危険物クラス―海上・航空輸送における分類と確認

Dangerous Goods Classes — Classification and Verification for Sea and Air Transport

危険物クラスとは

危険物クラスとは、危険品を輸送上の危険性に応じて分類する区分です。

国際輸送では、危険品はClass 1からClass 9までに分類され、UN番号、正式輸送品名、容器等級、ラベル、マーク、危険物申告書、積付け、隔離条件、保管条件、受託可否などと結び付いて使われます。

フォワーダー実務では、危険物クラスは、船会社、航空会社、倉庫、CFS、通関業者、トラック会社が危険品を受けられるか判断するための基本情報です。

同じ化学品でも、危険物クラスによって輸送条件、混載可否、保管可否、航空搭載可否、ラベル、書類、包装条件が変わるため、SDSや危険物申告書で正確に確認する必要があります。

この記事で扱う範囲

項目 本記事で扱う内容 他記事に委ねる内容
危険物クラスの基本 危険品をClass 1からClass 9までの危険性の種類で整理する考え方を扱います。 個別貨物の最終分類判断は、SDS、危険品判定資料、メーカー、危険品専門業者へ確認する内容です。
Class 1からClass 9の概要 各クラスの主な内容、代表的な貨物、フォワーダー実務での注意点を整理します。 各クラスごとの詳細な適用条件や特別規定は、IMDG CodeやIATA危険物規則で確認する内容です。
クラス番号の誤解 クラス番号は危険性の強さの順位ではなく、危険性の種類を示す分類であることを扱います。 個別貨物の危険度評価や事故時の専門判断は、危険品専門業者や関係者へ確認する内容です。
UN番号との関係 危険物クラスは、UN番号、正式輸送品名、容器等級、副次危険性とセットで確認することを扱います。 UN番号ごとの正式輸送品名や特別規定の詳細は、UN番号の記事で扱います。
主危険性と副次危険性 主クラスだけでなく、副次危険性がラベル、隔離、混載可否、保管条件に影響することを扱います。 具体的な副次危険性の判定や隔離要件の詳細は、SDS、DGD、危険品専門資料で確認する内容です。
Class 9の重要性 Class 9が「その他」でも軽い分類ではなく、リチウム電池、ドライアイス、磁性物質などで頻出することを扱います。 リチウム電池輸送やドライアイス、磁性物質の個別条件は、それぞれの個別記事や運送人条件で確認します。
海上輸送・航空輸送での違い 同じクラスでも、海上輸送と航空輸送で確認先、数量制限、包装、受託条件が異なることを扱います。 海上輸送の詳細はIMDG Code、航空輸送の詳細はIATA危険物規則の記事で扱います。
CFS・倉庫・混載への影響 危険物クラスが、CFS搬入、倉庫保管、LCL混載、国内配送の受託可否に影響することを扱います。 CFS危険品搬入、危険品倉庫、危険品の混載可否の詳細は、それぞれの個別記事で扱います。

危険物クラスの役割

危険物クラスは、危険品の性質を輸送関係者が共通して理解するための分類です。

危険品には、爆発性、引火性、毒性、腐食性、酸化性、放射性、環境有害性など、さまざまな危険性があります。

これらをClass 1からClass 9までに整理することで、包装、ラベル、マーク、積付け、隔離、書類、保管、受託可否を判断しやすくします。

危険物クラスが関係する項目 実務上の意味 確認する場面 確認不足の場合のリスク
ラベル・マーク 外装に表示すべき危険性を判断します。 CFS搬入、航空上屋搬入、船会社・航空会社確認で確認します。 搬入拒否、受託拒否、ラベル修正費用が発生します。
包装 危険性に応じた容器や外装条件を確認します。 荷主梱包、再梱包、危険品申告前に確認します。 包装不適合により船積み・航空搭載が止まります。
積付け・隔離 他貨物と近接させてよいかを確認します。 海上輸送、CFS、危険品倉庫、LCL混載で確認します。 混載不可、別便手配、再搬出につながります。
受託可否 船会社、航空会社、倉庫、CFSが受けられるか判断します。 見積、ブッキング、搬入前確認で確認します。 ブッキング後に受託不可となる可能性があります。
書類 危険物申告書やSDSとの整合を確認します。 DGD作成、書類照合、通関確認で確認します。 書類不一致により関係者が受託判断できません。
保管・配送 倉庫や国内配送会社が当該クラスを受けられるか確認します。 危険品倉庫、一時保管、国内配送手配で確認します。 倉庫受入不可、配送不可、納品遅延につながります。

危険物クラスの主な区分

危険物クラスは、Class 1からClass 9までに整理されます。クラス番号は危険性の強さの順位ではなく、危険性の種類を示す分類です。

クラス 主な内容 代表的な貨物 フォワーダー実務での注意点
Class 1 火薬類・爆発性物質。 火薬、爆竹、火工品、信号用品など。 通常の一般フォワーダー実務では受託が限定され、専門確認が必要になりやすい。
Class 2 ガス類。 圧縮ガス、液化ガス、エアゾール、冷媒、ガスボンベなど。 容器、圧力、可燃性、毒性、航空輸送可否、国内保管・配送条件を確認する。
Class 3 引火性液体類。 塗料、インク、接着剤、溶剤、香料、アルコール類、洗浄剤など。 引火点、容器等級、数量、航空輸送可否、消防法上の保管可否を確認する。
Class 4 可燃性物質類。 マッチ、金属粉、可燃性固体、自然発火性物質、水と反応して可燃性ガスを発生する物質など。 水濡れ、発熱、自然発火、可燃性ガス発生、他貨物との隔離条件を確認する。
Class 5 酸化性物質・有機過酸化物。 酸化剤、過酸化物、漂白剤原料、消毒剤原料、樹脂硬化剤など。 可燃性貨物との相性、温度管理、分解・発熱リスク、隔離、船会社・CFS受託条件を確認する。
Class 6 毒物・感染性物質。 毒性化学品、試薬、医療・検査関連貨物、感染性物質など。 人体への影響、漏えい時対応、保管条件、配送会社の受託可否を確認する。
Class 7 放射性物質。 放射性同位元素、医療用・研究用の放射性物質など。 専門性が高く、通常貨物とは別の規制・許可・専門業者確認が必要になる。
Class 8 腐食性物質。 酸、アルカリ、腐食性薬品、バッテリー液など。 漏えい時の損傷、他貨物との相性、容器状態、倉庫保管条件を確認する。
Class 9 その他の有害性物質・物品。 リチウム電池、磁性物質、ドライアイス、環境有害性物質など。 「その他」でも軽い分類ではなく、実務頻度が高く、航空・海上で個別条件の確認が必要になる。

危険物クラスは、危険性の種類を示す入口情報です。実際の輸送可否は、UN番号、正式輸送品名、容器等級、副次危険性、数量、荷姿、輸送モード、船会社・航空会社・CFS・倉庫の受託条件を合わせて確認します。

クラス番号は危険性の強さを示さない

危険物クラスでよくある誤解は、「Classの数字が大きいほど危険性が高い」という考え方です。

これは誤りです。危険物クラスは、危険性の強さのランキングではなく、危険性の種類を示す分類です。

誤解 正しい考え方 実務上の注意点 確認する資料・相手
Class 9は数字が大きいので最も危険 Class 9はその他の有害性物質を示す分類であり、危険性の順位ではありません。 リチウム電池など、頻出かつ条件確認が重要な貨物が含まれます。 SDS、UN番号、危険物申告書、運送人条件
Class 3よりClass 8の方が必ず危険 Class 3は引火性、Class 8は腐食性を示す分類で、危険の種類が異なります。 火災リスクと腐食リスクは比較の軸が異なります。 SDS、危険物クラス、容器等級、保管条件
同じクラスなら同じ扱いでよい 同じクラスでもUN番号、容器等級、副次危険性、数量、包装により扱いが変わります。 クラスだけで受託可否や混載可否を判断しません。 SDS、DGD、船会社、CFS、危険品倉庫
Class 9はその他なので軽く扱える Class 9には、航空・海上で条件確認が厳しい貨物も含まれます。 リチウム電池、ドライアイス、磁性物質などは個別確認が必要です。 SDS、製品仕様書、航空会社、船会社

フォワーダーは、危険物クラスを番号の大小ではなく、輸送中にどのような危険性がある貨物かを示す情報として扱う必要があります。

UN番号との関係

危険物クラスは、UN番号とセットで確認します。

UN番号は危険品を識別する4桁番号であり、そのUN番号に対して、正式輸送品名、危険物クラス、容器等級、ラベル、包装基準、特別規定などが結び付きます。

確認項目 意味 確認上の注意 確認不足の場合のリスク
UN番号 危険品を識別する4桁番号です。 番号だけでなく、正式輸送品名とセットで確認します。 別貨物として誤って手配する可能性があります。
正式輸送品名 危険品輸送上の正式な品名です。 インボイス品名とは異なる場合があります。 DGDやブッキング情報に誤りが生じます。
危険物クラス 主たる危険性を示す分類です。 ラベル、積付け、隔離、受託可否に関係します。 ラベル不備、混載判断ミス、受託拒否につながります。
容器等級 危険性の程度や包装条件に関係する区分です。 該当する場合は、包装や数量条件に影響します。 包装基準や数量制限を誤る可能性があります。
副次危険性 主クラス以外に併せ持つ危険性です。 追加ラベル、隔離、保管、混載可否に影響します。 副次危険性を見落とすと、隔離やラベルが不足します。

フォワーダーは、UN番号だけ、または危険物クラスだけで判断してはいけません。UN番号、正式輸送品名、危険物クラス、容器等級、数量、荷姿、輸送モードを組み合わせて、船会社・航空会社・倉庫の受託可否を確認する必要があります。

主危険性と副次危険性

危険品には、主たる危険物クラスのほかに、副次危険性がある場合があります。

主危険性とは、その貨物の中心となる危険性です。副次危険性とは、主危険性に加えて、その貨物が併せ持つ別の危険性です。

区分 意味 実務上の影響 確認する資料
主危険性 危険品の主たる危険物クラスです。 基本ラベル、申告、輸送条件、受託判断の中心になります。 SDS、危険物申告書、危険品判定資料
副次危険性 主クラスに加えて存在する追加の危険性です。 追加ラベル、隔離、混載可否、保管条件、緊急時対応に影響します。 SDS、DGD、副次危険性欄、危険品判定資料
複数危険性のある貨物 引火性と毒性、腐食性と毒性などを併せ持つ貨物です。 主クラスだけで判断すると、受託条件や隔離条件を誤る可能性があります。 SDS、メーカー確認、船会社・航空会社回答

副次危険性がある場合、主クラスだけを見ていると、ラベル、隔離、積付け、保管、混載可否の判断を誤る可能性があります。

副次危険性の典型例

副次危険性は、危険物クラスの実務判断で重要です。次のような組み合わせでは、主クラスだけでなく、副次危険性を確認します。

組み合わせ例 問題になりやすい理由 確認すること 問題がある場合の対応
引火性液体+毒性 火災リスクと人体有害性が重なります。 主クラス、副次危険性、ラベル、緊急時対応、航空会社条件を確認します。 追加ラベル、受託条件、緊急時対応情報を確認します。
腐食性+毒性 漏えい時に、腐食損害と健康被害の両方が問題になります。 包装、漏えい時対応、倉庫保管条件、配送会社条件を確認します。 倉庫・配送会社の受入条件を再確認します。
酸化性+腐食性 他貨物との相性、漏えい時の反応、容器損傷が問題になります。 隔離、混載可否、保管区分、CFS受入条件を確認します。 別区画、別コンテナ、別倉庫、別便を検討します。
ガス類+可燃性 圧力容器と可燃性の両方を考慮する必要があります。 ガス種、容器、温度条件、航空輸送可否、国内配送条件を確認します。 航空会社、配送会社、倉庫へ個別確認します。
環境有害性+他クラス 海洋汚染物質や環境有害性の表示・申告が関係する場合があります。 海洋汚染物質該当性、表示、SDS、危険物申告書を確認します。 海上輸送時の表示・申告を再確認します。

副次危険性は、SDS、危険物申告書、危険品判定資料で確認します。書類間で副次危険性の記載が異なる場合は、荷主やメーカーへ確認し、手配を進める前に分類を確定することが重要です。

Class 9の実務上の重要性

Class 9は、その他の有害性物質・物品を扱うクラスです。

「その他」という表現から軽く見られがちですが、フォワーダー実務ではClass 9が問題になる場面は多くあります。

Class 9で出てきやすい貨物 注意点 確認すること 問題がある場合の対応
リチウム電池 電池単体、機器同梱、機器組込で扱いが変わります。 UN番号、電池種類、UN38.3、航空会社条件、包装、表示を確認します。 リチウム電池輸送条件を確認し、受託不可なら別ルートを検討します。
磁性物質 航空輸送で問題になる場合があります。 磁性の有無、航空会社条件、測定資料の要否を確認します。 航空会社へ事前確認し、必要に応じて測定資料を取得します。
ドライアイス 冷却材として使われるが、航空輸送では数量・表示確認が必要です。 使用量、包装、換気、航空会社条件、ラベル・マークを確認します。 数量や表示を修正し、航空会社・上屋条件を確認します。
環境有害性物質 海洋汚染物質や環境有害性の申告が関係する場合があります。 SDS、海洋汚染物質該当性、危険物申告書、表示を確認します。 海上輸送時の表示・申告を整えます。

Class 9は、フォワーダー実務で頻出するにもかかわらず、見落とされやすいクラスです。特にリチウム電池、ドライアイス、磁性物質は、商品名だけでは危険品確認が必要と分かりにくいため注意が必要です。

海上輸送と航空輸送での違い

同じ危険物クラスでも、海上輸送と航空輸送では確認すべき内容が異なります。

確認項目 海上輸送 航空輸送 フォワーダー実務上の注意点
中心規則 IMDG Codeを中心に確認します。 IATA危険物規則を中心に確認します。 同じクラスでも、海上と航空で受託条件が異なる場合があります。
受託判断 船会社、NVOCC、CFS、混載業者、トランシップ港の条件を確認します。 航空会社、混載業者、クーリエ会社、空港上屋の条件を確認します。 運送人だけでなく、CFS・上屋・混載業者の条件も確認します。
数量・包装 コンテナ輸送やLCL混載を前提に確認します。 1梱包あたりの数量制限や包装基準がより厳しく問題になりやすくなります。 海上で使えた梱包が航空で使えるとは限りません。
混載・隔離 CFS、コンテナ、船内積付け、隔離条件が問題になります。 航空機搭載可否、旅客機搭載可否、貨物機専用条件が問題になります。 輸送モード変更時は、混載・搭載条件を確認し直します。
止まりやすい場面 CFS搬入、危険品ブッキング、LCL混載、船社承認で止まりやすくなります。 航空会社確認、上屋搬入、包装・ラベル確認、数量制限で止まりやすくなります。 見積段階で通常貨物と同じ納期を約束しないよう注意します。
注意点 海上で受けられても、CFSや混載条件で止まる場合があります。 海上で輸送できても、航空では受託不可となる場合があります。 海上から航空へ切り替える場合は、危険品確認をやり直します。

フォワーダーは、海上輸送で受けられる危険品だから航空でも受けられる、と考えてはいけません。輸送モードが変わる場合は、危険物クラス、UN番号、数量、包装、ラベル、航空会社条件を改めて確認する必要があります。

フォワーダー実務での確認手順

危険物クラスは、ブッキング前に確認すべき基本情報です。クラスが不明なまま見積や手配を進めると、船会社・航空会社への申告、倉庫搬入、CFS受入、通関書類確認の段階で止まる可能性があります。

手順 確認すること 判断の方向性 止まりやすいポイント
1. SDSを確認する 第14項の輸送情報欄に、UN番号、正式輸送品名、危険物クラスがあるかを確認します。 危険品該当性の入口として確認します。 SDSが古い、対象製品が違う、輸送情報欄が空欄の場合があります。
2. 危険物申告書と照合する DGDのクラス、UN番号、正式輸送品名、容器等級がSDSと一致しているかを確認します。 書類間の不一致があれば手配を止めて確認します。 SDSとDGDでクラスやUN番号が異なる場合があります。
3. 副次危険性を確認する 主クラス以外の危険性がないか確認します。 追加ラベル、隔離、混載可否、保管条件に反映します。 主クラスだけを見て副次危険性を見落とす場合があります。
4. 輸送モードを確認する 海上輸送か、航空輸送か、国内配送を伴うかを確認します。 輸送モードごとの受託条件を確認します。 海上と航空の条件を混同する場合があります。
5. 関係者の受託可否を確認する 船会社、航空会社、CFS、倉庫、トラック会社が受けられるかを確認します。 規則上可能でも、実運用で受けられない場合を防ぎます。 船会社が受けてもCFSや倉庫が受けない場合があります。
6. 現物表示を確認する 外装ラベル、UN番号表示、GHS表示、リチウム電池表示などを確認します。 書類と現物表示の不一致を防ぎます。 搬入時にラベル・マーク不足で止まる場合があります。

SDS・危険物申告書・現物ラベルの照合

危険物クラスは、SDSだけ、危険物申告書だけ、現物ラベルだけで判断するものではありません。

フォワーダーは、少なくとも次の情報が矛盾していないかを確認します。

照合対象 確認する内容 不一致がある場合 確認する相手
SDS UN番号、正式輸送品名、危険物クラス、容器等級、副次危険性を確認します。 最新版か、対象製品が一致しているか確認します。 荷主、メーカー
危険物申告書 DGD上のクラス、数量、包装、容器等級、緊急連絡先を確認します。 SDSやインボイスと照合し、荷主へ確認します。 荷主、危険品申告者、メーカー
インボイス・パッキングリスト 品名、型番、数量、荷姿、重量を確認します。 危険品資料の対象貨物と一致しているか確認します。 荷主、輸出者、梱包者
現物ラベル・外装表示 危険物クラスラベル、UN番号表示、取扱表示を確認します。 搬入前に表示修正や再確認を行います。 荷主、倉庫、CFS、航空上屋
非危険品証明書 非危険品とする根拠、対象製品、作成日を確認します。 SDSや現物表示と矛盾していないか確認します。 荷主、メーカー、危険品専門業者

危険物クラスの誤りは、単なる書類上の表記ミスではなく、貨物の危険性を関係者へ誤って伝える問題です。

フォワーダーの関与範囲対比表

区分 支援しやすいこと 断定すべきでないこと 実務上の対応
危険物クラスの入口確認 SDS、DGD、UN番号、正式輸送品名、危険物クラスを確認することです。 商品名だけでクラスを判断することです。 荷主・メーカーから資料を取得し、書類間の整合を確認します。
クラス分類の確認 書類上のクラスが輸送手配に必要な情報として揃っているか確認することです。 化学的分類の最終責任者として独自に分類を決定することです。 疑義がある場合は、荷主、メーカー、危険品専門業者へ確認します。
副次危険性の確認 主クラス以外の危険性、追加ラベル、隔離条件を確認することです。 主クラスだけで混載可否や保管可否を判断することです。 SDS、DGD、船会社・CFS条件を照合します。
船会社・航空会社への確認 当該クラス、UN番号、数量、包装を提示して受託可否を確認することです。 規則上可能なら運送人も必ず受けると判断することです。 運送人ごとの回答と条件を記録します。
CFS・倉庫への確認 当該クラスの搬入可否、保管可否、混載可否を確認することです。 船会社が受ければCFSや倉庫も受けると判断することです。 CFS、危険品倉庫、国内配送会社へ個別確認します。
Class 9貨物の確認 リチウム電池、ドライアイス、磁性物質などの個別条件を確認することです。 Class 9を「その他」だから軽く扱えると判断することです。 品目別の輸送条件、航空会社条件、表示要件を確認します。
書類・現物照合 SDS、DGD、インボイス、P/L、外装表示が一致しているか確認することです。 書類提出があるため現物表示確認は不要と判断することです。 搬入前にラベル・UN番号表示・外装表示を確認します。
疑義が残る場面 手配を保留し、荷主・メーカー・専門業者へ追加確認することです。 不一致を残したままブッキング、搬入、航空上屋搬入を進めることです。 修正書類を取得し、関係者へ再提出します。

実務で問題になりやすいケース

ケース 問題になる点 確認する資料・相手 対応の方向性
SDSと危険物申告書で危険物クラスが異なる 正しい分類が確定できず、船会社・航空会社・CFSが判断できません。 SDS、DGD、インボイス、メーカー確認資料 荷主・メーカーへ確認し、正しい分類に書類を統一します。
UN番号は分かっているが、クラスや容器等級が確認できていない 包装、ラベル、受託可否を判断できません。 SDS、DGD、危険品判定資料 必要情報を取得してから船会社・航空会社へ確認します。
副次危険性を見落としている 追加ラベル、隔離、混載可否、保管条件が漏れます。 SDS、DGD、副次危険性欄、船会社回答 主クラスだけでなく、副次危険性欄を確認します。
海上輸送と航空輸送の条件を混同している 海上で受けられても航空で受けられない場合があります。 IMDG Code、IATA危険物規則、航空会社回答 輸送モードごとに規則と運送人条件を確認します。
倉庫やCFSが特定クラスの危険品を受けられない 船会社確認だけで、CFS・倉庫条件を確認していません。 CFS回答、危険品倉庫回答、船会社回答 CFS、危険品倉庫、国内配送会社の受託条件を確認します。
混載貨物で隔離条件を確認していない 他貨物との相性や隔離要件に問題がある可能性があります。 SDS、DGD、混載業者回答、CFS条件 危険品の混載可否、隔離条件、CFS混載条件を確認します。
外装ラベルと書類上のクラスが一致していない 現物と書類の不一致により、搬入拒否や受託拒否につながります。 現物写真、DGD、SDS、インボイス、P/L 搬入前に現物表示、DGD、SDS、インボイスを照合します。
Class 9を軽視して通常貨物に近い扱いで進めた リチウム電池、ドライアイス、磁性物質などの個別条件を確認していません。 SDS、製品仕様書、UN番号、航空会社・船会社回答 Class 9の個別条件を確認し、必要な表示・書類・包装を整えます。

4列判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
見積依頼で危険品の可能性がある貨物を受けたとき 荷主・メーカー SDS第14項、UN番号、正式輸送品名、危険物クラス、容器等級を確認します。 情報不足の場合は、通常貨物として見積・手配を確定しません。
SDSとDGDを受け取ったとき 荷主・危険品申告者 危険物クラス、UN番号、正式輸送品名、容器等級、数量が一致しているか確認します。 不一致がある場合は、荷主・メーカーへ修正確認します。
副次危険性がある貨物を扱うとき 荷主・メーカー・危険品専門業者 主クラス、副次危険性、追加ラベル、隔離条件を確認します。 追加ラベル、保管条件、混載可否を再確認します。
海上輸送を手配するとき 船会社・NVOCC・CFS・混載業者 IMDG Code上の扱い、船社受託可否、CFS搬入、LCL混載可否を確認します。 受託不可なら、別船社、別CFS、FCL化、別便を検討します。
航空輸送を手配するとき 航空会社・航空代理店・クーリエ会社 IATA危険物規則上の扱い、数量制限、包装、旅客機搭載可否を確認します。 受託不可なら、貨物機便、別航空会社、海上輸送を検討します。
CFS・倉庫へ搬入するとき CFS・危険品倉庫・国内配送会社 当該クラスの受入可否、保管条件、搬入日、混載可否を確認します。 受入不可なら、別CFS、危険品倉庫、搬入日変更を検討します。
Class 9貨物を扱うとき 荷主・メーカー・航空会社・船会社 リチウム電池、ドライアイス、磁性物質、環境有害性物質の個別条件を確認します。 個別条件に合わない場合は、再梱包、別便、別輸送モードを検討します。
現物ラベルを確認するとき 荷主・倉庫・CFS・航空上屋 危険物クラスラベル、UN番号表示、GHS表示、リチウム電池表示が書類と一致するか確認します。 搬入前に表示修正、再ラベル、書類修正を行います。

具体例1:SDSとDGDで危険物クラスが異なったケース

荷主からSDSと危険物申告書が提出されたものの、SDSではClass 3、DGDではClass 8と記載されていたケースです。

この状態では、船会社、航空会社、CFS、倉庫が正しい危険性を判断できません。旧版SDS、別製品のSDS、DGD作成ミス、分類変更などが原因として考えられます。

フォワーダーは、荷主またはメーカーへ確認し、対象製品、最新版SDS、正しいUN番号、正式輸送品名、危険物クラス、容器等級を確定させます。

分類が確定するまでは、ブッキング、CFS搬入、航空上屋搬入を進めないことが基本です。

具体例2:Class 9のリチウム電池を軽く見てしまったケース

荷主から「電子部品」として出荷依頼を受け、Class 9に該当するリチウム電池が含まれていたケースです。

Class 9は「その他の有害性物質・物品」ですが、リチウム電池は航空輸送、海上輸送、CFS搬入、クーリエ受託で条件確認が必要な代表的貨物です。

フォワーダーは、UN3480、UN3481、UN3090、UN3091のどれに該当するか、電池単体・機器同梱・機器組込の別、UN38.3、包装、表示、航空会社条件を確認します。

Class 9だから軽く扱えるのではなく、個別品目の輸送条件を確認することが重要です。

具体例3:副次危険性を見落として混載不可となったケース

主クラスだけを見てCFS混載の手配を進めたところ、副次危険性があることが後から判明し、混載不可となったケースです。

副次危険性がある場合、追加ラベル、隔離、保管区分、混載可否、緊急時対応が変わることがあります。

フォワーダーは、SDS、DGD、危険品判定資料を確認し、主クラスだけでなく副次危険性欄を確認します。

CFSや混載業者が受けられない場合は、別CFS、別便、FCL化、危険品倉庫での一時保管を検討します。

具体例4:海上で受けられた危険品を航空へ切り替えようとしたケース

船積み遅延により、荷主から危険品貨物を航空輸送へ切り替えたいと依頼されたケースです。

海上輸送で受けられるクラスであっても、航空輸送では数量制限、包装基準、旅客機搭載可否、航空会社独自条件により受託不可となる場合があります。

フォワーダーは、IATA危険物規則上の扱い、航空会社条件、包装、ラベル、1梱包あたり数量、貨物機専用条件を改めて確認します。

航空会社が受けられない場合は、海上輸送継続、貨物機便、別航空会社、別ルート、納期再調整を荷主へ提示します。

荷主へ確認すべきこと

危険物クラスが関係する貨物では、フォワーダーは荷主に対して、早い段階で次の情報を確認します。

  • SDSの第14項に危険物クラスが記載されているか。
  • UN番号、正式輸送品名、危険物クラス、容器等級が確認できているか。
  • 危険物申告書のクラスとSDSのクラスが一致しているか。
  • 副次危険性があるか。
  • 海上輸送と航空輸送で扱いが異ならないか。
  • 船会社・航空会社が受託可能なクラスか。
  • 倉庫、CFS、トラック会社が受けられるクラスか。
  • 混載や隔離条件に問題がないか。
  • 外装ラベル、UN番号表示、現物表示が書類と一致しているか。
  • Class 9に該当する場合、リチウム電池、ドライアイス、磁性物質などの個別条件を確認しているか。

よくある誤解

危険物クラスでは、番号、クラス名、SDS記載、現物表示を誤って理解すると、手配ミスにつながります。

誤解 実務上の考え方 確認すべきこと
数字が大きいほど危険である クラス番号は危険性の強さではなく、危険性の種類を示す分類です。 クラス名、UN番号、正式輸送品名、容器等級を確認します。
Class 9はその他なので重要度が低い Class 9にはリチウム電池など実務頻度の高い貨物が含まれます。 個別品目ごとの輸送条件、航空会社条件、表示を確認します。
同じクラスなら混載できる 同じクラスでもUN番号、副次危険性、隔離要件により混載可否が変わります。 混載可否、隔離条件、CFS・船会社条件を確認します。
SDSにクラスが書いてあれば十分である SDSが古い、輸送情報欄が不十分、DGDや現物表示と不一致の場合があります。 SDS、DGD、インボイス、現物表示を照合します。
海上で受けられたクラスなら航空でも受けられる 航空輸送は数量、包装、搭載条件が異なります。 IATA危険物規則、航空会社条件、旅客機搭載可否を確認します。
主クラスだけ見れば足りる 副次危険性がある場合、追加ラベル、隔離、保管条件に影響します。 副次危険性、追加ラベル、混載可否、緊急時対応を確認します。
船会社が受けるクラスならCFSや倉庫も受ける 船会社、CFS、倉庫、国内配送会社の受入判断は別です。 CFS搬入条件、危険品倉庫、国内配送会社の受託可否を確認します。
外装ラベルが貼ってあれば書類照合は不要である 外装ラベルとSDS、DGD、インボイスが一致しない場合があります。 外装表示、SDS、DGD、インボイス、P/Lを照合します。

フォワーダーが注意すべき点

危険物クラスは、危険品輸送の安全性と実務可否を判断するための基本項目です。

  • 危険物クラスはSDSの輸送情報欄で確認します。
  • UN番号、正式輸送品名、容器等級とセットで確認します。
  • クラス番号を危険性の強さの順位と誤解しません。
  • 副次危険性の有無を確認します。
  • 海上輸送と航空輸送で条件を分けて確認します。
  • Class 9を軽視せず、リチウム電池、ドライアイス、磁性物質などの個別条件を確認します。
  • 倉庫、CFS、トラック会社の受入可否を事前に確認します。
  • SDS、危険物申告書、インボイス、パッキングリスト、現物ラベルを照合します。
  • 疑義がある場合は、荷主、メーカー、船会社、航空会社、CFS、危険品専門業者へ事前確認します。

まとめ

危険物クラスとは、危険品を輸送上の危険性に応じて分類する区分です。

国際輸送では、危険品はClass 1からClass 9までに分類され、UN番号、正式輸送品名、容器等級、ラベル、マーク、危険物申告書、積付け、隔離条件、受託可否などと結び付いて使われます。

危険物クラスの番号は、危険性の強さの順位を示すものではありません。Class 3は引火性液体、Class 8は腐食性物質、Class 9はその他の有害性物質を示すように、危険性の種類を示す分類です。

フォワーダーは、危険物クラスを単独で判断せず、UN番号、正式輸送品名、容器等級、副次危険性、数量、荷姿、輸送モード、船会社・航空会社・CFS・倉庫の受託条件と合わせて確認する必要があります。

危険物クラスの確認は、危険品輸送の入口であり、包装、ラベル、書類、混載可否、倉庫保管、航空搭載可否、事故時対応に影響します。書類と現物表示に不一致がある場合は、手配を進める前に荷主やメーカーへ確認することが基本です。

本記事の要点は、危険物クラスを単なるClass番号として覚えるのではなく、UN番号、正式輸送品名、副次危険性、輸送モード、CFS・倉庫・運送人の受託条件と結び付けて確認する実務情報として扱うことです。

同義語・別表記

  • 危険物クラス
  • 危険品クラス
  • 危険物分類
  • 危険品分類
  • DG Class
  • Hazard Class
  • Dangerous Goods Class
  • Dangerous Goods Classification

関連用語