自動車等輸送用具 Drive away clause

Drive Away Clause(ドライブアウェイ約款)とは

Drive Away Clause(ドライブアウェイ約款)とは、自動車、トラック、シャーシ、トラクター、建設機械などの輸送用具が、貨物として船積み・陸揚げされた後、揚げ地で自走または牽引されて最終倉庫、保管場所、納入先などへ移動する間の貨物保険上の扱いを整理するための特別約款です。

自動車等は、通常の貨物と異なり、荷卸し後にトレーラーやキャリアカーで運ばれるだけでなく、自ら走行したり、牽引されて移動したりすることがあります。

この段階では、貨物としての輸送が続いているのか、それとも車両として使用されているのかが問題になります。

Drive Away Clauseの中心は、貨物として輸送された自動車等について、揚げ地から最終目的地までの自走・牽引中に生じた被保険貨物自体の物的損害を、一定の条件のもとで貨物保険の対象として整理する点にあります。

一方で、第三者への人身傷害、他人の財物損害、運転者の賠償責任などは、通常、貨物保険とは別に整理されます。

この記事で扱う範囲

この記事では、自動車、トラック、シャーシ、トラクター、建設機械などが、貨物として輸送された後、揚げ地から最終倉庫や保管場所まで自走または牽引される場合の貨物保険上の考え方を整理します。

具体的には、次のような論点を扱います。

  • Drive Away Clauseが必要になる理由
  • 自走と牽引の違い
  • 貨物輸送の一部として認められやすい移動と、車両使用・試運転として整理されやすい移動の違い
  • 貨物保険で検討対象となる被保険貨物自体の損害
  • 第三者賠償、自動車保険、賠償責任保険との切り分け
  • 適用除外になりやすい損害
  • 自走前・牽引前に確認すべき車両状態
  • フォワーダーやNVOCCが確認すべき実務上の注意点

一方で、積付不備・ラッシング不備と貨物保険甲板積み貨物と貨物保険の実務、梱包不備と保険免責は、それぞれ別の実務論点として整理する必要があります。

本記事では、それらの周辺論点を踏まえつつ、揚げ地以降の自走・牽引区間が貨物保険上どこまで扱われるかに焦点を当てます。

なぜDrive Away Clauseが必要になるのか

Institute Cargo Clausesなどの貨物保険では、一般に倉庫間条件として、出発地の倉庫から通常の輸送過程を経て、仕向地の倉庫や最終保管場所までを保険期間として整理します。

しかし、自動車や建設機械などが貨物として輸送された場合、揚げ地で船から降ろされた後、港、ヤード、保税地域、CY、倉庫から最終目的地まで自走または牽引されることがあります。

この移動が「通常の輸送過程」なのか、車両の「使用」なのかが曖昧になる場合があります。

Drive Away Clauseは、この曖昧な区間を明確にするために付加されます。

特に、輸入車、中古車、トラック、シャーシ、トラクター、特殊車両、建設機械などでは、陸揚げ後の自走移動が実務上発生しやすく、この約款の有無が保険期間や補償範囲の判断に影響します。

対象になりやすい貨物

Drive Away Clauseが問題になりやすいのは、貨物として輸送される一方で、到着後に自走または牽引によって移動できる輸送用具です。

代表的には、次のような貨物があります。

  • 新車、中古車、輸入車
  • トラック、バス、商用車
  • シャーシ、トレーラー、セミトレーラー
  • トラクター、牽引車
  • フォークリフト、重機、建設機械
  • 農業機械、特殊車両
  • 自走可能な機械設備、作業車両

重要なのは、これらが「道路を走る車両」として保険に入っているのではなく、まずは「貨物」として海上輸送または国際輸送されている点です。

Drive Away Clauseは、貨物としての輸送過程の延長にある自走・牽引区間を整理する約款です。

自走と牽引の違い

Drive Away Clauseでは、自走と牽引の違いを確認することが重要です。

区分 内容 典型例 確認事項
自走 被保険貨物である車両や機械が、自らのエンジンや駆動装置によって走行することです。 輸入中古トラックが港湾ヤードから指定倉庫まで走行する場合 運転者、走行経路、移動目的、車両状態、保険対象区間を確認します。
牽引 被保険貨物が他の車両に引かれて移動することです。 シャーシ、トレーラー、故障車両、建設機械が牽引車により移動する場合 牽引方法、連結部、牽引者、移動経路、牽引前の状態を確認します。
積載輸送 自走・牽引ではなく、キャリアカー、トレーラー、低床車などに積載されて輸送されることです。 輸入車をキャリアカーに積んで倉庫まで運ぶ場合 通常の国内輸送として扱うのか、Drive Away Clauseの対象外かを確認します。

実務上は、自走可能な状態であったか、誰が運転または牽引したか、どの経路を通ったか、移動目的が最終倉庫や保管場所への搬入だったかを確認する必要があります。

通常の輸送過程としての移動なのか、使用・試運転・営業運転に近い行為なのかによって、保険上の整理が変わることがあります。

貨物輸送の一部か、車両使用かの切り分け

Drive Away Clauseで最も重要なのは、自走・牽引が貨物輸送の一部として行われているのか、それとも車両としての使用・試運転・営業運転に近いものなのかを切り分けることです。

区分 移動目的 移動区間 保険上の見方 確認資料
貨物輸送の一部として整理されやすい場合 陸揚げ後、指定倉庫、保管場所、検査場、納入先へ搬入するための移動 港湾ヤード、保税地域、CY、指定倉庫、最終保管場所までの合理的な区間 Drive Away Clauseの条件に合えば、貨物輸送の延長として検討される余地があります。 輸送指示書、Booking、搬入先情報、走行経路、事故発生場所、保険条件
通常の国内輸送として整理される場合 キャリアカー、トレーラー、低床車などに積載して保管場所へ運ぶ移動 港から国内倉庫、整備工場、販売拠点までの陸送区間 Drive Awayではなく、国内輸送中の貨物損害として整理されることがあります。 陸送手配書、運送状、車両積載写真、国内配送業者の記録
車両使用・試運転として整理されやすい場合 性能確認、試乗、整備後確認、販売前チェック、営業使用のための走行 倉庫到着後の試走、販売店周辺での走行、営業用の走行、予定外の移動 貨物輸送の通常過程を離れ、車両使用中の事故として扱われる可能性があります。 走行目的、走行指示、整備記録、使用者、走行距離、保険期間終了の有無
経路逸脱・目的外移動として問題になる場合 指定場所へ向かわず、別の場所へ寄る、予定外の移動を行う場合 指定経路外、私用移動、試運転を兼ねた遠回り、別倉庫への無断移動 Drive Away Clauseの対象区間内かどうか、保険期間内かどうかが問題になります。 GPS記録、走行経路、指示内容、運転者証言、事故場所
保険期間終了後の移動 最終倉庫や納入先到着後、別目的で移動する場合 保管場所到着後の再移動、販売先への納車、整備工場への移動など 貨物保険の保険期間が終了している可能性があります。 到着記録、引渡し記録、保険終期、移動目的、次の保険手配

港から倉庫までの短距離移動であっても、保険上は自動的に問題なしとはいえません。移動目的、指定経路、保険条件、事故発生時点、車両使用の有無を確認する必要があります。

補償対象として検討される損害

Drive Away Clauseで検討対象となるのは、原則として、被保険貨物である自動車等そのものに生じた物的損害です。

実務上、次のような損害が検討対象になることがあります。

  • 自走中の衝突による車体損傷
  • 牽引中の接触、転倒、脱落による損傷
  • 港湾内、ヤード内、倉庫搬入中の事故による損傷
  • 路上移動中の横転、転落、接触事故による損傷
  • 車体、シャーシ、外装、部品の破損
  • 牽引作業中の連結部、足回り、フレーム等の損傷

ただし、これらの損害が常にすべて貨物保険の対象になるわけではありません。

保険条件、移動区間、移動目的、事故原因、自走・牽引の方法、保険期間との関係を確認する必要があります。

第三者賠償との切り分け

Drive Away Clauseで特に注意が必要なのは、貨物自体の損害と、第三者への賠償責任を分けて考えることです。

自走中または牽引中に事故が起きた場合、被保険貨物である車両そのものが損傷するだけでなく、他車両、建物、道路設備、人身事故などの第三者損害が発生することがあります。

しかし、貨物保険は基本的に被保険貨物そのものの損害を対象とする保険です。

そのため、第三者への人身傷害、他人の財物損害、運転者や牽引者の賠償責任は、通常、貨物保険ではなく、自動車保険、賠償責任保険、運送人賠償責任保険などで別途整理する必要があります。

損害の種類 典型例 主に確認する保険 注意点
被保険貨物自体の物的損害 輸入車、トラック、建設機械そのものが衝突・転倒により損傷した場合 貨物保険、Drive Away Clause 対象区間、移動目的、保険期間、事故原因を確認します。
第三者の財物損害 自走中に他車両、フェンス、建物、道路設備を損傷した場合 自動車保険、賠償責任保険、運送人賠償責任保険 貨物保険で当然に対応できるものではありません。
第三者の人身傷害 運転中または牽引中の事故で第三者に怪我を負わせた場合 自動車保険、対人賠償保険、賠償責任保険 貨物保険とは別に、法令上必要な保険や賠償責任の確認が必要です。
運転者・作業者の怪我 自走・牽引作業中に運転者や作業者が負傷した場合 労災保険、傷害保険、賠償責任保険 被保険貨物の損害とは別の人身事故として整理します。

この点を混同すると、貨物保険でカバーされる損害と、賠償責任として別保険で対応すべき損害が不明確になります。

適用除外になりやすい損害

Drive Away Clauseが付されていても、自走・牽引中のすべての損害が貨物保険で扱われるわけではありません。

損害類型 除外・慎重確認となりやすい理由 確認資料 注意点
第三者への人身傷害・財物損害 貨物保険は被保険貨物自体の物的損害を対象とするのが基本であり、賠償責任保険ではないためです。 事故報告書、警察届、第三者損害明細、自動車保険証券 第三者賠償は別保険での対応を確認します。
法令違反や重大な過失による事故 無資格運転、無許可走行、過積載、速度超過などがある場合、保険上問題になることがあります。 運転者情報、免許、走行許可、警察記録、事故調査報告 誰が運転を指示したか、法令上走行可能だったかを確認します。
通常の使用による摩耗・消耗 タイヤ摩耗、バッテリー消耗、ブレーキ消耗などは、偶然な輸送事故とは異なるためです。 点検記録、整備記録、事故前写真、使用履歴 輸送中事故による損傷か、通常使用・経年劣化かを切り分けます。
既存不具合・整備不良による故障 エンジン不調、ブレーキ不良、ステアリング不良、連結部不具合など、事故前から存在した問題である可能性があるためです。 輸出前点検、輸入時点検、整備記録、走行前確認記録、サーベイレポート 輸入中古車や中古建設機械では特に注意が必要です。
試運転・営業運転・業務使用中の損害 貨物輸送ではなく、車両としての使用中の事故と整理される可能性があるためです。 走行目的、走行指示、走行経路、納車記録、整備工場記録 倉庫搬入のための移動か、使用・試運転かを確認します。
指定経路や目的地を外れた移動中の損害 Drive Away Clauseの想定する合理的な輸送区間を外れている可能性があるためです。 輸送指示書、GPS記録、走行経路、事故場所、運転者証言 経路逸脱、私用移動、予定外の寄り道がないかを確認します。
保険期間終了後の移動中の損害 最終倉庫、保管場所、納入先に到着し、貨物保険の保険期間が終了している可能性があるためです。 到着記録、受領書、引渡し記録、保険期間、再移動指示 到着後の再移動は、貨物保険ではなく別保険の確認が必要になることがあります。

保険期間との関係

Drive Away Clauseで実務上重要なのは、保険期間がどこまで継続するかです。

貨物保険では、船積み中、航海中、陸揚げ後、保税地域内、国内輸送中、最終倉庫到着までの流れを一連の輸送として整理することがあります。

ただし、自動車等が自走を開始すると、それが貨物輸送の一部なのか、車両の使用なのかが問題になります。

たとえば、港から指定倉庫までの短距離移動であれば、通常の輸送過程の延長として整理しやすい場合があります。

一方、販売先への納車、試乗、営業使用、長距離の自走回送などになると、貨物保険の保険期間に含まれるかどうかを慎重に確認する必要があります。

自走可能性と事前確認

自動車等を自走させる場合、その車両が自走可能な状態であるかどうかの確認が重要です。

輸入中古車や中古建設機械では、事故前から整備不良、故障、錆、部品劣化、タイヤ摩耗、ブレーキ不良などが存在することがあります。

自走中に損害が発生した場合、それが輸送中の偶然な事故によるものなのか、もともとの不具合によるものなのかが争点になることがあります。

特に、エンジン、ブレーキ、タイヤ、ステアリング、灯火類、連結部、足回りなどに不具合があると、自走・牽引中の事故原因や保険上の扱いに影響します。

そのため、自走前には、車体外観、エンジン始動、ブレーキ、タイヤ、ステアリング、灯火類、連結部、足回りなどの状態を確認し、必要に応じて写真や点検記録を残しておくことが重要です。

サーベイヤー・保険者との確認ポイント

Drive Away Clauseのクレームでは、サーベイヤーや保険者は、損傷した車両そのものだけでなく、自走または牽引が貨物輸送の一部として行われていたかを確認します。

確認されやすいポイントは、事故発生場所、移動区間、最終目的地、運転者または牽引者、移動目的、走行経路、事故状況です。

港湾内の移動なのか、指定倉庫への搬入なのか、販売先への納車や試運転に近い移動なのかによって、貨物保険上の整理が変わることがあります。

保険者側では、Drive Away Clauseの対象区間内で発生した事故か、被保険貨物自体の損害か、第三者賠償を含んでいないか、保険期間内の事故かを確認することがあります。

そのため、事故状況の説明では、走行経路、移動目的、指示内容、事故発生時点の位置関係を明確にしておくことが重要です。

よくある誤解

Drive Away Clauseでは、貨物保険、自動車保険、賠償責任保険、通常の車両使用を混同しないことが重要です。

よくある誤解 実務上の整理 確認すべきこと
港から倉庫まで短距離なら、保険は問題ない 短距離でも、Drive Away Clauseの対象区間か、貨物輸送の一部か、保険期間内かを確認する必要があります。 移動目的、指定経路、最終目的地、保険条件を確認します。
第三者事故も貨物保険でカバーされる 貨物保険は被保険貨物自体の損害を対象とするのが基本であり、第三者賠償は別保険で整理します。 自動車保険、賠償責任保険、運送人賠償責任保険の有無を確認します。
自走できれば、問題ない状態ということである 自走できても、ブレーキ、タイヤ、灯火類、連結部、足回りに不具合がある場合があります。 自走前点検、車両状態、整備記録、写真を確認します。
Drive Away Clauseがあれば、試運転中の損害も対象になる 試運転、営業運転、業務使用は、貨物輸送の一部とは整理されにくい場合があります。 走行目的、走行場所、保険期間、使用開始の有無を確認します。
運転者の責任は貨物保険で処理できる 運転者の賠償責任、法令違反、人身事故は、貨物保険とは別に整理する必要があります。 運転者、免許、走行許可、賠償責任保険の有無を確認します。
最終倉庫に到着した後も、しばらくは貨物保険が続く 到着・引渡しにより貨物保険の保険期間が終了している場合があります。 保険終期、受領記録、保管開始時点、再移動の目的を確認します。

フォワーダー実務での判断チェックリスト

フォワーダーやNVOCCの立場では、自動車等の輸送で「港から倉庫まで自走するだけ」と軽く考えないことが重要です。

自走や牽引が入ると、貨物保険、自動車保険、賠償責任保険、運送人責任の境界が複雑になります。

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
受託時 荷主、輸入者、輸出者 貨物が自動車、トラック、シャーシ、建設機械など自走・牽引可能な貨物か 通常貨物として扱わず、自走・牽引区間の有無を確認します。
保険手配時 荷主、保険会社、保険代理店 Drive Away Clauseの有無、自走・牽引区間、保険期間、対象損害 自走・牽引が予定される場合は、事前に保険条件を確認します。
移動計画時 荷主、陸送業者、倉庫業者、現地代理店 最終目的地、走行経路、移動距離、移動目的、運転者または牽引者 輸送指示書、走行経路、搬入先を記録に残します。
自走前・牽引前 荷主、作業業者、運転者、整備担当者 車両外観、エンジン、ブレーキ、タイヤ、灯火類、ステアリング、連結部、足回り 写真、点検記録、走行可否の確認記録を残します。
第三者賠償確認時 荷主、陸送業者、運転者、保険会社 自動車保険、賠償責任保険、第三者事故への対応保険 貨物保険とは別に、第三者賠償の保険手配を確認します。
事故発生時 運転者、陸送業者、倉庫業者、現地代理店 事故場所、時刻、走行経路、事故原因、車両損傷、第三者損害の有無 事故現場写真、車両写真、警察記録、事故報告書を確保します。
保険請求時 保険会社、保険代理店、サーベイヤー 被保険貨物自体の損害か、対象区間内か、保険期間内か Drive Away Clauseの条件と事故内容を照合します。
責任整理時 荷主、陸送業者、運転者、海事弁護士 貨物保険、自動車保険、賠償責任保険、運送人責任、作業者責任 被保険貨物の損害と第三者賠償を分けて整理します。

事故時に確認すべき資料

Drive Away Clauseの事故では、自走・牽引が貨物輸送の一部であったか、被保険貨物自体にどのような損害が生じたか、第三者賠償が含まれるかを確認する資料が重要です。

移動区間・目的に関する資料

  • 自走または牽引の目的地
  • 輸送指示書、搬入指示書
  • 走行経路、予定ルート、GPS記録
  • 事故発生場所、時刻、位置関係
  • 最終倉庫、保管場所、納入先の情報

車両状態に関する資料

  • 事故前の車両写真
  • 事故後の車両損傷写真
  • エンジン、ブレーキ、タイヤ、灯火類、ステアリング、連結部、足回りの点検記録
  • 輸入時点検記録、整備記録
  • 中古車や中古建設機械の場合の既存損傷記録

事故状況に関する資料

  • 事故報告書
  • 警察記録
  • 運転者、牽引者、作業者の情報
  • 事故現場写真
  • 相手方車両、道路設備、施設損傷の有無
  • 第三者損害の有無

保険・責任整理に関する資料

  • 貨物保険証券、Drive Away Clauseの文言
  • 自動車保険、賠償責任保険の有無
  • 修理見積書、サーベイヤー報告書
  • 荷主、陸送業者、倉庫業者、フォワーダーとのやり取り
  • 事故通知記録、保険会社への連絡記録

具体例

たとえば、輸入中古トラックが船から陸揚げされ、港湾ヤードから指定倉庫まで自走で移動する途中、路上で接触事故を起こし、車体前部が損傷したとします。

この場合、まず確認すべきなのは、その自走移動が貨物としての輸送過程に含まれていたか、Drive Away Clauseの対象区間内だったか、損傷が被保険貨物であるトラック自体の物的損害かどうかです。

一方で、その事故により第三者の車両や施設を損傷させた場合、その賠償責任は貨物保険ではなく、別の自動車保険や賠償責任保険で整理する必要があります。

また、輸入された建設機械を港湾ヤードから保管場所まで牽引して移動する途中、連結部の不具合や路面状況により機械が転落し、フレームや足回りが損傷したとします。

この場合は、牽引移動が保険対象区間に含まれるか、損傷が被保険貨物自体の物的損害か、牽引方法や事前状態に問題がなかったかを確認する必要があります。

実務上のポイント

  • Drive Away Clauseは、自動車等が貨物として輸送された後、自走・牽引される区間を整理するための特別約款である。
  • 自走・牽引が貨物輸送の一部か、車両使用・試運転かを分けて確認する必要がある。
  • 港から倉庫までの短距離移動でも、保険期間、移動目的、指定経路、保険条件の確認が必要である。
  • 貨物保険で検討対象となるのは、原則として被保険貨物である車両等そのものの物的損害である。
  • 第三者への人身傷害や財物損害は、貨物保険ではなく自動車保険や賠償責任保険で整理する必要がある。
  • 自走可能であることと、保険上問題がない状態であることは同じではない。
  • 輸入中古車や中古建設機械では、既存不具合、整備不良、摩耗、故障との切り分けが重要になる。
  • フォワーダーは、自走・牽引の有無、移動区間、運転者、第三者賠償保険の有無を事前に確認する必要がある。
  • 事故時には、走行経路、事故場所、車両状態、第三者損害の有無、保険条件を早期に確認する。

まとめ

Drive Away Clauseは、自動車、トラック、シャーシ、建設機械などが貨物として輸送された後、揚げ地から最終倉庫や保管場所まで自走または牽引される間の損害を整理するための特別約款です。

この約款の実務上の核心は、貨物保険の保険期間が通常どこまで続くのか、自走・牽引が貨物輸送の一部といえるのか、被保険貨物自体の損害と第三者賠償をどう切り分けるかにあります。

特に、自走・牽引が指定倉庫や保管場所への搬入のためであれば貨物輸送の延長として整理される余地がありますが、試運転、営業運転、販売先への納車、目的外移動になると、貨物保険の範囲外となる可能性があります。

実務では、最終目的地、自走・牽引の方法、移動経路、運転者、事故前の車両状態、第三者損害の有無を早い段階で確認し、貨物保険と自動車保険・賠償責任保険の境界を明確にしておくことが重要です。

同義語・別表記

  • Drive Away Clause
  • ドライブアウェイ約款
  • 自走移動約款
  • 牽引移動約款
  • 自動車輸送特別約款
  • 自走中損害

関連用語

公式情報