UN番号―危険品輸送における識別と確認方法

UN Number — Identification and Verification in Dangerous Goods Transport

UN番号とは

UN番号とは、危険品を輸送上識別するために付けられる4桁の国際番号です。

国連番号とも呼ばれ、危険品輸送では、正式輸送品名、危険物クラス、容器等級、包装基準、ラベル、危険物申告書などと結び付いて使われます。

フォワーダー実務では、UN番号は危険品手配の中心情報です。荷主からSDSや危険物申告書を受け取った場合、まずUN番号を確認し、その番号に対応する正式輸送品名、危険物クラス、容器等級、輸送条件、船会社・航空会社の受託可否を確認します。

ただし、UN番号は危険品確認の入口情報であり、UN番号だけで輸送可否が決まるわけではありません。数量、荷姿、包装形態、輸送モード、受託条件によって、実際の手配条件は変わります。

この記事で扱う範囲

項目 本記事で扱う内容 他記事に委ねる内容
UN番号の基本 危険品を輸送上識別する4桁番号としての役割を整理します。 国連危険物輸送勧告全体の詳細は、UN Model Regulationsや各輸送規則の記事で扱います。
正式輸送品名との関係 UN番号とProper Shipping Nameをセットで確認する実務を扱います。 正式輸送品名ごとの詳細な分類判断は、IMDG CodeやIATA危険物規則の記事で扱います。
インボイス品名との違い 商品名、販売名、一般名称と、輸送規則上の正式輸送品名の違いを扱います。 インボイス作成や通関品名の詳細は、通関書類の記事で扱います。
SDSとの関係 SDS第14項に記載されるUN番号、クラス、容器等級、海洋汚染物質の確認を扱います。 SDS全体の読み方は、SDSの記事で扱います。
危険物申告書との照合 SDS、危険物申告書、現物ラベル、インボイス、パッキングリストのUN番号照合を扱います。 危険物申告書の様式や記載例は、危険物申告書の記事で扱います。
海上輸送と航空輸送の違い 同じUN番号でも、IMDG CodeとIATA危険物規則で確認先や条件が異なる点を扱います。 海上危険品・航空危険品の詳細は、それぞれIMDG CodeとIATA危険物規則の記事で扱います。
条件分岐 数量、濃度、包装形態、容器、輸送モード、運送人条件により扱いが変わる場合を扱います。 個別貨物の包装基準や数量制限は、最新版規則と運送人条件で確認する内容です。
実務トラブル対応 SDSと申告書のUN番号不一致、品名不一致、現物表示との矛盾、事前申告遅れへの対応を扱います。 事故後の費用負担、損害賠償、遅延責任は、貨物事故・費用負担の記事で扱います。

UN番号の基本的な役割

UN番号は、危険品を国際的に識別するための番号です。

同じ化学品や製品でも、国や言語によって名称が異なることがあります。UN番号を使うことで、荷主、フォワーダー、船会社、航空会社、倉庫、CFS、通関業者などの関係者が、同じ危険品として認識しやすくなります。

たとえば、インボイス上の品名が「塗料」「接着剤」「洗浄剤」「香料」などの一般名であっても、輸送上はUN番号と正式輸送品名に基づいて危険品として整理する必要があります。

確認対象 役割 実務上の注意 確認する資料
UN番号 危険品を輸送上識別する4桁番号です。 危険品確認の入口になりますが、単独では輸送条件を確定できません。 SDS、危険物申告書、現物ラベル
正式輸送品名 輸送規則上、その危険品を表す標準的な品名です。 商品名やインボイス品名と異なる場合があります。 SDS第14項、危険物申告書
危険物クラス 爆発性、ガス、引火性、腐食性、毒性などの主な危険性を示します。 ラベル、積付け、隔離、受託可否に関係します。 SDS、危険物申告書、輸送規則
容器等級 該当貨物の危険性の程度や包装条件に関係する区分です。 包装基準や数量制限の確認につながります。 SDS、危険物申告書、包装資料
副次危険性 主危険性に加えて存在する追加の危険性です。 ラベル、隔離、混載可否の確認に影響します。 SDS、危険物申告書、船会社・航空会社回答

UN番号と正式輸送品名の関係

UN番号は、正式輸送品名とセットで使います。

正式輸送品名とは、危険品輸送上その貨物を表す標準的な品名です。インボイス上の商業品名、商品名、社内品番、一般名称とは異なる場合があります。

UN番号だけでは、貨物の具体的な形態や条件が十分に分からないことがあります。正式輸送品名、危険物クラス、容器等級、数量、荷姿と組み合わせて初めて、輸送上の確認が進みます。

区分 例 実務上の見方 確認上の注意点
商品名・販売名 クリーナー、接着剤、塗料、香料、洗浄剤などです。 商流上の名称であり、危険品輸送上の正式名称とは限りません。 インボイス品名だけで危険品該非を判断しません。
正式輸送品名 危険品輸送規則上の標準的な品名です。 危険物申告書や輸送書類に使う基礎情報になります。 UN番号とセットで確認します。
UN番号 危険品を識別する4桁番号です。 正式輸送品名、クラス、容器等級、包装条件とセットで確認します。 番号だけで輸送可否を判断しません。
N.O.S.品名 特定の一般品名に収まらない危険品の分類で使われることがあります。 成分名や技術名の補足が必要になる場合があります。 危険物申告書、SDS、メーカー確認資料を照合します。

フォワーダーは、インボイス品名だけで危険品該非を判断してはいけません。SDSの輸送情報欄、危険物申告書、現物ラベルを確認し、UN番号と正式輸送品名が正しく対応しているかを確認します。

正式輸送品名とインボイス品名が一致しない場合

正式輸送品名とインボイス品名が一致しないこと自体は珍しくありません。問題は、その不一致が単なる商業品名の違いなのか、別製品のSDSや誤った危険品分類によるものなのかを確認しないまま手配を進めることです。

手順 確認すること 対応の方向性 確認する相手
1. インボイス品名を確認する 商品名、型番、品番、用途、メーカー名を確認します。 対象貨物を特定します。 荷主、輸出者、メーカー
2. SDSの製品名を確認する SDS上の製品名、会社名、改訂日を確認します。 インボイス上の貨物と同じ製品のSDSか確認します。 荷主、メーカー
3. SDS第14項を確認する UN番号、正式輸送品名、クラス、容器等級を確認します。 輸送上の危険品分類を確認します。 荷主、メーカー、危険品専門業者
4. 危険物申告書を確認する 申告書上のUN番号、正式輸送品名、数量、包装を確認します。 SDS第14項と一致しているか確認します。 荷主、危険品申告者
5. 荷主・メーカーへ確認する 品名差異、別名、型番、成分、用途を確認します。 同一製品であること、正しい正式輸送品名であることを確認します。 荷主、メーカー
6. 受託条件を確認する 船会社、航空会社、CFS、倉庫の受入可否を確認します。 正しいUN番号と正式輸送品名で手配を進めます。 船会社、航空会社、CFS、倉庫

品名が一致しない場合は、書類を無理に合わせるのではなく、対象製品と輸送分類を確認してから進めることが重要です。

UN番号・危険物クラス・副次危険性の関係

UN番号は、危険物クラスと密接に関係します。ただし、UN番号を見ただけで、主危険性、副次危険性、容器等級、包装条件のすべてが自動的に分かるわけではありません。

危険品には、主たる危険性に加えて、副次危険性がある場合があります。たとえば、引火性を主危険性としながら、毒性や腐食性などの副次危険性を持つ貨物では、ラベル、隔離、積付け、受託可否の確認がより複雑になります。

確認項目 意味 実務上の影響 確認する資料
主危険性 その貨物の主な危険性を示す分類です。 主ラベル、積付け、基本的な受託可否に関係します。 SDS、危険物申告書、輸送規則
副次危険性 主危険性に加えて存在する追加の危険性です。 追加ラベル、隔離条件、混載可否に影響します。 SDS、危険物申告書、船会社・航空会社回答
容器等級 該当する場合、危険性の程度や包装条件に関係する区分です。 包装基準、数量制限、船会社・航空会社確認に関係します。 SDS、危険物申告書、包装資料
海洋汚染物質 海上輸送で環境有害性に関係する該当性です。 海洋汚染物質マーク、申告、船会社確認に関係します。 SDS、危険物申告書、外装表示

フォワーダーは、UN番号だけを見るのではなく、主危険性、副次危険性、容器等級、海洋汚染物質該当性をセットで確認する必要があります。

同じUN番号でも条件が分岐する場合

同じUN番号が確認できていても、数量、容器、濃度、包装形態、輸送モードなどによって、実際の手配条件が変わることがあります。

分岐する要素 起きる可能性があること 確認すること 対応の方向性
数量 少量扱い、制限数量、危険物申告書要否、受託条件が変わる場合があります。 1容器あたりの数量、総数量、外装単位を確認します。 数量変更時は危険物申告書と受託条件を再確認します。
容器・包装 瓶、缶、ドラム、カートン、エアゾールなどで包装基準が変わる場合があります。 内装、外装、UN容器、ラベル表示を確認します。 包装形態変更時はSDSと申告書を再確認します。
濃度・成分 同じ商品名でも濃度や成分変更により分類が変わる場合があります。 SDSの成分情報、改訂日、危険品判定資料を確認します。 過去出荷実績をそのまま使わず、最新版SDSを取得します。
副次危険性 主危険性だけでは隔離やラベル条件を判断できない場合があります。 危険物クラス、副次危険性、必要ラベルを確認します。 混載可否、積付け、ラベルを再確認します。
海洋汚染物質該当性 海上輸送で追加表示や申告が必要になる場合があります。 SDS、危険物申告書、外装表示を確認します。 Marine Pollutant表示・申告を確認します。
海上輸送・航空輸送の違い 海上では受けられても、航空では受託不可または条件付きとなる場合があります。 IMDG CodeとIATA危険物規則を分けて確認します。 輸送モード変更時は再確認します。
船会社・航空会社の独自条件 規則上可能でも、運送人が受けない場合があります。 船会社、航空会社、クーリエ会社、CFS、倉庫の条件を確認します。 見積・ブッキング前に受託可否を確認します。

UN番号が同じであっても、前回と同じ条件で輸送できるとは限りません。数量、荷姿、輸送モード、受託条件が変わる場合は、再確認が必要です。

SDSとの関係

SDSの輸送情報欄には、UN番号、正式輸送品名、危険物クラス、容器等級、海洋汚染物質該当性などが記載されることがあります。

危険品輸送では、SDSのこの欄が重要な確認資料になります。ただし、SDSにUN番号が記載されていない場合でも、必ず非危険品とは限りません。

SDSの状態 注意点 対応の方向性 確認する相手
SDSにUN番号がある 危険品に該当する可能性が高いですが、輸送可否までは確定しません。 正式輸送品名、クラス、容器等級、輸送モード別条件を確認します。 荷主、メーカー、船会社、航空会社
SDSにUN番号がない 非危険品の場合もありますが、輸送情報欄が不完全な場合もあります。 最新版SDS、メーカー確認書、非危険品証明書を確認します。 荷主、メーカー、危険品専門業者
SDSが古い 分類、成分、法令、輸送情報が現在の扱いと異なる可能性があります。 最新版を取得し、改訂日と第14項を確認します。 荷主、メーカー
SDSと現物ラベルが矛盾する 別製品、旧ラベル、誤ったSDSの可能性があります。 現物写真、ラベル、型番、メーカー確認を照合します。 荷主、倉庫、メーカー
SDSと危険物申告書のUN番号が異なる 危険品分類が確定できず、受託確認が止まります。 荷主・メーカーへ確認し、正しいUN番号を確定します。 荷主、メーカー、危険品申告者

危険物申告書との関係

危険物申告書では、UN番号、正式輸送品名、危険物クラス、容器等級、数量、容器、緊急連絡先などが記載されます。

フォワーダーは、危険物申告書のUN番号と、SDS、インボイス、パッキングリスト、現物ラベルの内容に矛盾がないかを確認する必要があります。

照合対象 確認する内容 不一致がある場合 確認する相手
SDS UN番号、正式輸送品名、クラス、容器等級を確認します。 SDSと申告書のどちらが正しいか、荷主・メーカーへ確認します。 荷主、メーカー、危険品申告者
インボイス 商品名、型番、数量、メーカー名を確認します。 対象製品とSDSが一致しているか確認します。 荷主、輸出者、メーカー
パッキングリスト 数量、荷姿、容器、外装、重量を確認します。 危険物申告書の数量・包装条件と一致しているか確認します。 荷主、倉庫、梱包業者
現物ラベル・外装表示 UN番号、危険品ラベル、GHS表示、ケースマークを確認します。 書類と現物表示が一致しているか確認します。 荷主、倉庫、配送会社
非危険品証明書 非危険品とする根拠を確認します。 SDSや現物表示と矛盾していないか確認します。 荷主、メーカー

UN番号の記載誤りは、船会社・航空会社の受託拒否、搬入拒否、積載遅延、誤った隔離・積付けにつながる可能性があります。

海上輸送と航空輸送での確認の違い

UN番号は、海上輸送でも航空輸送でも危険品確認の入口になります。ただし、同じUN番号であっても、海上輸送と航空輸送では確認先、包装、数量制限、受託可否が異なる場合があります。

確認項目 海上輸送 航空輸送 フォワーダー実務上の注意点
基準となる規則 IMDG Codeを確認します。 IATA危険物規則を確認します。 輸送モードが変わる場合は、条件を確認し直します。
確認先 船会社、NVOCC、CFS、危険品倉庫、トラック会社です。 航空会社、クーリエ会社、空港上屋、危険品専門業者です。 規則上可能でも、実際の受託可否は運送人・施設ごとに異なります。
包装・表示 外装ラベル、UN番号表示、コンテナプラカード、海洋汚染物質表示を確認します。 航空危険品ラベル、包装基準、数量制限、旅客機搭載可否、貨物機専用条件を確認します。 海上用の表示・包装を航空へそのまま流用しないようにします。
混載・隔離 LCL混載、CFS保管、コンテナ内積付け、隔離条件が問題になります。 航空会社の受託条件、便・機材、旅客機・貨物機区分が問題になります。 同じUN番号でも実務上の制限が異なります。
リードタイム 危険品承認、CFS搬入締切、船会社確認に時間がかかります。 航空会社事前確認、書類審査、上屋搬入条件に時間がかかります。 見積段階からUN番号、クラス、数量、荷姿を確認します。
注意点 船会社が受けても、CFSやトランシップ港で止まることがあります。 規則上可能でも、航空会社やクーリエ会社が受けないことがあります。 運送人条件と施設条件を分けて確認します。

フォワーダーは、UN番号を確認した後、海上輸送ならIMDG Code、航空輸送ならIATA危険物規則に分けて確認する必要があります。

リチウム電池で見るUN番号の分かれ方

リチウム電池貨物は、UN番号と貨物形態の関係を理解しやすい代表例です。

同じリチウム電池関連貨物でも、電池の種類や、電池単体か、機器同梱か、機器組込かによってUN番号や輸送条件が変わります。

区分 代表的なUN番号 実務上の確認 注意点
リチウムイオン電池単体 UN3480 Wh値、数量、包装、航空輸送可否、航空会社受託条件を確認します。 電池単体として扱うため、受託条件を特に確認します。
リチウムイオン電池の機器同梱・機器組込 UN3481 機器との関係、同梱か組込か、数量、表示・書類条件を確認します。 同梱と組込を混同しないようにします。
リチウム金属電池単体 UN3090 リチウム含有量、数量、包装、受託可否を確認します。 航空輸送では受託可否を慎重に確認します。
リチウム金属電池の機器同梱・機器組込 UN3091 機器との関係、電池数量、包装、表示条件を確認します。 製品仕様書や電池資料で確認します。

このように、UN番号は単なる番号ではなく、貨物の種類、形態、包装、数量、輸送モードと結び付いて使われます。特に航空輸送では、UN番号が分かっても、受託可否や包装条件を別途確認する必要があります。

UN番号帯の見方

UN番号は4桁の番号であり、番号帯によっておおよその危険性カテゴリーにまとまる傾向があります。

たとえば、爆発物、ガス、引火性液体、腐食性物質、毒性物質、リチウム電池関連貨物などは、それぞれ一定の番号帯に多く見られる傾向があります。

ただし、番号帯だけで危険物クラスや輸送条件を判断してはいけません。実務では、必ずSDS、危険物申告書、正式輸送品名、危険物クラス、容器等級、輸送規則を確認します。

見方 実務上の使い方 注意点 確認すべき資料
番号帯の傾向を見る おおよその危険性カテゴリーを推測する補助情報になります。 推測だけで手配しません。 SDS、危険物申告書、輸送規則
正式輸送品名と照合する 番号と品名が正しく対応しているか確認します。 インボイス品名だけでは判断しません。 SDS第14項、危険物申告書
危険物クラスと照合する 主危険性、副次危険性、ラベル条件を確認します。 番号帯とクラスが一致するとは限りません。 SDS、危険物申告書、外装ラベル
輸送モード別に確認する 海上輸送と航空輸送で扱いを分けます。 同じUN番号でも航空では制限が強い場合があります。 IMDG Code、IATA危険物規則、運送人条件

フォワーダー実務での確認フロー

UN番号がある貨物では、次の順番で確認します。

手順 確認すること 判断の方向性 止まりやすいポイント
1. SDSを確認する 第14項の輸送情報、UN番号、正式輸送品名を確認します。 危険品該当性を確認します。 SDSが古い、空欄、別製品の場合があります。
2. 危険物申告書を確認する UN番号、正式輸送品名、クラス、容器等級、数量を確認します。 SDSと一致しているか確認します。 UN番号や数量がSDSと一致しない場合があります。
3. インボイス・パッキングリストを確認する 品名、数量、荷姿、重量、容器を確認します。 対象貨物と申告内容が一致しているか確認します。 商業品名と正式輸送品名が違う場合があります。
4. 現物ラベル・外装表示を確認する UN番号、危険品ラベル、GHS表示、ケースマークを確認します。 書類と現物が一致しているか確認します。 現物表示と書類が矛盾する場合があります。
5. 輸送モード別に確認する IMDG Code、IATA危険物規則、船会社・航空会社条件を確認します。 海上輸送と航空輸送で条件を分けて確認します。 海上で可能でも航空では不可となる場合があります。
6. 受託可否を確認する 船会社、航空会社、CFS、倉庫、クーリエ会社を確認します。 規則上可能でも実際に受けられるか確認します。 運送人・施設の独自条件で止まる場合があります。
7. 表示・書類を整える 危険物申告書、ラベル、プラカード、非危険品証明書などを確認します。 搬入拒否、受託拒否、船積み・搭載遅延を防ぎます。 搬入当日に表示不備が見つかる場合があります。

フォワーダーの関与範囲対比表

区分 支援しやすいこと 断定すべきでないこと 実務上の対応
SDSを受け取る場面 第14項のUN番号、正式輸送品名、クラス、容器等級を確認することです。 SDSにUN番号があるだけで輸送可能と断定することです。 危険物申告書、現物ラベル、輸送モード別条件と照合します。
UN番号だけを荷主から伝えられた場面 根拠資料としてSDSや危険物申告書の提出を依頼することです。 UN番号だけで見積・ブッキング条件を確定することです。 正式輸送品名、クラス、数量、荷姿を確認します。
インボイス品名と正式輸送品名が違う場面 対象貨物、型番、SDS、メーカー資料を照合することです。 品名が違うため誤りと即断すること、または違いを放置することです。 商業品名と輸送品名の関係を整理します。
危険物申告書を受け取る場面 SDS、インボイス、パッキングリスト、現物表示との整合を確認することです。 申告書が提出されたため内容確認は不要と考えることです。 UN番号、正式輸送品名、数量、荷姿を照合します。
海上輸送を手配する場面 IMDG Code、船会社、CFS、危険品倉庫の条件を確認することです。 UN番号が確認できたため船積み可能と断定することです。 CFS受入可否、混載可否、トランシップ港制限も確認します。
航空輸送を手配する場面 IATA危険物規則、航空会社、クーリエ会社の条件を確認することです。 海上で受けられたため航空でも受けられると判断することです。 包装基準、数量制限、旅客機搭載可否を確認します。
リチウム電池貨物を扱う場面 UN3480、UN3481、UN3090、UN3091のいずれかと、電池形態を確認することです。 「電池入り」という説明だけで扱いを判断することです。 電池種類、Wh値、リチウム含有量、同梱・組込の別を確認します。
書類や現物に矛盾がある場面 不一致箇所を整理し、荷主・メーカーへ確認することです。 矛盾を残したまま船会社・航空会社へ提出することです。 分類と輸送条件を確定させてから手配を進めます。

実務で問題になりやすいケース

ケース 問題になる点 確認する資料・相手 対応の方向性
SDSと危険物申告書のUN番号が一致しない 危険品分類が確定できず、船会社・航空会社が受託判断できません。 SDS、危険物申告書、メーカー確認 荷主・メーカーへ確認し、正しいUN番号と正式輸送品名を確定します。
インボイス品名だけで通常貨物として手配してしまう 実際には危険品に該当する可能性があります。 インボイス、SDS、現物ラベル、成分情報 SDS、現物ラベル、成分、用途を確認します。
UN番号はあるが、正式輸送品名やクラスが確認できていない 輸送条件や必要ラベルを判断できません。 SDS、危険物申告書、輸送規則 正式輸送品名、クラス、容器等級を確認します。
海上輸送と航空輸送の条件を取り違える 海上では受けられても、航空では受託不可の場合があります。 IMDG Code、IATA危険物規則、運送人回答 輸送モード別に確認します。
現物ラベルに危険表示があるのに、書類上は非危険品になっている SDSが古い、別製品、または現物表示と資料が矛盾している可能性があります。 現物写真、ラベル、SDS、メーカー確認書 現物表示とSDSを照合し、必要に応じて再判定します。
混載貨物で隔離条件を見落とす UN番号に基づくクラスや副次危険性を確認していない可能性があります。 危険物クラス、副次危険性、CFS回答 CFS混載可否、隔離条件、船会社条件を確認します。
船会社・航空会社への危険品事前申告が遅れる 承認が間に合わず、船積み・搭載が遅れます。 SDS、危険物申告書、運送人回答 見積・ブッキング段階でUN番号、クラス、数量、荷姿を提出します。
同じUN番号の過去実績だけで今回も進める 数量、荷姿、包装、輸送モードが変わると条件が変わる場合があります。 最新版SDS、今回のP/L、現物ラベル、運送人条件 過去実績を参考にしつつ、今回条件で再確認します。

4列判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
UN番号を受け取ったとき 荷主・メーカー SDS、危険物申告書、正式輸送品名、危険物クラスを確認します。 UN番号だけで手配を確定せず、根拠資料を求めます。
SDS第14項を確認するとき 荷主・メーカー・危険品専門業者 UN番号、正式輸送品名、クラス、容器等級、海洋汚染物質を確認します。 空欄や不明確な場合は、メーカー確認書や危険品判定資料を求めます。
危険物申告書を受け取ったとき 荷主・危険品申告者 SDS、インボイス、パッキングリスト、現物ラベルとの一致を確認します。 UN番号や正式輸送品名が違う場合は、提出前に修正します。
インボイス品名と正式輸送品名が違うとき 荷主・メーカー 商品名、型番、用途、SDS上の製品名、正式輸送品名を確認します。 同一製品か確認し、必要なら正しいSDSを取得します。
海上輸送を手配するとき 船会社・NVOCC・CFS・倉庫 IMDG Code上の扱い、CFS受入可否、混載可否、海洋汚染物質を確認します。 受入不可なら別CFS、危険品倉庫、FCL化、次船を検討します。
航空輸送を手配するとき 航空会社・クーリエ会社・航空代理店 IATA危険物規則上の扱い、包装基準、数量制限、旅客機搭載可否を確認します。 受託不可なら海上輸送、別便、貨物機便、別航空会社を検討します。
リチウム電池貨物を扱うとき 荷主・メーカー・航空会社 UN3480、UN3481、UN3090、UN3091の別、電池種類、容量、形態を確認します。 不明な場合は通常貨物として進めず、電池資料や製品仕様書を求めます。
現物表示と書類が一致しないとき 荷主・メーカー・倉庫 現物ラベル、UN番号、GHS表示、SDS、危険物申告書を確認します。 搬入・船積み・搭載を保留し、資料修正または再判定を行います。

具体例1:SDSと危険物申告書のUN番号が違ったケース

荷主からSDSと危険物申告書が提出されたものの、SDS第14項のUN番号と危険物申告書のUN番号が一致しないケースです。

この状態で船会社や航空会社へ提出すると、別製品のSDS、旧版SDS、危険物申告書の作成ミス、分類誤りが疑われ、受託確認が止まる可能性があります。

フォワーダーは、荷主またはメーカーへ確認し、対象製品、最新版SDS、正しいUN番号、正式輸送品名、危険物クラス、容器等級を確定させます。

修正後に、SDS、危険物申告書、インボイス、パッキングリスト、現物ラベルを再照合してから、船会社・航空会社・CFS・倉庫へ確認します。

具体例2:インボイス品名が一般名で、UN番号確認が漏れたケース

インボイス上の品名が「洗浄剤」や「クリーナー」とだけ記載されており、通常貨物として手配を進めようとしたケースです。

しかし、SDSを確認すると、輸送情報欄にUN番号、正式輸送品名、危険物クラスが記載されていました。この場合、インボイス品名が一般的であっても、輸送上は危険品として確認する必要があります。

フォワーダーは、インボイス品名、SDS上の製品名、現物ラベル、危険物申告書を照合し、対象貨物が同一であることを確認します。

そのうえで、海上輸送ならIMDG Codeと船会社・CFS条件、航空輸送ならIATA危険物規則と航空会社条件を確認します。

具体例3:同じUN番号でも航空輸送で受託不可となったケース

過去に海上輸送で受けられたUN番号の貨物について、納期短縮のため航空輸送へ切り替えたいと荷主から依頼されたケースです。

同じUN番号であっても、航空輸送では包装基準、数量制限、旅客機搭載可否、貨物機専用条件、航空会社独自制限が問題になります。

フォワーダーは、SDS、危険物申告書、数量、荷姿、包装条件を確認し、航空会社または航空代理店へ受託可否を照会します。

航空で受けられない場合は、海上輸送維持、貨物機便、別航空会社、数量分割、出荷延期などの選択肢を荷主へ提示します。

具体例4:リチウム電池入り製品のUN番号が特定できないケース

荷主から「リチウム電池入り製品」とだけ説明され、UN番号が不明なまま見積依頼を受けたケースです。

この説明だけでは、リチウムイオン電池なのかリチウム金属電池なのか、電池単体なのか機器同梱なのか機器組込なのか、UN3480、UN3481、UN3090、UN3091のどれに該当するのか判断できません。

フォワーダーは、製品仕様書、電池仕様書、Wh値、リチウム含有量、数量、梱包状態、機器同梱・機器組込の別を確認します。

確認前に通常貨物として進めると、航空会社や船会社の確認で止まる可能性があります。リチウム電池貨物では、UN番号と貨物形態を必ずセットで確認することが重要です。

荷主へ確認すべきこと

荷主からUN番号の情報を受け取った場合でも、その番号だけで手配を進めるのではなく、根拠資料と貨物実態を確認します。

  • 最新版のSDSがあるか。
  • SDS第14項にUN番号が記載されているか。
  • 正式輸送品名が確認できているか。
  • 危険物クラスと副次危険性が確認できているか。
  • 容器等級が必要な貨物か。
  • 海洋汚染物質に該当するか。
  • 危険物申告書のUN番号とSDSが一致しているか。
  • インボイス品名、現物ラベル、外装表示と矛盾がないか。
  • 海上輸送と航空輸送で条件が異なるか。
  • 危険品非該当の場合、その根拠資料があるか。
  • 船会社・航空会社・CFS・倉庫が受託可能か。

よくある誤解

誤解 実務上の考え方 確認すべきこと
UN番号が分かれば輸送可否まで判断できる UN番号は入口情報であり、正式輸送品名、クラス、数量、荷姿、輸送モードの確認が必要です。 SDS、危険物申告書、運送人条件を確認します。
UN番号だけあれば正式輸送品名は不要である 危険品輸送ではUN番号と正式輸送品名をセットで確認します。 SDS第14項、危険物申告書を確認します。
インボイス品名と正式輸送品名が違えば書類が誤っている 商品名と正式輸送品名が異なること自体は珍しくありません。 対象製品、SDS、型番、メーカー確認を照合します。
同じUN番号なら前回と同じ条件で輸送できる 数量、包装、濃度、輸送モード、運送人条件が変われば扱いが変わる場合があります。 今回の数量、荷姿、輸送モード、受託条件を確認します。
SDSにUN番号がなければ危険品ではない SDSが古い、輸送情報欄が不完全、対象製品が違う場合があります。 最新版SDS、メーカー確認書、非危険品証明書を確認します。
海上で受けられたUN番号なら航空でも受けられる 同じUN番号でも航空輸送では包装基準、数量制限、搭載条件が異なります。 IATA危険物規則、航空会社条件を確認します。
UN番号帯を見れば危険物クラスが分かる 番号帯は補助的な見方であり、番号帯だけでクラスや条件を判断してはいけません。 SDS、危険物申告書、輸送規則を確認します。
危険物申告書があればSDSとの照合は不要である 申告書とSDSが一致しない場合、船会社・航空会社の確認で止まります。 UN番号、正式輸送品名、クラス、数量、荷姿を照合します。

フォワーダーが注意すべき点

UN番号は、フォワーダーが危険品輸送を進めるうえで最初に確認すべき情報の一つです。

  • UN番号は、SDSと危険物申告書の両方で確認します。
  • UN番号、正式輸送品名、クラス、容器等級をセットで見ます。
  • 副次危険性や海洋汚染物質該当性も確認します。
  • 商品名や一般名だけで危険品該非を判断しません。
  • 同じUN番号でも、数量、荷姿、包装、輸送モードで条件が変わることを前提にします。
  • 海上輸送と航空輸送で条件が異なることを前提に確認します。
  • 疑義がある場合は、荷主、メーカー、船会社、航空会社、危険品専門業者へ事前確認します。

まとめ

UN番号とは、危険品を輸送上識別するために付けられる4桁の国際番号です。

危険品輸送では、UN番号は重要な入口情報ですが、それだけで輸送可否が決まるわけではありません。正式輸送品名、危険物クラス、副次危険性、容器等級、数量、荷姿、輸送モード、受託条件と組み合わせて確認する必要があります。

特に、SDSと危険物申告書のUN番号が一致しているか、インボイス品名と正式輸送品名の関係が整理できているか、海上輸送と航空輸送で条件が異ならないかを確認することが重要です。

UN番号は、危険品輸送の共通言語です。正しいUN番号を確認し、正式輸送品名、クラス、容器等級、包装、ラベル、危険物申告書、船会社・航空会社の受託可否を整理することが、安全な輸送手配につながります。

本記事の要点は、UN番号を単なる4桁番号として見るのではなく、SDS、正式輸送品名、危険物クラス、容器等級、危険物申告書、IMDG Code、IATA危険物規則をつなぐ実務上の確認起点として扱うことです。

同義語・別表記

  • UN番号
  • 国連番号
  • UNナンバー
  • UN No.
  • UN Number
  • United Nations Number