医療機器製造販売業許可

医療機器製造販売業許可とは

医療機器製造販売業許可とは、医療機器を日本国内で製造販売する責任主体となるための薬機法上の許可です。

ここでいう製造販売とは、医療機器を実際に製造することだけを意味するものではありません。製造または輸入した医療機器について、日本国内で市場へ出荷する責任を負う行為を指します。

輸入実務では、海外製の医療機器を日本で販売する場合、単に通関できるかどうかだけでなく、国内で誰が製造販売業者として責任を負うのか、製造業登録や外国製造業者登録が必要か、品目ごとの承認・認証・届出が必要かを確認する必要があります。

医療機器製造販売業者は、単なる輸入者や販売代理店ではありません。品質管理、安全管理、市場出荷判定、市販後安全対策、苦情対応、回収対応などについて責任を負う立場です。

この記事で扱う範囲

本記事では、海外製医療機器を日本で輸入販売する場合に必要となる医療機器製造販売業許可、医療機器製造業登録、外国製造業者登録、品目ごとの承認・認証・届出、責任主体、国内保管・表示作業、通関時の確認事項を整理します。

医療機器そのものの定義、医療機器該当性、クラス分類、家庭用美容機器との境界、体外診断用医薬品との違い、プログラム医療機器については、別記事「医療機器」で整理します。

本記事では、医療機器に該当することを前提として、実際に日本で輸入販売するために、誰が、どの段階で、どの許可・登録・品目手続を確認すべきかを中心に扱います。

製造販売業者とは

医療機器製造販売業者とは、医療機器を日本国内の市場へ出荷する責任主体です。

実際に工場で製造する者とは限りません。海外メーカーが製造した医療機器を輸入し、日本で販売する場合でも、日本国内で市場出荷の責任を負う製造販売業者が必要になります。

製造販売業者は、品質管理、安全管理、市場出荷判定、不具合情報の収集、回収対応、添付文書や表示の管理などを行う立場です。

そのため、単に「海外メーカーの代理店として販売するだけ」「輸入して顧客へ納品するだけ」と考えると、薬機法上の責任主体を見落とすことになります。

医療機器製造販売業許可の区分

医療機器製造販売業許可は、取り扱う医療機器のリスク区分に応じて、許可区分が分かれます。

許可区分 主な対象 実務上の意味 止まりやすい原因
第一種医療機器製造販売業許可 高度管理医療機器を含む医療機器 リスクの高い医療機器を含めて取り扱う場合に問題になる 高度管理医療機器を扱うのに許可区分を確認していない
第二種医療機器製造販売業許可 管理医療機器を中心とする医療機器 管理医療機器を市場出荷する場合に問題になる クラスII機器の認証・承認と許可区分を混同している
第三種医療機器製造販売業許可 一般医療機器 一般医療機器を市場出荷する場合に問題になる クラスIなら許可不要と誤解している

クラスIの一般医療機器であっても、品目ごとの届出や製造販売業許可、製造業登録などの確認が不要になるわけではありません。

輸入者は、まず医療機器該当性とクラス分類を確認し、そのうえで必要な製造販売業許可区分を整理する必要があります。

製造販売業許可・製造業登録・外国製造業者登録の違い

医療機器の輸入販売では、製造販売業許可、製造業登録、外国製造業者登録を分けて理解する必要があります。

項目 主な内容 必要になる場面 止まりやすい原因
医療機器製造販売業許可 国内市場へ出荷する責任主体となるための許可 海外製医療機器を日本国内で販売・貸与・授与する場合 輸入者が販売代理店の意識で、製造販売業者を決めていない
医療機器製造業登録 国内で保管、包装、表示、ラベル貼付等を行う製造所に関する登録 国内倉庫で最終製品保管、表示、包装、出荷前作業を行う場合 物流倉庫での保管やラベル貼付を単なる物流作業と考えている
外国製造業者登録 海外で医療機器を製造する外国製造所に関する登録 海外製造所で製造された医療機器を日本で製造販売する場合 海外メーカーから製造所情報を取得できない
品目ごとの承認・認証・届出 個別の医療機器ごとの手続 市場出荷前に、クラス分類や基準に応じて必要 業許可があれば個別品目を販売できると誤解している

業許可や登録は事業者・製造所に関する手続であり、承認・認証・届出は品目ごとの手続です。

どちらか一方だけでは足りません。医療機器の輸入販売では、事業者の体制と、個別品目の手続を両方確認する必要があります。

品目ごとの承認・認証・届出

医療機器を輸入販売する場合、製造販売業許可や製造業登録とは別に、品目ごとの承認・認証・届出が必要になることがあります。

どの手続が必要になるかは、医療機器の一般的名称、クラス分類、認証基準の有無、使用目的、構造、性能、既存品との同等性などによって変わります。

手続 主な対象 主な実務内容 実務上の注意点
届出 主に一般医療機器 販売名、一般的名称、形状・構造、使用目的、製造販売業者等を届け出る 届出対象でも製造販売業許可や製造業登録が不要になるわけではない
認証 認証基準がある管理医療機器等 登録認証機関による基準適合性の確認を受ける 認証基準に適合しない場合は承認が必要になることがある
承認 高度管理医療機器、新医療機器、認証対象外の管理医療機器等 品質、有効性、安全性、性能、臨床評価等の審査を受ける 資料作成や審査期間が輸入販売計画に大きく影響する

海外で承認・認証・販売されている医療機器であっても、日本で同じように販売できるとは限りません。

輸入者は、日本での一般的名称、クラス分類、使用目的、品目手続の要否を確認する必要があります。

自社で製造販売業許可を取得する場合

輸入者が自社で医療機器製造販売業許可を取得し、自社を製造販売業者として市場出荷する方法があります。

この場合、輸入者は単なる販売者ではなく、薬機法上の責任主体になります。

品質管理、安全管理、責任者体制、手順書、記録管理、不具合報告、苦情対応、回収対応などを整える必要があります。

また、取り扱う医療機器のクラスに応じた許可区分、品目ごとの承認・認証・届出、外国製造業者登録、国内製造業登録を整理する必要があります。

許可業者へ委託する場合

輸入者が自社で医療機器製造販売業許可を持たない場合、既に許可を持つ製造販売業者へ委託する方法があります。

この場合、誰が製造販売業者として表示されるのか、誰が市場出荷判定を行うのか、品質管理と安全管理の責任を誰が負うのかを明確にする必要があります。

販売者、輸入者、製造販売業者、国内保管倉庫、海外メーカー、外国製造業者の役割分担を曖昧にすると、表示、届出、責任所在、回収対応で問題になることがあります。

委託する場合でも、輸入者が自由に広告や販売表示を行えるわけではありません。承認・認証・届出の範囲、添付文書、広告表現、販売先管理を確認する必要があります。

国内倉庫で保管・ラベル貼付を行う場合

海外から輸入した医療機器について、国内倉庫で保管、包装、表示、ラベル貼付、出荷前保管を行う場合、医療機器製造業登録が問題になることがあります。

物流倉庫であっても、薬機法上の製造所として登録が必要となる作業を行う場合があります。

単に貨物を置くだけなのか、最終製品として保管するのか、日本語ラベルを貼るのか、添付文書を差し込むのか、包装を変更するのかによって、必要な確認が変わります。

フォワーダーや倉庫業者は、通常の物流保管と薬機法上の製造業登録が関係する保管・表示作業を混同しないよう注意が必要です。

外国製造業者登録

海外製医療機器を日本で製造販売する場合、外国製造業者登録が関係することがあります。

外国製造業者登録では、海外製造所名、所在地、製造工程、製造範囲、製造業者情報などが問題になります。

海外メーカーが日本向け薬事手続に慣れていない場合、必要情報の取得に時間がかかることがあります。

輸入者は、価格交渉や発注の段階で、海外メーカーが日本向けの登録手続に協力できるか、製造所情報を提供できるかを確認しておく必要があります。

輸入販売までの実務の流れ

段階 主な確認事項 止まりやすい原因
仕入検討 商品が医療機器、体外診断用医薬品、一般商品、化粧品等のどれに該当するか確認 海外で medical device や health device と表示されているだけで判断してしまう
分類確認 一般的名称、クラス分類、承認・認証・届出の要否を確認 商品名だけで分類し、使用目的や性能を確認していない
責任主体の決定 自社が製造販売業者になるか、許可業者へ委託するかを決める 販売者、輸入者、製造販売業者の役割が曖昧
許可・登録確認 製造販売業許可、製造業登録、外国製造業者登録を確認 品目手続だけ確認し、事業者側の許可・登録を見落とす
品目手続 承認、認証、届出の申請・届出状況を確認 海外で販売済みであることを理由に日本手続を省略できると誤解する
輸入手配 通関時に必要な許可証写し、登録情報、品目資料を整理 通関直前に資料不足が判明する
国内保管・表示 ラベル、添付文書、取扱説明書、保管場所、製造業登録を確認 倉庫で表示作業を行うのに登録要否を確認していない
市場出荷判定 製造販売業者が品質・表示・品目手続を確認して出荷判断 通関できたため販売できると誤解している
販売開始後 不具合情報、苦情対応、回収対応、広告表現を管理 販売後の安全管理・回収体制を整えていない

通関時に確認されやすい資料

医療機器の輸入では、通関時に次のような資料が確認されることがあります。

  • 医療機器製造販売業許可証の写し
  • 医療機器製造業登録に関する資料
  • 外国製造業者登録に関する資料
  • 承認書、認証書、届出書に関する資料
  • 一般的名称・クラス分類の確認資料
  • 商品カタログ
  • 仕様書
  • 取扱説明書
  • 添付文書
  • 用途説明
  • 販売先・使用者の説明資料
  • 海外メーカー情報
  • インボイス、パッキングリスト

通関できるかどうかは、貨物が物理的に到着したかだけでは決まりません。

輸入者が薬機法上の許可・登録・品目手続を整理し、必要資料を提示できるかが重要になります。

表示・広告との関係

医療機器製造販売業許可、製造業登録、承認・認証・届出が整っていても、表示や広告が自由になるわけではありません。

医療機器として承認、認証、届出された範囲を超えて、効能効果や使用目的を表示・広告することは問題になる可能性があります。

商品ページ、取扱説明書、添付文書、広告、SNS、営業資料、医療機関向け説明資料などの表現は、品目手続の範囲と整合している必要があります。

また、医療機器に該当しない一般商品であっても、診断、治療、予防、身体機能の改善などをうたうと、医療機器的な効能効果として問題になる可能性があります。

個人輸入と営業目的輸入の違い

医療機器では、個人使用目的の輸入と、営業目的の輸入販売を分けて考える必要があります。

自己使用目的で輸入する場合と、日本国内で販売、転売、貸与、業務使用、医療機関向け納入を目的として輸入する場合では、必要な確認が異なります。

個人輸入として入手した医療機器を、日本国内で販売・転売・配布することはできません。

営業目的で輸入販売する場合には、医療機器製造販売業許可、製造業登録、外国製造業者登録、品目ごとの承認・認証・届出、表示広告確認が問題になります。

フォワーダー・通関実務での確認ポイント

フォワーダーや通関関係者は、貨物名が「medical device」「health equipment」「beauty device」「measurement device」「monitor」「sensor」「software」などとなっている場合、輸入者が薬機法上の許可・登録・品目手続を確認しているかを確認することが重要です。

フォワーダーは、医療機器製造販売業許可や品目手続の要否を最終判断する立場ではありません。

しかし、販売目的の医療機器輸入である場合には、輸入者へ次の点を確認する必要があります。

  • 販売目的の輸入か、個人使用目的か
  • 医療機器、体外診断用医薬品、一般商品、化粧品のどれに該当する可能性があるか
  • 医療機器製造販売業許可を持つ事業者が関与しているか
  • 国内で保管、表示、包装、ラベル貼付を行うか
  • 国内作業場所に医療機器製造業登録があるか
  • 外国製造業者登録が必要な商品か
  • 品目ごとの承認、認証、届出が済んでいるか
  • 添付文書、取扱説明書、広告表現が手続範囲と整合しているか

通関で確認が入った場合、フォワーダーは輸入者から許可証写し、登録情報、承認・認証・届出資料、商品資料、用途説明、仕様書を回収し、通関業者へ連携します。

フォワーダーが「医療機器ではありません」「許可は不要です」「海外で販売されているので問題ありません」と断定することは避けるべきです。

実務シナリオ1:販売目的なのに製造販売業者が決まっていないケース

輸入者が海外製の測定機器を仕入れ、日本国内で販売しようとするケースがあります。

しかし、誰が医療機器製造販売業者として市場出荷するのかが決まっていません。

輸入者は「海外メーカーの商品をそのまま販売するだけ」と考えていますが、日本では市場出荷の責任主体が必要になります。

この場合、自社で医療機器製造販売業許可を取得するのか、既存の許可業者へ委託するのかを決める必要があります。

実務シナリオ2:製造販売業許可はあるが品目手続が未確認のケース

輸入者が医療機器製造販売業許可を持つ事業者と連携して、海外製医療機器を輸入するケースがあります。

しかし、品目ごとの承認、認証、届出が完了しているかを確認していません。

製造販売業許可があることと、個別医療機器を市場出荷できることは同じではありません。

この場合、一般的名称、クラス分類、承認・認証・届出の状況、使用目的、表示内容を確認してから輸入販売を進める必要があります。

実務シナリオ3:国内倉庫で最終製品保管とラベル貼付を行うケース

海外から輸入した医療機器に、日本国内の倉庫で日本語ラベルを貼付し、添付文書を同梱してから出荷するケースがあります。

輸入者は、物流倉庫でラベルを貼るだけなので通常の倉庫作業だと考えています。

しかし、医療機器の保管、包装、表示、出荷前作業に関係する場合、医療機器製造業登録が問題になることがあります。

この場合、作業場所の登録状況、作業範囲、製造販売業者との役割分担を確認する必要があります。

実務シナリオ4:外国製造業者登録に必要な情報が取れないケース

輸入者が海外メーカーから医療機器を仕入れようとするケースがあります。

しかし、海外メーカーから製造所名、所在地、製造工程、製造範囲、品質関連情報が十分に提供されません。

外国製造業者登録に必要な情報がそろわないと、日本での製造販売手続が進まないことがあります。

輸入者は、価格交渉や発注前に、海外メーカーが日本向け薬事手続に協力できるかを確認する必要があります。

実務シナリオ5:許可・品目手続はあるが広告が範囲を超えるケース

輸入者が医療機器製造販売業許可、品目ごとの認証、添付文書を整えたうえで、医療機器を販売するケースがあります。

しかし、販売ページで認証範囲を超えて「治療効果がある」「あらゆる症状に使える」「医療機関と同等の効果」などの表現を使ってしまいます。

許可・品目手続が整っていても、広告表現が承認・認証・届出の範囲を超える場合、薬機法上問題になる可能性があります。

輸入者は、許可・登録・品目手続だけでなく、販売前に広告表現も確認する必要があります。

通関・販売が止まった場合の影響

医療機器製造販売業許可、製造業登録、外国製造業者登録、承認・認証・届出の確認が不足していると、通関遅延、保管料、納期遅延、医療機関への納品遅延、販売開始日の延期、許可業者の再手配などが発生することがあります。

通関できた場合でも、製造販売業者、製造業者、外国製造業者登録、品目手続、表示、広告が整っていなければ、国内販売に進めないことがあります。

輸入者は、通関と国内販売を分けて考えず、仕入前から市場出荷まで一連の流れとして確認する必要があります。

医療機器記事との役割分担

「医療機器」は、医療機器の定義、医療機器該当性、クラス分類、家庭用美容機器との境界、体外診断用医薬品との違い、プログラム医療機器などを整理する記事です。

これに対して、本記事「医療機器製造販売業許可」は、海外製医療機器を日本で輸入販売するために必要な製造販売業許可、製造業登録、外国製造業者登録、承認・認証・届出、責任主体の整理に特化した記事です。

実務上は、まず「医療機器」記事で医療機器該当性と分類を確認し、その後、本記事で具体的な許可・登録・品目手続を確認します。

実務上の注意点

医療機器製造販売業許可は、海外製医療機器を日本で輸入販売する際の中心となる薬機法上の許可です。

ただし、製造販売業許可だけで輸入販売が完結するわけではありません。

医療機器製造業登録、外国製造業者登録、品目ごとの承認・認証・届出、表示・広告、国内保管・表示作業を合わせて確認する必要があります。

輸入者は、単に商品を仕入れるだけでなく、日本国内で市場出荷する責任主体、国内保管・表示場所、品目手続、海外製造所情報、販売後の安全管理まで確認する必要があります。

フォワーダーは薬機法上の判断者ではありませんが、販売目的の医療機器輸入では、輸入者が必要な許可・登録・品目手続を確認しているかを早めに確認し、通関業者へ情報共有する立場です。

まとめ

医療機器製造販売業許可とは、医療機器を日本国内で市場出荷する責任主体となるための薬機法上の許可です。

海外製医療機器を輸入販売する場合には、製造販売業者、製造業者、外国製造業者、品目ごとの承認・認証・届出を分けて確認する必要があります。

製造販売業許可があることと、個別品目を市場出荷できることは同じではありません。

輸入者は、誰が製造販売業者として責任を負うのか、国内保管・表示場所に登録があるか、外国製造業者登録が必要か、品目手続が済んでいるかを確認する必要があります。

医療機器製造販売業許可は、輸入販売に必要な責任主体、国内作業場所、外国製造業者登録、品目手続、表示・広告、安全管理をつなぐ実務上の中心論点です。

同義語・別表記

  • 医療機器製造販売業
  • 製造販売業許可
  • 医療機器輸入販売
  • 医療機器販売許可
  • MAH License
  • Marketing Authorization Holder License
  • Medical Device Marketing Authorization