輸入食品と食品リコール情報|自主回収届出制度・回収実務

Imported Foods and Food Recall Information: Voluntary Recall Reporting and Recall Operations

輸入食品と食品リコール情報とは

輸入食品と食品リコール情報とは、日本へ輸入され、国内流通に入った食品、食品添加物、器具、容器包装などについて、食品衛生法違反、食品表示法違反、または違反のおそれが判明し、食品等事業者が自主回収に着手した場合に、行政へ届け出られ、公表される情報をいいます。

日本では、2021年6月1日から、食品衛生法および食品表示法に基づく食品等の自主回収届出制度が開始されました。

輸入食品では、検疫所の審査・検査を経て税関から輸入許可を受けた後でも、国内流通後の自主検査、海外メーカーからの通知、表示確認、消費者苦情、取引先検査などにより問題が判明することがあります。

そのため、輸入者は輸入許可後も、対象ロット、国内在庫、販売先、輸送中貨物、回収数量、廃棄・積戻し状況を追跡し、行政届出、消費者対応、海外メーカーへの原因調査・求償まで行える体制を整える必要があります。

この記事で扱う範囲

項目 この記事で扱う内容 個別確認が必要な事項
自主回収届出制度 制度目的、対象、届出主体、提出先、時期 個別事案が義務届出対象か
輸入食品 国内流通後に問題が判明した場合の対応 輸入者・販売者・製造者の責任分担
食品衛生法 違反または違反のおそれがある食品等 個別の規格基準・危害評価
食品表示法 安全性に関係する表示の欠落・誤り 表示違反の届出対象性
クラス分類 Class I・II・IIIの危害度区分 自治体による個別分類
食品衛生申請等システム 回収事案の登録、公表、変更、終了報告 アカウント・操作・自治体運用
回収実務 出荷停止、在庫隔離、回収、廃棄、積戻し 具体的な回収・処分方法
物流事業者 倉庫在庫、配送中貨物、ロット追跡 委託契約と指示権限
海外メーカー 原因調査、改善、費用負担、求償 準拠法、契約、証拠
保険 貨物保険、賠償責任保険、リコール保険の切分け 個別約款と支払可否
輸入食品違反事例との関係 輸入段階と国内流通後の役割分担 関連記事への委譲範囲

「輸入時における輸入食品違反事例」との役割分担

本記事は、既存記事「輸入時における輸入食品違反事例」と重複しないよう、国内流通後の自主回収制度と回収実務を中心に扱います。

比較項目 輸入時における輸入食品違反事例 輸入食品と食品リコール情報 主な担当場面
中心時点 輸入届出審査・輸入時検査 輸入許可後・国内流通後 輸入前後で分ける
中心制度 食品等輸入届出、検査命令、モニタリング検査 食品等自主回収届出制度 検疫所と自治体で分かれる
中心情報 輸入時に確認された違反事例 事業者が着手した自主回収事案 公表情報が異なる
貨物状態 保税地域または輸入手続中 倉庫、卸、小売、消費者まで流通済み 追跡範囲が異なる
主な措置 輸入不許可、廃棄、積戻し、検査 出荷停止、在庫隔離、回収、告知、終了報告 国内回収網が必要
物流課題 保税保管、検査待ち、コンテナ返却 販売先追跡、回収輸送、返品集約、処分 国内物流情報が中心

輸入時の検査制度、検査命令、食品等輸入届出書の詳細は「輸入時における輸入食品違反事例」で扱い、本記事では国内流通後の対応へ集中します。

食品リコール情報で確認する項目

確認項目 実務上の意味 照合する社内資料
商品名 対象商品を特定する 商品マスター、Invoice
届出者・販売者・輸入者 商流上の関係者を特定する 輸入者台帳、販売先台帳
JANコード 類似商品と区別する 商品コード一覧
ロット・製造番号 回収対象範囲を限定する 入出庫記録、製造記録
賞味期限・消費期限 包装単位を特定する 在庫一覧、ラベル記録
販売地域・販売先 流通範囲を把握する 納品記録、配送実績
回収理由 危害と必要措置を判断する 検査結果、苦情、メーカー通知
回収方法 返品先、返金、告知方法を確認する 回収計画、顧客案内
回収状況 未回収数量と終了判断を管理する 回収台帳、廃棄記録

食品衛生法と食品表示法の違い

区分 中心となる問題 代表例 輸入食品での注意点
食品衛生法 食品等の安全性・衛生上の危害 微生物汚染、有害物質、残留農薬、添加物違反、異物混入 海外基準と日本基準の差を確認する
食品表示法 安全性に関係する表示の欠落・誤り アレルゲン、消費期限、保存方法、加熱の必要性 日本語ラベル、翻訳、貼付ロットを確認する
両法令に関係 食品自体と表示の双方に問題がある 原材料違反とアレルゲン表示漏れが同時発生 両方に基づく届出として整理する

表示違反だから軽微、食品衛生法違反だから常に重大、という単純な区分ではありません。アレルゲン表示漏れは、対象アレルギーを持つ消費者に重篤な健康被害を生じさせる可能性があります。

届出対象となりやすいケース

問題類型 代表例 主な確認資料 初動措置
病原微生物 腸管出血性大腸菌、ボツリヌス毒素等 検査結果、製造記録 直ちに出荷停止・対象特定
有害・有毒物質 アフラトキシン、有毒魚、有毒植物 分析結果、原料情報 販売停止・行政連絡
硬質異物 ガラス片、硬質プラスチック等 苦情品、工程記録、写真 同一ライン・ロット確認
腐敗・変敗 シール不良、膨張、異臭等 包装記録、温度記録 流通ロットを隔離する
残留農薬・添加物 基準超過、指定外添加物、使用基準違反 分析証明、配合表 対象原料・商品を追跡する
アレルゲン表示 特定原材料の表示漏れ、誤ラベル 配合表、ラベル版下 販売先・消費者へ注意喚起する
期限・保存表示 消費期限、保存方法、加熱条件の誤表示 ラベル、製造指示、貼付記録 危害可能性を評価する
器具・容器包装 材質規格不適合、溶出基準違反 材質証明、試験結果 食品と包装の対象範囲を確認する

食品リコールのクラス分類

届け出られた回収事案は、保健所等において、食品による健康被害の可能性に応じてClass I、Class II、Class IIIに分類されます。

クラス 基本的な考え方 代表例 実務上の対応
Class I 喫食により重篤な健康被害または死亡の原因となり得る可能性が高い 病原微生物、有毒物質、発がん性物質、硬質異物等 即時の出荷停止、広範な連絡、迅速な回収
Class II 重篤な健康被害または死亡の原因となり得る可能性が低い 一般細菌数、大腸菌群等の成分規格不適合 対象範囲を確定し、計画的かつ速やかに回収
Class III 喫食による健康被害の可能性がほとんどない 一定の添加物使用基準違反、急性参照用量を超えない残留基準違反等 行政判断に従い回収・公表する

一般にClass IIが基本的な分類となり、重篤な健康被害の可能性が高い場合にClass I、健康被害の可能性がほとんどない場合にClass IIIへの分類が検討されます。

誰が、いつ、どこへ届け出るのか

手続項目 基本的な取扱い 輸入食品での実務
届出主体 自主回収に着手した営業者・食品等事業者 輸入者、製造者、販売者等のうち回収を実施する主体
届出時期 回収に着手した後、遅滞なく届け出る 全数量の確定を待たず、判明情報で初回届出を行う
届出先 都道府県知事等 基本的に回収担当部門を管轄する保健所等
届出方法 原則として食品衛生申請等システムを利用 自治体運用に従い、必要に応じ紙手続も確認する
変更報告 重要事項に変更があれば遅滞なく報告 対象ロット、販売先、数量、健康被害等を更新する
終了報告 回収終了後、遅滞なく終了を届け出る 回収数量、未回収、廃棄・積戻し、再発防止を整理する

回収担当部門が本社とは異なる都道府県にある場合、その回収担当部門を管轄する自治体へ届け出る取扱いが可能です。

輸入者が海外メーカーへ原因照会中であっても、国内回収へ着手した後は、海外回答を待って届出を遅らせてはいけません。

届出時に整理する主な情報

情報区分 主な内容 輸入食品での確認資料
届出者情報 名称、住所、代表者、連絡先 法人情報、輸入者台帳
回収担当部門 部門、担当者、連絡先 社内回収体制表
商品情報 商品名、名称、画像、包装形態 商品マスター、ラベル
特定情報 JANコード、ロット、製造番号、期限 入庫記録、製造記録
回収理由 違反内容、違反のおそれ、判明経緯 検査結果、苦情、メーカー通知
販売情報 販売先、販売期間、販売数量、販売地域 受注・出荷・納品記録
回収方法 返品先、返金、告知、問い合わせ先 回収計画、消費者告知案
健康被害 被害の有無、内容、件数 苦情記録、医療情報
回収状況 回収数量、回収割合、未回収数量 回収台帳、在庫記録

食品衛生申請等システムの位置づけ

食品衛生申請等システムは、厚生労働省側のオンラインシステムです。食品等事業者は、営業許可・営業届出に加え、食品等自主回収事案の登録、回収状況の変更・終了登録などを行えます。

システム・手続 中心用途 本記事での位置づけ
食品衛生申請等システム 食品営業手続、食品リコール登録・公表・状況更新 国内流通後の自主回収届出
NACCS 輸出入・港湾関連手続、輸入申告、他法令確認連携 輸入通関段階
食品等輸入届出 販売・営業目的の食品等を輸入する際の検疫所手続 輸入段階
食品リコール公開検索 公表済み回収事案の検索 消費者・取引先・事業者の情報確認

食品衛生申請等システムは、NACCSの審査区分や他法令コードを管理するシステムではありません。

リコール発生時の基本フロー

  1. 問題情報を受領し、社内責任者へ報告する。
  2. 販売・出荷を暫定停止する。
  3. 商品名、JANコード、ロット、期限を特定する。
  4. 同一原料・同一ライン商品を確認する。
  5. 倉庫在庫を隔離し、出庫不能にする。
  6. 輸送中貨物の配送停止・受領保留を指示する。
  7. 販売先、販売数量、在庫、消費者到達状況を集計する。
  8. 健康被害の有無と危害度を確認する。
  9. 管轄自治体へ連絡し、回収着手後遅滞なく届け出る。
  10. 取引先・消費者向け告知を確定する。
  11. 回収受付、返品集約、返金、問い合わせ対応を開始する。
  12. 海外メーカーへ原因調査と出荷停止を求める。
  13. 回収数量、未回収数量、廃棄・積戻し状況を更新する。
  14. 原因と再発防止策を確定する。
  15. 回収終了後、遅滞なく終了報告を行う。

回収中の変更報告と終了報告

報告段階 報告内容 輸入食品での注意点
着手 商品、理由、販売先、回収方法、判明数量等 海外メーカー回答前でも判明情報で開始する
変更 対象ロット、販売地域、数量、健康被害、回収方法等 対象拡大・縮小を取引先へ同時に伝える
経過 回収数量、回収割合、未回収、消費者対応 倉庫・販売先の数値を一本化する
終了 回収結果、処理方法、未回収、再発防止等 廃棄証明、積戻し証明、数量差異を説明する

終了報告前には、回収対象数量、販売数量、在庫数量、回収数量、廃棄・積戻し数量の整合を確認します。

フォワーダー・倉庫会社の役割

業務 行う事項 通常は行わない事項 必要な記録
在庫確認 対象ロットの保管場所と数量を確認する 回収対象の法的確定 在庫台帳、ロケーション
出荷停止 WMS等で対象在庫を保留する 販売停止方針の決定 停止指示、操作履歴
配送停止 配送中貨物を止め、受領保留を調整する 消費者告知の決定 配送状況、運送指示
返品集約 回収品の返送先と受入れを調整する 廃棄・積戻しの法的判断 返品伝票、受入記録
ロット照合 B/L、Invoice、入庫日、ロットを結びつける 食品安全性の評価 B/L、Invoice、ロット表
処分物流 廃棄業者、積戻し、保管を手配する 費用負担者の最終決定 廃棄証明、積戻し書類

フォワーダーの標準五分類による整理

次の標準五分類は、法令上または業界全体で確立された分類ではなく、本シリーズでフォワーダーの関与範囲を整理するための分析上の枠組みです。

標準五分類 食品リコールで行う業務 通常は含まれない判断・保証 確認資料 実務上の注意点
単純取次 回収通知、出荷停止指示、在庫回答の伝達 回収対象・クラスの決定 メール、業務指示 受信・転送時刻を記録する
貨物利用運送事業者 配送停止、返品輸送、廃棄・積戻しの手配 食品安全性や届出義務の判断 利用運送契約、運送記録 通常運送と回収運送を分ける
NVOCC・House B/L発行者 輸入ロット、House B/L、混載貨物の特定 国内販売ロットの最終確定 House B/L、Master B/L 国内ロット情報との接続が必要
Door-to-Door一括引受者 輸入から国内配送までの所在・工程を追跡する 商品自体の規制適合性保証 Door-to-Door契約、配送実績 輸送責任と製品責任を区別する
特定業務の代理・調整者 在庫隔離、返品集約、廃棄・積戻しを調整する 委任範囲外の行政・法的判断 委任状、回収指示書 誰の指示で実行したかを残す

Contracting CarrierおよびActual Carrierは運送契約上の地位であり、標準五分類を置き換えるものではありません。

在庫照合、配送停止、返品集約、廃棄・積戻し手配等の個別業務は、それ自体で第六の分類を構成するものではありません。

海外メーカー・輸出者への連絡と求償

確認事項 海外側へ求める内容 求償資料
原因 原料、工程、表示、検査、変更履歴の調査 原因調査報告書
対象範囲 製造日、ライン、ロット、出荷国別範囲 製造・出荷記録
出荷停止 未出荷品、日本向け品、関連商品の停止 停止指示・確認書
改善 是正措置、再発防止、再検査 改善報告、監査資料
費用負担 回収、保管、廃棄、積戻し、検査、告知費用 請求書、費用一覧
代替品 再製造、代替出荷、納期 代替品契約、輸送書類

貨物保険・賠償責任保険との関係

制度・保険 中心となる補償・役割 食品リコールでの注意点
貨物保険 輸送中の偶然な事故による物的損害 リコール費用が当然に補償されるわけではない
運送人・倉庫業者の賠償責任 管理義務違反による損害 温度逸脱、誤配送、出荷停止指示違反等を確認する
製品賠償責任保険 製品事故による第三者の身体・財物損害 純粋な回収費用は別扱いとなる場合がある
リコール保険 対象となる回収費用、告知、廃棄等 対象事故、費目、自己負担、サブリミットを確認する
売買契約上の補償 売主の規制適合保証、補償、求償 保険の有無にかかわらず契約条項を確認する

実務で問題になりやすいケース

ケース 主な問題 初動確認 物流対応 主な資料
輸入菓子のアレルゲン表示漏れ 日本語ラベルと配合の不一致 対象ラベル・ロットを特定 出荷停止、店頭回収 配合表、ラベル版下
冷凍食品から残留農薬基準違反 国内流通後の検査結果 販売先・在庫・検体を確認 冷凍隔離、回収集約 分析結果、出荷記録
海外メーカーが世界同時リコール 日本向けロットの該当性 製造番号・出荷国を照合 輸送中貨物も停止 メーカー通知、B/L
輸入後の自主検査で微生物違反 輸入時は適法でも後日違反判明 同一ライン・ロットを確認 販売停止、返品回収 検査結果、製造記録
倉庫が対象ロットを誤出荷 出荷停止指示後の管理不備 指示時刻・出庫時刻を確認 緊急配送停止 WMS履歴、メール
商品名は同じだが対象期限が異なる 過剰回収または対象漏れ 期限・JAN・ロットを照合 対象商品のみ隔離 在庫一覧、ラベル
海外メーカーが費用負担を拒否 契約・原因・証拠不足 保証条項と原因を確認 費用を項目別に記録 契約、請求書、報告書
回収数量が販売数量と一致しない 消費済み・所在不明・重複集計 数量差異を分析 未回収範囲を継続管理 回収台帳、販売台帳

具体例1:輸入菓子のアレルゲン表示漏れ

輸入者は、海外メーカーの原材料表を基に日本語ラベルを作成しました。販売開始後、複合原材料に含まれるアレルゲンが日本語表示から漏れていることが判明しました。

輸入者は対象ラベルを使用したロットを特定し、倉庫出荷を停止し、小売店へ販売停止を連絡しました。同時に、回収に着手した後、管轄自治体へ届け出、消費者への注意喚起を行いました。

このケースでは、海外メーカーの原材料情報だけでなく、日本語ラベル作成・承認工程の責任も確認する必要がありました。

具体例2:海外メーカーから世界同時リコール通知を受けたケース

海外メーカーから、特定製造日の商品に異物混入のおそれがあるとの通知が届きました。商品名は世界共通でしたが、日本向けロットが対象に含まれるかは通知だけでは分かりませんでした。

輸入者は製造番号、輸出日、Invoice、B/L、国内入庫ロットを照合し、日本国内に販売済みの商品を特定しました。海上輸送中の後続ロットも国内搬出を保留しました。

このケースでは、海外リコール情報と日本国内の輸入・販売データを接続する仕組みが必要でした。

具体例3:モニタリング検査後に違反が判明したケース

輸入時のモニタリング検査対象となった食品は、結果判明前に輸入許可され、国内販売されました。後日、違反結果が判明したため、輸入者は販売先と在庫を追跡し、自主回収に着手しました。

販売ロットの記録が粗く、対象数量を限定できなかったため、回収範囲を広く設定せざるを得ませんでした。

このケースでは、輸入許可と国内流通後の安全管理は別問題であり、ロット追跡が回収範囲を左右しました。

具体例4:倉庫の出荷停止処理が遅れたケース

輸入者は倉庫会社へ対象ロットの出荷停止をメールで指示しました。しかし、倉庫内のWMS保留処理が遅れ、指示後に一部商品が出荷されました。

輸入者と倉庫会社は、メール受信時刻、WMS操作時刻、ピッキング時刻、出庫時刻を確認し、追加回収範囲を決めました。

このケースでは、連絡だけでなく、出荷不能状態になったことを相互確認する手順が必要でした。

具体例5:輸送中の温度逸脱とリコールが重なったケース

輸入冷蔵食品について、国内配送中の温度逸脱が確認され、同じロットから品質異常の苦情も発生しました。

輸入者は自主回収を先行し、温度記録、配送記録、倉庫記録、貨物保険、運送契約を確認しました。

このケースでは、消費者保護のための回収対応を先行し、責任・保険の判断は証拠確認後に行う必要がありました。

よくある誤解

誤解 実際の考え方 実務上の注意点
輸入許可済みならリコール対象にならない 国内流通後に違反・誤表示等が判明する場合がある 輸入後も監視する
自主回収なので行政届出は任意である 一定の自主回収は届出義務の対象である 回収着手後遅滞なく確認する
全数量を確定してから届け出ればよい 初回届出後に変更・経過を更新できる 届出を遅らせない
表示違反は健康被害と関係しない アレルゲン等は重大な健康被害につながる 表示内容を危害面から評価する
Class IIIなら回収対応は不要である 健康被害可能性が低くても制度上の対応が必要となる 行政分類に従う
食品衛生申請等システムはNACCSの一部である 国内食品行政手続のシステムでありNACCSとは別である 輸入通関とリコールを区別する
倉庫会社へメールすれば出荷停止は完了する WMS等で出荷不能状態となったことを確認する 完了報告を受ける
商品名が一致すればすべて回収対象である JAN、ロット、期限、包装等で範囲を特定する 過剰回収を避ける
海外メーカーがリコールすれば日本でも同じ対応になる 日本向けロットと国内法令を別途確認する 国内届出を判断する
フォワーダーが行政届出を決定する 届出主体が行政と確認し、物流事業者は実行を支援する 権限を明確にする
食品リコール費用は貨物保険で当然に補償される 輸送中の物的損害と回収費用は別に判断する 約款と原因を確認する
商品を回収すれば手続は終了する 回収状況の更新と終了報告が必要である 数量・処分・再発防止を整理する
海外メーカーへの求償は費用一覧だけで足りる 原因、契約違反、因果関係、証拠が必要である 調査資料を保存する

実務判断チェックリスト

確認時期 確認相手・資料 確認事項 問題がある場合の対応
商品採用時 メーカー、規格書 原材料、表示、変更管理 日本向け仕様を確定する
輸入前 ロット管理表 輸入ロットと国内商品コードの接続 追跡項目を追加する
国内入庫時 倉庫、WMS JAN、ロット、期限、数量 不明ロットを隔離する
問題認識時 検査結果、苦情、通知 危害、対象、情報の確度 暫定出荷停止する
回収判断時 行政、品質部門 届出対象、クラス、対象範囲 管轄自治体へ相談する
回収着手時 食品衛生申請等システム 届出者、商品、理由、販売情報 判明情報で遅滞なく届け出る
物流停止時 倉庫、配送会社 在庫隔離、出荷停止、輸送中貨物 完了時刻を確認する
告知時 販売先、消費者窓口 対象特定、健康影響、返品方法 誤解のない表現へ修正する
回収中 回収台帳 回収数量、未回収、販売先 変更・経過を更新する
海外照会時 メーカー、輸出者 原因、対象国、製造ロット 出荷停止と改善を要求する
保険・求償時 契約、保険証券 原因、補償、費用、責任 専門家へ相談する
終了時 行政、回収台帳 回収結果、処理、差異、再発防止 遅滞なく終了報告する

専門家へ相談すべき場面

  • 自主回収届出の対象か判断できない場合
  • Class I・II・IIIの危害度判断が難しい場合
  • 食品衛生法と食品表示法の双方に関係する場合
  • アレルゲン、微生物、有害物質の健康影響評価が必要な場合
  • 海外メーカーの回収範囲と日本向けロットが一致しない場合
  • 回収対象数量・販売数量・在庫数量が一致しない場合
  • 廃棄、積戻し、用途変更の法的可否を確認する場合
  • 海外メーカーへの求償額・責任が争われる場合
  • 輸送事故と製造不良の原因が競合する場合
  • 貨物保険、製品賠償責任保険、リコール保険の切分けが必要な場合
  • 消費者への健康被害が発生している場合
  • 回収終了の判断と終了報告内容が不明な場合

実務上の注意点

  • 輸入許可は国内流通後の食品安全を保証するものではありません。
  • 本記事は国内流通後の自主回収を中心とし、輸入時検査は別記事へ委譲します。
  • 食品リコール情報は商品名だけでなくJAN、ロット、期限で確認します。
  • 回収着手後は、全情報の確定を待たず遅滞なく届け出ます。
  • 届出後に対象範囲や数量が変われば変更・経過を更新します。
  • 回収終了後は終了報告を行います。
  • クラス分類は健康被害の可能性に基づいて整理します。
  • 食品衛生申請等システムとNACCSを混同しません。
  • 出荷停止はメール送信だけでなく、WMS等の処理完了を確認します。
  • 海外リコール情報を日本の輸入ロット・販売ロットへ接続します。
  • 回収品の返品、隔離、廃棄、積戻しの記録を残します。
  • 回収数量と販売数量の差異を説明できるようにします。
  • 海外メーカーへの求償には原因・契約・費用の証拠が必要です。
  • 食品リコールを貨物保険だけで処理できるとは限りません。
  • 消費者保護の回収対応を、責任・求償判断より先行させます。

まとめ

  • 輸入食品と食品リコール情報は、国内流通後の自主回収届出と公表情報を中心に扱う実務分野です。
  • 2021年6月1日から、一定の食品等自主回収について行政への届出が義務化されています。
  • 輸入時の食品等輸入届出・検査命令は「輸入時における輸入食品違反事例」で扱い、本記事は国内流通後の対応を扱います。
  • 食品衛生法違反・違反のおそれ、安全性に関係する食品表示法違反等が届出対象となります。
  • 回収事案は健康被害の可能性に応じてClass I、Class II、Class IIIに分類されます。
  • 回収に着手した営業者・食品等事業者は、回収着手後遅滞なく届け出ます。
  • 届出先は都道府県知事等で、基本的には回収担当部門を管轄する保健所等へ行います。
  • 食品衛生申請等システムでは、回収事案の登録、公表、変更、経過、終了登録を行えます。
  • 食品衛生申請等システムはNACCSとは別の制度・システムです。
  • 対象商品は商品名だけでなく、JAN、ロット、期限、輸入者、販売者、包装形態で特定します。
  • 初動では、出荷停止、在庫隔離、配送停止、販売先追跡、健康被害確認を並行して行います。
  • 届出後に対象範囲・数量等が変われば変更・経過を更新します。
  • 回収終了後は、回収結果、未回収、処理、再発防止を整理して終了報告を行います。
  • 輸入者は、海外メーカーのリコール情報を日本向け輸入ロットと国内販売ロットへ接続します。
  • フォワーダー・倉庫会社は行政上の最終判断者ではありませんが、貨物所在・出荷停止・回収物流を支えます。
  • 標準五分類では、単純取次、貨物利用運送事業者、NVOCC・House B/L発行者、Door-to-Door一括引受者、特定業務の代理・調整者として関与範囲を整理します。
  • Contracting CarrierおよびActual Carrierは運送契約上の地位であり、標準五分類を置き換えるものではありません。
  • 在庫照合、配送停止、返品集約、廃棄・積戻し手配等は、それ自体で第六の分類を構成しません。
  • 海外メーカーへの求償には、原因、契約違反、対象ロット、費用、因果関係の証拠が必要です。
  • リコール費用は通常の貨物保険で当然に補償されるものではなく、製品賠償責任保険、リコール保険、売買契約等を含めて整理します。

輸入食品の管理は、検疫所審査と税関の輸入許可で終了しません。国内流通後の問題情報を監視し、対象ロットを直ちに追跡できる体制を整えてください。

自主回収に着手した場合は、海外メーカーからの最終回答や全数量の確定を待たず、管轄自治体と確認しながら遅滞なく届出を行ってください。

食品リコールでは、消費者保護のための出荷停止・回収を先行し、その後に原因、責任、保険、海外メーカーへの求償を証拠に基づいて整理してください。

本記事は、輸入食品、食品リコール情報、食品等自主回収届出制度、クラス分類、食品衛生申請等システム、回収物流、貨物保険およびフォワーダー実務に関する一般的な情報を説明するものです。個別事案の届出義務、クラス分類、回収範囲、健康被害、廃棄・積戻し方法、保険金支払、求償または当事者の法的責任を確定するものではありません。実際の対応では、対応時点の食品衛生法、食品表示法、関係法令、厚生労働省・消費者庁・自治体の最新情報、商品資料、検査結果、販売・在庫記録、契約、保険条件および専門家の判断に基づいて確認してください。

同義語・別表記

  • 食品リコール
  • 食品自主回収
  • 食品等自主回収
  • 食品リコール情報
  • 自主回収報告制度
  • 食品衛生申請等システム
  • Food Recall
  • Food Recall Information

関連用語