リチウム電池の国際輸送実務(航空・海上の確認ポイント)

Lithium Battery Transport — Air and Sea Shipping Checks

リチウム電池輸送とは

リチウム電池輸送とは、リチウムイオン電池やリチウム金属電池を含む貨物を、航空輸送・海上輸送の危険品規則に従って取り扱う実務です。

スマートフォン、ノートパソコン、モバイルバッテリー、電動工具、医療機器、計測機器、車載機器、蓄電池、電動自転車関連部品など、多くの製品にリチウム電池が使われています。

フォワーダー実務では、単に「電池が入っているか」だけでなく、電池の種類、単体輸送か機器同梱か機器組込か、ワット時定格量、リチウム含有量、数量、梱包状態、輸送モード、航空会社・船会社・CFSの受託条件を確認することが重要です。

リチウム電池貨物は、一般的な電子機器や部品に見えても、危険品輸送の確認対象になることがあります。特に航空輸送では、受託不可、貨物機専用、追加書類、ラベル・マーク、包装条件が問題になりやすい貨物です。

この記事で扱う範囲

項目 本記事で扱う内容 他記事に委ねる内容
リチウム電池輸送の基本 リチウムイオン電池やリチウム金属電池を含む貨物を、フォワーダー実務でどう確認するかを扱います。 電池の化学的構造、製造技術、性能評価の詳細は、メーカー資料や専門規格で確認する内容です。
電池種類と形態の切り分け リチウムイオン電池・リチウム金属電池、電池単体・機器同梱・機器組込の違いを扱います。 各電池製品の技術仕様や型式ごとの性能判断は、製品仕様書や電池メーカー資料で確認する内容です。
主なUN番号 UN3480、UN3481、UN3090、UN3091の使い分けを扱います。 UN番号全体の読み方や正式輸送品名との関係は、UN番号の記事で扱います。
UN38.3資料の確認 UN38.3テストサマリー、電池型式、メーカー、改訂日、対象貨物との一致確認を扱います。 UN Manual of Tests and Criteriaの詳細な試験方法は、専門資料やメーカー資料で確認する内容です。
航空輸送での確認 IATA危険物規則、航空会社独自条件、旅客機搭載可否、貨物機専用、短絡防止、充電状態を扱います。 航空危険品全般の詳細は、IATA危険物規則の記事で扱います。
海上輸送での確認 IMDG Code、船会社、CFS、LCL混載、倉庫保管、コンテナ詰めでの確認を扱います。 海上危険品全般の詳細は、IMDG Codeの記事で扱います。
破損品・欠陥品・回収品・リコール品 通常品とは別に確認すべき状態異常品、修理返送品、回収品、リコール品の確認実務を扱います。 事故品・廃棄品・回収品の法令上の処理や廃棄実務は、別の制度・廃棄物関連の記事で扱います。
実務トラブル対応 品名不明瞭、予備電池混入、UN38.3型番不一致、CFS搬入不可、クーリエ受託不可などを扱います。 費用負担、損害賠償、遅延責任は、貨物事故・費用負担の記事で扱います。

リチウム電池輸送の概要

リチウム電池は、発熱、発火、短絡、損傷時の火災リスクがあるため、国際輸送では危険品として扱われる場合があります。

航空輸送では、安全上の制限が特に厳しく、旅客機搭載の可否、貨物機専用、梱包指示、表示、ラベル、危険品申告書の要否などを確認する必要があります。

海上輸送でも、IMDG Code上の危険品として取り扱われる場合があり、コンテナ詰め、混載、CFS搬入、船社ブッキング、危険品明細、表示、積付条件などの確認が必要です。

リチウム電池輸送で重要なのは、「電池があるかどうか」だけではありません。どの種類の電池か、電池だけを送るのか、機器と一緒に送るのか、機器に組み込まれているのかによって、UN番号、包装、表示、書類、受託可否が変わります。

荷主の「危険品ではない」をどう検証するか

リチウム電池貨物では、荷主から「危険品ではありません」「機器に入っているだけです」「少量です」と説明されることがあります。

しかし、リチウム電池を含む貨物では、その説明だけで通常貨物として進めるべきではありません。フォワーダーは、資料と実貨物を照合して確認する必要があります。

手順 確認すること 判断の方向性 止まりやすいポイント
1. 電池の有無を確認する 製品内にリチウム電池、予備電池、交換用電池、バッテリーパックが含まれるかを確認します。 電池がある場合は、危険品確認の対象として扱います。 インボイス品名だけでは電池の有無が分からない場合があります。
2. 電池の種類を確認する リチウムイオン電池か、リチウム金属電池かを確認します。 UN番号と必要資料が変わります。 荷主が「リチウム電池」とだけ説明し、種類を把握していない場合があります。
3. 形態を確認する 電池単体、機器同梱、機器組込のどれかを確認します。 同じ電池でも輸送条件が変わります。 機器同梱と機器組込を混同しやすいです。
4. 電池情報を確認する ワット時定格量、リチウム含有量、個数、重量、型番を確認します。 数量や性能値により、包装・表示・受託条件が変わります。 製品仕様書だけでは電池情報が不足する場合があります。
5. UN38.3関連資料を確認する UN38.3テストサマリー、製品仕様書、メーカー資料を確認します。 輸送に必要な試験要件を満たすか確認します。 資料の型番が実貨物と一致しない場合があります。
6. 異常品でないか確認する 破損品、欠陥品、回収品、リコール品、修理返送品ではないかを確認します。 通常のリチウム電池より厳しい確認が必要になります。 返品・修理返送品では状態確認が不足しやすいです。
7. 輸送モード別に確認する 航空輸送か、海上輸送か、クーリエ輸送かを確認します。 IATA危険物規則、IMDG Code、運送人条件を分けて確認します。 海上輸送時の判断を航空輸送へ流用してしまうことがあります。
8. 受託条件を確認する 航空会社、船会社、CFS、倉庫、クーリエ会社の条件を確認します。 規則上可能でも、実際の運送人が受けない場合があります。 航空会社・クーリエ会社の独自制限で止まることがあります。

主なUN番号

リチウム電池輸送では、代表的に次のUN番号が使われます。

UN番号 対象 実務上の見方 確認する資料・相手
UN3480 リチウムイオン電池単体です。 電池単体として扱います。航空輸送では特に受託条件を慎重に確認します。 電池仕様書、UN38.3資料、航空会社、船会社
UN3481 リチウムイオン電池を機器と同梱、または機器に組み込んだものです。 機器同梱か機器組込かにより、包装・表示・書類条件を確認します。 製品仕様書、梱包明細、電池資料、現物写真
UN3090 リチウム金属電池単体です。 リチウム含有量、数量、包装、航空会社・船会社条件を確認します。 電池仕様書、メーカー資料、運送人回答
UN3091 リチウム金属電池を機器と同梱、または機器に組み込んだものです。 機器との関係、電池数量、包装、表示条件を確認します。 製品仕様書、梱包明細、電池資料、現物写真

UN番号だけでは輸送可否は確定しません。電池の種類、形態、ワット時定格量、リチウム含有量、数量、包装、輸送モード、運送人条件を組み合わせて確認する必要があります。

電池単体・機器同梱・機器組込の違い

リチウム電池輸送では、電池がどの状態で貨物に含まれているかが非常に重要です。

形態 意味 代表的な例 実務上の注意
電池単体 電池だけを貨物として送る形態です。 モバイルバッテリー、交換用バッテリー、予備電池、バッテリーパックです。 短絡防止、包装、数量、航空会社受託条件を特に慎重に確認します。
機器同梱 電池が機器と同じ梱包内に入っているが、機器に組み込まれていない形態です。 電動工具本体と予備バッテリー、機器本体と交換用電池を同じ箱に入れる場合です。 機器と電池の関係、電池数量、包装、短絡防止、表示条件を確認します。
機器組込 電池が機器に内蔵または装着された状態で輸送される形態です。 ノートパソコン、スマートフォン、計測機器、医療機器、車載機器です。 機器内で電池が保護されているか、誤作動防止、数量、表示条件を確認します。

同じリチウムイオン電池でも、電池単体、機器同梱、機器組込ではUN番号や輸送条件が変わります。荷主が「電池入り製品」とだけ説明している場合は、どの形態に該当するかを必ず確認します。

電池タイプと形態の整理

リチウム電池輸送では、電池の種類と形態を組み合わせて確認します。

電池タイプ 電池単体 機器同梱 機器組込
リチウムイオン電池 UN3480。ワット時定格量、数量、充電状態、包装、航空会社受託条件を確認します。 UN3481。機器との関係、電池数量、短絡防止、包装条件を確認します。 UN3481。機器内での固定、誤作動防止、数量、表示・書類要否を確認します。
リチウム金属電池 UN3090。リチウム含有量、数量、包装、受託可否を確認します。 UN3091。電池と機器の関係、数量、短絡防止、包装条件を確認します。 UN3091。機器への組込み状態、電池数量、表示・書類要否を確認します。

この表は、リチウム電池輸送の最初の切り分けに使います。実際の受託可否は、最新版の規則、航空会社・船会社条件、包装、数量、資料内容により確認します。

ワット時定格量・リチウム含有量・数量の意味

リチウム電池輸送では、ワット時定格量、リチウム含有量、個数、重量が重要です。

具体的な数値基準は規則改訂や輸送モードによって変わる可能性があるため、本記事では固定した数値基準ではなく、実務上の確認構造を整理します。

確認項目 主に関係する電池 実務上の意味 確認する資料
ワット時定格量 リチウムイオン電池です。 一定の値を境に、包装、表示、書類、受託条件が変わる場合があります。 電池仕様書、製品仕様書、メーカー確認資料
リチウム含有量 リチウム金属電池です。 電池の区分や輸送条件を判断するための重要情報になります。 電池仕様書、メーカー確認資料
電池個数 リチウムイオン電池・リチウム金属電池です。 機器同梱、機器組込、外装単位、表示・書類条件に影響します。 パッキングリスト、梱包明細、現物写真
電池重量 電池単体、バッテリーパック、蓄電池です。 包装、荷役、航空会社・船会社受託条件に影響します。 電池仕様書、梱包明細、重量明細
充電状態 主に航空輸送のリチウムイオン電池です。 航空会社の受託条件や追加確認に関係する場合があります。 メーカー確認書、荷主確認、航空会社回答

荷主から電池情報が十分に出ない場合、フォワーダーは製品仕様書、電池仕様書、メーカー確認書、UN38.3テストサマリーなどを求める必要があります。

UN38.3の確認

リチウム電池は、国連試験基準マニュアルのUN38.3に基づく試験要件を満たしていることが重要です。

実務上は、メーカーや輸出者からUN38.3テストサマリー、製品仕様書、安全データ、危険品判定資料などを取得し、輸送可否を確認します。

フォワーダーが自ら電池の技術判定を行うのではなく、荷主、メーカー、危険品専門業者から根拠資料を取得し、航空会社、船会社、倉庫の受託条件に照らして確認する運用が重要です。

UN38.3資料の状態別対応

UN38.3関連資料は、単に「あります」と言われれば足りるものではありません。対象製品、電池型式、メーカー、改訂日、試験対象が実際の貨物と一致しているかを確認します。

資料の状態 問題点 対応の方向性 確認する相手
UN38.3テストサマリーが提出されている 対象電池と実貨物が一致しているか確認が必要です。 電池型式、メーカー、製品名、改訂日を照合します。 荷主、メーカー
テストサマリーはあるが型番が違う 別電池の資料である可能性があります。 対象電池に対応した資料を再提出してもらいます。 荷主、メーカー、輸出者
製品仕様書のみでUN38.3資料がない 試験要件を満たしているか判断できません。 UN38.3テストサマリーまたはメーカー確認資料を求めます。 荷主、メーカー、危険品専門業者
海外メーカー資料しかない 内容を確認できる担当者や関係者が限られます。 必要に応じて翻訳資料、荷主説明、メーカー確認を求めます。 荷主、輸入者、メーカー
資料が古い 電池仕様や規則条件が変わっている可能性があります。 最新版資料の有無を確認します。 荷主、メーカー
荷主が資料を出せない 航空会社・船会社が受託判断できない可能性が高くなります。 危険品専門業者、メーカー、輸出者へ確認し、受託可否を保留します。 荷主、メーカー、危険品専門業者、運送人

破損品・欠陥品・回収品・リコール品

リチウム電池輸送では、破損品、欠陥品、回収品、リコール品、修理返送品かどうかが重要です。

これらに該当する場合、通常の新品電池や通常使用品よりも厳しい確認が必要になり、航空輸送・海上輸送のいずれでも受託が制限される場合があります。

貨物の状態 注意点 対応の方向性 確認する相手・資料
新品 通常のリチウム電池輸送として確認します。 UN番号、UN38.3、包装、数量、輸送モード別条件を確認します。 荷主、メーカー、運送人
中古品・修理返送品 使用履歴や状態が分からない場合があります。 破損、膨張、発熱、液漏れ、改造の有無を確認します。 荷主、修理業者、メーカー
破損品 発火・短絡・漏洩リスクが高く、通常品として扱えない可能性があります。 通常貨物として手配せず、航空会社・船会社・危険品専門業者へ事前確認します。 荷主、メーカー、危険品専門業者、運送人
欠陥品 安全上の不具合がある場合、受託制限を受ける可能性があります。 欠陥内容、メーカー見解、輸送可否を確認します。 メーカー、荷主、危険品専門業者
回収品 市場回収や返品に伴い、状態が不明な電池が混在することがあります。 個別状態、梱包、回収理由、輸送条件を確認します。 荷主、メーカー、回収業者
リコール品 安全上の理由によるリコールの場合、通常輸送と扱いが異なる可能性があります。 リコール理由、危険性、メーカー指示、運送人受託可否を確認します。 メーカー、荷主、航空会社、船会社

修理返送品やリコール品では、「以前輸送できた製品だから今回も同じ」と判断してはいけません。状態が変わっている可能性があるため、通常品とは別に確認します。

航空輸送と海上輸送の違い

リチウム電池貨物は、航空輸送と海上輸送で確認先や受託条件が異なります。

確認項目 航空輸送 海上輸送 フォワーダー実務上の注意点
基準となる規則 IATA危険物規則を確認します。 IMDG Codeを確認します。 輸送モードが変わる場合は、条件を確認し直します。
確認先 航空会社、クーリエ会社、空港上屋、危険品専門業者です。 船会社、NVOCC、CFS、危険品倉庫、トラック会社です。 規則上可能でも、運送人や施設が受けない場合があります。
主な確認内容 旅客機搭載可否、貨物機専用条件、充電状態、短絡防止、包装、数量制限を確認します。 船会社受託可否、CFS搬入条件、LCL混載可否、倉庫保管、コンテナ詰めを確認します。 同じUN番号でも、海上と航空で実務条件が異なります。
止まりやすい場面 航空会社確認、クーリエ会社受託確認、空港上屋搬入で止まりやすくなります。 船社危険品承認、CFS搬入、混載可否、倉庫受入で止まりやすくなります。 見積段階から電池情報とUN38.3資料を確認します。
異常品への対応 破損品・欠陥品・リコール品は特に厳しく確認されます。 海上輸送でも通常品と同じ扱いにできない場合があります。 状態異常品は、通常の新品電池とは別に確認します。
リードタイム 事前承認や書類確認で通常貨物より時間がかかります。 危険品ブッキング、CFS搬入調整、倉庫確認に時間がかかります。 通常貨物と同じ締切で進めないようにします。

航空輸送での注意点

航空輸送では、リチウム電池単体の貨物、特にリチウムイオン電池単体は、旅客機搭載の制限や貨物機限定の扱いになる場合があります。

また、充電状態、梱包、短絡防止、落下・圧壊防止、ラベル、マーク、危険品申告書の要否など、細かな確認が必要です。

確認項目 確認する内容 注意点 問題がある場合の対応
旅客機搭載可否 旅客機で運べるか、貨物機専用かを確認します。 通常の航空便で予約できない場合があります。 貨物機便、別航空会社、海上輸送への切替を検討します。
航空会社独自条件 航空会社や混載業者がリチウム電池に独自制限を設けていないか確認します。 規則上可能でも、運送人が受けない場合があります。 航空会社・混載業者へ事前に照会します。
充電状態 航空輸送上の充電状態に関する条件があるか確認します。 電池単体では特に追加確認が必要になることがあります。 メーカー確認資料や航空会社条件を確認します。
短絡防止 端子保護、個別包装、機器内固定などがされているか確認します。 短絡防止が不十分だと受託拒否につながります。 再梱包、端子保護、個別包装を検討します。
包装 落下、圧壊、損傷を防ぐ包装になっているか確認します。 通常の雑貨梱包では足りない場合があります。 危険品梱包、補強梱包、再梱包を行います。
表示・ラベル 必要なマーク、ラベル、外装表示があるか確認します。 表示不備は空港上屋や航空会社確認で止まります。 搬入前に表示修正を行います。
危険品申告書 危険品申告書が必要か確認します。 条件により書類要否が変わるため、航空会社へ確認します。 必要書類を整えてから予約・搬入します。

航空会社によっては、IATA危険物規則上は手配可能な貨物でも、リチウム電池単体貨物や特定形態のリチウム電池貨物を受けない場合があります。そのため、航空輸送ではブッキング前に、貨物内容、UN番号、梱包状態、数量、書類を提示して、航空会社または混載業者の受託可否を確認することが重要です。

海上輸送での注意点

海上輸送では、IMDG Codeに基づき、リチウム電池が危険品として扱われる場合があります。

船社ブッキング時には、UN番号、正式輸送品名、クラス、容器・包装、数量、緊急時対応情報などを確認し、必要に応じて危険品明細や関連書類を提出します。

確認項目 確認する内容 注意点 問題がある場合の対応
船会社受託可否 当該リチウム電池貨物を船会社が受けられるかを確認します。 船会社、航路、トランシップ港により条件が変わる場合があります。 別船会社、別航路、直送ルートを検討します。
CFS搬入条件 CFSが対象貨物を受けられるかを確認します。 船会社が受けても、CFSが受けられない場合があります。 別CFS、危険品倉庫、FCL化を検討します。
LCL混載可否 他貨物と混載できるかを確認します。 危険品の組み合わせやCFS条件により混載不可となる場合があります。 混載可否、隔離条件、FCL化、別便を検討します。
倉庫保管 危険品倉庫、一般倉庫、温度条件、保管条件を確認します。 一般倉庫で受けられない場合があります。 危険品対応倉庫、直搬入、搬入日調整を検討します。
外装表示 必要なマーク、ラベル、危険品表示を確認します。 表示不備は搬入拒否や船積み延期につながります。 搬入前に表示修正を行います。
コンテナ詰め 積付け、固定、損傷防止、他貨物との組み合わせを確認します。 電池貨物の損傷や短絡を防ぐ必要があります。 積付け条件、固定方法、混載条件を確認します。

CFSで混載する場合は、危険品の搬入締切、搬入可能日、ラベル表示、他貨物との混載可否、倉庫側の受入条件を事前に確認する必要があります。リチウム電池を含む貨物は、一般貨物と同じ感覚で直前搬入すると、受託不可や船積み遅延につながることがあります。

非危険品証明書との関係

荷主から非危険品証明書が提出される場合でも、リチウム電池を含む貨物では、その内容だけで判断を終えるべきではありません。

リチウム電池が含まれる場合、非危険品証明書に加えて、製品仕様、電池情報、UN38.3関連資料、梱包状態、輸送モード別の適用条件を確認することが必要です。

確認対象 確認する内容 矛盾がある場合の対応 確認する相手
非危険品証明書 非危険品とする根拠、対象製品、作成日、作成者を確認します。 対象貨物と一致しているか確認します。 荷主、メーカー
製品仕様書 電池の有無、電池種類、型番、容量、数量を確認します。 非危険品証明書と電池情報が矛盾していないか確認します。 荷主、メーカー
UN38.3資料 対象電池の試験要件に関する資料を確認します。 資料がない場合、受託可否を保留して確認します。 荷主、メーカー、危険品専門業者
現物情報 予備電池、交換用電池、バッテリーパック、修理返送品の有無を確認します。 書類に記載のない電池が含まれていないか確認します。 荷主、倉庫、配送会社
輸送モード 航空輸送か、海上輸送か、クーリエ輸送かを確認します。 非危険品とする根拠が対象輸送モードにも通用するか確認します。 航空会社、船会社、CFS、クーリエ会社

特に、モバイルバッテリー、電動工具用バッテリー、蓄電池、予備電池、交換用電池、サンプル品、修理返送品、リコール品は、通常貨物として扱えるかどうか慎重に確認する必要があります。

インボイス記載不足が起きやすい品名

リチウム電池貨物は、インボイス上で危険品と分かりにくい品名で記載されることがあります。

インボイス上の記載例 見落としやすい理由 対応の方向性 確認する資料
parts 部品として記載され、バッテリーパックや予備電池が含まれることが分かりません。 部品明細、写真、製品仕様書で電池の有無を確認します。 部品明細、写真、製品仕様書
accessory 付属品として記載され、交換用バッテリーが含まれることがあります。 セット内容、予備電池の有無、電池型番を確認します。 セット内容表、梱包明細、電池仕様書
electronic goods 電子機器全般として記載され、機器組込電池が分かりません。 製品リスト、型番、電池内蔵の有無を確認します。 製品リスト、型番情報、製品仕様書
toy 玩具に電池が組み込まれている場合があります。 電池内蔵か、電池同梱か、予備電池があるか確認します。 商品説明、現物写真、電池情報
gift ギフト品の中にモバイルバッテリーや電池入り機器が含まれることがあります。 セット内容明細を確認します。 セット内容表、現物写真、SDS
promotional item 販促品として、LED製品、充電式機器、モバイルバッテリーが含まれることがあります。 製品仕様書と電池情報を確認します。 製品仕様書、電池資料、現物写真
sample サンプル品として扱われ、危険品確認が省略されやすくなります。 数量が少なくても、電池の有無と輸送条件を確認します。 商品リスト、電池情報、SDS
repair goods 修理返送品として、劣化・破損した電池が含まれる可能性があります。 破損、膨張、発熱、リコール対象の有無を確認します。 修理内容、現物写真、メーカー確認

フォワーダーは、品名、用途、電池の有無、予備電池の有無、バッテリーパックの有無を確認し、必要に応じて荷主に追加資料を求める必要があります。

フォワーダーの関与範囲対比表

区分 支援しやすいこと 断定すべきでないこと 実務上の対応
見積段階で品名を受け取る場面 リチウム電池、予備電池、バッテリーパックの有無を確認することです。 parts、accessory、sampleという品名だけで通常貨物と判断することです。 商品明細、写真、製品仕様書、電池情報を依頼します。
荷主から「危険品ではない」と説明された場面 根拠資料としてSDS、製品仕様書、UN38.3資料、非危険品証明書を確認することです。 荷主説明だけで通常貨物と断定することです。 資料と実貨物を照合して判断します。
電池種類を確認する場面 リチウムイオン電池か、リチウム金属電池かを確認することです。 「リチウム電池」という説明だけでUN番号を判断することです。 電池仕様書、メーカー資料、UN38.3資料を確認します。
電池形態を確認する場面 電池単体、機器同梱、機器組込を切り分けることです。 機器同梱と機器組込を同じ扱いにすることです。 梱包明細、現物写真、製品仕様書を確認します。
UN38.3資料を確認する場面 対象電池、型番、メーカー、改訂日、試験対象との一致を確認することです。 「資料があります」という説明だけで足りると考えることです。 資料の対象と実貨物を照合します。
航空輸送を手配する場面 IATA危険物規則、航空会社、クーリエ会社の条件を確認することです。 海上で受けられたため航空でも受けられると判断することです。 旅客機搭載可否、貨物機専用、数量、包装、充電状態を確認します。
海上LCL混載を手配する場面 船会社、CFS、混載業者、危険品倉庫の条件を確認することです。 船会社が受ければCFSも受けると判断することです。 CFS搬入条件、混載可否、倉庫条件を確認します。
破損品・修理返送品を扱う場面 破損、膨張、発熱、液漏れ、リコール対象の有無を確認することです。 過去に新品を輸送できたため、返送品も同じ扱いでよいと判断することです。 通常品とは別に、メーカー、危険品専門業者、運送人へ確認します。

実務で問題になりやすいケース

ケース 問題になる点 確認する資料・相手 対応の方向性
電子部品として申告された貨物に予備電池が含まれていた 電池単体または機器同梱としての確認が漏れています。 製品明細、写真、電池情報、荷主 UN番号、電池形態、包装、短絡防止を再確認します。
航空会社がリチウム電池単体貨物の受託を拒否した 航空会社独自条件や搭載制限を確認していなかった可能性があります。 航空会社回答、SDS、電池仕様書、数量情報 別航空会社、貨物機専用、海上輸送への切替を検討します。
UN38.3資料の型番が実貨物と一致しない 別電池の資料で手配している可能性があります。 UN38.3テストサマリー、電池型番、メーカー確認 対象電池に対応したテストサマリーを再取得します。
修理返送品に膨張した電池が含まれていた 通常のリチウム電池貨物として扱えない可能性があります。 現物写真、修理内容、メーカー見解、危険品専門業者 航空会社、船会社、危険品専門業者へ事前確認します。
CFSでリチウム電池貨物の搬入確認が止まった CFS受入条件や危険品情報が不足しています。 SDS、UN番号、電池情報、UN38.3資料、CFS回答 必要資料を提出し、受入可否を確認します。
機器同梱と機器組込を取り違えた UN番号や包装・表示条件が変わる可能性があります。 梱包内容、電池の装着状態、予備電池の有無 梱包明細と現物写真を確認し、分類を修正します。
クーリエ会社が受託しなかった 規則上可能でも、クーリエ会社が独自に制限している場合があります。 クーリエ会社条件、品名、UN番号、電池情報 事前に品名、UN番号、電池情報を提示して確認します。
非危険品証明書はあるが電池情報が不足していた 非危険品の根拠と実際の電池情報が照合できません。 非危険品証明書、製品仕様書、電池資料、UN38.3資料 通常貨物扱いを保留し、荷主・メーカーへ再確認します。

4列判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
見積依頼で電子機器・部品・サンプルと記載されているとき 荷主・メーカー リチウム電池、予備電池、交換用電池、バッテリーパックの有無を確認します。 不明な場合は、商品明細、現物写真、製品仕様書を求めます。
電池種類を確認するとき 荷主・メーカー リチウムイオン電池か、リチウム金属電池かを確認します。 種類が不明な場合は、電池仕様書やメーカー確認書を求めます。
電池形態を確認するとき 荷主・倉庫・メーカー 電池単体、機器同梱、機器組込のどれに該当するかを確認します。 梱包明細、現物写真、電池の装着状態を確認します。
UN番号を確認するとき 荷主・メーカー・危険品専門業者 UN3480、UN3481、UN3090、UN3091のどれに該当するかを確認します。 不明な場合は、通常貨物として進めず、分類資料を求めます。
UN38.3資料を確認するとき 荷主・メーカー テストサマリー、電池型式、メーカー、改訂日、対象貨物との一致を確認します。 型番不一致や資料不足があれば、対象電池に合う資料を再提出してもらいます。
航空輸送を手配するとき 航空会社・クーリエ会社・航空代理店 IATA危険物規則上の扱い、旅客機搭載可否、貨物機専用、包装、数量、充電状態を確認します。 受託不可なら、別航空会社、貨物機便、海上輸送を検討します。
海上LCL混載を手配するとき 船会社・NVOCC・CFS・混載業者 IMDG Code上の扱い、CFS受入可否、混載可否、外装表示、倉庫条件を確認します。 受入不可なら、FCL化、別CFS、危険品倉庫、次船を検討します。
破損品・修理返送品・リコール品を扱うとき 荷主・メーカー・危険品専門業者・運送人 破損、膨張、発熱、液漏れ、欠陥、回収理由、リコール理由を確認します。 通常品として進めず、運送人・専門業者へ事前確認します。

具体例1:電子部品として申告された貨物に予備電池が含まれていたケース

インボイス上は「parts」とだけ記載され、通常貨物として航空輸送の見積依頼を受けたケースです。

しかし、商品明細を確認すると、機器本体とは別に予備電池が同梱されていました。この場合、単なる電子部品ではなく、リチウム電池貨物としてUN番号、電池種類、電池形態、数量、包装、短絡防止を確認する必要があります。

フォワーダーは、製品仕様書、電池仕様書、梱包明細、現物写真、UN38.3資料を確認します。

航空輸送の場合は、航空会社またはクーリエ会社へ、電池単体なのか機器同梱なのかを明確にして受託可否を照会します。

具体例2:UN38.3資料の型番が実貨物と一致しないケース

荷主からUN38.3テストサマリーが提出されたものの、資料に記載された電池型番が実際の貨物に組み込まれている電池型番と一致しないケースです。

この場合、別電池の資料を提出している可能性があり、航空会社や船会社が受託判断できないことがあります。

フォワーダーは、製品仕様書、電池型番、メーカー名、UN38.3資料の対象電池、改訂日を照合します。

型番が一致しない場合は、対象電池に対応したUN38.3テストサマリーまたはメーカー確認書を再提出してもらい、受託可否の確認をやり直します。

具体例3:海上で受けられたリチウム電池貨物を航空へ切り替えようとしたケース

過去に海上輸送で受けられたリチウム電池貨物について、納期短縮のため航空輸送へ切り替えたいと荷主から依頼されたケースです。

リチウム電池貨物は、海上で受けられたからといって航空でも受けられるとは限りません。航空輸送では、旅客機搭載可否、貨物機専用、充電状態、包装基準、数量制限、航空会社独自条件が問題になります。

フォワーダーは、UN番号、電池種類、電池形態、数量、ワット時定格量またはリチウム含有量、UN38.3資料、梱包状態を確認し、航空会社へ受託可否を照会します。

航空で受けられない場合は、海上輸送維持、貨物機便、別航空会社、数量分割、出荷延期などを荷主へ提示します。

具体例4:修理返送品に膨張した電池が含まれていたケース

修理返送品として送られる電子機器の中に、膨張したリチウム電池が含まれていたケースです。

この場合、通常の機器組込リチウム電池貨物として扱うことはできない可能性があります。膨張、発熱、液漏れ、破損、リコール対象の有無を確認し、通常品とは別に判断する必要があります。

フォワーダーは、荷主、メーカー、修理業者から電池状態、修理理由、リコール対象の有無、メーカー見解を確認します。

そのうえで、航空会社、船会社、危険品専門業者へ事前確認し、受託不可、特殊梱包、別手配、輸送保留の可能性を荷主へ説明します。

荷主へ確認すべきこと

リチウム電池を含む貨物では、荷主に早い段階で具体的な情報を確認します。

  • リチウムイオン電池か、リチウム金属電池か。
  • 電池単体、機器同梱、機器組込のどれに該当するか。
  • UN3480、UN3481、UN3090、UN3091のどれに該当するか。
  • ワット時定格量またはリチウム含有量が確認できているか。
  • 電池個数、電池重量、総数量が確認できているか。
  • UN38.3テストサマリーがあるか。
  • UN38.3資料の型番、メーカー、対象電池が実貨物と一致しているか。
  • 破損品、欠陥品、回収品、リコール品、修理返送品ではないか。
  • 航空輸送・海上輸送それぞれで受託可能か。
  • 航空会社、船会社、CFS、倉庫、クーリエ会社の条件に合うか。
  • 非危険品証明書がある場合、電池情報と矛盾していないか。

よくある誤解

リチウム電池輸送では、電子機器や部品に見えることから、危険品確認が省略されやすいです。

誤解 実務上の考え方 確認すべきこと
機器に入っているだけなので危険品ではない 機器組込でも、リチウム電池貨物として確認が必要になる場合があります。 UN番号、電池種類、数量、機器内での保護状態を確認します。
予備電池も本体と同じ扱いでよい 予備電池は電池単体または機器同梱として扱いが変わる場合があります。 予備電池の数量、包装、短絡防止、UN番号を確認します。
小型だから危険品ではない 小型であっても、電池の種類、数量、輸送モードにより確認が必要です。 ワット時定格量、リチウム含有量、個数、包装条件を確認します。
以前輸送できたので今回も同じでよい 輸送モード、航空会社、船会社、数量、包装、規則改訂により条件が変わる場合があります。 今回の貨物条件で再確認します。
修理返送品は通常の製品返送と同じでよい 修理返送品では、破損、劣化、膨張、発熱などの状態確認が重要です。 破損・欠陥・リコール対象の有無を確認します。
非危険品証明書があれば十分である 電池情報やUN38.3資料と矛盾していないか確認する必要があります。 製品仕様書、電池情報、UN38.3資料を照合します。
UN38.3資料があると言われれば十分である 対象電池、型番、メーカー、改訂日が実貨物と一致しているか確認が必要です。 UN38.3テストサマリー、電池型式、製品仕様書を照合します。
海上で受けられた電池貨物は航空でも受けられる 航空輸送では、旅客機搭載可否、貨物機専用、充電状態、航空会社独自条件が問題になります。 IATA危険物規則、航空会社条件、数量、包装を確認します。

フォワーダーが注意すべき点

リチウム電池輸送は、現代の国際物流で非常に頻度の高い危険品確認項目です。

  • 品名だけで判断しません。
  • 電池の有無、予備電池、交換用電池、バッテリーパックの有無を確認します。
  • リチウムイオン電池とリチウム金属電池を分けて確認します。
  • 電池単体、機器同梱、機器組込を分けて確認します。
  • UN番号、電池情報、UN38.3資料、梱包状態を照合します。
  • 航空輸送と海上輸送の条件を分けて確認します。
  • 航空会社・船会社・CFS・倉庫・クーリエ会社の独自条件を確認します。
  • 破損品、欠陥品、回収品、リコール品は通常品と同じ扱いにしません。
  • 疑義がある場合は、荷主、メーカー、危険品専門業者、航空会社、船会社へ事前確認します。

まとめ

リチウム電池輸送とは、リチウムイオン電池やリチウム金属電池を含む貨物を、航空輸送・海上輸送の危険品規則に従って取り扱う実務です。

リチウム電池貨物では、電池の種類、電池単体・機器同梱・機器組込の違い、UN3480・UN3481・UN3090・UN3091の使い分け、ワット時定格量、リチウム含有量、数量、UN38.3、梱包状態を確認する必要があります。

特に航空輸送では、航空会社独自の受託条件、旅客機搭載可否、貨物機専用、短絡防止、包装、表示、危険品申告書の要否を慎重に確認します。海上輸送では、船会社受託可否、CFS搬入条件、LCL混載可否、倉庫保管条件を確認します。

リチウム電池輸送は、単なる危険品知識ではなく、搭載拒否、船積み遅延、倉庫搬入不可、重大事故防止に直結するフォワーダー実務上の重要テーマです。荷主から早い段階で資料を取得し、輸送モードと運送人条件に照らして安全に運べる状態に整えることが基本です。

本記事の要点は、リチウム電池輸送を「電池が入っているかどうか」だけで判断せず、電池種類、形態、UN番号、UN38.3資料、貨物状態、包装、輸送モード、運送人条件を組み合わせて確認する実務対象として扱うことです。

同義語・別表記

  • リチウムイオン電池輸送
  • リチウム金属電池輸送
  • リチウムバッテリー輸送
  • リチウム電池貨物
  • Lithium Battery Transport
  • Lithium Battery Shipping
  • UN3480
  • UN3481
  • UN3090
  • UN3091

公式情報