Open-Yard Storage Clause(野積約款)
Open-Yard Storage Clause(野積約款)とは
Open-Yard Storage Clause(野積約款)とは、被保険貨物が陸揚港、保税地域、CFS、倉庫業者又はヤード業者の屋外保管場所などで野積みされた場合に、貨物保険上の担保範囲、通知条件、保管期間、保護措置及び割増保険料等を調整するための特別約款です。
ここでいう野積みとは、貨物が屋根や壁によって十分に保護された倉庫内ではなく、屋外ヤード又は外部環境の影響を受けやすい場所へ置かれ、雨水、直射日光、風、塵埃、潮風、温度変化、第三者接触、盗難又は荷役事故等の危険へさらされる状態をいいます。
Open-Yard Storage Clauseは、野積み保管を一律に禁止する約款ではありません。通常の屋内倉庫保管より危険が増加するため、野積み中の担保危険を限定したり、一定の防水・防錆・警備条件を設定したり、事前通知及び追加保険料を条件として担保を継続したりするために使用されます。
実務上重要なのは、密閉型コンテナに収納されたまま屋外ヤードへ蔵置されている状態と、デバン後の貨物自体が屋外へ置かれている状態を区別することです。
また、野積み中の担保範囲だけでなく、その保管がICC上の「通常の輸送過程」に含まれるか、又は保険期間がすでに終了していないかも確認する必要があります。
Open-Yard Storage Clauseという名称だけで担保内容が一律に決まるわけではありません。実際の判断は、保険証券、適用されるICC、個別約款、通知履歴、保管目的、保管期間、貨物の状態及び事故原因によって異なります。
この記事で扱う範囲
| 項目 | この記事で扱う内容 | 別に確認すべき内容 |
|---|---|---|
| Open-Yard Storage Clause | 貨物が屋外ヤード等で野積みされた場合の基本的な保険上の取扱い | 個別の保険証券、約款文言、割増保険料及び保険会社の承認条件 |
| 密閉型コンテナの屋外蔵置 | 貨物が密閉型コンテナ内で保護されたまま屋外へ置かれる場合との区別 | コンテナの健全性、シール、結露、温湿度及び保管目的 |
| デバン後の屋外保管 | コンテナから取り出された貨物、木箱又は裸貨物が屋外へ置かれる場合 | デバン日時、保管場所、防水、防錆、養生及び保管期間 |
| ICC(A)・ICC(B)・ICC(C) | 基本条件へ野積約款が追加された場合の担保範囲の変化 | 実際の列挙危険、免責、特別条件及び個別の引受内容 |
| 通常の輸送過程 | 屋外保管がICC 2009 Clause 8.1のordinary course of transitに含まれるか | 貨物所有者の選択、保管目的、配送待ち、配分・仕分け及び実際の物流工程 |
| 保険期間の終了 | 最終倉庫への荷卸し、輸送外の保管選択、コンテナの保管利用及び60日ルール | 適用ICCの版、保険期間延長特約及び個別契約 |
| Held Covered | 予定外の野積みとなった場合に、通知、追加保険料及び条件変更を前提に担保継続を確認する考え方 | Held Covered条項の有無、通知時期、事故発生時点及び保険会社の承認 |
| 保管中損害 | 雨濡れ、錆、汚損、盗難、接触、転倒及び梱包劣化等 | 近因、免責、貨物固有の性質、通常損耗及び損害査定 |
| 倉庫・ヤード業者責任 | 保管契約、管理義務、過失及び貨物保険との関係 | 準拠法、倉庫寄託約款、責任制限、通知期限及び賠償額 |
| 保険代位・求償 | 保険金支払後に保険会社が第三者に対する権利を行使する場合の基本整理 | 求償先、責任原因、証拠、時効及び和解権限 |
| フォワーダーの関与 | 保管方法確認、荷主説明、保険通知及び証拠保全への関与範囲 | 個別契約、フォワーダー賠償責任及び運送人としての責任 |
なぜ野積み保管が問題になるのか
貨物保険は、申告された輸送方法、経路、貨物、梱包及び通常の保管状態を前提として引き受けられます。
貨物が屋内倉庫へ保管される場合と、屋外ヤードへ野積みされる場合では、貨物が受ける外部環境と管理上の危険が大きく異なります。
| リスク | 野積み保管で起こりやすい問題 | 貨物保険上の注意点 | 主な確認資料 |
|---|---|---|---|
| 雨水・海水飛沫 | 水濡れ、錆、包装材の劣化、木箱の変形 | 野積み中の濡損が担保されるか、約款上の制限を確認する。 | 気象記録、保管写真、梱包仕様、防水記録 |
| 直射日光・高温 | 変色、変質、樹脂部品の劣化、内部温度上昇 | 外来事故か、貨物固有の性質又は通常の温度影響かを区別する。 | 温度記録、貨物仕様、保管期間、メーカー所見 |
| 塵埃・砂・煤煙・油分 | 外装汚損、機械内部への異物侵入、販売価値低下 | 物的損傷か、外観上の軽微な汚損かを確認する。 | ヤード環境、写真、清掃見積、サーベイレポート |
| 風雨・台風 | シート破損、貨物転倒、荷崩れ、飛来物接触 | 気象危険と養生・固定不備の関係を確認する。 | 気象記録、固定写真、作業記録、事故報告 |
| 荷役接触 | フォークリフト接触、他貨物との衝突、外装破損 | 貨物保険とヤード・荷役業者責任を分けて整理する。 | CCTV、作業記録、事故報告、搬入搬出記録 |
| 盗難・いたずら | 部品盗難、抜取り、梱包開封、付属品紛失 | 警備条件、施錠、立入管理及び数量確認を行う。 | 警備記録、在庫記録、CCTV、警察届 |
| 長期滞留 | 錆、梱包劣化、品質低下及び保管費増加 | 遅延免責、通常の輸送過程及び保険期間終了を確認する。 | 当初日程、延長理由、通関記録、保管指示 |
| 地面からの影響 | 冠水、泥水、底面吸湿、架台沈下 | 貨物の設置高さ、排水及び地盤条件を確認する。 | ヤード平面図、地面写真、降雨記録、架台仕様 |
野積みに該当しやすい保管状態
野積み該当性は、単に貨物が屋外にあるかどうかだけで決まるとは限りません。
貨物の露出状態、容器、梱包、屋根・壁の有無、保管目的、保管期間及び外部環境からの保護程度を確認します。
| 保管状態 | 野積み該当性 | 主な確認点 | 実務上の対応 |
|---|---|---|---|
| デバン後の貨物を屋外ヤードへ直接保管 | 野積みに該当しやすい。 | 雨水、日射、塵埃、荷役接触及び盗難 | 保険会社へ通知し、保護措置と保管期間を確認する。 |
| 木箱貨物・裸貨物・機械を屋外保管 | 野積みに該当しやすい。 | 木箱の防水性、防錆、架台及びシート | 定期点検と写真記録を行う。 |
| 屋根付きだが壁のない場所 | 個別確認が必要である。 | 横殴りの雨、風、塵埃、第三者接触 | 実際の保護状態を写真で示して引受確認する。 |
| 密閉型コンテナのまま屋外ヤードへ蔵置 | デバン後の野積みとは区別される場合が多い。 | コンテナ健全性、扉、シール、穴、床及び結露 | コンテナを単なる保管設備として使用していないかも確認する。 |
| オープントップコンテナで屋外保管 | 露出保管として確認が必要である。 | 上部シート、固定、排水及び雨水侵入 | 密閉型コンテナと同じ扱いをしない。 |
| フラットラック上で屋外保管 | 野積み又は露出保管となりやすい。 | 貨物の露出、支持、固縛、防水及び防錆 | 貨物自体の保護措置を個別に確認する。 |
| 防水シートを掛けた屋外保管 | シートだけでは野積み性を否定できない。 | シート強度、固定、破れ、通気及び排水 | 保管期間中の点検記録を残す。 |
| 屋外で一時的に荷役待ち | 通常の輸送過程内の短時間待機となる場合がある。 | 待機目的、時間、輸送工程との連続性 | 単なる保管か、運送上必要な一時待機かを区別する。 |
密閉型コンテナの屋外蔵置とデバン後の野積み
| 項目 | 密閉型コンテナの屋外蔵置 | デバン後の貨物屋外保管 | 実務上の確認点 |
|---|---|---|---|
| 貨物の保護状態 | コンテナ外板によって雨水、塵埃及び日射から一定程度保護される。 | 貨物又は梱包が外部環境の影響を直接受けやすい。 | 実際の容器・梱包と露出程度を確認する。 |
| 野積約款との関係 | 単に屋外にあるだけでは、デバン後の野積みと同一視されない場合がある。 | Open-Yard Storage Clauseの対象として問題になりやすい。 | 個別約款の定義を確認する。 |
| 主な損害 | 結露、内部温度上昇、コンテナ破損、浸水、床面汚染 | 雨濡れ、錆、汚損、盗難、接触、梱包劣化 | 損害発生機序を分けて調査する。 |
| 通常の輸送過程 | 配送待ちとして輸送工程内にある場合と、コンテナを長期保管設備として使用する場合がある。 | 屋外保管の選択目的によっては、通常の輸送過程外となる可能性がある。 | 保管を選択した主体と目的を確認する。 |
| 主な資料 | コンテナ番号、シール、外観、扉、内部写真、温湿度記録 | デバン記録、保管場所写真、養生、架台、搬入搬出記録 | 状態が変化した時点を時系列化する。 |
| 保険上の対応 | コンテナ保管中損害と保険期間継続を確認する。 | 野積約款、通知、追加保険料及び保護条件を確認する。 | 密閉型という理由だけで担保継続を断定しない。 |
ICC 2009 Clause 8.1.3では、被保険者又はその従業員が、輸送手段又はコンテナを通常の輸送過程外の保管に使用することを選択した場合、保険が終了する旨が定められています。
そのため、密閉型コンテナであることだけで、保険期間が当然に継続するとは限りません。配送のための一時的な待機なのか、貨物所有者がコンテナを長期保管設備として使用することを選択したのかを確認します。
Open-Yard Storage ClauseとUnderdeck or On-deck Clauseの違い
| 項目 | Open-Yard Storage Clause | Underdeck or On-deck Clause | 実務上の確認点 |
|---|---|---|---|
| 対象となる場所 | 陸揚港、保税地域、CFS、倉庫又はヤード等の陸上保管場所 | 本船の船倉内又は甲板上 | 事故時の場所と輸送段階を確認する。 |
| 対象となる時間 | 陸揚げ後又は陸上輸送中の保管期間 | 海上輸送中の本船積載期間 | デバン前後、船積前後を区別する。 |
| 中心となる危険 | 雨、日射、塵埃、盗難、荷役接触、長期滞留 | 波浪、海水、流失、投荷、船体動揺 | 外部環境にさらされるという共通点だけで混同しない。 |
| 主な資料 | 保管写真、ヤード記録、デバン記録、気象資料 | B/L、Booking、積付図、ラッシング記録 | 事故原因に対応する資料を確保する。 |
| 保険上の中心論点 | 担保制限、保険期間、事前通知、Held Covered | 甲板積み申告、積付裁量、ラッシング、B/L表示 | 適用約款の名称と実際の文言を確認する。 |
ICC(A)・ICC(B)・ICC(C)との関係
Open-Yard Storage Clauseは、ICC(A)、ICC(B)又はICC(C)等の基本条件に追加され、野積み中の担保範囲を変更又は限定するために使用されることがあります。
重要なのは、ICC(A)で付保されているという理由だけで、野積み中も通常と同じ担保が維持されるとは限らないことです。
| 基本条件 | 基本的な特徴 | 野積約款が付加された場合の注意点 | 実務上の確認点 |
|---|---|---|---|
| ICC(A) | 免責を除く広い危険を対象とする条件 | 野積み中だけ担保危険を限定する特別条件が優先される場合がある。 | 雨濡れ、錆、盗難及び汚損の扱いを確認する。 |
| ICC(B) | 一定の列挙危険を中心とする条件 | 野積み中の損害が列挙危険へ該当するかが問題となる。 | 事故原因とClause 1の列挙危険を照合する。 |
| ICC(C) | 火災、爆発、衝突、転覆、共同海損等を中心とする限定的条件 | 雨濡れ、錆、塵埃、通常の盗難等が対象外となる可能性が高い。 | 野積み中の実質的担保が極めて限定されていないか確認する。 |
| 個別危険限定条件 | 火災、落雷、車両衝突等の特定危険のみを対象とする場合がある。 | 屋外保管中の頻発危険が含まれていない場合がある。 | 約款の列挙項目を一つずつ確認する。 |
| 特別条件付き担保 | 通知、防水、防錆、警備又は保管期間等を条件とする。 | 条件不履行の法的効果が問題となる。 | Warranty、条件先行条項及び準拠法を確認する。 |
基本約款とOpen-Yard Storage Clauseが矛盾する場合は、通常、個別に追加された特別条件の文言が重要になります。
保険証券の表面にICC(A)と記載されていることだけで判断せず、Endorsement、Special Clause、Warranty及び保険会社からの承認書を確認します。
通常の輸送過程と保険期間の終了
野積み保管では、担保される危険の範囲だけでなく、そもそも貨物保険の保険期間が継続しているかを確認する必要があります。
ICC 2009 Clause 8.1では、保険は貨物が輸送開始のために最初に動かされた時点から開始し、通常の輸送過程中継続するとされています。
そのうえで、次のうち最も早く発生した時点で終了します。
| 終了事由 | 基本的な内容 | 野積み保管との関係 | 確認資料 |
|---|---|---|---|
| Clause 8.1.1 | 保険契約に定める最終倉庫又は保管場所で輸送手段からの荷卸しが完了した時 | 納品先ヤードが最終保管場所であれば、その時点で終了する可能性がある。 | 保険証券、配送指示、受領記録 |
| Clause 8.1.2 | 被保険者側が通常の輸送過程外の保管、配分又は配送のために選択した別の倉庫・保管場所で荷卸しが完了した時 | 貨物所有者が販売待ち又は在庫保管のため屋外ヤードを選んだ場合に問題となる。 | 保管指示、メール、在庫計画、配送計画 |
| Clause 8.1.3 | 輸送手段又はコンテナを通常の輸送過程外の保管へ使用することを被保険者側が選択した時 | コンテナを配送待ちではなく長期保管設備として使用する場合に問題となる。 | 保管目的、使用期間、配送予定、指示記録 |
| Clause 8.1.4 | 最終陸揚港で本船からの陸揚げ完了後60日を経過した時 | 60日は常に保証される保管期間ではなく、他の終了事由が先に発生すればその時点で終了する。 | 本船陸揚日、ターミナル記録、保険証券 |
60日ルールは、陸揚げ後60日間であれば、どのような保管状態でも無条件に担保されるという意味ではありません。
最終倉庫への荷卸し、通常の輸送過程外の保管選択又はコンテナの保管利用が先に発生すれば、60日を待たずに保険が終了する可能性があります。
一方、ICC 2009 Clause 8.3では、被保険者の支配を超える遅延、航路逸脱、強制荷卸し、再船積み、積替え等の間も、Clause 8.1の終了事由及びClause 9に従って保険が継続するとされています。
したがって、倉庫満杯、通関検査又は行政上の保留による一時的な屋外待機であっても、自動的に保険終了となるわけではありません。
その保管が通常の輸送工程に付随する一時的な待機なのか、貨物所有者による在庫保管、配分又は販売待ちの選択なのかを、具体的な事実から判断します。
通常の輸送過程を判断するポイント
| 判断要素 | 通常の輸送過程内となり得る事情 | 通常の輸送過程外となり得る事情 | 確認資料 |
|---|---|---|---|
| 保管目的 | 通関、積替え、配送車両待ち等、輸送継続に必要な待機 | 販売待ち、在庫調整、配分、仕分け又は長期備蓄 | 保管指示、物流計画、販売計画 |
| 保管を決めた主体 | 運送人又は行政上の事情により、被保険者が回避できない。 | 被保険者又はその従業員が商業目的で選択した。 | メール、作業指示、当局通知 |
| 保管期間 | 輸送上合理的な短期間であり、配送手配が継続している。 | 配送予定がなく、期間未定又は長期化している。 | 配送予約、保管期間、延長記録 |
| 貨物の状態 | 次の輸送へ直ちに移行できる状態で保持されている。 | 開梱、仕分け、加工又は販売用在庫として管理されている。 | 作業記録、在庫記録、写真 |
| 保管場所 | 運送工程上通常使用されるCFS、保税ヤード又は一時保管場所 | 荷主が選択した最終倉庫、販売倉庫又は長期保管場所 | 契約、倉庫指定、運送経路 |
| 次の輸送手配 | 車両、通関又は納品予約が具体的に進行している。 | 次の輸送手配が停止又は未定となっている。 | Booking、配送依頼、納品予約 |
Held Coveredとの関係
Held Coveredとは、当初予定された輸送又は保管条件から変更が生じた場合に、被保険者が速やかに保険者へ通知し、追加保険料又は変更条件に合意することを前提として、保険保護の継続を確認するために用いられる考え方です。
Open-Yard Storage Clauseを含むすべての契約に、同一内容のHeld Coveredが自動的に存在するわけではありません。
実際には、保険証券又は個別約款にHeld Coveredの文言があるか、どの変更を対象とするか、通知期限及び保険会社の裁量を確認します。
| 確認事項 | 実務上の意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| 変更判明時点 | いつ屋内保管から野積みへ変更されると知ったか | 事故後まで通知しなかった場合は不利になる可能性がある。 |
| 通知の迅速性 | 判明後、保険会社又は保険代理店へ速やかに連絡したか | 通知義務を満たさなければ担保継続が認められない場合がある。 |
| 事故発生時点 | 通知前か、通知後か、承認後か | 事故発生後の遡及承認が当然に認められるわけではない。 |
| 追加条件 | 防水、防錆、警備、保管期間又は免責等 | 条件を履行した証拠を保存する。 |
| 追加保険料 | 危険増加に対応する割増保険料 | 支払又は合意が担保継続の条件となる場合がある。 |
| 保険期間 | 担保危険だけでなく保険期間自体が継続しているか | 終了後の保険をHeld Coveredだけで当然に復活できるとは限らない。 |
事前通知時に整理すべき情報
| 通知情報 | 確認する理由 | 主な資料 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 貨物の種類・性質・価額 | 水濡れ、錆、盗難又は温度の影響が貨物ごとに異なる。 | Invoice、Packing List、仕様書 | 貨物の弱点を具体的に説明する。 |
| 梱包・防水・防錆 | 屋外環境へ耐えられる状態か判断する。 | 梱包仕様、写真、施工記録 | 「木箱入り」だけでなく仕様を示す。 |
| 保管場所 | 海沿い、低地、舗装状態及び周辺環境で危険が変わる。 | 所在地、写真、ヤード図面 | 屋根、壁、排水及び地面状態を示す。 |
| 予定保管期間 | 長期化により錆、劣化及び盗難リスクが増加する。 | 輸送日程、納品予定 | 延長時の再通知条件も確認する。 |
| 屋外保管の理由 | 当初予定か、被保険者の支配を超える変更かを判断する。 | 通関通知、倉庫回答、荷主指示 | 通常の輸送過程との関係を説明する。 |
| 保護措置 | 損害発生可能性と引受条件へ影響する。 | シート、架台、固定、点検計画 | 施工後の写真を提出できるようにする。 |
| 警備体制 | 盗難及び第三者接触リスクを判断する。 | CCTV、警備員、立入記録 | 夜間及び休日の管理を確認する。 |
| デバン予定 | 密閉型コンテナ保管から露出保管へ変化する時点を把握する。 | デバン予約、CFS記録 | 状態変更前に通知する。 |
実務で問題になりやすいケース
| ケース | 主な原因 | 確認資料 | 判断のポイント | 初動対応 |
|---|---|---|---|---|
| デバン後の機械貨物が豪雨で濡損した。 | 屋内倉庫満杯、シート不足、排水不良 | デバン記録、保管写真、気象記録、梱包仕様 | 野積約款の担保、通知及び保管業者の過失 | 濡損拡大を防ぎ、写真と塩分・水質資料を確保する。 |
| 大型プラント機器に長期保管中の錆が発生した。 | 納品先工事遅延、防錆期間超過、潮風 | 防錆記録、保管期間、点検記録、工事日程 | 外来事故か、通常酸化・遅延・防錆不足か | 錆進行を止め、メーカーとサーベイヤーへ通知する。 |
| 密閉型コンテナ内で結露損害が発生した。 | 温度差、含水率、換気不足、長期蔵置 | コンテナ状態、温湿度、梱包、デバン写真 | 野積み中の雨水侵入か、内部結露・固有の性質か | 水分の種類と発生機序を調査する。 |
| オープントップコンテナへ雨水が侵入した。 | 上部シート破損、固定不良、排水不足 | シート仕様、写真、気象記録、作業記録 | 露出保管条件と防水措置が適切だったか | シート破断部を保存し、濡損範囲を記録する。 |
| フラットラック貨物が台風で転倒した。 | 固定不足、架台沈下、強風 | 固定計画、ヤード状態、風速、CCTV | 異常気象か、予防可能な固定不備か | 現場を保存し、固定部材と地面状態を記録する。 |
| 屋外ヤードでフォークリフトが貨物へ接触した。 | 作業導線、視認不足、荷役ミス | CCTV、作業記録、事故報告、貨物写真 | 貨物保険と荷役・ヤード業者責任 | 相手方へ書面通知し、責任承認を求めず証拠を確保する。 |
| 保管中に付属部品が盗難された。 | 梱包開封、警備不足、立入管理不備 | 在庫記録、CCTV、警備記録、警察届 | 盗難危険が担保されるか、数量証拠があるか | 警察と保険会社へ通知し、残存品を確認する。 |
| 貨物所有者が販売待ちのため屋外保管を指示した。 | 買主変更、在庫調整、納品延期 | 荷主指示、販売記録、保管契約 | 通常の輸送過程が終了していないか | 指示前に保険期間延長又は別保険を確認する。 |
| 通関検査により屋外保管が長期化した。 | 行政検査、書類確認、分析待ち | 当局通知、通関記録、保管日程 | 被保険者の支配を超える遅延か、60日以内か | 判明時点で保険会社へ通知し、保護措置を強化する。 |
| 保険会社への通知前に損害が発生した。 | 連絡漏れ、担当者間の認識相違 | メール、電話記録、保険申込、事故時刻 | Held Covered、通知義務及び事故時点の担保 | 事実を時系列化し、直ちに保険会社へ報告する。 |
Practical Example 1 大型プラント機器を45日間野積みした場合
欧州から日本へ輸入されたプラント機器80,000,000円相当が、納品先工事の遅延により、港湾近郊の屋外ヤードへ45日間保管されたとします。
貨物は木箱梱包され、防水シートと防錆処理が施されていましたが、保管30日目以降にシートの一部が破れ、潮風と雨水による錆が発生しました。
当初の輸送計画では、通関後5日以内に工事現場へ配送する予定でした。しかし、荷主が工事日程に合わせて長期保管を選択し、保険会社への追加通知は行われていませんでした。
この場合、Open-Yard Storage Clauseによる錆損害の担保範囲だけでなく、荷主が販売・工事待ちのために保管を選択した時点で、通常の輸送過程が終了していないかを確認します。
ヤード業者がシートの破損を把握しながら交換しなかった場合は、ヤード業者の管理責任と保険会社の求償可能性も別に検討します。
Practical Example 2 通関遅延によりデバン後の屋外保管へ変更された場合
中国から輸入された木箱入り工作機械30,000,000円相当が、成分及び輸入書類の確認により通関保留となったとします。
CFS内の保管場所が不足したため、本船陸揚げから12日後にデバンされ、屋外ヤードへ移されました。
フォワーダーは変更当日に荷主へ連絡しましたが、保険会社への通知は7日後となりました。その間に豪雨があり、木箱底部から水が侵入しました。
この場合、行政手続及び倉庫不足が被保険者の支配を超える遅延であったか、屋外保管への変更を知った後の通知が速やかであったかを確認します。
また、CFS又はヤード業者が適切な架台、排水及び防水措置を講じたかを確認し、貨物保険請求と第三者への求償を並行して整理します。
Practical Example 3 オープントップコンテナの雨水侵入事故
韓国から日本へ輸入された大型産業機械20,000,000円相当が、オープントップコンテナに積載され、輸入港の屋外ヤードへ10日間蔵置されたとします。
上部には防水シートが設置されていましたが、強風でシートの固定部が外れ、雨水がコンテナ内部へ侵入しました。
密閉型コンテナの屋外蔵置とは異なり、貨物は上部開口部を通じて外部環境の影響を受ける状態でした。
この場合、Open-Yard Storage Clause又は個別の露出保管条件、防水シートに関するWarranty、シートの強度及び固定作業の責任主体を確認します。
貨物の濡損が担保される場合でも、固定作業を行った業者に過失があれば、保険会社による代位求償の対象となる可能性があります。
Practical Example 4 密閉型コンテナを販売待ちの在庫として使用した場合
日本へ輸入された家具15,000,000円相当が、密閉型コンテナに収納されたまま輸入者の敷地内へ搬入されたとします。
輸入者は倉庫不足のため、コンテナを販売待ち在庫の保管設備として60日間使用しました。
保管40日目にコンテナ屋根の腐食部から雨水が侵入し、家具にカビ及び水濡れが発生しました。
この場合、密閉型コンテナに収納されていたという理由だけで、通常の輸送過程が継続していたとは限りません。
輸入者がコンテナを在庫保管へ使用することを選択した時点で、ICC 2009 Clause 8.1.3に基づき保険が終了していないかを確認します。
ターミナル又は運送人による一時的な配送待ちと、貨物所有者による長期在庫保管を明確に区別する必要があります。
倉庫・ヤード業者の責任と貨物保険
野積み保管中に損害が発生した場合でも、倉庫業者又はヤード業者が当然に全損害を負担するわけではありません。
一方、貨物保険から保険金が支払われる場合でも、倉庫業者又はヤード業者の責任が消滅するわけではありません。
両者は別の法律関係として整理します。
| 確認事項 | 倉庫・ヤード業者責任 | 貨物保険 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 責任の根拠 | 保管契約、倉庫寄託約款、作業契約、過失又は不法行為等 | 保険証券及び適用約款 | 契約責任と保険担保を混同しない。 |
| 主な判断 | 要求される管理を怠ったか、事故を防止できたか | 担保危険、保険期間、免責及び通知条件 | 保険が支払われても第三者責任を調査する。 |
| 責任制限 | 倉庫寄託約款又は契約上の限度額が問題となる。 | 保険金額、免責金額及び支払限度が問題となる。 | それぞれ別の限度額を確認する。 |
| 証拠 | 保管写真、CCTV、点検記録、作業記録 | 保険証券、サーベイ、損害資料、通知記録 | 同じ証拠を双方の手続へ使用できるよう確保する。 |
| 通知期限 | 契約上のクレーム通知期限又は時効 | 保険事故通知義務及び約款上の条件 | 一方の通知だけで他方を満たすとは限らない。 |
| 損害軽減 | 損害拡大防止への協力及び現場保全 | 被保険者の損害防止・軽減義務 | 責任追及より先に損害拡大を防止する。 |
例えば、台風が直接の原因であっても、台風接近が予測されていたのに貨物を固定せず、シートを補強せず、低地から移動しなかった場合には、ヤード管理上の過失が問題となることがあります。
反対に、契約上予定された保護措置がすべて講じられ、通常予測できない異常な自然現象によって損害が発生した場合は、ヤード業者の責任が認められないこともあります。
保険代位と第三者への求償
貨物保険会社が被保険者へ保険金を支払った場合、適用される法律及び保険契約に従い、被保険者が倉庫業者、ヤード業者、荷役業者、運送人その他の第三者に対して有する権利を、支払った範囲で代位取得することがあります。
そのため、被保険者又はフォワーダーは、保険会社が求償できるよう、第三者に対する権利を保全する必要があります。
- 事故を発見した時点で相手方へ書面通知する。
- 責任者、作業者及び事故発生時刻を確認する。
- CCTV、保管記録、点検記録及び作業記録の保存を求める。
- 損傷貨物、梱包材及び破損したシート等を無断で処分しない。
- 保険会社の承認なく、責任免除又は低額和解へ合意しない。
- 契約上の通知期限、時効及び裁判管轄を確認する。
ICC 2009 Clause 16でも、被保険者側には、運送人、受寄者その他の第三者に対する権利を適切に保全し、行使することが求められています。
第三者から賠償金を受領した場合は、貨物保険金との二重回収とならないよう、保険会社へ報告して精算します。
フォワーダーの関与範囲
本記事で使用する五分類は、法令又は業界全体で確立された分類ではありません。本シリーズにおいて、野積み保管に対するフォワーダーの関与範囲を整理するための分析上の枠組みです。
| 標準五分類 | 野積み保管への主な関与 | 主な確認資料 | 責任範囲を判断する際の注意点 |
|---|---|---|---|
| Simple Intermediary(単純取次) | 倉庫又はヤードからの保管変更連絡を荷主及び保険関係者へ取り次ぐ。 | 取次メール、通知記録、依頼内容 | 情報を取り次いだだけで、保管安全性又は保険金支払を保証するものではありません。 |
| Cargo Transportation Service Provider(貨物利用運送事業者) | 輸入輸送、デバン、保管、搬出及び国内配送を運送サービスとして引き受ける。 | 運送契約、見積書、配送指示、保管記録 | 野積み保管が受託業務へ含まれていたかを確認します。 |
| NVOCC / House B/L Issuer | House B/Lを発行し、契約運送人として輸送中の保管及び事故対応を整理する。 | House B/L、約款、Master B/L、Booking | 貨物保険上の担保判断と契約運送人責任は別に確認します。 |
| Door-to-Door Single Contractor | 輸送、通関、デバン、保管及び納品を一体的に手配する。 | 一貫輸送契約、業務範囲、下請契約 | 一体手配の場合でも、保険金額又は間接損害を無制限に負担するものではありません。 |
| Agent/Coordinator for Specific Operations(特定業務の代理・調整者) | ヤード確保、保護措置、サーベイ、保険通知又は損害軽減を個別に調整する。 | 個別委任、作業依頼、調整記録 | 委任範囲を超えて、担保可否又は第三者責任を決定することはできません。 |
Contracting Carrier及びActual Carrierは、運送人責任に関する法的又は契約上の地位を示す概念であり、本記事の標準五分類を置き換える分類ではありません。
また、デバン、保管、シート掛け、防錆、荷役、点検及びサーベイ等の実作業は、それ自体で第六の分類を構成するものではありません。誰のために、どの契約上の地位で、どこまで引き受けたかを確認します。
よくある誤解
| よくある誤解 | 実際の考え方 | 実務上の対応 |
|---|---|---|
| コンテナが屋外にあれば、すべて野積みである。 | 密閉型コンテナの屋外蔵置と、デバン後の貨物屋外保管は区別します。 | 貨物の露出状態とコンテナの健全性を確認します。 |
| 密閉型コンテナなら保険は必ず継続する。 | コンテナを通常の輸送過程外の保管に使用した場合は、保険終了が問題になります。 | 保管目的、選択した主体及び次の配送予定を確認します。 |
| ICC(A)なら野積み中もすべて補償される。 | Open-Yard Storage Clause又は個別条件により担保が制限される場合があります。 | 基本約款と特別約款の双方を確認します。 |
| 陸揚げ後60日間はどのような保管でも補償される。 | 最終倉庫への荷卸し等が先に発生すれば、60日前でも保険が終了する可能性があります。 | Clause 8.1.1から8.1.4を順に確認します。 |
| 通関遅延なら自動的に通常の輸送過程となる。 | 遅延理由だけでなく、保管目的、期間及び被保険者の選択を確認します。 | 当局通知、配送手配及び保管指示を保存します。 |
| Held Coveredがあれば事故後の通知でも問題ない。 | 速やかな通知、追加条件及び保険会社の承認が必要となる場合があります。 | 変更判明時点で直ちに連絡します。 |
| 防水シートを掛ければ野積みではない。 | シートがあっても、雨、風、排水、通気及び保管期間の危険は残ります。 | 施工状態と定期点検を確認します。 |
| 短期間の野積みなら保険条件は問題にならない。 | 短時間でも豪雨、台風、盗難又は接触事故が発生する可能性があります。 | 期間だけでなく貨物性質と保管環境を確認します。 |
| 野積み中の損害はすべて倉庫業者の責任である。 | 保管契約、過失、事故原因、責任制限及び証拠によって異なります。 | 貨物保険と第三者責任を並行して確認します。 |
| 貨物保険が支払われれば倉庫業者へ請求できない。 | 保険会社が支払範囲で被保険者の権利を代位取得する場合があります。 | 第三者への権利を保全し、保険会社へ資料を引き継ぎます。 |
| フォワーダーが野積約款の適用を決定できる。 | 最終的な担保判断は保険会社が約款と事実関係に基づいて行います。 | 保管状態を整理し、保険会社又は保険代理店へ確認します。 |
判断チェックリスト
| 確認場面 | 確認する相手 | 確認事項 | 問題がある場合の対応 |
|---|---|---|---|
| 保険手配前 | 貨物所有者、フォワーダー、納品先 | 屋外保管の予定、貨物性質、保管期間 | 保険会社又は保険代理店へ事前申告します。 |
| Booking時 | 船会社、NVOCC、貨物所有者 | 密閉型、オープントップ、フラットラック又は裸貨物か | 露出保管の可能性があれば個別条件を確認します。 |
| デバン前 | CFS、倉庫業者、通関業者 | デバン後の屋内・屋外保管場所 | 屋外となる場合はデバン前に通知します。 |
| 保管方法変更時 | 倉庫業者、ヤード業者、フォワーダー | 変更理由、変更日時、場所及び予定期間 | 変更判明時点で保険会社へ連絡します。 |
| 通常の輸送過程確認時 | 貨物所有者、フォワーダー、運送人 | 保管目的、選択主体、次の配送手配 | 在庫保管となる場合は保険期間延長又は別保険を確認します。 |
| 60日ルール確認時 | 船会社、ターミナル、保険会社 | 本船からの陸揚げ完了日と他の終了事由 | 60日だけで判断せず、より早い終了事由を確認します。 |
| 長期滞留発生時 | 通関業者、倉庫業者、納品先 | 延長理由、延長期間及び保護措置 | 追加保険料、点検、防水及び防錆を再確認します。 |
| 事故発見時 | 倉庫業者、ヤード業者、サーベイヤー | 損害状態、発生場所、発生時期及び原因 | 現場を保存し、写真、CCTV及び気象記録を確保します。 |
| 保険条件確認時 | 保険会社、保険代理店、被保険者 | ICC、野積約款、Held Covered、通知及び免責 | 損害種類ごとに担保範囲を整理します。 |
| 第三者責任確認時 | 倉庫業者、ヤード業者、荷役業者 | 契約、管理状況、過失、責任制限 | 期限内に書面でクレーム通知を行います。 |
| 求償権保全時 | 保険会社、サーベイヤー、弁護士 | 証拠、通知期限、時効、損傷品の保存 | 和解又は処分前に保険会社へ確認します。 |
事故時に確認すべき資料
| 資料 | 確認できること | 実務上の目的 |
|---|---|---|
| 保険証券・特別約款 | ICC、Open-Yard Storage Clause、Held Covered、免責及び限度額 | 担保範囲と保険期間を確認します。 |
| 本船陸揚げ記録 | 陸揚げ完了日 | Clause 8.1.4の60日起算日を確認します。 |
| デバン記録 | コンテナ保管から貨物屋外保管へ変化した日時 | 損害発生区間と保管状態を特定します。 |
| 保管場所の写真 | 屋根、壁、地面、排水、周辺環境 | 野積み該当性と保管危険を確認します。 |
| 貨物・梱包写真 | 木箱、裸貨物、シート、防錆及び架台 | 保護措置と事故前状態を確認します。 |
| 搬入・搬出・移動記録 | 保管期間、貨物位置及び作業履歴 | 事故発生時期と管理主体を特定します。 |
| 保管指示・配送指示 | 誰が、何の目的で保管を選択したか | 通常の輸送過程との関係を判断します。 |
| ヤード・倉庫業者の点検記録 | シート、錆、冠水、警備及び定期確認 | 管理義務の履行状況を確認します。 |
| CCTV・警備記録 | 荷役接触、盗難、第三者立入り | 事故原因と第三者責任を確認します。 |
| 気象記録 | 降雨、台風、風速、高温及び潮風 | 外来危険と損害との因果関係を確認します。 |
| 保険会社への通知記録 | 通知日時、内容、承認及び追加条件 | Held Covered及び事前通知の履行を確認します。 |
| 倉庫寄託約款・保管契約 | 管理義務、責任制限、免責及び通知期限 | 倉庫・ヤード業者責任を確認します。 |
| サーベイレポート | 損害原因、範囲、保管状態及び求償可能性 | 保険請求と第三者求償の基礎資料とします。 |
| 修理・処分見積 | 修理可能性、損害額及び残存価値 | 保険金請求額と損害軽減方法を検討します。 |
実務上のポイント
Open-Yard Storage Clauseは、貨物が屋外ヤード等で野積みされた場合の増加危険と担保条件を調整するための特別約款です。
密閉型コンテナの屋外蔵置と、デバン後の木箱貨物、裸貨物又は機械貨物の屋外保管は分けて確認します。
ただし、密閉型コンテナであっても、被保険者がコンテナを通常の輸送過程外の保管へ使用することを選択した場合には、保険期間の終了が問題となります。
ICC 2009 Clause 8.1では、最終倉庫への荷卸し、通常の輸送過程外の保管選択、コンテナの保管利用又は本船陸揚げ後60日のうち、最も早く発生した時点で保険が終了します。
したがって、陸揚げ後60日以内であるという事実だけで、野積み中の保険が継続していると判断することはできません。
一方、被保険者の支配を超える遅延による一時的保管は、Clause 8.3により保険が継続する場合があります。保管目的、選択主体、期間及び次の輸送手配を確認します。
倉庫又はヤード業者の責任と貨物保険の担保は別の問題です。保険金が支払われた場合でも、保険会社が倉庫業者等への権利を代位取得する可能性があるため、CCTV、点検記録、保管写真及びクレーム通知を確保します。
フォワーダー又はNVOCCは、野積約款の適用、保険期間又は倉庫業者責任を最終決定する立場ではありません。保管状態と時系列を整理し、貨物所有者へ保険会社又は保険代理店への確認を促します。
まとめ
Open-Yard Storage Clause(野積約款)とは、貨物が屋外ヤード等で野積み保管される場合に、貨物保険上の担保範囲、通知条件、追加保険料及び保護措置を調整するための特別約款です。
野積み保管では、雨水、直射日光、塵埃、潮風、盗難、荷役接触、台風、冠水及び長期滞留等の危険が、通常の屋内保管より増加します。
密閉型コンテナに収納されたままの屋外蔵置と、デバン後に貨物自体が屋外へ置かれる状態は区別します。ただし、密閉型コンテナを長期在庫保管へ使用した場合には、通常の輸送過程外の保管として保険終了が問題となります。
ICC(A)で付保されていても、Open-Yard Storage Clause又は個別条件によって、野積み中の担保がICC(C)相当又は特定危険だけへ制限される場合があります。
ICC 2009 Clause 8.1では、最終倉庫への荷卸し、輸送外の保管選択、コンテナの保管利用又は本船陸揚げ後60日のうち、最も早い時点で保険が終了します。
被保険者の支配を超える遅延中は、Clause 8.3により担保が継続する場合がありますが、通常の輸送過程内であるかは、保管目的、期間、選択主体及び配送手配から判断します。
予定外の野積みが判明した場合は、Held Coveredを当然の救済と考えず、速やかに保険会社又は保険代理店へ通知し、追加条件、割増保険料及び保険期間を確認します。
野積み中の損害については、貨物保険請求と、倉庫・ヤード・荷役業者等への責任追及を分けて整理します。保険会社の代位求償に備え、第三者に対する権利と証拠を保全することが重要です。
本記事はOpen-Yard Storage Clause、ICCの保険期間、Held Covered、倉庫・ヤード業者責任及び保険代位に関する一般的な実務を解説するものであり、個別事故における保険金支払、保険期間終了又は第三者責任を断定するものではありません。
実際の判断は、保険証券、適用約款、通知履歴、本船陸揚げ日、保管目的、保管場所、貨物状態、倉庫寄託約款及び事故原因を確認したうえで、保険会社、保険代理店又は海事・保険の専門家へ相談してください。
同義語・別表記
関連用語
公式情報
- 公式ホームページ: https://marineinsurance.jp/
