保険金と消費税について
1.損害が全損や分損のように一定割合で算定が可能な場合
保険金は課税対象外と規定されていて、消費税法取扱通達5−2−4により「資産の譲渡等の対価に該当しない」と定められており、保険金に消費税を上乗せして支払う必要がないと規定されています。
2.損害が修理等の費用を含み、一部として消費税が含まれる場合
(1)消費税を含んで保険金請求をした場合
輸入時に破損した事業用資産(転売目的)を自己において修理した場合には、その支払った修理の費用については課税仕入れに該当し、仕入税額控除の対象となります(基通11−2−10)。
また、その費用について保険会社から保険金を受け取った場合には、その保険金については、課税関係は生じません(基通5−2−4)。
上記の図より、仕入税額の控除の対象となる修理代は消費税が掛かったとしても、経理上の処理で「仮払消費税」として計上しますので、その分の消費税を減額して税金を納付することとなります。
一方で受取った保険金は非課税ですから、消費税分を多く払ってもらったことになります。しかし、保険は実質損害額に基づく支払いとなるため、消費税を除いて保険金が支払われることとなります。
(2)消費税を除いて保険金請求をした場合
上記の図より、仕入税額の控除の対象となる修理代は、修理代に消費税が掛かったとしても、経理上の処理で「仮払消費税」として計上しますので、その分の消費税を減額して税金を納付することとなります。一方で受取った保険金は非課税ですから、実質損害を受けた満額を領収したことになります。
消費税の納付税額は、課税期間中の課税売上高(税抜き)に100分の6.3を掛けた金額から課税仕入高(税込み)に108分の6.3を掛けた金額を差し引いて計算します。 課税仕入高に108分の6.3を掛けた額を差し引くことを仕入税額の控除といいます。(消法2、30、消基通11-1-1〜2)
(2014年4月現在)
ただし、消費税免税の会社@及び簡易課税制度を利用している会社Aについては、個別の仕入税額の控除の計上が出来ないため、不利益が発生します。
@小規模事業者の事務負担を軽減するため、その課税期間に係る基準期間(個人事業者の場合はその年の前々年、事業年度が1年である法人の場合はその事業年度の前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下の事業者は原則としてその課税期間の納税義務が免除されることになっています。
Aこの制度は、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合とするというものです。この一定割合をみなし仕入率といい、売上げを卸売業、小売業、製造業等、サービス業等及びその他の事業の5つに区分し、それぞれの区分ごとのみなし仕入率を適用します。
みなし仕入率 | |
第一種事業(卸売業) | 90% |
第二種事業(小売業) | 80% |
第三種事業(製造業等) | 70% |
第四種事業(その他の事業) | 60% |
第五種事業(サービス業等) | 50% |
上記制度を利用している会社は、消費税相当分が保険会社より支払われませんので、実質損失を被ることとなります。
保険会社としては、実質の損害額を算定して保険金を支払いますので、損害内容と自社の税法上の立場をよく把握して保険会社に損害処理(保険金請求)を依頼することが大切になります。
※詳細は各保険会社にご確認ください。