Stale B/Lとは
Stale B/Lとは
Stale B/Lとは、L/C取引において、B/Lその他の運送書類を含む書類が、信用状又は適用されるUCP 600上の呈示期限を過ぎて銀行へ呈示される状態をいいます。
直訳すると「古くなったB/L」のように見えますが、問題となるのはB/Lの発行から長期間経過したこと自体ではありません。
実務上確認すべきなのは、運送書類上の船積日、信用状上のPresentation Period、信用状のExpiry Date、指定された呈示場所及び銀行が書類を受領した日です。
UCP 600 Article 14(c)では、Articles 19から25の対象となるOriginal Transport Documentを一通以上含む呈示について、原則として船積日後21暦日以内、かつ信用状の有効期限内に行うことが求められます。
ただし、UCP 600は信用状により明示的に変更又は除外できます。信用状が「船積日後10日以内」等の短いPresentation Periodを定めている場合は、その短い期間を管理します。
反対に、信用状がArticle 14(c)を明示的に変更し、21日を超える期間又は「Stale documents acceptable」等の条件を定めている場合は、その信用状条件を確認します。
いずれの場合でも、信用状のExpiry Dateを過ぎて呈示できるとは限りません。Presentation PeriodとExpiry Dateの両方を確認し、実際に適用される早い期限を管理する必要があります。
期限後呈示となった場合、銀行は書類をDiscrepant Documentsとして扱い、Honour、Negotiation又は支払を拒絶又は保留する可能性があります。
Stale B/LはB/Lそのものを当然に無効にする概念ではありません。運送契約上のB/Lの機能と、L/C決済上の書類適合性は分けて判断する必要があります。
この記事で扱う範囲
| 項目 | この記事で扱う内容 | 関連記事・別テーマで扱う内容 |
|---|---|---|
| Stale B/L | 運送書類を含む書類の期限後呈示とL/C上の影響 | 個別銀行の内部点検基準、国別の銀行実務及び個別紛争 |
| UCP 600 Article 14(c) | 船積日後21暦日以内かつExpiry Date以内という基本ルール | Transport Documentごとの詳細な審査基準及びICC Official Opinion |
| 信用状によるルール変更 | Presentation Periodの短縮、延長又はStale Documents許容条件 | UCP 600 Article 1に基づくその他の変更・除外条件 |
| Discrepancy | 期限後呈示が書類不一致となる仕組み | 関連記事「L/C書類不一致(Discrepancy)の原因・予防・対応実務」でその他の不一致を扱います。 |
| Waiver | Applicantの了承を受けて銀行が書類を受理する可能性 | Waiver照会、拒絶通知、値引き要求及び支払拒絶対応 |
| Late Shipment | 船積期限超過と期限後呈示の違い | 船積期限延長、L/C Amendment及び本船変更 |
| Expired L/C | Presentation Period内でもExpiry Dateを過ぎる場合の問題 | 有効期限延長、呈示場所及び銀行閉鎖時の取扱い |
| Collection Basis | 銀行がL/C適合書類として処理せず、取立として送付する場合 | URC 522、D/P、D/A及び取立条件の詳細 |
| フォワーダー・NVOCC | B/L発行、On Board Date及び書類交付時期の管理 | L/C全体の銀行呈示管理及び輸出者の社内書類作成 |
| 貨物海上保険 | B/L日付、実際の船積日、保険始期及び事故日の整合確認 | 保険金請求、被保険利益、保険区間及び運送人への求償 |
Stale B/Lが問題となる制度的背景
L/C取引では、銀行は貨物の品質や契約履行そのものではなく、呈示された書類が信用状条件及び適用規則に適合しているかを審査します。
輸出者が期限内に貨物を船積みしていても、必要書類を期限内に銀行へ呈示できなければ、Complying Presentationにはならない可能性があります。
期限後呈示を認めるかどうかを銀行が自由に決めるのではなく、信用状条件、UCP 600及びApplicantからのWaiver等に基づいて処理されます。
したがって、Stale B/Lの防止には、物流工程だけでなく、証明書取得、社内署名、銀行持込み及び信用状有効期限を一体で管理する必要があります。
Stale B/Lに該当する場合・該当しない場合
| 区分 | 場面 | 判断 | 確認事項 | 実務上の対応 |
|---|---|---|---|---|
| 原則として該当 | Original Transport Documentを含む書類を船積日後21暦日を超えて呈示した | Article 14(c)を変更する条件がなければ期限後呈示となります。 | 船積日、呈示日、信用状条件 | Discrepancyとして銀行対応を確認します。 |
| 原則として該当 | 信用状が船積日後10日以内と定め、12日後に呈示した | 信用状の短いPresentation Periodに違反します。 | Field 48等のPresentation Period | Waiver又はAmendmentの可否を確認します。 |
| 別の期限違反 | 21日以内だがExpiry Date後に呈示した | Article 14(c)の21日以内でも信用状有効期限切れです。 | Expiry Date、呈示場所、受領日 | Expired Presentationとして処理を確認します。 |
| 通常は非該当 | 船積日後21暦日以内かつExpiry Date以内に呈示した | 期限面ではArticle 14(c)に適合します。 | その他の信用状条件 | 他のDiscrepancyがないか審査します。 |
| 信用状条件による | 信用状が「Stale documents acceptable」と明記する | Article 14(c)が変更又は除外される可能性があります。 | 条件の文言、Expiry Date | 銀行へ事前に解釈を確認します。 |
| 信用状条件による | 信用状が船積日後30日以内の呈示を明示する | Article 14(c)の21日ルールを変更している可能性があります。 | 信用状全文、UCP適用表示 | Expiry Dateとの早い方を管理します。 |
| Article 14(c)とは別論点 | Original Transport Documentを含まない呈示 | Article 14(c)の適用対象かを個別に確認します。 | 要求書類、原本・写しの別 | 信用状上の呈示期限を確認します。 |
| Stale B/Lではない | 船積自体がLatest Shipment Date後に行われた | Late Shipmentであり、期限後呈示とは別のDiscrepancyです。 | Latest Shipment Date、On Board Date | 両方のDiscrepancyを分けて通知します。 |
| Stale B/Lではない | B/L発行日が遅いが、船積日基準では期限内に呈示した | 発行日の遅さだけではStale B/Lとは限りません。 | On Board Date、呈示日 | B/Lのその他の記載を確認します。 |
Stale B/Lと関連する他の論点の違い
| 論点 | 問題となる期限・条件 | 主な判断基準 | 銀行上の主な影響 | 基本対応 |
|---|---|---|---|---|
| Stale B/L | Presentation Period | 船積日から呈示日までの日数 | Late PresentationのDiscrepancy | Waiver、書類修正可否又は取立扱いを確認します。 |
| Late Shipment | Latest Shipment Date | 実際のOn Board Date | 船積期限超過のDiscrepancy | 船積前にL/C Amendmentを取得します。 |
| Expired L/C | Expiry Date | 指定場所での銀行受領日 | 期限切れ呈示 | 有効期限延長の可否を確認します。 |
| その他のDiscrepancy | 品名、金額、数量、署名、日付等 | 信用状条件と書類内容 | 拒絶又はWaiver照会 | 不一致ごとに修正・Waiverを判断します。 |
| Waiver | Applicantによる不一致了承 | 発行銀行がWaiverを受け入れるか | 書類受理・支払へ進む可能性 | Applicantの了承だけで確定したと考えません。 |
| Collection Basis | L/C適合性によらない取立処理 | 輸入者が支払又は引受に応じるか | L/C上の銀行確約を利用できない場合があります。 | 輸出者の承認を得て条件を明確にします。 |
| Silent Confirmation | 別契約上の支払条件 | 期限後呈示が保護対象となるか | 別契約上の支払拒絶となる可能性 | Silent Confirmation契約を個別に確認します。 |
| L/G Negotiation | 銀行の個別承認・補償条件 | 銀行がDiscrepancy付き書類を買取るか | 輸出者への遡求条件が残る場合があります。 | 保証・遡求・金利・費用を確認します。 |
船積日から銀行呈示までの期限計算
Stale B/Lの判断では、B/Lの発行日ではなく、原則としてUCP 600上の運送書類に示された船積日を起点にします。
「船積日後21暦日」の計算では、船積日の翌日を1日目として数えます。
例えば、船積日が7月1日で、信用状がArticle 14(c)を変更していない場合、21日目は7月22日です。ただし、Expiry Dateが7月18日であれば、7月18日までに呈示する必要があります。
信用状が「船積日後10日以内」と定めている場合、7月1日船積みの呈示期限は原則として7月11日となります。
実際の最終判断では、信用状文言、呈示場所、銀行営業状況及びUCP上の期間計算規則を確認する必要があります。
Stale B/Lを防ぐ期限管理フロー
| 段階 | 管理する日付・期限 | 確認事項 | 問題がある場合の対応 |
|---|---|---|---|
| 1. L/C受領 | 発行日、Latest Shipment Date、Presentation Period、Expiry Date | UCP 600の適用、呈示場所及び期限変更条項 | 不可能な条件は船積前にAmendmentします。 |
| 2. 期限一覧作成 | 各期限の暫定最終日 | 船積予定日を基に呈示期限を逆算する | 営業・物流・書類・銀行担当者で共有します。 |
| 3. Booking | ETD、CY Cut、書類Cut、Blank Sailing情報 | Latest Shipment Date以内に船積可能か | 本船変更又はL/C延長を検討します。 |
| 4. 証明書手配 | 原産地証明、検査証明、衛生証明等の取得日 | 船積後に取得する書類の所要日数 | 発行機関へ事前申請します。 |
| 5. 船積実行 | 実際のOn Board Date | Latest Shipment Date以内か | 事実と異なる日付を記載せず、銀行へ相談します。 |
| 6. 最終期限確定 | 船積日から計算したPresentation Period最終日 | Expiry Dateと比較し、早い期限を特定する | 社内目標日をさらに前倒しします。 |
| 7. B/Lドラフト確認 | ドラフト受領日、訂正期限 | On Board Date、Shipper、Consignee、船名及び港 | 船積前後に早期修正します。 |
| 8. B/L発行・受領 | Original発行日、輸出者受領日 | Original通数、署名及び銀行呈示予定 | 発行遅延を銀行提出日へ反映します。 |
| 9. 書類一式完成 | Invoice、保険証券、証明書等の完成日 | 全要求書類がそろっているか | 不足書類の代替・Amendmentを検討します。 |
| 10. 社内点検 | 社内締切日 | 署名、押印、書類間の整合及びDiscrepancy | 銀行持込前に修正します。 |
| 11. 銀行呈示 | 指定銀行の実際の受領日 | Courier発送日ではなく、呈示場所での受領を確認する | 受領証、受付記録又は追跡情報を保存します。 |
| 12. 銀行点検・対応 | 銀行の審査日、拒絶通知日、Waiver照会日 | 期限後呈示及びその他のDiscrepancy | 修正、Waiver、取立又は返却方針を決定します。 |
Stale B/Lが発生しやすい典型ケース
| ケース | 主な原因 | 確認資料 | 判断のポイント | 初動対応 |
|---|---|---|---|---|
| B/L発行が船積後大幅に遅れた | ドラフト修正、運賃未確定又はshipping lineの処理遅延 | L/C、B/Lドラフト、発行履歴 | 残りのPresentation Periodで呈示可能か | 発行を催促し、銀行へ期限状況を連絡します。 |
| 原産地証明書が間に合わない | 発行機関の審査又は認証遅延 | 申請記録、L/C、発行予定 | B/Lだけ先に呈示できるか | Amendment又は代替書類の可否を確認します。 |
| 社内承認で数日停止した | 署名者不在又は押印手続の集中 | 社内回覧、完成書類、期限表 | 指定銀行が期限内に受領できるか | 緊急承認経路を使用します。 |
| Courier発送は期限内だが銀行到着が期限後 | 発送日を呈示日と誤認 | Courier追跡、銀行受付記録 | 指定された呈示場所でいつ受領されたか | 銀行判断とWaiver対応を確認します。 |
| 21日以内だがExpiry Date後だった | Presentation Periodだけを管理 | L/C、船積日、呈示日 | Expiry Dateが先に到来しているか | Expired Presentationとして銀行へ相談します。 |
| 信用状の10日ルールを見落とした | UCPの21日だけを基準にした | L/C Field 48、船積日、呈示日 | 信用状がArticle 14(c)を短縮しているか | Waiver又はAmendmentを検討します。 |
| 短期航路で貨物が書類より先に到着した | 航海日数が書類作成・銀行経由日数より短い | Arrival Notice、B/L、L/C、Courier | Original B/L要求を維持したまま引取可能か | Bank L/G等を検討し、次回条件を見直します。 |
| 船積日を遡らせるよう求められた | Latest Shipment Date又はPresentation Period超過の回避 | 本船記録、Mate's Receipt、B/L指示 | 実際のOn Board Dateと一致するか | 虚偽記載を拒否し、銀行へ正しい事実を伝えます。 |
| ApplicantがWaiverを拒否した | 納期遅延、相場下落又は別のDiscrepancy | 拒絶通知、Waiver照会、売買契約 | L/C以外の支払方法へ移行できるか | 取立、返却、値引き又は回収方針を決定します。 |
輸出者・輸入者・フォワーダー・銀行の役割
| 立場 | 主なリスク | 確認事項 | 実務上の対応 |
|---|---|---|---|
| 輸出者 | 買取拒絶、支払遅延、Waiver待ち及び資金繰り悪化 | 船積日、Presentation Period、Expiry Date及び全書類の取得日 | L/C受領時に期限表を作成し、銀行呈示日を逆算します。 |
| 輸入者 | 書類入手・貨物引取り遅延、Demurrage及び納期遅延 | 貨物到着、書類到着、Waiver対象及びその他のDiscrepancy | 遅延理由と取引上の影響を確認してWaiverを判断します。 |
| フォワーダー・NVOCC | B/L発行遅延、誤ったOn Board Date及び書類交付遅延 | B/Lドラフト、実船積日、Original通数及び発行予定 | 事実に基づくB/Lを発行し、遅延見込みを早期共有します。 |
| 銀行 | 期限後呈示、拒絶通知、Waiver照会及び処理遅延 | 信用状、呈示日、船積日、Expiry Date及び全Discrepancy | UCP 600 Article 16等に従い取扱方針を決定します。 |
| 保険担当者 | B/L日付、保険始期及び事故日の不整合 | 保険証券、実船積日、事故日及び輸送区間 | Stale B/Lと物的損害の補償判断を分けて確認します。 |
Waiverとの関係
Stale B/Lは代表的なDiscrepancyの一つです。
発行銀行が書類を拒絶する場合、ApplicantへWaiverの可否を照会することがあります。
Applicantが遅延を了承しても、それだけで発行銀行が必ず書類を受理するとは限りません。Waiverを受け入れるかどうかは、発行銀行が信用状、書類、融資条件及び内部判断に基づいて決定します。
また、Stale B/L以外にもDiscrepancyが存在する場合、Applicantは一部だけをWaiverし、他の不一致を拒否することがあります。
Waiverを取得できない場合、書類がCollection Basisで送付される、輸出者へ返却される、値引き交渉となる又はUnpaidとなる可能性があります。
輸出者は、Waiverが得られることを前提として期限後呈示を容認してはいけません。
貨物到着と書類到着の時間差
日中・日韓航路その他の短期航路では、貨物が数日で到着する一方、Original B/L、証明書及び銀行書類の流れにはより長い時間がかかることがあります。
貨物が先に到着しても、L/CがOriginal B/Lを要求している場合、輸入者は銀行経由で書類を取得するまで貨物を引き取れないことがあります。
その結果、Demurrage、Detention、保管料及び納品遅延が発生する可能性があります。
Sea Waybill、Surrendered B/L又はTelex Releaseは書類到着遅延を軽減する場合がありますが、信用状がOriginal B/Lを要求している場合に無断で変更すると、別のDiscrepancyとなります。
短期航路では、L/C開設時に運送書類の種類、Presentation Period及び貨物引取り方法を検討することが重要です。
貨物海上保険との関係
Stale B/Lは主としてL/C決済上の書類期限の問題であり、それ自体が貨物保険の保険金支払可否を決定するものではありません。
ただし、B/L上のOn Board Date、実際の船積日、保険証券の始期、事故発生日及び輸送区間が一致しない場合、保険上の確認が必要になります。
Stale B/Lを回避するために事実と異なる船積日を記載すると、銀行書類だけでなく、保険金請求、事故原因及び求償関係にも影響する可能性があります。
貨物事故が発生している場合は、Stale B/LのDiscrepancy対応と、貨物保険上の事故通知・証拠保全を分けて進めます。
具体例1:21日以内でもExpiry Dateを過ぎた場合
船積日が7月1日、信用状のExpiry Dateが7月18日で、信用状には特別なPresentation Periodが記載されていないとします。
UCP 600 Article 14(c)だけを見れば、船積日後21暦日の最終日は7月22日です。
しかし、呈示は信用状のExpiry Dateを超えることができないため、実際の呈示期限は7月18日となります。
輸出者が7月20日に書類を銀行へ呈示した場合、船積日後21日以内ではありますが、信用状有効期限後の呈示となります。
この場合、「21日以内だからStale B/Lではない」とだけ判断することはできません。Expired L/CとしてDiscrepancyとなり、ApplicantのWaiver又はL/C以外の処理が必要になる可能性があります。
具体例2:信用状が10日のPresentation Periodを定めた場合
船積日が8月1日で、信用状が「Documents must be presented within 10 days after shipment」と定めているとします。
この場合、UCP 600の通常の21日ではなく、信用状が定めた10日の期間を管理します。
輸出者が8月13日に書類を呈示した場合、Expiry Dateがまだ先であっても、Presentation Period超過となります。
ApplicantがWaiverに同意しても、発行銀行がそのWaiverを受け入れるか、その他のDiscrepancyがないかを確認する必要があります。
輸出者は銀行の正式な受理を確認するまで、L/C上の支払が確定したと考えるべきではありません。
具体例3:短期航路で証明書取得が遅れた場合
日本から韓国への短期航路で、貨物が船積後2日で到着した一方、信用状がOriginal B/L、原産地証明書及び検査証明書を要求していたとします。
B/Lは船積後3日で発行されましたが、検査証明書の取得に18日を要し、銀行への呈示は船積日後22日目となりました。
貨物には問題がなく、輸入者も早期引取りを希望していましたが、書類はArticle 14(c)の通常期間を超えて呈示されています。
輸入者がWaiverを認めれば決済が進む可能性はありますが、銀行の受理、保管料負担及びその他の書類不一致は別途確認が必要です。
次回取引では、検査証明書の取得日数を踏まえてPresentation Periodの延長をL/Cへ明記するか、L/C条件と整合する範囲で運送書類・証明手続を見直します。
よくある誤解
| 誤解 | 実際の考え方 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| Stale B/LはB/Lが古いという意味である | 主としてL/C上の期限後呈示を意味します。 | 船積日、呈示日及び信用状条件を確認します。 |
| 船積期限を守れば問題ない | Latest Shipment Dateとは別にPresentation PeriodとExpiry Dateがあります。 | 3種類の期限を一体で管理します。 |
| 21日以内なら必ず適合する | Expiry Date又は信用状上の短い期間が先に到来する場合があります。 | 実際に適用される早い期限を確認します。 |
| 21日より長い期間は認められない | 信用状がArticle 14(c)を明示的に変更する場合があります。 | 「30 days」や「Stale documents acceptable」の文言を確認します。 |
| B/L発行日から21日を数える | 原則として運送書類上の船積日を基準とします。 | On Board Dateを確認します。 |
| Courierへ期限内に発送すれば呈示済みである | 通常、指定された呈示場所で銀行が受領した日が重要です。 | 銀行の受付記録を取得します。 |
| Stale B/LになるとB/L自体が無効になる | L/C上の書類適合性とB/Lの運送法上の機能は別です。 | 決済と貨物引渡請求を分けて判断します。 |
| Waiverがあれば必ず支払われる | 発行銀行がWaiverを受け入れる必要があります。 | 銀行の正式な回答を確認します。 |
| Applicantが了承すれば他のDiscrepancyも消える | Waiverの対象となる不一致は個別に確認されます。 | 銀行のDiscrepancy一覧を確認します。 |
| B/L日付を調整すれば解決する | 実態と異なる船積日記載は虚偽記載となる可能性があります。 | 事実に基づく日付を使用します。 |
| 貨物が無事なら銀行も支払う | 銀行は貨物ではなく書類を審査します。 | 貨物状態と書類適合性を区別します。 |
| フォワーダーがL/C期限もすべて管理する | フォワーダーは運送書類に関与しますが、L/C全体の呈示責任は輸出者側にもあります。 | L/C条件と銀行呈示予定を社内管理します。 |
Stale B/Lを防ぐ判断チェックリスト
| 確認場面 | 確認する相手 | 確認事項 | 問題がある場合の対応 |
|---|---|---|---|
| L/C受領時 | 輸出者・取引銀行 | Latest Shipment Date、Presentation Period、Expiry Date、呈示場所 | 船積前にAmendmentを依頼します。 |
| ルール確認時 | 取引銀行 | UCP 600 Article 14(c)が変更・除外されているか | 不明確な条件を書面で確認します。 |
| Booking時 | フォワーダー・NVOCC・shipping line | ETD、CY Cut、Blank Sailing及び船積可能日 | 本船変更又は船積期限延長を検討します。 |
| 証明書手配時 | 発行機関・検査会社・保険会社 | 必要書類、所要日数、認証及びOriginal発行 | 早期申請又はL/C条件変更を行います。 |
| 船積時 | shipping line・NVOCC | 実際のOn Board Date | 事実と異なる日付の記載を拒否します。 |
| 期限確定時 | 輸出者・銀行 | 船積日起算日とExpiry Dateの早い方 | 社内期限を前倒しします。 |
| B/L発行時 | フォワーダー・NVOCC・shipping line | ドラフト、発行日、Original通数及び受領予定 | 発行遅延を直ちに共有します。 |
| 書類完成時 | 社内各部門・証明機関 | 全要求書類、署名、日付及び書類間整合 | 呈示前に修正します。 |
| 銀行呈示時 | 取引銀行 | 実際の銀行受領日、受付番号及び呈示場所 | 受領証拠を保存します。 |
| Discrepancy通知時 | 銀行・輸入者 | Stale B/L以外の不一致、Waiver及び拒絶通知 | 修正、Waiver、取立又は返却を判断します。 |
| 貨物到着時 | 輸入者・海外代理店 | Arrival、Original到着、Demurrage及び引取り条件 | 銀行書類と貨物Releaseを別々に管理します。 |
| 保険確認時 | 保険会社・保険代理店 | B/L日付、実船積日、保険始期及び事故日 | 不整合を事故通知時に説明します。 |
専門家へ確認すべき場面
- 信用状がUCP 600 Article 14(c)を変更又は除外しているか不明な場合
- 「Stale documents acceptable」の適用範囲が不明な場合
- Original Transport Documentを含まない呈示に21日ルールが適用されるか不明な場合
- Presentation PeriodとExpiry Dateの計算結果について銀行と見解が異なる場合
- 銀行へのCourier発送日と実際の受領日が異なる場合
- 銀行閉鎖、不可抗力又は休日により最終呈示日が問題となる場合
- ApplicantのWaiverがあるものの発行銀行が書類を拒絶している場合
- 期限後呈示以外にも複数のDiscrepancyがある場合
- L/C扱いからCollection Basisへ変更する場合
- 期限超過を避ける目的でB/L日付の変更を求められた場合
- 短期航路で貨物到着とOriginal B/L到着が大きくずれる場合
- B/L日付、保険始期及び事故日が一致しない場合
まとめ
Stale B/Lとは、L/C取引において、B/Lその他の運送書類を含む書類が、信用状又は適用されるUCP 600上の呈示期限を過ぎて銀行へ呈示される状態です。
UCP 600 Article 14(c)では、Original Transport Documentを含む呈示について、原則として船積日後21暦日以内、かつ信用状のExpiry Date以内に呈示することが求められます。
ただし、信用状はUCP 600の規定を明示的に変更又は除外できます。信用状が短いPresentation Periodを定める場合はその期間を管理し、より長い期間又は「Stale documents acceptable」を定める場合も、その文言とExpiry Dateを確認します。
21日以内であってもExpiry Dateを過ぎれば問題となり、船積期限内であってもPresentation Periodを過ぎれば期限後呈示となります。
Stale B/Lは主としてL/C決済上の書類適合性の問題であり、B/Lそのものが当然に無効となるわけではありません。
期限後呈示となった場合、銀行はDiscrepancyとして処理し、Waiver照会、支払保留、書類返却又はCollection Basisへの変更が問題となります。
ApplicantがWaiverしても、発行銀行が必ず書類を受理するとは限らず、その他のDiscrepancyも個別に確認する必要があります。
Stale B/Lを防止するには、Latest Shipment Date、On Board Date、Presentation Period、Expiry Date、証明書取得日、B/L発行日及び銀行の実際の受領日を一体で管理します。
フォワーダー・NVOCCは実際の船積日に基づいてB/Lを作成し、期限超過を避ける目的で事実と異なるOn Board Dateを記載してはいけません。
短期航路では貨物が書類より先に到着するため、L/C開設時に運送書類の種類、Presentation Period及び貨物引取り方法を検討することが重要です。
Stale B/Lは単なる書類遅延ではなく、代金回収、銀行確約、貨物引取り、保管費用及び資金繰りに影響する期限管理上の重要なDiscrepancyです。
