外航貨物海上保険の保険料率と保険料

Marine Cargo Insurance Premium Rates and Premiums

概要

外航貨物海上保険の保険料率は、保険会社が引き受ける貨物輸送リスクを金銭的な割合で表したものです。保険料は、その料率を保険金額へ適用して算出する保険契約上の対価です。

基本的な計算式は、次のとおりです。

保険料 = 保険金額 × 保険料率

ただし、実際の請求保険料は、この単純計算だけでは決まりません。通常の海上危険料率、War・Strikes等危険料率、船舶・航路・貨物に関する割増保険料、最低保険料免責金額、端数処理、通貨換算及び個別endorsementを確認する必要があります。

保険料率は、一般の商品価格表のような固定料金ではありません。同じ貨物、同じ保険金額及び同じ航路であっても、補償条件、梱包、船舶、積替え、保管、事故実績、年間取扱量、事故防止体制及び契約方式により異なる場合があります。

また、見積書に料率が記載されていても、その料率が無期限に保証されるとは限りません。特にWar等の追加料率、特殊航路、特殊船舶及び長期間有効な見積りでは、見積有効期限、船積日基準、船名確定条件及び再見積条件を確認します。

この記事で扱う範囲

項目 この記事で扱う内容 他記事で扱う内容
保険料率 保険金額へ適用する割合及び引受判断の基本構造 外航貨物海上保険の保険価額と保険金額で、料率を適用する保険金額を扱う
保険料 基本保険料、追加保険料、最低保険料及び端数処理 保険料の請求・精算実務で、請求書及び経理処理を扱う
料率構成 海上危険、War・Strikes等危険及びAdditional Premiumの関係 Institute War Clauses及びInstitute Strikes Clausesで補償危険を扱う
保険料指数 CIFに保険料を含めて110%付保する場合の指数計算 外航貨物海上保険の保険価額と保険金額で110%付保の意味を扱う
貨物条件 貨物の性質、温度管理、危険品及び中古品が料率へ与える影響 各貨物別記事で補償条件及び引受制限を扱う
船舶条件 船齢、船級、船型、運航形態及び基準外船舶の割増 Institute Classification Clauseで基準船舶の詳細を扱う
War等の変動料率 見積有効期限、船積日及び高危険地域による追加料率 War Risk追加保険料で個別地域・航路の実務を扱う
包括契約 オープンカバー、個別保険、申告方式及び更新交渉 外航貨物海上保険の包括予定保険で契約管理を扱う
損害率 支払損害率、発生損害率及び料率更新との関係 貨物事故のロスプリベンションで具体的な防止策を扱う
フォワーダーの関与 運送情報の整理、見積情報の伝達及び保険募集権限との境界 保険募集・保険代理店制度で法的権限を詳しく扱う
事故時の保険金 料率と保険金支払が別問題であること 貨物保険金請求及び損害算定の記事で支払額を扱う

保険料率と保険料の違い

比較項目 保険料率 保険料 保険金額 実務上の意味
基本的な意味 保険金額へ適用する危険の割合 保険契約者が支払う金額 保険者の支払限度額 三つの概念を区別する
表示方法 0.20%等の割合 円、米ドル等の金額 円、米ドル等の金額 料率の単位を確認する
決定要素 貨物、航路、条件、船舶、事故実績等 保険金額、料率、最低保険料、割増等 保険価額売買条件、付保割合等 別々の算定段階がある
事故との関係 引受時のリスク評価を反映する 事故がなくても支払う契約対価 事故時の支払限度になる 高い保険料が事故時の全額支払を保証するものではない
更新時の変動 事故実績や市場環境で変更され得る 料率変更に応じて増減する 取引価額等に応じて増減する 前年と同額になるとは限らない
最低金額 料率自体には通常設定しない 最低保険料が設定される場合がある 申告価額を基礎として設定する 計算保険料より最低保険料が優先する場合がある

保険料率が個別に決まる理由

保険会社は、多数の契約から保険料を集め、発生した損害へ保険金を支払います。料率には、単に過去の事故件数だけでなく、将来見込まれる損害の頻度及び大きさ、損害調査・契約管理等の費用、再保険費用、資本負担並びに予測の不確実性が反映されます。

貨物保険では、貨物ごとの危険差が大きいため、すべての輸送へ同一料率を適用すると、危険の低い契約者が危険の高い契約者を過度に負担することになります。これを避けるため、貨物、梱包、航路、船舶、保管、積替え、事故実績等を区分して引受判断を行います。

また、情報の申告が不十分なまま低い料率を適用すると、保険会社が想定していない危険だけが保険へ集中する逆選択が生じます。そのため、見積段階では、貨物名だけでなく、材質、用途、価格、梱包、輸送方法及び事故防止策まで確認されることがあります。

保険料率は、単なる価格交渉の結果ではありません。保険会社が引き受ける危険の量、契約条件及び事故防止体制を数値化した結果として理解する必要があります。

保険料の基本計算

最も基本的な計算は、次のとおりです。

基本保険料 = 保険金額 × 適用保険料率

例えば、保険金額が5,500万円、適用料率が0.20%である場合は、次の計算になります。

55,000,000円 × 0.20% = 110,000円

項目 数値 計算 結果
保険金額 55,000,000円 CIF価額等から設定 料率を適用する基礎
海上危険料率 0.20% 貨物・航路・条件等から設定 基本料率
基本保険料 110,000円 55,000,000円 × 0.20% 割増・最低保険料適用前

料率を小数で入力する場合は、0.20%を0.002として計算します。0.20をそのまま乗じると100倍の誤りになるため、社内システムでは料率の入力単位を固定する必要があります。

複数料率と最低保険料を含む計算例

海上危険、War・Strikes等危険及びAdditional Premiumを単純加算する契約では、次のように計算する場合があります。

料率区分 適用料率 保険金額 計算保険料
海上危険料率 0.20% 55,000,000円 110,000円
War・Strikes等危険料率 0.04% 55,000,000円 22,000円
特殊船舶等のAdditional Premium 0.06% 55,000,000円 33,000円
計算保険料合計 0.30% 55,000,000円 165,000円
最低保険料 180,000円
請求保険料 180,000円

この例では、料率計算による保険料は165,000円ですが、契約上の最低保険料が180,000円であるため、請求保険料は180,000円となります。

実際には、各料率の適用基礎が異なる場合、固定額の追加保険料がある場合、端数処理及び通貨換算を行う場合があります。すべての契約で複数料率を単純加算できるとは限りません。

保険料率を確認するときの単位

表示例 意味 5,000万円へ適用した場合 注意点
0.20% 100円につき0.20円 100,000円 小数計算では0.002とする
2.0‰ 1,000円につき2円 100,000円 0.20%と同じである
20 basis points 0.20% 100,000円 市場資料の単位を確認する
0.20 単位の記載がなければ意味が確定しない 計算不能 %、‰又は係数のいずれか確認する
固定額50,000円 保険金額に関係しない定額 50,000円 料率方式とは別である

保険料率の主な構成

料率区分 対象となる危険・条件 主な変動要素 確認資料 実務上の注意点
海上危険料率 ICC(A)・ICC(B)・ICC(C)等の通常輸送危険 貨物、航路、梱包、積替え、保管、損害実績 保険見積書、包括契約、貨物明細 補償範囲だけでなく免責金額も確認する
War Risks料率 戦争、内乱、一定の拿捕・抑留等 航路、地域、船積日、市場情勢、取消条件 War endorsement、見積書、航路資料 通常料率より短期間で変更される場合がある
Strikes Risks料率 ストライキ、暴動及び一定のテロ関連危険 港湾情勢、地域、保管、輸送期間 Strikes endorsement、見積書 単なる遅延・労働力不足とは区別する
船舶Additional Premium 包括契約等の基準外となる船舶 船齢、船級、船型、総トン数、運航形態 船名、船級資料、建造年、運航資料 船名確定後に追加される場合がある
航路Additional Premium 高危険地域、長距離内陸区間、複数積替え等 地域情勢、積替回数、保管期間、盗難危険 輸送ルート、Booking、倉庫情報 From/Toだけでなく全経路を申告する
貨物Additional Premium 中古品、冷凍品、危険品、重量物、高額品等 破損性、温度、火災、汚染、盗難、修理可能性 仕様書、SDS、梱包明細、温度条件 割増だけでなく免責・保証条件が付く場合がある
保管Additional Premium 通常輸送を超える長期保管・仮置き 期間、倉庫構造、洪水、盗難、防火管理 倉庫住所、保管期間、管理資料 輸送保険の延長では引受できない場合がある

保険金額指数表・保険料指数表の考え方

CIF価額に保険料自体を含め、そのCIF価額の110%を保険金額とする場合、保険料を計算すると、その保険料がCIF価額を増やし、さらに保険金額も増える循環計算が生じます。

この循環計算を簡略化するため、保険会社又は保険代理店が保険金額指数表及び保険料指数表を用意する場合があります。

貨物価額及び運賃等の合計をB、適用料率をR%とし、保険金額をCIF価額の110%とする基本モデルでは、次の指数を使用できます。

保険金額指数 = 110 ÷(100 − 1.10 × R)

保険料指数 = 1.10 × R ÷(100 − 1.10 × R)

ここでRは、0.30%の場合に「0.30」と入力する百分率の数値です。

貨物価額及び運賃等が5,000万円、適用料率が0.30%の場合は、次のようになります。

項目 計算 指数・金額 注意点
保険金額指数 110 ÷(100 − 1.10 × 0.30) 約1.103642 端数処理前
保険金額 50,000,000円 × 1.103642 約55,182,100円 保険会社指定の丸め方に従う
保険料指数 1.10 × 0.30 ÷(100 − 1.10 × 0.30) 約0.00331093 乗数として使用する
保険料 50,000,000円 × 0.00331093 約165,546円 最低保険料等は別途確認する

この計算は、保険料を含むCIF価額の110%を同一料率で付保する場合の基本モデルです。保険会社の指数表が、異なる付保割合、最低保険料、複数料率、通貨又は端数処理を前提としている場合は、上記式と一致しないことがあります。

指数表を使用する場合は、発行元、対象契約、適用期間、料率単位、110%の扱い及び改定日を確認します。

保険料率に影響する主な要素

要素 保険会社が確認する内容 料率・条件への主な影響 改善又は確認方法 主な資料
貨物の性質 破損、錆、温度、汚染、火災、盗難等の危険 基本料率、免責、引受制限 仕様・事故原因を具体的に説明する 商品仕様書、SDS、写真
貨物価額 一事故の最大損害額及び集積 高額貨物条件、引受限度、再保険 梱包単位及び分散輸送を検討する Invoice、価額明細
梱包 防水、耐衝撃、固定、吊点、温度維持 料率、免責、保証条件 梱包仕様及び作業記録を改善する Packing Specification、写真
輸送経路 内陸区間、積替え、港湾、保管、治安 航路割増、盗難条件、保管条件 積替え削減、指定倉庫等を検討する 輸送ルート、Booking
輸送用具 コンテナ、在来船、バージ、航空機、トラック 追加条件、船舶割増、引受可否 適切な輸送用具を選択する 船舶・車両・コンテナ情報
保険条件 ICC条件、War、Strikes、温度・盗難等の特約 補償範囲に応じた料率 必要補償と不要補償を整理する 見積条件、約款
免責金額 小額損害を被保険者が負担する範囲 免責引上げにより料率が下がる場合がある 事故頻度と自己負担能力を比較する 損害履歴、見積書
損害実績 事故頻度、損害額、原因及び再発性 更新料率、免責、引受条件 原因別の再発防止策を実行する Loss Record、事故分析
年間取扱量 年間保険金額、出荷件数、危険分散 包括料率、最低保険料、契約条件 正確な年間見込を提示する 輸出入実績、予算
事故管理体制 通知、サーベイ、証拠保存、求償管理 引受評価及び更新交渉 事故対応手順を標準化する 社内マニュアル、監査記録

船舶条件とAdditional Premium

貨物を積載する船舶が、包括契約、Institute Classification Clause又は保険会社の引受基準を満たさない場合、Additional Premium、特別条件又は個別承認が必要になることがあります。

確認対象には、船名、建造年、船級、船型、総トン数、旗国、定期船・不定期船の別、鋼鉄船か、動力船か、バージか、Ro-Ro船か等があります。

ただし、「一定年齢以上の船舶なら必ず割増になる」という単一の世界共通基準があるわけではありません。適用するclassification clause、貨物、航路及び個別保険契約によって基準が異なります。

船舶・輸送条件 問題になりやすい理由 考えられる引受対応 確認時期 確認資料
包括契約上の基準を超える船齢 構造・機器・保守状態への不確実性 Additional Premium、survey、個別承認 Booking前又は船名確定時 建造年、船級
非船級又は認定外船級 第三者による安全性確認が限定される 引受拒否、割増、追加資料 船積前 Class Certificate
非鋼鉄船・木造船 構造強度、火災、水密性等の差 割増、条件制限、引受拒否 見積時 船舶仕様
非動力船・バージ 曳航、天候、積替え、接触等の危険 曳航条件、survey、割増 輸送計画作成時 Towage Plan、Marine Warranty Survey
重量物・甲板積み 固縛、波浪、海水、落下危険 survey、warranty、甲板積み条件 船積計画時 Stowage Plan、Lashing Plan
小型船による沿岸輸送 気象、避難港、積替え及び集積 航路制限、季節条件、割増 見積時 航路、船舶明細

War・Strikes等危険料率と見積有効期限

War・Strikes等危険に関する料率及び条件は、通常の海上危険料率より短期間で変更される場合があります。紛争、制裁、軍事行動、港湾閉鎖、テロ、拿捕、海賊、航路変更等により、危険評価が短期間で変化するためです。

見積時点のWar料率が、実際の船積日又は保険開始日にそのまま適用されるとは限りません。見積書には、次のような条件が付される場合があります。

  • 見積有効期限
  • 船積日又は危険開始日時点の料率を適用する条件
  • 船名、航路及び寄港地確定を条件とする記載
  • 市場条件変更時の再見積条項
  • 取消通知又は地域指定変更に従う条件
  • 制裁審査を前提とする条件

荷主が顧客へ運賃又は保険料込み価格を提示する場合は、War等の変動料率を固定費とみなさず、見積有効期限及び価格改定条項を売買契約へ反映することが重要です。

個別保険とオープンカバー・包括保険

比較項目 個別保険 オープンカバー・包括保険 実務上の注意点
契約方式 一輸送ごとに見積・申込を行う 対象貨物・航路等をあらかじめ包括的に定める 包括契約でも申告義務は残る
料率 案件ごとに提示される 年間実績等を基に包括料率を定める 除外貨物・除外航路は個別見積になる
適する取引 単発、特殊貨物、特殊航路 継続的な輸出入 取扱量だけでなく貨物の均質性も確認する
船舶情報 見積時に確認しやすい 後日申告となる場合がある 基準外船舶の事後追加保険料に注意する
War料率 船積ごとに確認する 基本条件があっても変動料率となる場合がある 固定料率と変動料率を区別する
最低保険料 一証券ごとに適用される場合がある 年間最低保険料等が定められる場合がある 出荷量減少時の影響を確認する
更新交渉 原則として案件単位 年間損害率、取扱量、対策等を基に行う 事故原因別の資料を準備する
申告漏れ 未契約となる可能性がある 包括契約の申告条件違反が問題となる 自動連携及び月次照合を行う

損害率の計算と更新料率

損害率は、契約から得られた保険料に対して、どの程度の損害が発生したかを示す指標です。ただし、損害率には複数の計算方法があります。

指標 基本式 含まれる損害 実務上の用途
支払損害率 支払済保険金 ÷ 保険料 × 100 既に支払われた保険金 単純な過去実績の把握
発生損害率 発生損害額 ÷ 既経過保険料 × 100 支払済保険金と未払備金等 保険会社の更新引受判断
事故頻度 事故件数 ÷ 出荷件数等 事故の回数 小損害が繰り返される契約の分析
平均損害額 損害額 ÷ 事故件数 一事故当たりの損害規模 高額事故型か頻発型かの判定
最大予想損害 集積貨物等から個別評価 一事故で生じ得る最大損害 引受限度、再保険及び集積管理

例えば、年間保険料600万円、支払済保険金900万円、未払備金600万円の場合、単純な支払損害率は150%ですが、発生損害率は250%となります。

支払損害率 = 900万円 ÷ 600万円 × 100 = 150%

発生損害率 =(900万円+600万円)÷ 600万円 × 100 = 250%

更新交渉では、損害率の数値だけでなく、事故が一回限りの偶発事故か、同じ梱包・温度・盗難管理の問題が反復しているかを確認します。

有効なロスプリベンションを実施し、原因別事故件数及び改善後の実績を示せれば、単なる料率引下げ要求よりも、免責金額、対象貨物、指定業者、梱包条件等を含む合理的な更新交渉が可能になります。

料率引下げと補償縮小を区別する

変更方法 保険料への影響 事故時の影響 確認すべき点
純粋な料率引下げ 同一補償で保険料が下がる 補償内容は原則維持される 約款・免責が本当に同一か
ICC(A)からICC(C)へ変更 一般に保険料が下がる可能性がある 補償危険が大幅に限定される 価格比較ではなく補償差を確認する
免責金額の引上げ 料率又は保険料が下がる場合がある 小額損害の自己負担が増える 事故頻度と自己負担額を確認する
特定危険の除外 保険料が下がる場合がある 主要事故原因が補償されない可能性がある 過去事故原因と照合する
保険金額の引下げ 保険料が下がる 一部保険又は支払限度不足となる 保険価額との関係を確認する
指定業者・指定梱包の採用 危険改善により条件が改善する場合がある 遵守すれば事故発生を抑えられる 保証条項違反の効果を確認する

L/C・売買契約との関係

保険料率は、L/Cの書類審査項目として通常直接指定されません。しかし、保険料を下げるために保険金額、補償条件又は保険区間を縮小すると、売買契約又はL/C条件へ適合しなくなる可能性があります。

CIF又はCIP取引では、売主は売買契約で要求された保険金額及び補償条件を手配する必要があります。低い料率を選択した結果、契約上必要なICC条件、War・Strikes条件又は110%付保を満たさなければ、安い保険料であっても契約目的を達成できません。

FOB又はFCA取引では、買主が保険を手配することが多いため、Invoice価額だけで保険金額を設定したり、内陸区間を除外したりすると、料率は低く見えても無保険又は一部保険となる可能性があります。

保険料比較では、保険金額、保険区間、補償条件、免責金額、特約及び見積有効期限を同一にしたうえで比較する必要があります。

フォワーダーの関与範囲

この五分類は、法令上又は業界全体で確立された法的分類ではなく、本シリーズにおいて、フォワーダーが契約及び実務上どの範囲まで関与しているかを整理するための分析上の枠組みである。

Standard Five Classifications 一般的な関与 料率・保険料に関する関与 確認すべき限界 主な確認資料
1. Simple Intermediary 荷主と運送・保険関係者を連絡する 貨物・航路情報を伝達し、受領した見積情報を取り次ぐ 自ら料率を確定したとは扱わない 依頼メール、見積書、委託範囲
2. Cargo Transportation Service Provider 集荷、保管、搬入等の物流業務を提供する 輸送工程、梱包及び保管情報を整理する 物流料金と保険料を区分する 運送契約、作業明細、料金表
3. NVOCC / House B/L Issuer House B/Lを発行し契約運送人となる 自社運送区間及び貨物情報を保険見積へ反映する 運送人賠償責任保険と荷主貨物保険を混同しない House B/L、運送約款、保険証券
4. Door-to-Door Single Contractor Door-to-Door輸送全体を一括受託する 全区間の航路・保管・積替情報を整理する 一括運送受託が保険募集権限を当然に与えるものではない 一括契約、業務範囲、見積条件
5. Agent / Coordinator for Specific Operations 特定地域又は特定作業を代理・調整する 現地船舶、倉庫、War等の情報を収集する 代理権及び情報の有効時点を確認する Agency Agreement、現地見積、通知記録

梱包、保管、検品、積付け、vanning、devanning、drayage等の実作業は、五分類における契約上及び実務上の関与を確認する材料であるが、五分類を置き換えるものではなく、第六の分類も構成しない。

フォワーダーの分類だけで責任又は権限を決めることはできません。少なくとも、次の二点を別途確認します。

  • 当該フォワーダーがContracting Carrier、Actual Carrier又は単なる手配者のいずれであるか
  • 保険見積の取得、情報伝達、申込取次ぎ、保険料受領その他の委任業務及び権限がどこまで与えられているか

保険会社又は保険代理店から適切な委託・権限を受けていないフォワーダーは、貨物・航路・船舶等の事実情報を整理することはできても、保険商品の比較推奨、最終料率の確定、補償可否の断定又は申込意思の受領等を自ら行わないよう注意する必要があります。

保険募集に該当し得る行為は、適用法令、保険会社との委託契約及び社内権限に従い、保険会社又は保険代理店へ確認します。

保険料を見積もる判断フロー

  1. 貨物名、材質、用途、新品・中古品及び危険品該当性を確認する。
  2. Invoice価額、運賃、通貨及び保険金額を確認する。
  3. 出発地、仕向地、積替港、内陸区間及び保管場所を確認する。
  4. ICC(A)・ICC(B)・ICC(C)、War、Strikes及び必要な特約を決める。
  5. 梱包、コンテナ、温度、盗難及び荷役条件を確認する。
  6. 船名、建造年、船級、船型及びバージ等の有無を確認する。
  7. 海上危険料率、War等料率及びAdditional Premiumを区分する。
  8. 最低保険料、免責金額、端数処理及び通貨換算を確認する。
  9. 見積有効期限及び船積日基準の再計算条件を確認する。
  10. 個別保険又は包括契約の対象範囲を確認する。
  11. 保険料を売買価格又は顧客見積へ反映する前に、前提条件を明記する。
  12. 船名、航路、価額又は船積日が変更された場合の再見積手順を定める。

見積比較では、金額だけでなく、保険金額、補償条件、免責金額、航路、船舶条件、見積有効期限及び追加料率の前提が同一であるかを確認します。

実務で問題になりやすいケース

ケース 主な原因 確認資料 判断のポイント 初動対応
料率の%入力を誤った 0.20%を0.20として計算 見積書、計算表、システム設定 百分率又は小数のどちらで入力するか 計算を停止し、全対象案件を再計算する
最低保険料を考慮していない 料率計算だけで顧客見積を作成 最低保険料表、契約条件 通貨及び適用日 正式見積取得前は概算と明記する
船名確定後にAdditional Premiumが発生 基準外船舶を使用 船舶資料、見積条件、Booking 当初見積が船名未定条件だったか 船積前に荷主へ追加額と理由を通知する
War料率が船積前に変更 見積期限経過又は危険情勢の変化 見積書、船積日、改定通知 料率確定時点と有効期限 再見積し売買価格への影響を確認する
包括契約の除外貨物を通常料率で申告 中古品・危険品等の判定漏れ 包括契約、貨物明細、申告書 自動付保対象か個別承認対象か 直ちに保険会社へ追加申告する
保険料を下げるため補償条件を変更 ICC条件又は免責の相違を見落とした 新旧見積、約款、L/C 同一条件での比較か 契約・L/C適合性を再確認する
損害率の計算が保険会社と異なる 未払備金又は既経過保険料を考慮していない Loss Record、保険料明細、未払備金 支払損害率か発生損害率か 計算定義を統一して原因別に分析する
フォワーダーの概算額を確定保険料と誤認 条件付き見積の説明不足 メール、見積書、権限資料 誰が何を確定したか 保険会社・代理店の正式見積を取得する
保険料指数表が古い 料率改定又は計算条件変更 指数表、発行日、契約更新資料 対象年度及び付保割合 旧表の使用を停止し再計算する
保険料と運送人賠償保険料を混同 請求書の項目が不明確 請求書、貨物保険証券、運送契約 荷主貨物保険か賠償責任保険か 請求項目と契約主体を分けて説明する

具体例1:横浜港から輸出する大型機械で船舶割増が発生した場合

日本の輸出者が、保険金額1億9,800万円の大型機械を横浜港から輸出するとします。

freight forwarderは、船名未定の段階で海上危険料率0.16%の概算見積を荷主へ伝えました。概算保険料は316,800円でした。

その後に確定した船舶が包括契約上の基準船舶条件を満たさず、保険会社は0.08%のAdditional Premiumを提示しました。追加保険料は158,400円で、合計保険料は475,200円となりました。

荷主は、freight forwarderから316,800円で保険を手配できると聞いており、追加額は負担しないと主張しました。

保険会社は、当初見積は船名未定かつ基準船舶使用を前提とした概算であり、確定船舶について個別追加料率が必要であると主張しました。

この場合は、当初見積に「subject to vessel details」「approved vessel」「Additional Premium may apply」等の条件が記載されていたか、freight forwarderが概算又は確定額のどちらとして説明したかを確認します。

船舶条件が未確定である見積は、固定保険料ではなく前提条件付きの概算として荷主へ提示し、船名確定後の再見積手順を明記する必要があります。

具体例2:神戸港着冷凍貨物の損害率悪化で包括料率が引き上げられた場合

日本のcargo ownerが、神戸港を中心に年間30億円の冷凍食品を輸入し、年間保険料600万円の包括契約を締結していたとします。

契約年度中に、温度逸脱事故について支払済保険金900万円、未払備金600万円が計上されました。発生損害率は250%となります。

更新時、保険会社は料率を0.20%から0.32%へ引き上げ、さらに一事故10万円だった免責金額を50万円へ変更する条件を提示しました。

cargo ownerは、高額事故は一件だけであり、翌年度の料率へそのまま反映するのは不合理だと主張しました。

保険会社は、高額事故以外にも同じ温度記録・積替管理を原因とする小事故が複数発生し、再発性が高いと主張しました。

この場合は、単純な年度損害率だけでなく、事故頻度、事故原因、未払備金の妥当性、温度記録、積替工程及び改善策を確認します。

指定輸送業者、リアルタイム温度記録、アラーム対応、積替時間制限等を導入することで、全面的な料率引上げではなく、特定工程に対する保証条件又は免責設定として交渉できる可能性があります。

具体例3:名古屋港向けプロジェクト貨物でWar料率が見積後に変更された場合

海外から名古屋港へ輸入する保険金額2億6,000万円のプロジェクト貨物について、保険会社が海上危険及びWar等を含む合計料率0.24%を提示したとします。

見積書の有効期限は14日でしたが、製造遅延により実際の船積日は見積日から35日後となりました。

船積前の再確認でWar追加料率が0.12%上昇し、追加保険料312,000円が必要となりました。

輸入者は、当初見積を既に承認しており、保険会社は0.24%で引き受けるべきだと主張しました。

保険会社は、見積有効期限が経過し、War料率は危険開始日時点の市場条件に従うとの記載があるため、再計算が必要だと主張しました。

この場合は、見積の承諾だけで保険契約が成立していたか、危険開始日、見積有効期限、War料率確定条件、保険会社の取消・変更通知及び売買契約上の価格調整条項を確認します。

変動する追加料率を顧客価格へ含める場合は、「船積時の実費精算」「見積期限後は再見積」等の条件を売買見積へ明記することが重要です。

よくある誤解

誤解 実際の考え方 実務上の注意点
保険料率は貨物名だけで決まる 航路、梱包、船舶、条件、事故実績等を総合して決まる 輸送情報を具体的に申告する
保険金額に料率を掛ければ必ず請求額と一致する 最低保険料、割増、端数処理等が加わる場合がある 正式見積及び契約条件を確認する
低い料率ほど良い保険である 補償縮小や免責引上げで低く見える場合がある 同一条件で比較する
War料率は見積後固定される 見積期限や船積日時点の条件で変更される場合がある 確定時点を確認する
船齢だけで割増の有無が決まる 船級、船型、航路、適用条項等も関係する 個別契約の基準を確認する
包括契約ならすべての貨物が自動的に同じ料率で付保される 除外貨物、除外航路及び個別承認条件がある 包括契約の対象範囲を確認する
支払済保険金だけで損害率を計算すればよい 更新判断では未払備金を含む発生損害率が使われる場合がある 損害率の定義を確認する
免責金額を上げても補償内容は変わらない 小額損害の自己負担が増える 事故頻度と自己負担額を確認する
フォワーダーが提示した保険料は常に確定額である 概算、条件付き見積又は保険会社からの伝達額の場合がある 権限、前提条件及び有効期限を確認する
保険料指数表は一度作れば継続使用できる 料率、計算方式及び適用期間の変更がある 発行日及び対象契約を確認する

判断チェックリスト

確認場面 確認する相手 確認事項 問題がある場合の対応
売買見積作成時 営業、物流担当、保険担当 保険金額、概算料率、見積期限 変動額を固定価格へ含めず条件を明記する
保険見積依頼時 保険会社、保険代理店 貨物、航路、条件、梱包、船舶 不足情報を補完して再見積を取得する
船名確定時 shipping line、freight forwarder、保険会社 船齢、船級、船型及びAdditional Premium 船積前に個別承認を取得する
War等の見積取得時 保険会社、保険代理店 適用地域、危険開始日、有効期限 船積直前に再確認する
包括契約締結時 保険会社、社内保険担当 対象貨物、航路、料率、除外及び最低保険料 対象外案件の個別見積手順を定める
月次申告時 経理、物流、保険担当 申告漏れ、通貨、指数、料率 出荷データと申告データを照合する
L/C取引時 銀行、売主、買主、保険会社 保険金額、条件、通貨及び区間 保険料だけを優先せず書類条件を満たす
更新交渉時 保険会社、保険代理店、リスク管理担当 発生損害率、事故原因及び改善策 原因別データとロスプリベンションを提示する
料率変更時 保険会社、営業、経理 変更日、対象出荷、顧客価格への影響 旧新料率の適用境界を明確にする
顧客へ保険料を案内する時 保険会社、保険代理店、法務・管理担当 確定額か概算か、保険募集権限があるか 権限外の説明・推奨を行わない
争いが生じた時 保険会社、海事弁護士、法務担当 見積条件、契約成立、追加料率及び請求根拠 証拠を保存し支払期限・請求期限を確認する

海事弁護士を利用すべき場面

通常の保険料見積、料率確認及び更新交渉は、保険会社又は保険代理店と進めます。ただし、次の場合は、海上保険及び国際取引に詳しい弁護士への相談を検討します。

  • 見積料率で保険契約が成立していたか争われている場合
  • 見積有効期限後のWar追加料率について支払義務が争われている場合
  • 基準外船舶のAdditional Premiumが船積後に請求された場合
  • フォワーダーの概算案内と保険会社の正式請求額が異なる場合
  • 保険料引下げに伴う補償条件変更が十分に説明されていなかった場合
  • 包括契約の申告漏れ又は対象外貨物について補償と保険料が争われている場合
  • 保険募集権限のない者が料率・商品を推奨又は契約条件を確定したと主張される場合
  • 外国保険者、外国broker又は複数当事者間で料率確定時点が異なる場合
  • 追加保険料の不払を理由として補償継続が争われている場合

保険料をめぐる争いでは、見積書、申込書、証券、endorsement、メール、船名通知、航路変更通知、料率改定通知及び請求書を時系列で整理します。

保険料の請求根拠に関する争いと、事故後の保険金支払義務に関する争いは、同じ問題ではありません。保険料の金額に争いがあっても、事故通知、損害防止及び第三者への権利保全は別途進める必要があります。

まとめ

外航貨物海上保険の保険料率は、保険会社が引き受ける貨物輸送リスクを割合で表したものです。保険料は、保険金額へ料率を適用して計算します。

基本式は「保険金額×保険料率=保険料」ですが、実際の請求額には、海上危険料率、War・Strikes等危険料率、船舶・航路・貨物のAdditional Premium、最低保険料、免責金額、端数処理及び通貨換算が関係します。

保険料率は固定価格表だけで決まるものではありません。貨物の性質、梱包、航路、積替え、船舶、保管、補償条件、年間取扱量、損害実績及び事故防止体制を基に個別に判断されます。

War等の料率は短期間で変更される場合があるため、見積有効期限、船積日基準、船名確定条件及び再見積条項を確認します。船名未定の概算見積を確定保険料として顧客へ案内しないことが重要です。

包括契約の更新では、支払済保険金だけでなく未払備金を含む発生損害率、事故頻度、事故原因及びロスプリベンションを確認します。料率引下げだけを求めるのではなく、梱包、温度、盗難、指定業者及び免責金額を含めて条件を設計します。

また、フォワーダーが保険料情報を扱う場合は、物流情報の整理、見積の伝達及び保険募集に該当し得る行為を区別します。最終料率、補償条件及び契約成立については、保険会社又は適切な権限を持つ保険代理店へ確認する必要があります。

同義語・別表記

  • 外航貨物海上保険の保険料率
  • 外航貨物海上保険の保険料
  • 貨物保険料率
  • 貨物保険料
  • Marine Cargo Rate
  • Cargo Insurance Premium
  • War and Strikes Rate
  • Additional Premium
  • A.P.
  • 保険料指数表
  • 保険金額指数表

関連用語

公式情報