確認 | NVOCCが荷主へどの程度の責任を負うか | House B/L、Claim Letter、貨物記録 | House側の潜在責任額を算定します。 |
| 2. 事故原因確認 | 損傷、紛失、誤渡し、遅延等がどこで発生したか | Survey Report、EIR、引渡記録、メール | 下流側の責任候補を特定します。 |
| 3. Master側Carrier確認 | Master B/L上のCarrierは誰か | Master B/L表面・裏面約款・署名欄 | 正しい求償先を特定します。 |
| 4. 責任制度比較 | HouseとMasterで同じ責任制度が適用されるか | 両B/L約款・適用法 | 法的・契約上の差を確認します。 |
| 5. Package記載比較 | Package数・Unit数・Container記載が一致するか | House B/L、Master B/L、Packing List | 責任制限差を計算します。 |
| 6. 通知期限確認 | House・Master双方で通知期限を守っているか | Claim Notice、メール、Carrier受領記録 | 求償権が維持されているか確認します。 |
| 7. Time Bar確認 | Master側の求償期限が残っているか | B/L約款、適用法、延長確認書 | 期限前に保全措置を取ります。 |
| 8. Master側回収額算定 | shipping lineから実際にいくら回収可能か | 責任制限計算、証拠資料 | 回収可能額を算定します。 |
| 9. 求償不足額算定 | House側責任額がMaster側回収額を上回るか | House・Master双方の計算 | NVOCCに残る差額を特定します。 |
| 10. 保険確認 | 未回収部分が責任保険の対象になり得るか | 保険証券、通知記録、保険者回答 | 保険権利を保全し残余リスクを管理します。 |
Package Limitationの差は大きな求償不足を生み得る
求償不足の原因として特に重要なのが、House B/LとMaster B/LでPackage又はUnitの記載が異なる場合です。
例えば、House B/Lでは「100 cartons」と記載されている一方、Master B/Lでは「1 container said to contain 100 cartons」のような記載となる場合があります。
どの単位が法的なPackage又はUnitとして認められるかは、適用される条約、法律、B/L約款及びB/L上の記載方法によって異なります。
| 項目 | House B/L | Master B/L | 求償不足リスク |
|---|---|---|---|
| 貨物記載 | 100 cartons | 1 container said to contain 100 cartons | 法的に認められるPackage数が異なる可能性 |
| 責任制限 | 個々のPackageを基礎に算定される可能性 | shipping lineがより低い制限額を主張する可能性 | Master側回収額がHouse側責任額を下回る |
| 証拠 | 詳細なPacking情報が記載される | Master側記載が簡略化される場合がある | 発行時の記載方法が後の求償に影響 |
| 財務結果 | 荷主への支払額が大きい | shipping lineからの回収額が小さい | 差額をNVOCCが負担する可能性 |
Master B/L側が必ず低い責任制限となるわけではありません。
重要なのは、同じ事故・同じ貨物であっても、House側とMaster側の責任制限計算が同じになるとは限らないという点です。
損害通知期限の違いで求償チェーンが切れる場合
荷主はHouse B/Lの契約関係に基づきNVOCCへ損害通知を行います。一方、NVOCCはshipping line又はその他の下流Carrierに対して、別途求償権を保全する必要があります。
荷主からNVOCCへの通知が有効であっても、それが自動的にNVOCCからshipping lineへの有効な通知となるわけではありません。
| 状況 | House B/L側 | Master B/L側 | リスク |
|---|---|---|---|
| 荷主がNVOCCへ期限内通知 | House側クレームは保全される | shipping lineへまだ通知していない | Master側求償が争われる可能性 |
| NVOCCが最終請求額確定まで待つ | 荷主との交渉が継続 | Master側通知期限が経過する | 求償が困難になる |
| 通知要件が異なる | 一般的な損害通知で足りる場合 | 正式な書面通知が必要な場合 | メールだけでは不十分となる可能性 |
| 隠れ損害 | House側に一定の通知期間 | Master側で異なる期間 | 期限を別々に管理する必要 |
NVOCCは、荷主側クレーム対応とMaster Carrierへの求償権保全を、別々の業務として管理する必要があります。
出訴期限は特に危険
実務上大きな問題になるのが、NVOCCが荷主との損害額交渉を続けている間に、Master B/L側の求償期限が経過してしまうケースです。
House B/LとMaster B/Lでは、約款、条約、法律又は裁判管轄が異なる場合があり、Time Barの満了日が一致するとは限りません。
| 期限管理上の状況 | House側 | Master側 | 必要な対応 |
|---|---|---|---|
| Houseクレーム交渉中 | 請求継続中 | Time Barが迫る | Master側の保全措置を先に取ります。 |
| 損害額未確定 | Quantum未確定 | 法的期限は進行する | 最終金額を待たず求償権を保全します。 |
| 期限延長交渉 | 荷主とは延長合意できる場合がある | shipping lineは拒否又は条件付延長の場合がある | 双方から別々に書面延長を取得します。 |
| 求償先が不明 | NVOCC側責任主体は明確 | Master側Carrierが不明確 | 期限前に契約Carrierを特定します。 |
House側の請求を先に確定してからMaster側へ求償すればよい、という運用は危険です。
Carrierの定義が求償先を左右する
House B/L上でCarrierとして扱われる者と、Master B/L上で契約上のCarrierとされる者は一致しない場合があります。
自社House B/Lを発行するNVOCCは、荷主に対してContracting Carrierとなる場合があります。一方、Master B/Lではshipping line又は別の法人が契約上のCarrierとなり、Actual Carrierが実運送を行う場合があります。
求償時には、Master B/L表面のCarrier表示、署名欄、Carrier定義、Identity of Carrier Clauseその他の関連条項を確認します。
誤った会社へ求償を開始すると、出訴期限が短い案件では重大なリスクとなります。
準拠法・裁判管轄の違い
| 論点 | House B/L | Master B/L | 生じ得る影響 |
|---|---|---|---|
| 準拠法 | ある法制度 | 別の法制度 | 責任・責任制限結果が異なる |
| 裁判管轄 | 国内で処理可能 | 海外訴訟が必要 | 求償コストと手続負担が増加 |
| 仲裁 | 仲裁条項なし | 仲裁条項あり | 別手続で求償する必要 |
| Time Bar保全方法 | 一定の方法で延長・中断可能 | 別の方法が必要 | 一方で有効な延長が他方では無効となる可能性 |
House側クレームとMaster側求償は、関連しているものの、法的には別々の契約上の請求として管理します。
NVOCCの求償不足の具体例
海上輸送中に貨物損害が発生したとします。
荷主はHouse B/Lに基づきNVOCCへ損害賠償を請求し、House B/L約款及び適用法に基づき、NVOCCの責任額が300万円となったとします。
NVOCCはその後、Master B/Lに基づきshipping lineへ求償します。
しかし、Master B/LではPackage Limitationの算定方法が異なり、shipping lineの最大責任額が100万円となりました。
| 項目 | 金額 | 理由 | 結果 |
|---|---|---|---|
| House B/L側責任 | 300万円 | NVOCCの荷主に対する責任 | NVOCCが支払う金額 |
| Master B/L側回収 | 100万円 | Master B/L上の責任制限 | shipping lineからの最大回収額 |
| 求償不足 | 200万円 | 二つの契約レベルの差 | NVOCCに残る潜在負担 |
もちろん、すべての案件で200万円をNVOCCが最終負担するとは限りません。
他の求償先、責任保険、下請先責任、契約上の補償条項その他の防御が存在する場合があります。
ただし、House側責任とMaster側求償を事故発生時から別々に分析する必要があることを示す典型例です。
実務で問題になりやすいケース
| ケース | House側の状況 | Master側の問題 | 求償リスク | 対応 |
|---|---|---|---|---|
| Package数が異なる | 詳細なCarton数が記載されている | Masterでは包括的なUnit記載 | 責任制限額が異なる | 発行前にPackage記載を確認します。 |
| shipping lineへの通知が遅れる | 荷主からNVOCCへの通知は期限内 | NVOCCからMaster Carrierへの通知が遅れる | 求償を争われる | Protective Noticeを早期に出します。 |
| House交渉中にMaster Time Bar経過 | House側は未解決 | Master側求償期限が切れる | 回収不能 | 期限を独立管理します。 |
| Carrier定義が異なる | NVOCC責任は明確 | Master側の正しい被請求者が不明 | 誤った相手へ求償 | 署名欄・Carrier Clauseを確認します。 |
| Master側に広い免責 | House側では支払義務あり | Masterでは免責を主張される | 未回収額が残る | 特殊貨物受注時に約款差を確認します。 |
| 外国裁判管轄 | House側は国内処理 | Master側は外国訴訟 | 求償費用が割高になる | 早期に訴訟経済性を確認します。 |
| Himalaya Clauseで下請先保護 | NVOCCが荷主から請求される | 下請先への直接求償が制約される | 求償ルートが狭くなる | 契約上の求償チェーンを確認します。 |
| House側を商業的に先行和解 | NVOCCが荷主と和解 | shipping lineが責任・損害額を争う | 和解額を転嫁できない | 可能な限りMaster側求償と連動させます。 |
| 必要証拠が異なる | House側請求資料は揃っている | Master Carrierが別資料を要求 | 回収が遅延・減額 | 双方の証拠を同時に集めます。 |
| 責任保険通知が遅れる | NVOCCがHouse側対応を継続 | 後から求償不足が判明 | 保険対応に影響 | 早期に保険者へ通知します。 |
具体例1:HouseとMasterでPackage記載が異なる場合
NVOCCがHouse B/Lに「200 cartons」と記載し、Master B/Lでは同じ貨物が1本のContainer内貨物として、より簡略化された記載となっていたとします。
海上輸送中に貨物損害が発生しました。
荷主はHouse B/Lに基づきNVOCCへ請求し、House側では詳細なPackage記載に基づく責任制限計算が行われます。
一方、NVOCCがshipping lineへ求償すると、Master B/L上の記載と約款に基づき、異なるPackage Limitationを主張される可能性があります。
同じ貨物・同じ事故であっても、House側責任額とMaster側回収額に差が生じ得ます。
このリスクは事故後だけでなく、B/L発行時のPackage記載段階から管理する必要があります。
具体例2:House側クレーム交渉中にMaster Time Barが経過する場合
ConsigneeがNVOCCへ貨物損害を通知し、数か月にわたり損害額の交渉が続いているとします。
NVOCCはSurvey Reportと最終請求額が確定してからshipping lineへ正式求償しようと考えました。
しかし、その間にMaster B/L側のTime Barが迫り、又は経過してしまう可能性があります。
House側の交渉が継続していることは、Master側求償期限を自動的に停止又は延長するものではありません。
NVOCCは、最終損害額が未確定でも、必要に応じProtective Claim、期限延長その他の権利保全措置を先行して行う必要があります。
具体例3:House側では責任があるがMaster側で免責を主張される場合
NVOCCのHouse B/L上では、ある業務事故について荷主に対する責任が認められるとします。
一方、Master B/Lでは、shipping lineがHouse B/Lには存在しない免責条項、抗弁又は責任制限を主張する場合があります。
この場合、NVOCCは荷主に対して賠償責任を負う一方、その同額を上流側へ転嫁できない可能性があります。
これは、事故を物理的に誰が起こしたかとは別の、House B/LとMaster B/Lの契約条件の不整合によるリスクです。
よくある誤解
| 誤解 | 実際の考え方 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| NVOCCが荷主へ支払った金額はshipping lineからそのまま回収できる | Master B/L上の求償は別契約に基づき判断されます。 | House側責任額とMaster側回収額を別々に計算します。 |
| House B/LとMaster B/Lの責任制限額は同じである | 異なる約款・法律・条約が適用される場合があります。 | 双方の責任制限条項を確認します。 |
| 同じ貨物ならPackage数も同じである | HouseとMasterで貨物記載が異なる場合があります。 | 双方のPackage記載を比較します。 |
| 荷主からNVOCCへの通知でshipping lineへの通知も済んでいる | HouseとMasterは別契約です。 | Master側へProtective Noticeを行います。 |
| Houseクレーム確定後にMasterへ求償すればよい | Master側Time Barが先に経過する場合があります。 | 期限を独立管理します。 |
| 実運送した会社が必ず求償先である | まず契約上のCarrierを確認する必要があります。 | Master B/LとCarrier Clauseを確認します。 |
| NVOCC自身が事故を起こしていなければ損失は残らない | House側では責任を負い、Master側では全額回収できないことがあります。 | 契約差そのものが財務リスクになります。 |
| 荷主との和解額はshipping lineも当然認める | Master Carrierは責任又はQuantumを別途争うことができます。 | 可能な限り求償と和解を連動させます。 |
| 責任保険はMaster求償に失敗してから確認すればよい | 事故発生時点で通知義務がある場合があります。 | 早期通知を行います。 |
| House B/Lで荷主に有利な条件を設定しても問題ない | House側責任を広げるほどMaster側とのBack-to-Back性が崩れる可能性があります。 | 約款差と保険を確認します。 |
| 同じShipmentなので準拠法も同じである | HouseとMasterで異なる準拠法が設定される場合があります。 | 各契約を独立して確認します。 |
| 求償不足は事故発生後に考える問題である | リスクはQuotation、Booking、B/L発行時点から生じます。 | 事故前の契約整合管理が重要です。 |
フォワーダーの関与範囲対比
この五分類は、法令上又は業界全体で確立された法的分類ではなく、本シリーズにおいて、フォワーダーが契約及び実務上どの範囲まで関与しているかを整理するための分析上の枠組みである。
| 標準五分類 | 主な関与 | 確認できる事項 | 負い得る責任 | 当然には負わない事項 |
|---|---|---|---|---|
| Simple Intermediary | B/L、Claim Notice及び求償連絡を取り次ぐ | 書類送付・連絡記録 | 限定された取次業務上の過誤 | House B/L上の包括的運送責任 |
| Cargo Transportation Service Provider | 輸送手配とClaim対応を調整する | 輸送範囲、下請先、作業記録 | サービス契約上の注意義務 | すべてのCarrier責任の自動引受け |
| NVOCC / House B/L Issuer | House B/Lを発行しMaster B/Lに基づき求償する | House・Master B/L、荷主Claim、Carrier資料 | House B/L上の責任及び求償不足リスク | 契約・因果関係を問わない無制限責任 |
| Door-to-Door Single Contractor | 一貫運送を引き受け、下流側への求償を管理する | 全輸送区間、Actual Carrier情報 | 一体的運送契約に基づく責任 | 下請先からの全額回収が当然に保証されること |
| Agent / Coordinator for Specific Operations | 通知、Claim、期限延長、求償手続を調整する | 委任作業・連絡記録 | 委任範囲内の調整過誤 | 本人の本来的な契約責任 |
Contracting Carrier及びActual Carrierは、法的又は契約上の地位を示す概念であり、上記の五分類を置き換える代替分類ではありません。
求償保全の判断チェックリスト
| 確認場面 | 確認する相手 | 確認事項 | 問題がある場合の対応 |
|---|---|---|---|
| Quotation時 | 営業・業務・法務 | House側引受条件がMaster側保護を超えていないか | 受注前に約款又は価格条件を調整します。 |
| Booking時 | shipping line | Carrier、Service Terms、特殊条件 | 船積前に契約相手を明確にします。 |
| House B/L発行時 | NVOCC書類担当 | Package記載、責任条項、管轄、特別引受条件 | Master側で回収できない過度な条件を避けます。 |
| Master B/L受領時 | shipping line・代理店 | Package数、Carrier定義、責任制限、Time Bar | 重大な差異を記録します。 |
| 事故通知時 | 荷主・shipping line | House・Master双方の通知期限 | 最終請求額を待たずMaster側へ通知します。 |
| Survey・証拠収集時 | Surveyor・Terminal・Carrier | House側防御とMaster側求償の双方に必要な証拠 | 二つのClaimを同時に意識して証拠収集します。 |
| Claim査定時 | 法務・Claim担当 | House側責任額とMaster側回収可能額 | 和解前に求償不足を算定します。 |
| Time Bar管理時 | shipping line・弁護士 | 期限と延長要件 | 書面延長又は保全措置を取ります。 |
| 和解時 | 荷主・保険者・shipping line | 和解が求償権へ与える影響 | Master側権利を不必要に害さないよう確認します。 |
| 案件終結時 | 経営・保険者 | 回収額、未回収額、保険処理 | 残余負担を確定してからCloseします。 |
専門家へ確認すべき場面
次のような場合は、船荷証券、海上運送、運送人責任又は賠償責任保険に詳しい専門家への確認を検討します。
- House B/LとMaster B/Lで責任制限条項が大きく異なる場合
- HouseとMasterでPackage又はUnit記載が大きく異なる場合
- House側請求額がMaster B/L上の最大回収額を超える可能性がある場合
- Master B/L側の通知期限又はTime Barが迫っている場合
- Master B/L上の契約Carrierが不明確な場合
- HouseとMasterで異なる準拠法又は裁判管轄が適用される場合
- Master B/Lに仲裁条項又は専属管轄条項がある場合
- shipping lineがHouse B/Lには存在しない免責を主張する場合
- Master側求償が未確定のまま荷主との和解を検討する場合
- 営業損害、間接損害又は逸失利益が請求されている場合
- 求償不足額がNVOCCにとって重要な金額となる場合
- 責任保険の通知又は事前承認が必要な場合
- Protective Proceedings又はTime Bar延長が必要な場合
まとめ
House B/LとMaster B/Lは、同じ貨物輸送に関係していても、法的には関連する二つの別契約です。
そのため、House B/Lに基づくNVOCCの荷主に対する責任と、Master B/Lに基づくshipping lineへの求償可能額は、それぞれ独立して判断する必要があります。
Package Limitation、責任制限方式、損害通知期限、出訴期限、Carrierの定義、免責条項、準拠法、裁判管轄及びPackage記載の差によって、House側責任額とMaster側回収額の間に大きな差が生じることがあります。
特にPackage記載は重要です。同じ貨物でも、House B/LとMaster B/LでCarton、Pallet、Unit、Container等の記載方法が異なれば、責任制限額に影響する可能性があります。
また、荷主からのClaimが継続していることは、Master B/L側の通知期限又はTime Barを自動的に停止するものではありません。House側とMaster側の期限は独立して管理する必要があります。
Master B/L上のCarrier、準拠法及び裁判管轄も、求償期限が迫る前に確認します。誤った相手又は誤った法域で求償を開始すると、本来存在した回収権を失う可能性があります。
このリスクは事故発生後だけの問題ではありません。Quotation、Booking、House B/L発行、Master B/L確認の段階から、House側引受条件とMaster側求償条件の整合を確認することが重要です。
実務上の目的は、House B/LとMaster B/Lを完全に同一にすることではありません。重大な約款差を事前に把握し、その差をNVOCCの未回収責任として残さないことです。
同義語・別表記
関連用語
公式情報
- 公式ホームページ: https://www.nvocc-club.or.jp/qa/qa3.html
