輸入貨物の横持ち費用|目的別分類・移動区間・費用負担
輸入貨物の横持ち費用|目的別分類・移動区間・費用負担
輸入貨物の横持ち費用とは、貨物を港、CY、CFS、倉庫、配送拠点、積替え場所又は納品先周辺から、別の倉庫、保管場所、作業場所、配送拠点又は積替え場所へ移動する際に発生する費用です。
輸入貨物を港、CY、CFS又は倉庫から搬出しても、そのまま納品先へ直送できるとは限りません。納品日が合わない、大型車が納品先へ入れない、港湾側の保管費用を避けたい、別倉庫で保管したい、小型車へ積み替えたい、又は貨物特性に対応できる施設へ移す必要がある場合があります。
このように、当初の搬出場所から最終納品先へ直送せず、途中の物流拠点へ貨物を移動する工程が横持ちです。
横持ち費用は、単なる短距離の車両運賃ではありません。移動元での出庫、積込み、移動先での荷降ろし、入庫、待機、保管、積替え及び再配送が組み合わさるため、距離が短くても複数の費用が発生することがあります。
本記事では、横持ちを目的別に六つへ分類し、移動区間、作業内容、付随費用及び費用負担を整理します。
この記事で扱う範囲
| 項目 | この記事で扱う内容 | 他記事で扱う内容 |
|---|---|---|
| 横持ち費用 | 物流拠点間を移動する車両費、移動区間及び発生目的 | 個別配送会社の単価は具体的な見積りで確認する |
| 保管目的の横持ち | 港、CY、CFS又は倉庫から一時保管場所へ移す工程 | 保管料の計算方法は国内配送保管料の記事で扱う |
| 積替え目的の横持ち | 大型車から小型車又は特殊車両へ積み替える場所までの移動 | 積替え作業自体は小型車積替え費用の記事で扱う |
| 港湾費用回避 | 港湾側保管と港外搬出後の総費用比較 | デマレージ、ディテンション及びCFS保管料の詳細は各関連記事で扱う |
| 荷役・入出庫 | 横持ちに伴う出庫、積込み、荷降ろし及び入庫 | 個別倉庫の荷役単価は倉庫へ確認する |
| 貨物特性 | 重量物、危険品、温度管理品等の横持ち可否 | 各貨物に適用される個別法令及び許認可は専門事業者へ確認する |
| 費用負担 | 横持ちの目的、原因、契約、提案及び承認記録による整理 | 貨物事故後の損害賠償責任は運送責任・貨物事故関連記事で扱う |
| 横持ち後の納品 | 保管、積替え、再配送及び納品予約との連動 | 再配達、時間指定及び指定場所搬入の詳細は各関連記事で扱う |
横持ちの目的別六分類
横持ち費用の判断では、距離や使用車両より先に、横持ちを行う目的を確認します。同じ区間を移動する場合でも、目的によって必要な作業、費用負担及び確認資料が異なるためです。
| 目的別分類 | 主な目的 | 典型的な移動区間 | 主な後続工程 | 関連しやすい費用 |
|---|---|---|---|---|
| 1. 保管接続型 | 納品日まで貨物を一時保管する | CY・CFS・港・倉庫から一時保管倉庫 | 入庫、保管、出庫、再配送 | 入出庫料、国内配送保管料、再配送費用 |
| 2. 積替え接続型 | 別車両への積替え場所へ貨物を移す | 大型車到着地点又は倉庫から積替え拠点 | 荷降ろし、積替え、小型車又は特殊車両配送 | 積替え作業費、小型車費用、作業員費用、待機料 |
| 3. 納品日調整型 | 搬出可能日と納品可能日のずれを調整する | 搬出場所から仮置き倉庫又は配送拠点 | 一時保管、納品予約、後日配送 | 保管料、時間指定料金、再配送費用 |
| 4. 港湾費用回避型 | CFS保管料、デマレージ等の増加を抑える | 港、CY又はCFSから港外倉庫 | 入庫、保管、デバン、後日配送 | 横持ち、入出庫、保管、デバン、再配送 |
| 5. 施設変更型 | 予定倉庫の混雑、受入不可又は貨物不適合へ対応する | 予定倉庫又は配送拠点から別倉庫 | 再入庫、保管、貨物管理、再配送 | 出庫、横持ち、再入庫、保管、待機 |
| 6. 納品先接続型 | 車両制限、時間指定又は構内条件へ対応する | 配送拠点又は大型車到着地点から納品先周辺拠点 | 小型車配送、待機、台車搬入、指定場所搬入 | 小型車積替え、待機、作業員、時間指定料金 |
分類1:保管接続型の横持ち
保管接続型とは、貨物を搬出場所から一時保管できる倉庫又は配送拠点へ移す横持ちです。
輸入許可後に貨物を搬出できても、納品先の予約日、工事日程、店舗開店日又は受入準備が整っていない場合があります。その場合、貨物を港、CY又はCFSへ置いたままにするか、港外倉庫へ横持ちして保管するかを比較します。
| 確認項目 | 確認内容 | 問題になりやすい点 | 必要な対応 |
|---|---|---|---|
| 搬出可能日 | 輸入許可、D/O、CY・CFS受付及びフリータイム | 納品日より早く搬出期限が到来する | 保管場所と横持ち日を確定する |
| 保管期間 | 入庫日、出庫予定日及び納品日 | 保管期間が未確定で費用が増える | 仮の上限日と延長時の承認方法を決める |
| 保管単位 | M3、パレット、個数、重量又は期単位 | 短期間でも最低請求単位が適用される | 保管料計算と入出庫料を確認する |
| 貨物適合性 | 重量、寸法、温度、危険品及び上積み可否 | 一般倉庫で保管できない | 対応可能倉庫を選定する |
| 再配送 | 保管場所から納品先への車両・日時・作業条件 | 横持ち後の配送費を見落とす | 納品完了までの総費用を算出する |
分類2:積替え接続型の横持ち
積替え接続型とは、大型車、小型車又は特殊車両の間で貨物を積み替える場所まで移動する横持ちです。
納品先に大型車が入れない場合でも、道路上や納品先周辺で安全に積み替えられるとは限りません。フォークリフト、作業員、広さ及び車両待機場所を備えた倉庫又は配送拠点まで横持ちする必要があります。
| 確認項目 | 確認内容 | 問題になりやすい点 | 必要な対応 |
|---|---|---|---|
| 積替え場所 | 大型車と小型車が同時に接車できるか | 車両を並べられず待機が発生する | 接車場所と入場時間を予約する |
| 荷役設備 | フォークリフト、パレットジャッキ、クレーン等 | 貨物を安全に移せない | 設備能力と操作担当者を確認する |
| 貨物寸法 | 小型車の荷台寸法及び開口寸法 | 積替え後の車両に貨物が入らない | 梱包外寸と実車仕様を照合する |
| 貨物重量 | 個別重量、総重量及び重量配分 | 小型車の最大積載量を超える | 車両台数又は車格を見直す |
| 貨物状態 | 外装、数量、封印、養生及び積付け | 損傷又は不足の発生区間が不明になる | 積替え前後の写真と数量を残す |
分類3:納品日調整型の横持ち
納品日調整型とは、貨物を出せる日と納品先が受け入れられる日が一致しない場合に、両日程をつなぐために行う横持ちです。
この分類では、横持ち自体よりも、納品予約、保管日数、出庫時刻、時間指定及び再配送の設計が重要になります。
| 発生状況 | 横持ちが必要になる理由 | 後続工程 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 納品予約が先の日付しか取れない | 搬出期限まで港湾側へ置けない | 保管、予約日出庫、再配送 | 予約変更時の追加保管を確認する |
| 納品先の工事が遅れている | 予定日に受け入れられない | 延期期間中の保管、再手配 | 延期連絡日と費用承認を記録する |
| 店舗開店日まで搬入できない | 施設の受入開始日が決まっている | 保管、時間指定、指定場所搬入 | 内装工事と搬入経路を確認する |
| 休日を挟む | 納品先又は倉庫が休業する | 休日保管、休日明け配送 | 休日料金と保管期間を確認する |
| 初回配送後に再配達となる | 持ち戻り先と再配達日が必要になる | 持ち戻り、保管、再配送 | 初回納品不能の原因を記録する |
分類4:港湾費用回避型の横持ち
港湾費用回避型とは、CFS保管料、デマレージ又はその他の港湾側費用の増加を抑えるため、貨物を先に港外へ搬出する横持ちです。
ただし、港湾側の費用を回避できても、横持ち、入庫、デバン、保管、出庫及び再配送の費用が新たに発生します。港から出すことだけを目的に判断せず、最終納品までの総費用を比較します。
| 選択肢 | 主な費用 | 利点 | 主なリスク | 判断資料 |
|---|---|---|---|---|
| CY・CFS等で保管を継続する | CFS保管料、デマレージ等 | 横持ち・別倉庫の手配が不要 | 日数経過で費用が急増する場合がある | フリータイム、料率、納品可能日 |
| 港外倉庫へ横持ちする | 横持ち、入庫、保管、出庫、再配送 | 港湾側の高額費用を抑えられる場合がある | 複数工程の総額が高くなる場合がある | 各費用の合算見積り |
| コンテナをデバン倉庫へ移す | コンテナ運送、デバン、貨物保管、返却 | コンテナ返却後は貨物単位で管理できる | デバン設備とコンテナ返却期限が必要 | 返却条件、作業能力、保管条件 |
| 納品先近くへ先行移動する | 横持ち、近隣保管、時間指定配送 | 指定納品時刻に対応しやすい | 近隣拠点が貨物に適合しない場合がある | 拠点設備、貨物条件、再配送費 |
分類5:施設変更型の横持ち
施設変更型とは、予定していた倉庫又は配送拠点が貨物を受け入れられず、別施設へ移す横持ちです。
倉庫混雑、設備故障、危険品非対応、床荷重不足、温度条件不適合又は貨物寸法超過等が原因となります。
| 施設変更理由 | 確認すべき事項 | 追加工程 | 費用上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 倉庫が満床 | 受入可能日、代替施設及び保管期間 | 出庫、横持ち、再入庫 | 入出庫料が二重になる場合がある |
| 荷役設備が不足 | 重量、フォークリフト能力及びクレーン | 別施設への移動、再荷役 | 特殊車両・作業員費用が加わる |
| 危険品を保管できない | UN番号、危険品クラス、数量及び許可 | 対応倉庫への移動 | 一般倉庫へ一時搬入してはならない |
| 温度条件が合わない | 指定温度、許容時間及び温度記録 | 定温・冷蔵・冷凍施設への移動 | 移動中の温度管理も必要 |
| 貨物が大きすぎる | 外寸、天井高、搬入口及び床面積 | 大型貨物対応施設への移動 | 再積込みと荷役リスクが増える |
分類6:納品先接続型の横持ち
納品先接続型とは、最終納品先の車両制限、道路条件、搬入口、時間指定又は構内ルールへ対応するため、納品先周辺の物流拠点等へ貨物を移す横持ちです。
| 納品先条件 | 必要になりやすい横持ち | 後続対応 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 大型車が進入できない | 大型車到着地点から積替え拠点 | 小型車積替え、分割配送 | 安全な積替え場所を確保する |
| 短い予約枠がある | 納品先近くの配送拠点へ先行移動 | 早着待機、時間指定配送 | 待機場所と受付条件を確認する |
| 館内搬入が必要 | 施設近隣の作業拠点まで移動 | 台車搬入、作業員追加 | 車上渡しとの範囲を区別する |
| 夜間・早朝のみ搬入可能 | 前日又は当日中に近隣拠点へ移動 | 時間外配送、積み置き | 警備、照明及び荷役担当者を確認する |
| 構内待機が認められない | 外部待機場所又は配送拠点へ移動 | 指定時刻に再出発 | 待機料と再出動費を確認する |
横持ち区間別の整理
| 横持ち区間 | 主な目的 | 伴いやすい作業 | 確認すべき条件 | 主な付随費用 |
|---|---|---|---|---|
| CFSから一時保管倉庫 | LCL貨物の先行搬出・保管 | CFS搬出、積込み、入庫 | 搬出受付、貨物寸法、倉庫受入 | CFS搬出、横持ち、入庫、保管 |
| CYからデバン倉庫 | コンテナ返却と貨物単位管理 | コンテナ運送、デバン、入庫 | 返却期限、デバン能力、貨物状態 | コンテナ運送、デバン、保管 |
| 港から国内配送拠点 | 中継・仕分け・再配送 | 横持ち、荷降ろし、仕分け | 荷役設備、保管、再配車 | 横持ち、荷役、保管、再配送 |
| 倉庫から積替え場所 | 小型車又は特殊車両への積替え | 出庫、横持ち、積替え | 車両接続、設備、作業員 | 出庫、横持ち、積替え、待機 |
| 倉庫から別倉庫 | 施設変更・保管条件変更 | 出庫、横持ち、再入庫 | 受入可否、貨物適合性 | 二重荷役、横持ち、保管 |
| 配送拠点から納品先周辺 | 車両制限・時間指定対応 | 近距離配送、待機、積替え | 道路、駐車、予約、搬入口 | 横持ち、待機、小型車、作業員 |
横持ち費用・小型車積替え費用・国内配送保管料の違い
| 項目 | 横持ち費用 | 小型車積替え費用 | 国内配送保管料 |
|---|---|---|---|
| 中心となる行為 | 物流拠点から別の物流拠点への移動 | 大型車等から小型車への貨物移替え | 貨物を一定期間置くこと |
| 主な目的 | 保管、積替え、日程調整、施設変更等をつなぐ | 納品先へ入れる車両へ切り替える | 搬出日と納品日の差を埋める |
| 中心となる費用 | 車両・運送費 | 積替え作業・追加車両費 | 保管スペース・期間の費用 |
| 主な作業 | 出庫、積込み、移動、荷降ろし | 荷降ろし、検品、積替え、再積込み | 入庫、保管管理、出庫 |
| 典型例 | CFSから一時保管倉庫へ移す | 大型車から2トン車へ積み替える | 納品日まで倉庫へ置く |
| 重複関係 | 積替え場所又は保管場所までの移動として発生する | 積替え場所まで横持ちを伴う場合がある | 保管場所まで横持ちを伴う場合がある |
横持ち費用に含まれやすい費用
| 費用項目 | 内容 | 主な発生条件 | 確認上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 横持ち車両費 | 移動元から移動先まで貨物を運ぶ車両費 | 直送以外の追加区間が発生する | 距離が短くても最低料金が適用される場合がある |
| 出庫料 | 移動元から貨物を出す作業費 | 倉庫又は配送拠点から出庫する | 保管料と別料金か確認する |
| 積込み料 | 横持ち車両へ貨物を積み込む費用 | 運転者以外の作業又は設備が必要 | 作業主体と料金区分を確認する |
| 荷降ろし料 | 移動先で車両から貨物を降ろす費用 | 倉庫入庫又は積替えを行う | 車上渡しに含まれると決めつけない |
| 入庫料 | 移動先倉庫で貨物を受け入れる費用 | 保管又は一時仮置きを行う | 検品、ラベル及び棚入れ費も確認する |
| 待機料 | 移動元又は移動先で車両が待つ費用 | 受付、出庫、荷役又は入庫が遅れる | 待機開始時刻と無料時間を記録する |
| 国内配送保管料 | 横持ち先で貨物を保管する費用 | 当日中に再配送しない | 保管単位、期間及び最低料金を確認する |
| 再配送費用 | 横持ち先から最終納品先へ配送する費用 | 横持ち後に別の配送工程がある | 横持ち費用と別区間として見積もる |
| 作業員追加費用 | 重量物、手作業又は積替えに必要な人員費 | 運転者だけでは安全に作業できない | 人数、最低時間及び作業範囲を確認する |
| 特殊車両費用 | パワーゲート車、車載クレーン車、冷蔵車等の費用 | 貨物又は荷役条件に特殊機能が必要 | 横持ち区間と再配送区間の双方を確認する |
貨物特性別の横持ち可否
| 貨物特性 | 横持ち時の主な問題 | 必要になりやすい対応 | 確認すべき事項 |
|---|---|---|---|
| 重量物 | 移動先で荷降ろしできない、床荷重を超える | 大型フォークリフト、クレーン、特殊車両 | 個別重量、総重量、床荷重、荷役能力 |
| 長尺物 | 車両又は倉庫へ収まらない | 対応車両、広い作業場所、専用保管 | 長さ、幅、高さ、旋回及び搬入経路 |
| 木箱貨物 | 容積が大きく荷役・保管費が増える | M3確認、フォークリフト及び保管場所 | 外寸、上積み可否、重心、開梱可否 |
| パレット貨物 | パレット単位で入出庫・保管料が発生する | パレット保管、フォークリフト | 枚数、寸法、重量、上積み可否 |
| 精密機器 | 荷役回数増加により振動・衝撃リスクが増す | エアサス車、養生、専門作業員、屋内作業 | 傾斜制限、振動条件、取扱指示、保険条件 |
| 温度管理品 | 移動・待機・保管中に温度逸脱が生じる | 冷蔵・冷凍車、温度管理倉庫、温度記録 | 指定温度、許容時間、電源、記録方法 |
| 危険品・化学品 | 通常車両又は一般倉庫で扱えない | 対応車両、対応倉庫、資格者 | UN番号、危険品クラス、数量、SDS、保管可否 |
実務で問題になりやすいケース
| ケース | 主な原因 | 確認資料 | 判断のポイント | 初動対応 |
|---|---|---|---|---|
| CFSから倉庫へ移したが総費用が高くなった | 横持ち、入出庫、保管及び再配送を合算していない | CFS料率、倉庫見積り、配送見積り | 港湾側保管との総額差を確認する | 残存費用を再計算し納品計画を見直す |
| 横持ち先で貨物を降ろせなかった | 荷役設備、床荷重又は搬入口を確認していない | 貨物情報、施設回答、車両情報 | 貨物情報が正しく共有されていたか | 安全を確保し対応可能施設へ変更する |
| 横持ち先で危険品の受入れを拒否された | 危険品情報又は施設許可を確認していない | SDS、UN番号、倉庫回答 | 一般倉庫へ搬入していないか確認する | 対応施設を確保し関係者へ報告する |
| 小型車積替え費用だけ見積もり、横持ちを請求していなかった | 積替え場所までの移動区間を見落とした | 運行計画、積替え場所、見積書 | 積替え工程と運送区間を区別する | 追加区間と作業内訳を説明する |
| 倉庫混雑により別施設へ移した | 予定施設が受入不能となった | 施設連絡、代替案、移動記録 | 施設側事情か手配側確認不足か | 代替施設と費用負担を承認する |
| 横持ち中に貨物が損傷した | 荷役方法、積付け又は養生が不適切 | 積込み写真、到着写真、作業記録 | 損傷発生区間と作業主体を特定する | 作業を停止し証拠と貨物状態を保全する |
| 横持ち後の納品予約が取れていなかった | 横持ち後の工程を確定していない | 予約記録、配送指示、保管記録 | 保管期間が誰の事情で延びたか | 予約日、保管上限及び再配送を確定する |
| 近距離なのに高額だと費用を拒否された | 最低車両料金と荷役費を説明していない | 見積書、料金表、作業記録 | 距離以外の作業・拘束を確認する | 車両費と付随作業を分けて説明する |
横持ちの実務フロー
- 横持ちの目的を分類する
保管、積替え、納品日調整、港湾費用回避、施設変更又は納品先接続のどれに該当するか確認します。 - 横持ち元を確認する
港、CY、CFS、倉庫、配送拠点又は車両到着地点を特定します。 - 横持ち先を確認する
倉庫、積替え場所、仮置き場又は納品先周辺拠点の受入可否を確認します。 - 貨物情報を確認する
重量、寸法、容積、個数、パレット、木箱、危険性及び温度条件を確認します。 - 車両を選定する
通常車両、小型車、冷蔵車、パワーゲート車又は車載クレーン車等を選びます。 - 移動元・移動先の荷役を確認する
出庫、積込み、荷降ろし、入庫及び積替えの作業主体と設備を確認します。 - 横持ち後の工程を確定する
保管、積替え、再配送、納品予約及び荷降ろし条件を確認します。 - 総費用を算出する
車両、入出庫、荷役、待機、保管、積替え及び再配送を合算します。 - 代替案と比較する
港湾側保管、直送延期又は別車両等の選択肢と比較します。 - 荷主の承認を取得する
目的、区間、作業、概算費用、実費項目及び費用負担者を記録します。 - 貨物状態を記録して横持ちする
数量、外装、封印、温度及び積付けを記録します。 - 実績と請求を照合する
実際の区間、車両、作業、待機及び保管期間を確認します。
費用負担者を判断する順序
| 確認順位 | 確認事項 | 主な確認資料 | 判断上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 1 | 当初の配送・保管契約の範囲 | 見積書、料金表、適用約款 | 横持ちが包括料金へ含まれるか確認する |
| 2 | 横持ちの目的 | 配送計画、保管計画、納品条件 | 目的が不明なまま費用負担を決めない |
| 3 | 横持ちが必要になった原因 | 納品先連絡、倉庫回答、港湾費用資料 | 目的と原因を混同しない |
| 4 | 誰が必要情報を保有していたか | 荷主情報、施設条件、貨物情報 | 情報保有者と確認義務を負う者が同一とは限らない |
| 5 | 横持ち以外の合理的な代替案 | 直送案、保管案、別車両案 | 総費用と安全性を比較する |
| 6 | 付随費用が説明されたか | 見積書、メール、料金表 | 横持ち車両費だけの説明で終わっていないか確認する |
| 7 | 誰が追加費用を承認したか | 承認メール、注文書、電話記録 | 納品先担当者に支払権限があるとは限らない |
| 8 | 実際の区間・作業・費用 | 運行記録、作業記録、請求書、入出庫記録 | 見積額と実費を区別する |
発生原因別の費用負担の考え方
| 発生状況 | 基本的な整理 | 確認すべき資料 | 直ちに断定できない事項 |
|---|---|---|---|
| 納品先都合で納品日が延期された | 納品条件の変更として横持ち・保管の必要性を整理する | 延期連絡、納品予約、追加見積り | 納品先へ直接請求できること |
| 港湾費用を抑えるためフォワーダーが横持ちを提案した | 代替案との総費用比較と荷主承認を確認する | 港湾費用試算、横持ち・保管見積り | 提案したフォワーダーが費用を負担すること |
| 納品先の車両制限により積替え場所へ移した | 車両制限の事前共有と見積範囲を確認する | 施設条件、配送依頼、見積書 | 納品先がすべての費用を負担すること |
| 荷主が貨物特性を十分に伝えていなかった | 不足情報と追加手配の因果関係を確認する | 貨物明細、SDS、問い合わせ履歴 | 荷主がすべての追加費用を負担すること |
| フォワーダーが搬出日と納品日を調整していなかった | 通常確認すべき日程と実際の記録を比較する | 通関予定、搬出予定、納品依頼 | 他の関係者に原因がないこと |
| 倉庫都合で別施設へ移動した | 倉庫の契約、受入回答及び代替案を確認する | 倉庫連絡、保管契約、移動指示 | 倉庫が横持ち後の全費用を負担すること |
| 配送会社が運行上の都合で別拠点を経由した | 契約上必要な横持ちか、配送会社内部の運行かを区別する | 配車指示、運行記録、請求書 | 内部中継費を当然に荷主へ請求できること |
| 貨物に適合しない施設を選定して再横持ちした | 貨物情報の共有と施設選定経緯を確認する | 貨物資料、施設回答、手配記録 | 再横持ち費用を自動的に荷主へ転嫁できること |
事前合意に記載する事項
| 資料・記録 | 記載すべき内容 | 実務上の目的 | 不足した場合の問題 |
|---|---|---|---|
| 見積書 | 横持ち区間、車両、入出庫、荷役、待機、保管及び再配送 | 通常配送と追加工程を区別する | 横持ち費用の範囲が争いになる |
| 配送指示書 | 移動元、移動先、日時、貨物情報及び作業条件 | 配送会社と施設へ正確に指示する | 誤配送又は受入拒否が発生する |
| 横持ち理由の記録 | 保管、積替え、日程調整、港湾費用回避等の目的 | 費用負担の判断根拠を明確にする | 後から必要性を説明できない |
| 施設受入確認 | 搬入口、荷役設備、床荷重、保管条件及び営業時間 | 横持ち先が貨物へ対応できるか確認する | 到着後に荷降ろし又は入庫できない |
| 貨物情報 | 重量、寸法、容積、荷姿、危険性、温度及び上積み可否 | 車両・施設・荷役の選定根拠とする | 不適切な車両又は施設が手配される |
| 追加費用承認 | 費用項目、概算額、実費別途、負担者及び変更条件 | 横持ち実施前に荷主判断を残す | 作業後に費用を否認される |
| 実績記録 | 出庫、出発、到着、荷役、待機、入庫及び貨物状態 | 実績請求と事故区間を確認する | 待機・損傷・不足の原因を説明できない |
横持ちで保全する記録
| 記録 | 確認できる事項 | 取得方法 | 不足した場合の問題 |
|---|---|---|---|
| 移動元の出庫記録 | 貨物をいつ、何個、どの状態で出したか | 出庫伝票、写真、数量確認 | 不足又は損傷の開始区間が不明になる |
| 車両・運転者情報 | 使用車両と実運送主体 | 配車表、車両番号、運転者報告 | 運送区間の担当者を確認できない |
| 出発・到着時刻 | 走行時間、遅延及び待機 | 運行記録、GPS、受付記録 | 待機料と遅延原因を確認できない |
| 貨物状態写真 | 外装、荷姿、封印及び積付け状態 | 出発前・到着後の写真 | 損傷発生区間を特定できない |
| 荷役記録 | 使用設備、作業員及び作業時間 | 作業報告、施設記録 | 荷役費と事故原因を確認できない |
| 入庫記録 | 移動先が受け入れた数量・状態・時刻 | 入庫伝票、検品記録 | 移動後の所在と数量が不明になる |
| 温度・特殊管理記録 | 温度管理等の条件が維持されたか | 温度計、データロガー、施設記録 | 品質異常の発生区間を確認できない |
フォワーダーの関与範囲による違い
本記事における五分類は、法令上又は業界全体で確立された分類ではなく、本シリーズにおいてフォワーダーの関与範囲を整理するために使用する分析上の枠組みです。
| 標準五分類 | 横持ちにおける主な関与 | 確認・説明する範囲 | 責任判断で確認する事項 | 直ちに断定できない事項 |
|---|---|---|---|---|
| Simple Intermediary(単純取次) | 荷主、配送会社、倉庫等の横持ち条件を取り次ぐ | 移動区間、対応可否、料金回答及び施設条件を正確に伝える | 誰が運送会社及び倉庫と直接契約したか | 取次を行っただけで横持ち全体の責任を負うこと |
| Cargo Transportation Service Provider(貨物利用運送事業者) | Actual Carrierを利用して横持ち輸送を提供する | 車両、区間、荷役、待機、料金提示及び請求管理 | 利用運送契約、適用約款、料金条件及び再委託関係 | Actual Carrierの請求額が当然にそのまま荷主請求額となること |
| NVOCC / House B/L Issuer | 複合運送の輸入地側工程として横持ちに関与する場合がある | House B/Lの運送終点と国内横持ち・保管の見積範囲を確認する | House B/L、Door-to-Door条件及び国内配送契約 | NVOCCであることだけで横持ち費用を無償負担すること |
| Door-to-Door Single Contractor | 輸入地から横持ち、保管、積替え及び最終納品までを一体手配する | 横持ち元・先、倉庫、車両、荷役、保管及び再配送を整理する | Door-to-Door見積り、追加費用条件及び責任制限 | 一括引受けを理由に追加横持ちが当然に無償となること |
| Agent / Coordinator for Specific Operations(特定業務の代理・調整者) | 倉庫照会、搬出予約又は横持ち車両等の特定業務を調整する | 委任された業務の条件、費用及び記録を確認する | 依頼メール、見積条件及び具体的な委任範囲 | 一部業務の調整だけで納品全体の責任を負うこと |
Contracting Carrier及びActual Carrier等は、法的又は契約上の地位を示す概念であり、五分類を置き換える代替分類ではありません。
積込み、取卸し、倉庫出庫、フォークリフト作業、待機、横持ち及び国内配送等の実作業は、それ自体で第六の分類を構成するものではありません。
具体例1:CFSから一時保管倉庫へ横持ちする場合
LCL輸入貨物をCFSから引き取れる状態になったものの、納品先の予約日が五日後である場合を考えます。
CFSへ貨物を置いたままにする案と、港外倉庫へ横持ちして保管する案を比較します。横持ち案では、CFS搬出費、横持ち車両費、倉庫入庫料、五日分の保管料、出庫料及び最終納品費用を合算します。
CFS保管料だけと横持ち車両費だけを比較してはいけません。横持ち後に発生する入出庫、保管及び再配送を含めて総額を比較します。
貨物が木箱又はパレット貨物である場合は、M3又はパレット単位の保管料、フォークリフト能力及び上積み可否も確認します。
具体例2:小型車積替え場所まで横持ちする場合
大型車で港から引き取った貨物を、納品先の2トン車制限へ対応するため、配送拠点で小型車へ積み替える場合を考えます。
港から積替え拠点までの運送が横持ちであり、大型車から小型車へ貨物を移す作業と小型車による最終配送は小型車積替え工程です。
見積りでは、横持ち車両費、積替え場所使用料、積替え作業費、小型車費用及び待機料を分けます。
積替え前後の数量、外装、封印及び積付けを撮影し、横持ち区間と積替え作業中の貨物状態を区別できるようにします。
具体例3:デマレージ回避のため港外倉庫へ横持ちする場合
コンテナのフリータイムが終了する一方、納品先が一週間後まで貨物を受け入れられない場合を考えます。
コンテナをCYへ置いたままにする案と、デバン可能な港外倉庫へ搬出する案を比較します。
港外搬出案では、コンテナ運送、デバン作業、空コンテナ返却、貨物保管、倉庫出庫及び最終配送が必要です。
デマレージだけを回避しても、港外側の総費用が高くなる場合があります。フリータイム、コンテナ返却期限、倉庫のデバン能力、貨物保管条件及び最終納品日を基に、両案の総費用を比較して荷主の承認を取得します。
海事・運送法務に詳しい弁護士へ相談すべき場面
- 高額な横持ち、入出庫、保管、積替え又は再配送費用が争われている場合
- 横持ちが当初の運送契約又はDoor-to-Door料金へ含まれるか解釈が対立している場合
- 横持ち中又は荷役中に貨物損傷、数量不足、温度異常又は人身事故が発生した場合
- 港湾費用回避の提案が合理的だったか、費用負担をめぐり対立している場合
- 荷主、prime freight forwarder、Cargo Transportation Service Provider、Actual Carrier、倉庫及び荷役会社の契約関係が複雑な場合
- 適用約款、責任制限、貨物保険、請求期限又は求償関係が争点となる場合
よくある誤解
| 誤解 | 実際の考え方 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 近距離の移動だから安い | 最低車両料金、出庫、荷役、入庫及び待機が発生する場合がある | 距離以外の費用を確認する |
| 横持ちは通常配送費用に含まれる | 直送以外の追加区間として別料金になる場合がある | 見積範囲を明記する |
| 横持ち費用と小型車積替え費用は同じである | 横持ちは移動、積替え費用は貨物移替えと小型車配送の費用である | 運送区間と作業工程を分ける |
| 港湾費用を避ければ必ず安くなる | 入出庫、保管、デバン及び再配送を含めると高くなる場合がある | 最終納品までの総額で比較する |
| 横持ち先はどの倉庫でもよい | 重量、寸法、温度及び危険品条件により対応施設は限られる | 貨物適合性を事前確認する |
| 横持ち後はすぐ納品できる | 保管、納品予約、積替え及び再配送手配が必要になる場合がある | 後続工程を先に確定する |
| 横持ち先に到着すれば運送は完了する | 契約によっては荷降ろし、入庫又は保管開始まで確認が必要である | 完了条件を配送指示書へ記載する |
| 横持ちを提案したフォワーダーが費用を負担する | 費用負担は契約、提案理由、比較内容及び荷主承認によって整理する | 提案と費用負担を混同しない |
判断チェックリスト
| 確認場面 | 確認する相手 | 確認事項 | 問題がある場合の対応 |
|---|---|---|---|
| 目的確認時 | 荷主・依頼者 | 保管、積替え、納品日調整、港湾費用回避等の目的 | 目的が不明なら横持ちを確定しない |
| 移動元確認時 | CY・CFS・倉庫・配送会社 | 搬出条件、受付時間、出庫作業及び必要書類 | 搬出できない場合は日程又は手配を変更する |
| 移動先確認時 | 倉庫・配送拠点・作業会社 | 受入可否、営業時間、搬入口、荷役設備及び保管条件 | 貨物へ対応できなければ別施設を選ぶ |
| 貨物確認時 | 荷主・倉庫・通関業者 | 重量、寸法、容積、荷姿、危険性及び温度条件 | 情報不足なら写真、SDS又は梱包明細を取得する |
| 車両選定時 | 配送会社 | 車格、荷台寸法、最大積載量及び特殊機能 | 貨物条件に合わなければ車両を変更する |
| 荷役確認時 | 移動元・移動先施設 | 積込み、荷降ろし、フォークリフト、作業員及び待機 | 安全に作業できなければ設備・人員を追加する |
| 後続工程確認時 | 荷主・納品先・配送会社 | 保管、積替え、納品予約、再配送及び荷降ろし | 納品日が未確定なら保管上限と変更条件を決める |
| 費用比較時 | 荷主・倉庫・配送会社 | 横持ち、入出庫、保管、積替え、待機及び再配送 | 横持ち単価だけでなく総費用を提示する |
| 承認取得時 | 権限を有する荷主担当者 | 目的、区間、作業、概算額、実費別途及び負担者 | 口頭承認の場合は直ちに確認メールを送付する |
| 実施・請求時 | 配送会社・倉庫・作業会社 | 出庫、出発、到着、荷役、待機、入庫及び貨物状態 | 見積との差額は証憑と理由を説明してから請求する |
まとめ
輸入貨物の横持ち費用は、貨物を最終納品先へ直送できず、別の倉庫、保管場所、積替え場所又は配送拠点へ移動する場合に発生する追加費用です。
本記事の核心は、横持ちを一つの費用として扱わず、目的によって分類することです。横持ちには、保管接続型、積替え接続型、納品日調整型、港湾費用回避型、施設変更型及び納品先接続型があります。
横持ちの目的が異なれば、移動区間、必要な車両、荷役設備、保管、積替え、再配送及び費用負担の判断も変わります。
横持ち費用は距離だけでは決まりません。短距離であっても、最低車両料金、出庫、積込み、荷降ろし、入庫、待機及び保管が加わることがあります。
港湾費用を回避する目的で横持ちを行う場合も、港湾費用だけと横持ち車両費だけを比較してはいけません。入出庫、デバン、保管及び最終配送を含む総費用で判断します。
費用負担は、横持ちを必要とした者だけで決めません。当初の見積範囲、横持ちの目的、発生原因、貨物情報、代替案、付随費用の説明及び追加費用の承認を重ねて整理します。
フォワーダーは、横持ち元、横持ち先、貨物条件、車両、荷役、保管及び横持ち後の納品工程を事前に確定し、納品完了までの総費用を荷主へ提示する必要があります。横持ち費用は、単なる近距離運送費ではなく、輸入貨物の各物流工程を安全かつ確実につなぐための中継輸送費として管理することが重要です。
