クリーンB/Lとリマーク付きB/L
クリーンB/Lとリマーク付きB/L
クリーンB/Lとリマーク付きB/Lは、B/L(Bill of Lading/船荷証券)に記載される貨物または包装の外観状態に関する重要な区分です。
クリーンB/Lとは、運送人が貨物を受領または船積みした時点で、貨物または包装の外観上の不良状態を明示する条項や注記が付されていないB/Lをいいます。
一方、リマーク付きB/Lとは、貨物や包装に破損、濡れ、錆、数量不足、包装不良、内容物露出等の外観上確認できる異常があり、その状態がB/L上に記載されたものをいいます。
リマーク付きB/Lは、Claused B/L、Dirty B/L、Foul B/L等と呼ばれることがあります。
ただし、クリーンB/Lは、貨物の品質、性能、成分、内部状態、申告数量または契約適合性を保証する書類ではありません。
また、リマーク付きB/Lが発行されている場合でも、運送人が以後のすべての損害について免責されるわけではありません。
B/L上のリマークと輸入地で確認された損傷が同一か、損傷が拡大しているか、リマークにない新たな損傷が発生したかを確認する必要があります。
クリーンB/Lかリマーク付きB/Lかという区分は、L/C決済、貨物引渡し、貨物保険、運送人責任、サーベイ、求償およびフォワーダーの契約上の責任に影響します。
この記事で扱う範囲
| 項目 | この記事で扱う内容 | 別途確認が必要な事項 |
|---|---|---|
| Clean B/L | 外観不良を明示するリマークがないB/Lの意味 | 個別B/Lの文言、運送約款、準拠法 |
| Claused B/L | 貨物・包装の異常を記載したB/Lの意味 | リマークの正確性、範囲、対象梱包 |
| Mate’s Receipt | 船積時の外観状態がB/Lへ反映される流れ | 船社・港湾・貨物形態ごとの発行実務 |
| コンテナ貨物 | Dock Receipt、EIR、CFS記録等からの状態確認 | CY貨物のコンテナ内部状態 |
| L/C決済 | UCP600 Article 27とClean Transport Document | 個別L/C条件、ISBP、銀行判断 |
| 通常の限定文言 | Shipper’s load and count、Said to contain等 | 個別文言が状態不良を明示していないか |
| LOI | Clean B/L発行を求める補償状の危険性 | 有効性、差入人の資力、P&I保険 |
| House B/L・Master B/L | 両B/L間のリマーク不整合とNVOCC責任 | 各運送人の受領時点・確認範囲 |
| 輸入地損傷 | B/Lリマークと到着時損害の切り分け | 損傷原因、発生区間、サーベイ結果 |
| 貨物保険 | 既存損傷と輸送中の新損傷の整理 | 個別保険証券、免責、保険期間 |
| 運送人責任 | 受領時の状態、誤記載、追加損傷との関係 | 適用条約、運送契約、時効・通知期限 |
| フォワーダー責任 | B/L発行者・取次者・契約運送人の責任範囲 | 個別契約、発行書類、受領した指示 |
クリーンB/Lとは
クリーンB/Lとは、貨物または包装の外観上の不良状態を明示する条項や注記が付されていないB/Lです。
運送人が確認するのは、原則として貨物を受領または船積みする時点で合理的に確認できる外観状態です。
たとえば、梱包外側に破れ、潰れ、濡れ、錆、内容物露出等が見当たらず、外観上良好に見える場合には、リマークなしのB/Lが発行されることがあります。
しかし、クリーンB/Lは次の事項を保証するものではありません。
- 梱包内部に破損がないこと
- 機械・電子機器が正常に作動すること
- 食品・化学品の品質や成分が契約どおりであること
- 荷主申告数量が実際の数量と一致すること
- コンテナ内部の積付けが適切であること
- 貨物が売買契約や輸入規制に適合していること
- 輸送中に事故が発生しないこと
クリーンB/Lは、貨物の品質保証書や検査証明書ではなく、運送人が確認できる範囲で外観上の不良状態を明示していない運送書類です。
リマーク付きB/Lとは
リマーク付きB/Lとは、貨物または包装について外観上確認された異常がB/L上に記載されたものです。
リマークは、貨物を運送人が受領した時点または本船へ船積みした時点で、すでに一定の異常が存在していたことを示す証拠となります。
そのため、輸入地で同じ異常が確認された場合、運送人は、損傷が運送開始前または受領時から存在していたと主張する可能性があります。
ただし、B/L上の記載は、記載された異常の種類、程度、数量および対象梱包の範囲で評価されます。
たとえば、B/Lに「2 cartons slightly dented」と記載されているにもかかわらず、到着時に20カートンの水濡れと内容物破損が確認された場合、すべてを既存損傷として処理することはできません。
リマークがB/Lへ記載されるまでの基本的な流れ
- 荷主またはフォワーダーが貨物をCFS、CY、岸壁、船会社、NVOCC等へ搬入する。
- 貨物受領時に、外装、包装、数量、濡れ、錆、破損等が確認される。
- 異常があれば、Dock Receipt、貨物受領記録、Tally Sheet、EIR、サーベイ記録等へ記載される。
- 在来船・重量物・鋼材等では、本船側がMate’s Receiptへ貨物の外観状態を記載することがある。
- 船会社またはB/L発行者が、Shipping Instructionと受領記録を照合する。
- Mate’s Receiptその他の受領記録に外観異常があれば、B/Lへのリマーク反映が検討される。
- B/L Draftが荷主・フォワーダーへ提示され、品名、数量、日付、リマーク等が確認される。
- 確定した情報に基づきOriginal B/LまたはSea Waybill等が発行される。
- L/C取引では、発行されたB/LがL/C条件とUCP600等に基づき銀行審査される。
Mate’s ReceiptとB/Lリマークの関係
Mate’s Receiptとは、本船が貨物を受領または船積みしたことを示す本船受取証です。
在来船、ばら積み貨物、鋼材、重量物等では、船長、一等航海士その他の船側担当者が、船積数量や貨物の外観状態についてMate’s Receiptへ記載することがあります。
貨物に錆、濡れ、変形、包装破損、数量差等が確認された場合、その内容がMate’s Receiptへ記載され、後に発行されるB/Lへ引き継がれることがあります。
| 段階 | 主な書類・記録 | 確認内容 | B/Lへの影響 |
|---|---|---|---|
| 貨物搬入時 | Dock Receipt、CFS受領記録 | 梱包破損、濡れ、数量、ラベル | 受領時リマークの基礎となる |
| 本船船積時 | Mate’s Receipt、Tally Sheet | 貨物状態、船積数量、荷役中損傷 | B/L上のClausingへ反映される場合がある |
| サーベイ時 | Survey Report、写真 | 錆、濡れ、変形、包装状態 | リマーク文言を具体化する資料となる |
| B/L Draft作成時 | Shipping Instruction、Mate’s Receipt | 申告内容と受領記録の整合 | 不一致があれば訂正・照会が必要となる |
| B/L発行時 | Master B/L、House B/L | 運送人が表明する外観状態 | 決済・責任判断の証拠となる |
Mate’s Receiptにリマークがあるにもかかわらず、理由を確認せずClean B/Lを発行することは危険です。
荷主からClean B/L発行を求められても、B/L発行者は、実際の貨物状態と受領記録に基づいて判断する必要があります。
コンテナ貨物ではMate’s Receiptが常に使用されるとは限らない
コンテナ定期船輸送では、在来船貨物と同じ形式のMate’s Receiptが発行されないことがあります。
その場合、リマークの基礎となる情報は、CFS搬入記録、Dock Receipt、Equipment Interchange Receipt、コンテナ外観記録、ターミナル記録、Vanning Report、写真、検数記録等から確認します。
| 貨物形態 | 主な状態確認資料 | 運送人が確認しやすい範囲 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| CFS詰めLCL貨物 | CFS受領記録、Dock Receipt、写真 | 個々の梱包外観・数量 | CFS搬入時リマークを確認する |
| 荷主詰めFCL貨物 | EIR、コンテナ外観、Seal記録 | コンテナ外観・Seal等 | コンテナ内部の梱包状態は確認できない場合がある |
| 在来船貨物 | Mate’s Receipt、Tally Sheet、Survey Report | 個品・梱包の外観 | 船積時所見がB/Lへ反映されやすい |
| 重量物・プロジェクト貨物 | Condition Survey、Mate’s Receipt、写真 | 貨物本体、支持部、梱包等 | 船積前状態を詳細に記録する必要がある |
| 鋼材 | Pre-loading Survey、Mate’s Receipt | 錆、濡れ、曲損、擦損等 | リマークの程度・範囲を具体化する |
リマークの主な種類
| リマーク例 | 主な意味 | L/C上の影響 | 保険・責任判断への影響 |
|---|---|---|---|
| Cartons damaged | カートンに損傷がある | Clean Transport Document要求では問題となりやすい | 到着時の同種損傷との範囲比較が必要 |
| Packages torn | 包装が破れている | 状態不良リマークとなりやすい | 内容物露出・不足・汚損を確認する |
| Wet marks noted | 濡れ跡が確認された | 重大な不一致となりやすい | 水濡れ、カビ、腐敗、錆との因果関係を確認する |
| Rust noted | 錆が確認された | 貨物内容により問題となる | 船積前錆と輸送中の追加錆を切り分ける |
| Short shipped | 予定数量より少なく船積みされた | 数量条件との重大な不一致になり得る | 契約数量、受領数量、船積数量を照合する |
| Packing broken | 梱包が破損している | 状態不良リマークとなりやすい | 梱包不十分と内容物損傷を確認する |
| Pallet collapsed | パレットが崩れている | 問題となりやすい | 荷崩れ、圧損、荷役事故との関係を確認する |
| Contents exposed | 内容物が露出している | 重大なリマークとなりやすい | 盗難、汚損、数量不足、破損リスクが高い |
| Cases dented | 木箱・ケースに凹みがある | 程度によって不一致となる | 内部機械への衝撃伝達を確認する |
| Straps broken | 帯鉄・バンドが切れている | 包装不良リマークとなり得る | 荷崩れ・数量不足の可能性を確認する |
| Partly unprotected | 貨物の一部が保護されていない | 状態不良の記載となり得る | 水濡れ・擦損・錆との関係を確認する |
| Number of packages unknown | 運送人が梱包数を確認できない | 個別文言により判断が異なる | 運送人の確認範囲を限定する記載の可能性 |
外観不良リマークと確認範囲限定文言の違い
B/L上のすべての注記が、貨物または包装の不良状態を示すリマークとは限りません。
| 記載例 | 主な性質 | Clean B/Lへの影響 | 確認事項 |
|---|---|---|---|
| Shipper’s load and count | 荷主がコンテナ詰め・数量確認を行ったことを示す | 通常は外観不良リマークとは異なる | 文言全体に状態不良の記載がないか確認する |
| Said to contain | 内容品が荷主申告であることを示す | 通常は外観不良リマークとは異なる | 内部数量・品質を運送人が確認していない点に注意する |
| Weight unknown | 重量を運送人が確認していないことを示す | 通常は状態不良リマークとは異なる | L/C条件が重量証明を求めていないか確認する |
| Particulars furnished by shipper | 記載事項が荷主提供であることを示す | 通常は状態不良リマークとは異なる | 品名・数量の申告責任を確認する |
| Cartons wet and torn | 包装の具体的な不良状態を示す | Clean Transport Documentとは扱われにくい | 対象数・程度・発生時点を確認する |
UCP600 Article 26に関連する通常文言と、Article 27で問題となる貨物・包装の不良状態の明示を区別する必要があります。
UCP600 Article 27とClean Transport Document
L/C取引では、信用状条件としてClean B/LまたはClean Transport Documentの呈示が求められることがあります。
UCP600 Article 27では、貨物または包装の不良状態を明示する条項や注記がない運送書類をClean Transport Documentとして扱います。
重要なのは、B/L上に「clean」という単語が印字されているかではありません。
貨物または包装が不良状態であることを明示する記載があるかどうかが判断の中心となります。
| B/L上の状態 | Article 27上の基本的な見方 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 「clean」の語はないが状態不良リマークもない | Clean Transport Documentとして扱われる可能性がある | L/Cの独自文言を別途確認する |
| 「clean on board」と記載されている | 他に不良状態リマークがなければCleanとして扱われ得る | On Board日付・船名等も確認する |
| Cartons wetと記載されている | 貨物・包装の不良状態を明示している | 書類不一致となる可能性が高い |
| Shipper’s load and countのみ | 通常は不良状態を明示する記載とは異なる | Article 26と個別L/C条件を確認する |
| Said to containのみ | 通常は不良状態を明示する記載とは異なる | 内部状態・数量の保証ではない |
| リマークを抹消・訂正している | 訂正の真正性・認証が問題となる | 発行者認証、訂正経緯、貨物状態を確認する |
銀行は書類を審査する立場であり、実際の貨物を検査するものではありません。
そのため、B/L上の一文が、L/C決済の成否に直接影響する場合があります。
L/C取引で確認する事項
| 確認項目 | 確認内容 | 問題がある場合の対応 |
|---|---|---|
| Clean B/L要求 | Clean Transport Document、Clean on Board等の条件 | B/L発行前に銀行・買主へ確認する |
| UCP600適用 | L/CがUCP600へ準拠しているか | 適用規則を確定する |
| ISBP | 銀行標準実務上の取扱い | 呈示前に銀行へ相談する |
| On Board記載 | 船積日、船名、積地 | 必要なOn Board Notationを取得する |
| リマーク | 貨物・包装の状態不良を明示しているか | Waiver・L/C条件変更を検討する |
| Consignee | To Order、銀行名、買主名等 | L/C条件と一致させる |
| Freight表示 | Freight Prepaid・Collect等 | インコタームズ・L/Cと照合する |
| 訂正 | 訂正者、認証、Original全通への反映 | 発行者の正式訂正を取得する |
LOIを差し入れてClean B/Lを求める場面
貨物または包装に外観上の異常がある場合でも、輸出者や用船者が、L/C決済や売買契約を理由にClean B/Lの発行を求めることがあります。
この際、運送人へLetter of Indemnity(LOI/補償状)を差し入れ、リマークを付さずにB/Lを発行するよう依頼する場合があります。
LOIは、運送人が依頼に従った結果、後日損害や請求を受けた場合に、LOI差入人が一定の範囲で補償することを約束する書類です。
しかし、LOIは、実際の貨物状態を変更する書類ではありません。
LOIを差し入れても、貨物が濡れていた事実、包装が破損していた事実、Mate’s Receiptにリマークがあった事実は消滅しません。
LOIの法的・実務的な限界
| 論点 | LOIの基本的な位置付け | 残るリスク |
|---|---|---|
| 運送人との関係 | 依頼者が運送人の損害を補償する契約 | 補償範囲・請求条件が争われる可能性 |
| 買主との関係 | 通常、買主を拘束する書類ではない | 買主からB/L誤記載・貨物損害を請求される可能性 |
| 銀行との関係 | 通常、呈示銀行・発行銀行を拘束しない | 書類不一致・不実記載・詐欺が問題となる可能性 |
| 保険会社との関係 | 保険会社がLOIにより当然に拘束されるわけではない | P&I・貨物保険の免責や求償が問題となる可能性 |
| 差入人の信用力 | 差入人が履行できることを前提とする | 倒産・資力不足により回収できない可能性 |
| 不正な目的 | 適法な範囲での補償を前提とする | 不実記載を認識して発行した場合、LOIの有効性が否定される可能性 |
| 第三者請求 | 第三者請求自体を防ぐものではない | 運送人が先に第三者へ賠償し、後にLOI請求する構造となる |
LOIは免罪符ではなく、リスクを別の当事者へ戻すための補償契約です。
外観異常を認識しながら事実と異なるClean B/Lを発行した場合、LOIがあっても、運送人、NVOCC、署名者等の対外的責任が消えるわけではありません。
LOI差入れ前に確認する事項
- Mate’s Receipt、Dock Receipt、Survey Reportに何が記載されているか
- 貨物または包装の実際の状態
- リマークが軽微な表現上の問題か、明確な外観不良か
- Clean B/Lを求める理由
- L/C条件と買主の認識
- LOI差入人の信用力・資力
- 銀行保証付きLOIが必要か
- 補償範囲、金額、期間、準拠法、裁判管轄
- P&I保険者への相談要否
- B/L署名権限者・本社法務の承認
- 第三者がB/L記載を信頼する可能性
Master B/LとHouse B/Lのリマーク不整合
NVOCCやフォワーダーがHouse B/Lを発行する場合、実運送人または船会社が発行するMaster B/Lとは別の運送契約が成立します。
NVOCC・House B/L発行者は、荷主に対して契約運送人となるため、自ら発行するHouse B/Lの記載について責任を負う可能性があります。
Master B/Lに貨物・包装の外観異常を示すリマークがあるにもかかわらず、理由を確認せずClean House B/Lを発行すると、House B/L所持人に対し、貨物が外観上良好な状態で受領されたとの表明を行うことになります。
| Master B/L | House B/L | 主な問題 | 必要な対応 |
|---|---|---|---|
| Clean | Clean | 通常は状態記載の不整合がない | 基礎となる受領記録も確認する |
| Claused | 同内容でClaused | 状態異常が両B/Lへ反映されている | 対象数量・文言の整合を確認する |
| Claused | Clean | NVOCCが外観異常を無視したとの問題が生じる | 発行前に原因確認・貨物再検査・法務相談を行う |
| Clean | Claused | NVOCC独自の受領時に異常があった可能性 | 異常発生時点と根拠資料を確認する |
| リマーク対象が異なる | 別のリマーク | 各運送人の受領時点・確認範囲が異なる可能性 | 単純転記ではなく時系列で整理する |
| Master B/L未発行 | House B/L発行を急ぐ | 後日Master B/Lにリマークが付く可能性 | 受領記録・Mate’s Receiptを先に確認する |
House B/LとMaster B/Lの文言が常に完全一致しなければならないという意味ではありません。
両者は別の契約運送人が、異なる受領時点・確認範囲に基づいて発行する場合があるためです。
しかし、同じ外観異常を把握しながら、NVOCCが意図的にClean House B/Lを発行することは、契約運送人としての責任、L/C決済、貨物保険、P&I保険、求償に重大な影響を及ぼします。
House B/L発行前の照合項目
| 確認資料 | 確認内容 | 不一致時の対応 |
|---|---|---|
| CFS・Dock Receipt | 搬入時の梱包状態・数量 | 現場担当者へ確認する |
| Mate’s Receipt | 本船受領時のリマーク | リマークの原因・対象を確認する |
| Master B/L Draft | 船会社が予定する状態記載 | House B/Lとの不整合を整理する |
| Survey Report | 損傷の種類・程度・対象数量 | 具体的なリマーク文言へ反映する |
| 写真 | 外観異常の客観的状態 | 発行承認者へ共有する |
| L/C | Clean Transport Document要求 | 買主・銀行へのWaiver等を検討する |
| LOI | 補償範囲、差入人、信用力 | LOIだけでClean発行を決定しない |
輸入地で損傷が見つかった場合
輸入地で貨物損傷が見つかった場合は、最初にB/LがCleanかClausedかを確認します。
Clean B/Lであれば、運送人受領時または船積時に、当該外観異常がB/L上で明示されていなかったことになります。
そのため、輸送、荷役、保管、配送中に損傷が発生した可能性を検討します。
Claused B/Lで同種の損傷が記載されている場合は、既存損傷か、輸送中に損傷が拡大したかを切り分けます。
損傷発見時の確認タイムライン
| 時点 | 確認内容 | 主な資料 | 対応 |
|---|---|---|---|
| 搬出前 | B/Lリマーク、コンテナ・貨物外観 | B/L、D/O、EIR、CY・CFS記録 | 異常を記録し搬出前に関係者へ通知する |
| 搬出時 | 包装破損、濡れ、数量差、Seal | 写真、POD、受渡記録 | リマーク付き受領と速報通知を行う |
| 倉庫搬入時 | 搬出後に損傷が増えていないか | 入庫記録、検品、写真 | 隔離しサーベイ要否を判断する |
| 開梱時 | 外装損傷と内部損傷の関係 | 開梱写真、梱包材、検品記録 | 梱包材を保存し事故通知する |
| サーベイ時 | 原因、範囲、修理可否、発生区間 | Survey Report、温湿度・運送記録 | 保険会社・運送人と調査する |
| 請求時 | B/Lリマークと実損害の一致・相違 | B/L、POD、サーベイ、保険証券 | 原因別に請求・求償を整理する |
B/Lリマークと到着時損傷の切り分け
| B/L上の記載 | 到着時の状態 | 基本的な見方 | 追加確認 |
|---|---|---|---|
| リマークなし | 外装破損あり | 輸送・荷役中損傷の可能性を検討する | 搬出記録、写真、サーベイ |
| Cartons damaged | 同じ範囲のカートン損傷 | 受領時から存在した可能性がある | 対象数と損傷程度を比較する |
| Cartons damaged | 水濡れ・内部破損もある | リマーク外の新損傷が存在する可能性 | 濡れ原因、発生区間を調査する |
| Wet marks noted | カビ・腐敗・錆が拡大 | 既存濡れと輸送中の損害拡大を切り分ける | 温湿度、コンテナ、換気記録 |
| Short shipped | 同数量の不足 | 船積前数量不足の可能性が高い | Booking、P/L、Tally Sheet |
| リマークあり | 別箇所に新たな損傷 | 新しい輸送中事故として検討できる | 損傷箇所・写真・時系列 |
| Said to contain | 内部数量不足 | 運送人の確認範囲外となる可能性 | Seal、Vanning、開梱記録 |
| Shipper’s load and count | コンテナ内部荷崩れ | 荷主積付け・運送中事故の双方を検討する | Vanning写真、固縛、衝撃記録 |
貨物保険との関係
Clean B/Lで到着時に損傷が確認された場合、輸送中の偶然な事故が検討されます。
一方、Claused B/Lに記載された既存損傷については、保険始期前の損傷、既知の損傷、梱包不備等として問題となる場合があります。
| 状態 | 貨物保険上の主な論点 | 必要資料 |
|---|---|---|
| Clean B/L・到着時損傷 | 輸送中事故、保険期間、担保危険 | B/L、写真、POD、Survey Report |
| Claused B/L・同一損傷 | 保険開始前の既存損傷か | Mate’s Receipt、船積前写真 |
| Claused B/L・損傷拡大 | 輸送中の追加損害部分を分離できるか | 出発時・到着時の状態比較 |
| Claused B/L・別の新損傷 | 新たな担保事故として扱えるか | 損傷部位、時系列、サーベイ |
| 数量リマーク | 物的損害か契約数量不足か | Invoice、P/L、Tally Sheet |
| 包装不良リマーク | 梱包不十分免責との関係 | 梱包仕様、写真、事故原因 |
貨物保険会社への通知は、運送人責任の確定を待たず、事故発見後速やかに行います。
運送人責任との関係
| 状況 | 運送人責任上の主な見方 | 確認事項 |
|---|---|---|
| Clean B/Lで同種の到着損傷 | 受領後に損傷したとの推定が問題となる | 運送中の管理、免責事由 |
| Claused B/Lで同じ損傷 | 受領時から存在したとの主張が可能 | リマークの対象数・程度 |
| Claused B/Lで損傷拡大 | 拡大部分について責任が生じる可能性 | 適切な保管・積付け・換気 |
| リマークにない新損傷 | 新損傷について責任検討の余地がある | 発生時点・区間・原因 |
| 不正確なClean B/L発行 | 善意のB/L所持人に対する記載責任が問題となる | 発行経緯、認識、LOI |
| House B/LだけClean | NVOCCの契約運送人責任が問題となる | Master B/L、受領記録、発行判断 |
求償実務で確認する事項
- B/LがCleanかClausedか
- Mate’s ReceiptまたはDock Receiptの記載
- Master B/LとHouse B/Lのリマーク
- 船積前写真と到着時写真
- 損傷の対象梱包数・程度・部位
- CY・CFS搬出時の受渡記録
- POD上のリマーク
- コンテナ外観・Seal・床・屋根・扉の状態
- 温湿度、換気、航海、荷役記録
- サーベイヤーの原因判断
- 運送人へのNotice of Claim
- LOIの有無と差入人
- 貨物保険会社による代位求償の可否
- 適用条約・運送約款上の通知期限・時効
フォワーダーの責任範囲
フォワーダーがShipping Instructionを送付したこと、B/L Draftを転送したこと、荷主の訂正依頼を船会社へ伝えたことだけで、必ずしもB/L発行者としての責任を負うわけではありません。
一方、フォワーダーがNVOCCとしてHouse B/Lを発行する場合には、荷主に対する契約運送人として、自らのB/L記載と貨物引渡しについて責任を負う可能性があります。
| 論点 | 主な責任主体 | フォワーダーの関与 | 確認資料 |
|---|---|---|---|
| 貨物状態の申告 | 荷主、梱包者、搬入者 | 申告・受領情報を伝達する | Shipping Instruction、搬入記録 |
| Master B/L発行 | 船会社・実運送人 | Draft確認・訂正依頼を行う場合がある | Master B/L、Mate’s Receipt |
| House B/L発行 | NVOCC・House B/L発行者 | 自ら記載内容を決定・承認する | House B/L、受領記録 |
| リマーク削除 | B/L発行者・署名権限者 | 荷主依頼を転送する場合がある | 訂正依頼、LOI、承認記録 |
| L/C適合性 | 輸出者、銀行 | 実務情報を共有する | L/C、B/L Draft |
| 貨物保険判断 | 保険会社 | 事故資料の収集・提出を支援する | 保険証券、事故報告 |
| 運送人責任判断 | 契約運送人・実運送人等 | 関係区間・発行書類を整理する | 運送契約、B/L、POD |
フォワーダーの標準五分類による整理
次の標準五分類は、法令上または業界全体で確立された分類ではなく、本シリーズでフォワーダーの関与範囲を整理するための分析上の枠組みです。
| 標準五分類 | Clean B/L・リマーク関連で行う可能性がある業務 | 通常は当然に含まれない判断・保証 | 責任範囲の確認資料 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 単純取次 | Shipping Instruction、リマーク、訂正依頼等の伝達 | B/Lの法的適合性、L/C支払、保険適用の保証 | メール、見積書、業務指示 | 受領情報を変更せず正確に伝達する |
| 貨物利用運送事業者 | 搬入、輸送、保管、事故通知等の手配 | 貨物品質、銀行決済、船会社のB/L発行判断 | 利用運送契約、Booking、約款 | 自ら受託した区間と作業を明確にする |
| NVOCC・House B/L発行者 | House B/Lの発行、リマーク記載、貨物引渡し管理 | 実際の状態と異なるClean B/Lの安全性保証 | House B/L、受領記録、Master B/L | 契約運送人として記載責任を負う可能性がある |
| Door-to-Door一括契約者 | 集荷、CFS、海上輸送、通関、配送を一体管理する | L/C決済、貨物品質、保険金支払の保証 | Door-to-Door契約、運送約款、指示記録 | 一貫輸送責任と売買・決済責任を区別する |
| 特定業務の代理・調整者 | B/L照合、サーベイ、銀行・保険会社照会等を代行する | 委任範囲外のB/L発行判断、法的責任確定 | 委任状、業務指示、確認報告書 | 確認代行と最終判断を区別する |
Contracting CarrierおよびActual Carrierは、法的または契約上の地位を示す概念であり、標準五分類を置き換えるものではありません。
B/L Draftの転送、リマーク照会、LOIの受領、写真の共有、サーベイ手配等の個別作業は、それ自体で第六の分類を構成するものではありません。
実務で問題になりやすいケース
| ケース | 主な問題 | 判断のポイント | 初動対応 | 主な資料 |
|---|---|---|---|---|
| Mate’s Receiptにリマークがある | Clean B/L発行依頼との不一致 | 実際の貨物状態とリマーク根拠 | 写真・サーベイを確認する | Mate’s Receipt、写真 |
| Master B/LはClaused、House B/LはClean | NVOCCの記載責任 | 異常を認識していたか | House B/L発行を保留する | Master B/L、House B/L、受領記録 |
| LOIでClean B/Lを求められた | 不実記載・第三者請求 | LOIの有効性と貨物状態 | 法務・P&Iへ相談する | LOI、Survey Report |
| L/Cで銀行が不一致を指摘した | 代金決済の停止 | Article 27とL/C独自条件 | Waiverまたは条件変更を検討する | L/C、B/L、銀行通知 |
| Clean B/Lで到着時損傷 | 輸送中事故の可能性 | 発生区間・原因 | 保険通知・Notice of Claimを行う | 写真、POD、サーベイ |
| Claused B/Lで損傷が拡大 | 既存損傷と追加損傷の混在 | 出発時・到着時の差 | 損傷範囲を分離する | 船積前後写真、Survey Report |
| 通常文言をClausingと誤認した | 不要な決済・出荷停止 | 状態不良を明示しているか | Article 26・27を確認する | B/L、L/C |
| リマークを無断で削除した | 書類改ざん・発行権限 | 誰が何を訂正したか | Original全通を回収し正式訂正する | 訂正履歴、Original B/L |
具体例1:Mate’s Receiptに濡れリマークがある貨物でClean B/Lを求められた場合
在来船で輸送する機械設備について、船積時の降雨により一部木箱の表面に濡れが確認されました。
船側はMate’s Receiptへ「Five cases wet before shipment」と記載しました。
輸出者はL/CでClean on Board B/Lを要求されていたため、LOIを差し入れるのでリマークを削除してほしいと依頼しました。
船会社とNVOCCが写真およびサーベイ記録を確認したところ、単なる表面の水滴ではなく、木箱内部へ水が浸入した可能性がありました。
この状態でClean B/Lを発行すると、銀行と買主に対して外観上良好な状態で船積みされたとの誤った表明になるおそれがあります。
最終的には、実際の状態を反映したリマークを維持し、輸出者が買主へ事情を説明してL/CのWaiverを求めることになりました。
LOIは、貨物状態とB/L記載の不一致を正当化する書類ではありません。
具体例2:Master B/LにリマークがあるのにClean House B/Lを発行した場合
NVOCCが、複数の木箱機械をLCL貨物として受託し、荷主へHouse B/Lを発行しました。
CFS搬入時には一部木箱の角潰れが記録されていましたが、担当者はL/C決済への影響を懸念し、Clean House B/Lを先に発行しました。
その後、船会社発行のMaster B/Lには「Two cases corner damaged」と記載されました。
輸入地で同じ木箱の内部機械に損傷が見つかり、House B/L所持人はNVOCCに対し、Clean House B/Lを根拠として損害賠償を請求しました。
NVOCCは、実運送人のMaster B/Lにリマークがあると主張しましたが、自ら発行したHouse B/Lには異常を記載していませんでした。
House B/L発行者は、Master B/Lの単なる転送者ではなく、荷主に対する契約運送人として、自らの書類記載について責任を問われる可能性があります。
具体例3:Claused B/Lの既存損傷と到着時の新損傷が混在した場合
B/Lには、船積時の状態として「Three cartons dented」と記載されていました。
輸入地で貨物を確認すると、当該3カートンの凹みだけでなく、別の10カートンに水濡れとカビが発生していました。
運送人は、B/Lにリマークがあるため損害全体が船積前から存在したと主張しました。
しかし、船積前写真には水濡れがなく、到着コンテナの屋根部分に亀裂が確認されました。
サーベイヤーは、3カートンの凹みを既存損傷、水濡れとカビを輸送中の雨水浸入による新損傷として区分しました。
Claused B/Lであっても、記載された異常と到着時損害が同一とは限りません。
具体例4:通常文言をリマークと誤認してL/C呈示を止めた場合
コンテナ貨物のB/Lに「Shipper’s load, stow and count」および「Said to contain」と記載されていました。
輸出者の担当者は、これらがClaused B/Lに該当すると考え、銀行への書類呈示を止めました。
確認したところ、B/Lには貨物または包装の状態不良を明示する記載はなく、これらは荷主詰めコンテナについて運送人の確認範囲を限定する通常文言でした。
UCP600 Article 27では、貨物または包装の不良状態を明示する条項や注記の有無が問題となります。
担当銀行にも事前確認を行い、当該B/LはClean Transport Documentとして呈示されました。
すべての注記を状態不良リマークと考えるのではなく、記載の法的・実務的な性質を確認する必要があります。
具体例5:LOI差入人が倒産し補償を受けられなかった場合
鋼材の船積時に、広範囲の表面錆が確認されました。
用船者は、買主との契約上Clean B/Lが必要であるとして、船主へLOIを差し入れました。
船主はLOIを受け入れ、錆のリマークを記載しないB/Lを発行しました。
到着後、B/L所持人は鋼材の錆損について船主へ請求し、Clean B/Lを根拠として船積時には外観上良好であったと主張しました。
船主は用船者へLOIに基づく補償を求めましたが、用船者はすでに倒産していました。
LOIは第三者請求を防止するものではなく、差入人が履行できなければ、運送人が最終的な損失を負う可能性があります。
よくある誤解
| 誤解 | 実際の考え方 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| Clean B/Lは貨物の品質保証書である | 確認可能な外観状態について不良リマークがない書類である | 内部状態・性能・成分は別途確認する |
| B/Lに「clean」と書かれていなければCleanではない | Article 27では不良状態を明示する記載の有無が重要である | L/Cの独自条件も確認する |
| Shipper’s load and countはDirty B/Lのリマークである | 通常は運送人の確認範囲を限定する文言である | 状態不良の記載が併記されていないか確認する |
| Mate’s ReceiptはB/Lと無関係である | 船積時の状態記録としてB/L Clausingの基礎となる場合がある | B/L発行前に照合する |
| LOIを差し入れればリマークを削除できる | LOIは補償契約であり、不実記載を正当化しない | 貨物状態・法的有効性を確認する |
| LOIがあれば第三者から請求されない | 買主・銀行等の第三者請求を防ぐものではない | 差入人への後求償となる |
| Master B/LがClausedでもHouse B/Lは自由にClean発行できる | NVOCC自身の受領状態と認識に基づく正確な記載が必要である | 契約運送人責任を確認する |
| リマーク付きB/Lなら運送人はすべて免責される | リマークの範囲外の新損傷・損害拡大は別問題である | 到着時損傷と照合する |
| Clean B/Lなら必ず運送人が責任を負う | 運送人は免責事由や因果関係を争うことができる | 事故原因・適用約款を確認する |
| リマークがあれば貨物保険は一切使えない | 新たな輸送中損傷や損害拡大が対象となる余地がある | 原因別に損害を分ける |
| フォワーダーは船会社のB/Lを転送するだけなので責任がない | House B/L発行者は契約運送人として責任を負う場合がある | 標準五分類と発行書類を確認する |
| リマークは曖昧な方が安全である | 対象、数量、程度が不明確だと後日の争いが増える | 具体的・客観的に記載する |
B/L発行時の判断フロー
- 貨物形態がFCL、LCL、在来船、重量物等のいずれかを確認する。
- CFS受領記録、Dock Receipt、EIR、Mate’s Receipt等を確認する。
- 貨物または包装に外観異常があるか確認する。
- 異常がある場合は、種類、程度、対象数量、位置を記録する。
- 写真・Survey Report・Tally Sheetを保存する。
- Shipping Instructionと実際の受領状態を照合する。
- Master B/LとHouse B/Lの両方が発行されるか確認する。
- Master B/L Draftのリマークを確認する。
- House B/L発行者は、自らの受領記録とMaster B/Lを照合する。
- L/C取引か確認する。
- L/CがClean Transport Documentを要求しているか確認する。
- 通常の限定文言と外観不良リマークを区別する。
- Clean B/L発行を求めるLOIが提出された場合は、法務・P&I等へ相談する。
- LOIだけを根拠にリマークを削除しない。
- B/L Draftのリマーク、数量、日付、署名権限を確認する。
- 確定版と基礎資料を一緒に保存する。
輸入地での判断チェックリスト
| 確認段階 | 確認相手・資料 | 確認事項 | 問題がある場合の対応 |
|---|---|---|---|
| Arrival Notice受領時 | B/L、Arrival Notice | Clean・Claused、貨物・コンテナ情報 | リマーク内容を関係者へ共有する |
| 搬出前 | CY・CFS、EIR、D/O | 外観、Seal、リマーク | 搬出前に写真・記録を残す |
| 搬出時 | POD、受渡記録 | 包装破損、濡れ、数量差 | 留保付きで受領する |
| 倉庫入庫時 | 入庫記録、写真 | 損傷範囲と増加の有無 | 隔離しサーベイを検討する |
| 開梱時 | 検品、Surveyor | 外装と内部損傷の関係 | 梱包材・損傷品を保存する |
| 保険通知時 | 保険会社・代理店 | 事故日、原因、損害範囲 | 速やかに速報通知する |
| 運送人通知時 | Carrier・NVOCC | Notice of Claim、責任区間 | 通知期限内に書面通知する |
| 原因整理時 | B/L、Mate’s Receipt、サーベイ | 既存損傷、新損傷、損害拡大 | 損害を原因別に分ける |
| 求償時 | 保険会社、弁護士等 | 契約運送人、実運送人、LOI | 請求先と証拠を整理する |
専門家へ相談すべき場面
- Mate’s ReceiptのリマークをB/Lへ反映すべきか争いがある場合
- LOIと引換えにClean B/Lを発行するよう求められた場合
- 外観異常を認識しながらリマーク削除を求められた場合
- Master B/LとHouse B/Lのリマークが不一致となる場合
- NVOCCがClean House B/Lをすでに発行している場合
- L/CのClean Transport Document条件に適合するか不明な場合
- UCP600 Article 26とArticle 27の適用区分が不明な場合
- B/L訂正・リマーク抹消の真正性が問題となる場合
- 輸入地で既存損傷と新損傷が混在している場合
- Claused B/Lを理由に貨物保険会社または運送人が全面免責を主張する場合
- LOI差入人が倒産・支払不能となった場合
- 不正確なB/L記載により銀行・買主から請求された場合
- P&I保険の適用や免責が問題となる場合
- 運送人へのNotice of Claimや求償時効が迫っている場合
注意点
- Clean B/Lは貨物の品質保証書ではありません。
- Clean B/Lが示すのは、運送人が確認できる範囲の外観状態です。
- 貨物内部、品質、性能、申告数量まで保証するものではありません。
- リマークはMate’s Receipt、Dock Receipt、Survey Report等を基礎として発生することがあります。
- コンテナ貨物ではMate’s Receiptが使用されない場合があります。
- Shipper’s load and count等の通常文言と外観不良リマークを区別してください。
- UCP600 Article 27では、「clean」の語よりも不良状態を明示する記載の有無が重要です。
- 外観異常があるのに安易にリマークを削除しないでください。
- LOIは貨物状態を変更せず、第三者請求を防止するものでもありません。
- 不実記載を認識したClean B/L発行では、LOIの有効性やP&I保険が問題となる可能性があります。
- LOI差入人の信用力・資力を確認してください。
- Master B/LがClausedの場合、Clean House B/Lを機械的に発行しないでください。
- House B/L発行者は、自らの受領記録とMaster B/Lを照合してください。
- Claused B/Lでも、新たな輸送中損傷や損害拡大がないか確認してください。
- 輸入地で異常を発見した場合は、搬出前後の証拠を保存してください。
- 貨物保険通知と運送人へのNotice of Claimは速やかに行ってください。
まとめ
- Clean B/Lとは、貨物または包装の不良状態を明示するリマークがないB/Lです。
- Claused B/Lとは、受領時または船積時に確認された貨物・包装の異常が記載されたB/Lです。
- Clean B/Lは貨物の品質、性能、成分、内部状態または申告数量を保証する書類ではありません。
- B/Lリマークは、Mate’s Receipt、Dock Receipt、Tally Sheet、Survey Report等を基礎に記載されることがあります。
- 在来船・鋼材・重量物等では、Mate’s Receiptの記載がB/Lへ反映される場合があります。
- コンテナ定期船輸送では、CFS記録、EIR、Dock Receipt等が状態確認資料となる場合があります。
- 貨物・包装の具体的な不良状態を示す記載と、運送人の確認範囲を限定する通常文言は区別する必要があります。
- Shipper’s load and count、Said to contain等は、通常、外観不良を示すリマークとは異なります。
- UCP600 Article 27では、貨物または包装の不良状態を明示する記載がないことがClean Transport Documentの判断軸となります。
- B/L上に「clean」の語が印字されていること自体は必須ではありません。
- L/Cの独自条件、ISBP、呈示書類全体の整合性は別途確認する必要があります。
- LOIは、依頼に従った運送人へ生じる損害を補償するための契約です。
- LOIは、貨物状態を変更せず、買主・銀行・保険会社等の第三者を当然に拘束しません。
- LOIを差し入れても、外観異常と異なるClean B/Lを安全に発行できるとは限りません。
- LOI差入人が倒産・支払不能となれば、運送人が補償を回収できない可能性があります。
- 不実記載を認識してClean B/Lを発行した場合、LOIの有効性、第三者責任、P&I保険が問題となる可能性があります。
- Master B/LとHouse B/Lは別の運送契約を証する書類ですが、同一貨物の状態記載に不合理な不整合がないか確認する必要があります。
- Master B/LにリマークがあるにもかかわらずClean House B/Lを発行すると、NVOCCの契約運送人責任が問題となる可能性があります。
- NVOCC・House B/L発行者は、単なるMaster B/Lの転送者ではありません。
- 輸入地では、B/Lリマークと到着時損傷の種類、範囲、対象数量を比較します。
- Claused B/Lで同じ損傷が記載されていても、損傷拡大や別の新損傷がないか確認します。
- Clean B/Lで到着時に損傷がある場合は、輸送・荷役・保管中事故の可能性を検討します。
- 貨物保険では、既存損傷と保険期間中の新損傷を分けて整理します。
- 運送人責任では、受領時の状態、B/L記載、損傷原因、適用条約・約款を確認します。
- 写真、POD、EIR、Mate’s Receipt、Survey Reportは、損傷発生時点を判断する重要な資料です。
- フォワーダーがHouse B/Lを発行する場合は、標準五分類上のNVOCC・House B/L発行者としての責任を確認します。
- Contracting CarrierとActual Carrierは法的・契約上の地位であり、標準五分類を置き換えるものではありません。
- B/L Draft転送、リマーク照会、LOI受領、サーベイ手配等は、それ自体で第六の分類を構成しません。
B/L発行前には、Shipping Instructionだけでなく、Mate’s Receipt、CFS・CY受領記録、Survey Report、写真およびMaster B/L Draftを照合してください。
外観異常があるにもかかわらずClean B/L発行を求められた場合は、LOIだけで判断せず、第三者への記載責任、LOI差入人の信用力、P&I保険およびL/C条件を確認してください。
輸入地で損傷を発見した場合は、Claused B/Lであっても請求を直ちに断念せず、既存損傷、新たな損傷、損害拡大を資料に基づいて切り分けてください。
本記事は、Clean B/L、Claused B/L、Mate’s Receipt、Master B/L、House B/L、UCP600 Article 27、LOI、貨物保険および運送人責任に関する一般的な実務を説明するものです。個別B/Lの法的効力、L/C適合性、LOIの有効性、保険適用、運送人・NVOCC・フォワーダーその他の当事者の責任を確定するものではありません。実際の取扱いは、B/L、Mate’s Receipt、運送約款、L/C、UCP600、ISBP、売買契約、保険約款、適用条約、準拠法ならびに銀行、運送人、保険会社および専門家の判断に基づいて確認してください。
